障害者雇用の実務の副業単価の目安と決め方|「人数を満たす」ではなく「受け入れと定着の仕組み」で見積もる

業務別の人事副業障害者雇用の実務 更新日 2026-10-16

障害者雇用の実務の副業は、依頼先の会社が障害のある人を雇い、働き続けてもらうための仕組みを整えるのを手伝う仕事です。社内で任せられる仕事の切り出し、募集と採用の段取り、働くうえでの配慮の決め方、入社後の相談の仕組みなど、扱う範囲は採用から定着まで広がります。人事として障害者雇用の採用や受け入れに関わってきた人なら、経験がそのまま活きる副業です。結論から書くと、この仕事の単価は、法定雇用率の人数を満たすことではなく、受け入れと定着の仕組みをどこまで整えるかで範囲を決め、工程ごとの時間から組み立てると、無理のない金額になります。

障害者雇用の実務の副業単価には公的な統計がなく、依頼先の規模や範囲で大きく変わるため、この記事では金額の相場は書きません。自分の単価を組み立てる手順を書きます。

なぜ障害者雇用の実務は副業で切り出されるのか

障害者の雇用の促進等に関する法律第43条は、事業主に、雇用する労働者の数に障害者雇用率を掛けた数以上の障害者を雇うことを求めています。厚生労働省の「事業主の方へ」のページでは、民間企業の法定雇用率は2.7%で、従業員を37.5人以上雇用している事業主は障害者を1人以上雇用しなければならないと案内されています。このため、従業員がそれほど多くない会社でも、障害者雇用に初めて取り組む必要が出てきます。

ところが、そうした会社の多くには、障害者雇用の経験がある人事担当者がいません。どんな仕事を任せればよいか、どこで募集すればよいか、どんな配慮が要るのかが分からないまま、人数だけが求められている状態です。専任を置くほどではないが、立ち上げの時期だけ経験のある人に手を貸してほしい、という依頼が副業に向いています。制度の要点は障害者雇用促進法の基本でまとめています。

工程ごとに何で時間が増えるか

障害者雇用の実務は、おおむね次の工程に分けられます。見積もりは工程ごとに時間を出し、自分の時間単価を掛けて合計します。時間単価の決め方は本業の年収と副業単価の関係を参考にしてください。

工程やること時間が増える条件
現状の確認今の雇用数、過去の採用と退職、社内の受け止め方を確かめる過去に採用して早く辞めた例がある
仕事の切り出し各部署の業務から、任せられる仕事を洗い出して組み合わせる部署が多い、業務が人についていて見えない
募集と採用求人票、募集の経路(ハローワーク・支援機関など)、面接と実習の段取り職種が複数ある、実習の受け入れ先を探す
配慮と受け入れ本人と配慮の内容を話し合う場、上司や同僚への説明、相談の窓口配属先が複数ある、在宅勤務を含む
定着の確認入社後の面談の時期と、見直しの流れを決める社内に担当がおらず伴走を求められる

このうち見積もりがずれやすいのは、仕事の切り出しです。部署の責任者に「任せられる仕事はありますか」と聞いても、多くの場合「特にない」と返ってきます。実際には、各部署の作業を細かく見ていくと、まとめれば一人分になる仕事が見つかることが多く、この聞き取りと組み合わせに時間がかかります。初回の打ち合わせで、関わる部署の数と、責任者に話を聞ける時間がとれるかを確かめてください。

約束するもの・約束しないもの

依頼先からは「今年中に法定雇用率を満たしたい」と言われることがよくあります。けれども、採用できるかどうかは、募集の時期や地域、求める仕事との相性に左右されます。副業の立場で人数の達成を約束すると、達成できなかったときに報酬でもめる原因になります。

区分中身
約束する切り出した仕事の一覧、求人票と募集の経路、配慮を話し合う手順、定着の面談の設計
約束しない雇用数や法定雇用率の達成そのもの
一緒に決める採用の目標時期と、届かなかったときに見直す点

人数を約束する代わりに、採用と定着の仕組みが動く状態までを仕事の範囲に入れる形です。採用まで伴走する場合は、仕組みづくりを一括で受け、採用活動の伴走は月の稼働時間で受けるように分けておくと、長引いたときにも時間に見合った単価を保てます。

