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障害者雇用率制度|法定雇用率と対象事業主、算定と報告の実務

公開 2026-09-22

副業で人事を受けていると、依頼先から「うちは障害者を何人雇わないといけないのか」「6月に出す報告は何か」と聞かれることがあります。この制度は、法定雇用率も対象になる会社の規模も段階的に引き上げられており、算定の方法も見直されているので、数年前の記憶で答えるとずれます。この記事は、障害者雇用率制度の骨格を、厚生労働省の記載に沿って整理したものです。結論を先に書くと、民間企業の法定雇用率は、令和5年度の2.3%から令和6年4月に2.5%、令和8年7月に2.7%へと引き上げられ、対象となる事業主の範囲も43.5人以上から40.0人以上、37.5人以上へと広がりました。あわせて、令和7年4月から除外率が各業種10ポイント引き下げられ、短時間労働者の算定も見直されています。事業主には、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークへ報告する義務と、障害者雇用推進者を選任する努力義務があります。副業の人事が持つのは、対象の確認と算定の材料づくり、報告の運用と受け入れの設計までで、個別の判断は社会保険労務士やハローワークにご確認ください。採用の側から見た課題は障害者雇用の法定雇用率が達成できないに、実務の回し方は障害者雇用の実務を回すにまとめています。

法定雇用率と、対象になる事業主の範囲

厚生労働省のリーフレットでは、法定雇用率と対象事業主の範囲が次のように示されています。

時期民間企業の法定雇用率対象事業主の範囲
令和5年度2.3%43.5人以上
令和6年4月2.5%40.0人以上
令和8年7月2.7%37.5人以上

リーフレットには、障害に関係なく、希望や能力に応じて誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」実現の理念の下、全ての事業主に法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務がある、と書かれています。

国や地方公共団体等の法定雇用率については、令和8年7月1日から3.0%と民間企業と同様に引き上げとなり、都道府県等の教育委員会については令和8年7月1日から2.9%となる、とされています。

依頼先で確かめること。依頼先の常時雇用する労働者の数が37.5人以上かどうかを確かめます。ここは毎年の人数の変動で対象になったり外れたりするので、年に一度確かめる工程を運用に入れます。対象かどうかの個別の判断は、社会保険労務士かハローワークにご確認ください。

除外率と、算定の方法

除外率。リーフレットでは、除外率が各除外率設定業種ごとにそれぞれ10ポイント引き下げられ、令和7年4月1日から変わったこと、これまで除外率が10%以下であった業種は除外率制度の対象外となったことが示されています。引下げ後の除外率として、非鉄金属第一次製錬・精製業と貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く)が5%、建設業・鉄鋼業・道路貨物運送業・郵便業(信書便事業を含む)が10%、港湾運送業・警備業が15%、鉄道業・医療業・高等教育機関・介護老人保健施設・介護医療院が20%、林業(狩猟業を除く)が25%、金属鉱業・児童福祉事業が30%、特別支援学校(専ら視覚障害者に対する教育を行う学校を除く)が35%、石炭・亜炭鉱業が40%、道路旅客運送業・小学校が45%、幼稚園・幼保連携型認定こども園が50%、船員等による船舶運航等の事業が70%、と一覧で示されています。

短時間労働者の算定。リーフレットでは、算定方法の変更として次の二つが示されています。精神障害者の算定特例の延長(令和5年4月以降)として、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について、当分の間、雇用率上、雇入れからの期間等に関係なく1カウントとして算定できること。一部の週所定労働時間20時間未満の方の雇用率への算定(令和6年4月以降)として、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者について、雇用率上0.5カウントとして算定できること。

依頼先で確かめること。算定は、誰がどの区分に当たるかと、週所定労働時間がいくらかで変わります。短い時間から始める雇用を設計するときは、この算定の仕組みを踏まえて働き方を決めると、本人にも会社にも合う形を作りやすくなります。算定の可否の個別の判断は、ハローワークにご確認ください。

エラベルの見解

担当する側から見ると、この制度に関わるときに最初にやるべきことは、算定の計算ではなく「いつまでに何人足りないか」を依頼先の経営に見せることです。相談で見ていると、法定雇用率の引上げが段階的に進んでいることを、経営が把握していない依頼先が多くあります。令和6年4月に2.5%、令和8年7月に2.7%と上がり、対象になる会社の規模も40.0人以上から37.5人以上に広がったので、「うちは対象外だった」会社が対象になっていることがあります。数字の前に、この事実を経営に伝えるところからです。

もう一つは、報告の時期を年間の予定に入れることです。毎年6月1日時点の状況をハローワークに報告する形なので、6月に慌てて数えるのではなく、前年の秋から「来年の6月1日時点で何人足りるか」を見て、採用と役割づくりの時間を取ります。副業の人事は、この逆算の予定を作って依頼先に渡せます。数を追うだけの採用にならないよう、役割の設計と受け入れの準備を先に置くことも、あわせて提案します。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、障害者雇用の実務に関わった経験がある人は、そこを経歴に書いておくと選ばれやすくなります。

報告と、納付金と、推進者の選任

障害者雇用状況の報告。リーフレットでは、障害者を雇用しなければならない対象事業主の義務として、毎年6月1日時点での障害者雇用状況のハローワークへの報告が挙げられています。あわせて、令和8年6月1日時点の報告では、法定雇用率2.5%での不足有無などを確認する、と注記されています。法定雇用率の引上げは令和8年7月なので、その直前の6月1日時点の報告は引上げ前の率で見る、という整理です。

障害者雇用推進者の選任。同じくリーフレットで、障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」の選任が、努力義務として挙げられています。

障害者雇用納付金。リーフレットのQ&Aでは、令和8年度分の障害者雇用納付金について(申告期間は令和9年4月1日から同年5月17日までの間)は、令和8年6月以前については2.5%、令和8年7月以降については2.7%で算定することになる、と説明されています。厚生労働省の施策ページでは、雇用義務数より多く障害者を雇用する企業に対して調整金を支払ったり、障害者を雇用するために必要な施設設備費等に助成したりしている、と説明されています。

支援の仕組み。リーフレットでは、令和6年4月以降に「障害者雇用相談援助事業」が始まり、障害者雇用に関する相談援助を行う事業者から、原則無料で、雇入れやその雇用継続を図るために必要な一連の雇用管理に関する相談援助を受けることができるようになったこと、障害者雇用関係の助成金が拡充・新設されたこと(加齢により職場への適応が難しくなった方への職務転換のための能力開発等への助成、障害者介助等助成金の拡充、職場適応援助者助成金の拡充、職場実習・見学の受入れ助成の新設)が案内されています。

依頼先で実際に詰める論点

制度の把握の次に、依頼先で詰めることを並べます。副業の人事が持てる範囲が中心です。

論点詰めること誰が持つか
対象かどうか常時雇用する労働者の数。年に一度確かめる確認は人事、判断は社労士・ハローワーク
不足数と期限法定雇用率の引上げの時期から逆算して、いつまでに何人か人事が計算し、経営に示す
役割の設計既存の業務を書き出し、切り出せる仕事を役割にする人事と現場
働き方週の所定労働時間をどう設定するか。算定の仕組みも踏まえる人事。算定の可否はハローワーク
経路ハローワーク、支援機関、実習からの採用人事
受け入れ初日と最初の一か月、教える人、相談の相手人事と現場
配慮本人と話して、仕事の上で必要な配慮を決める人事と現場と本人
報告6月1日時点の状況の集計と、報告の担当人事。様式や記載はハローワーク
納付金申告の時期と算定の前提経理・人事。算定は専門機関へ
推進者選任するか、誰にするか経営と人事

要点は、数から入らないことです。数だけを追うと、役割が決まらないまま採用し、受け入れが整わず、続かず、また数が足りなくなります。役割を作り、受け入れを整え、続く雇用にすることが先で、結果として数が満たされる順番にします。この考え方は障害者雇用の法定雇用率が達成できないに詳しく書いています。配慮の話し方や、障害の内容をどこまで扱うかは、本人の同意の範囲と会社の窓口の整理が要るので、障害者雇用の実務を回すとあわせて確かめてください。

エラベルの見解

外に出してよいのは、対象の確認の材料、不足数と期限の逆算、役割の設計、働き方の設計、受け入れと定着の仕組み、報告に向けた集計の運用、年間の予定までで、「この人は算定の対象に当たるか」「このカウントでよいか」「報告の記載はこれでよいか」「納付金の算定はこれでよいか」といった個別の判断は、ハローワークや社会保険労務士、納付金の申告を扱う機関の範囲です。障害の有無の確認や手帳の扱いは、本人のプライバシーに直接関わるので、確認の方法と範囲も専門機関に確かめてから運用を作ります。

担当する側から見ると、この領域で信頼されるのは、制度を説明することより「現場が受け入れられる状態を作る」ことです。役割が決まっていない、教える人がいない、相談の相手がいない、という状態で人だけが入ると、本人も現場も苦しくなります。既存の業務を書き出して切り出せる仕事を役割にする作業、初日と最初の一か月の段取り、相談の相手を一人決めること、現場の管理職への説明。これは制度の手続ではなく人事の設計で、経験がある人にしかできません。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、この設計ができる人は、数合わせではない支援を求める依頼先から選ばれています。

まとめ

よくある質問

依頼先の従業員が38人です。対象になりますか

令和8年7月からの対象事業主の範囲は37.5人以上なので、常時雇用する労働者の数え方によって対象になりえます。ただし、「常時雇用する労働者」の数え方は、短時間労働者の扱いを含めて決まりがあるので、社会保険労務士かハローワークに確認してもらってください。境界にある依頼先は、毎年の人数の変動で対象になったり外れたりするので、年に一度確かめる工程を運用に入れておきます。対象になった場合は、報告と、不足数の把握と、役割づくりの順に進めます。

短い時間から始めたいのですが、算定に入りますか

リーフレットでは、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について当分の間1カウント、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者・重度身体障害者・重度知的障害者について0.5カウントとして算定できる、とされています。短い時間から始めて、本人の状況に合わせて増やしていく形は、算定の面でも取りやすくなっています。ただし、どの区分に当たるか、どうカウントするかの個別の判断は、ハローワークにご確認ください。働き方の設計そのものは、本人と話しながら決めます。

6月の報告に向けて、いつから準備すればよいですか

報告は毎年6月1日時点の状況なので、その時点で人が足りていなければ、報告の時に不足が出ます。逆算すると、前年の秋には「来年の6月1日時点で何人足りるか」を見て、役割の設計、経路の確保、実習や面接、受け入れの準備の時間を取る必要があります。6月に慌てて数えるのではなく、年間の予定に「秋に逆算、冬から春に採用と受け入れ、6月に報告」と入れておくと回ります。報告の様式や記載の方法は、ハローワークにご確認ください。採用が進まないときの考え方は障害者雇用の法定雇用率が達成できないに整理しています。

出典