エラベルの見解

障害者雇用の単価でよくある失敗は、人数を満たすための採用だけを見積もり、仕事の切り出しを範囲に入れないことです。任せる仕事が決まらないまま採用すると、入社した人に渡す仕事がなく、本人も周りも困って、早いうちに退職につながります。依頼先は「採用まで手伝ってもらったのに続かなかった」と受け止め、次の依頼にはつながりません。

担当する側から見ると、この仕事の中心は採用の前、仕事の切り出しにあります。見積もりの最初に、切り出しの工程を独立した成果物として出し、そこにかかる時間を依頼先に見せてください。切り出しを丁寧にやる担当者ほど、採用後の定着が安定し、次の採用や伴走の依頼が続きます。単価の根拠を説明するときも、「人数」ではなく「続く仕組み」に払ってもらう形のほうが、依頼先の納得を得やすくなります。

つまずきやすい点:配慮の申出と障害の情報の扱い

障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の2は、募集と採用に当たって、障害者からの申出により障害の特性に配慮した必要な措置を講じることを事業主に求めています。第36条の3は、雇用している障害者について、障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な措置を講じることを求めています。どちらも、事業主に過重な負担を及ぼすこととなるときはこの限りでない、とされています。また第35条は、賃金の決定や教育訓練などの待遇について、障害者であることを理由とした不当な差別的取扱いを禁じています。

実務で大事なのは、配慮の中身を会社だけで決めず、本人と話し合って決める手順をつくることです。面接や実習の段取りの中に、本人が配慮を申し出やすい場面を入れ、決めた内容を記録して上司と共有する流れを整えます。このとき、障害の内容や通院の状況などは、本人にとって慎重に扱ってほしい情報です。個人情報の保護に関する法律第18条は、本人の同意を得ないで利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱うことを禁じています。誰がどの情報を知る必要があるかを本人と確かめ、必要な範囲の人にだけ伝える形にしてください。個別の判断は社会保険労務士・弁護士にご確認ください。

エラベルの見解

もう一つ見てほしいのは、障害者雇用の定着は、配属先の上司が回せるかどうかで決まるということです。人事が仕組みを整えても、日々の仕事の指示や相談を受けるのは配属先の上司です。上司が配慮の内容を知らなかったり、相談を受けたときにどこにつなげばよいか分からなかったりすると、本人は困りごとを言い出せなくなります。

副業の担当者が入るなら、上司向けの説明の場と、困ったときに人事や外部の支援機関につなぐ流れを、成果物に入れてください。上司が一人で抱えない仕組みがあることで、定着が安定します。採用の段取りだけでなく、受け入れる側の準備まで組める担当者は、依頼先にとって代わりがききにくく、単価を上げる根拠にもなります。

単価を上げていくには

障害者雇用の実務で単価を上げていくには、次のような積み重ねが役に立ちます。

障害者雇用の仕事の中身全体は障害者雇用の実務の副業の仕事で書いています。

まとめ

よくある質問

障害者雇用の実務の副業単価の相場はいくらですか

依頼先の規模や業務の範囲によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。工程ごとに時間を見積もり、自分の時間単価を掛けて単価の根拠をつくってください。仕組みづくりと採用の伴走を分けて見積もるのが無理のない形です。

障害者雇用の経験が採用だけでも受けられますか

採用の段取りの経験があれば、募集と採用の工程は受けられます。仕事の切り出しや定着の仕組みづくりまで頼まれた場合は、経験のない工程を見積もりから外すか、学びながら進める分を単価に入れないなど、依頼先と範囲を話し合ってください。できる範囲をはっきり伝えるほうが、あとでもめにくくなります。

法定雇用率の計算や報告も頼まれたらどうすればよいですか

雇用数の数え方や毎年の報告には決まりがあり、最新の率や数え方は厚生労働省の案内で確認する必要があります。報告書類の作成や提出を報酬を得て代わりに行うことは、社会保険労務士の業務に関わるおそれがあるため、社内の担当が自分で出せる手順を整える形にとどめ、個別の判断は社会保険労務士にご確認ください。

出典

本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

この記事のタグ

関連記事

「業務別の人事副業」の他の記事

「業務別の人事副業」の記事一覧を見る →