採用代行 / 採用の課題

他社と比べて自社が良いのか分からない|「良いか悪いか」ではなく、「候補者が比べる項目で、どこが上でどこが下か」を事実で並べる

公開 2026-09-13

候補者は、複数の会社を同時に受けて、比べている。面接で「他社と比べて、御社の良さは何ですか」と聞かれて、答えに詰まる。「アットホームです」「成長できます」と言ってみるが、どの会社も言っている。条件は負けている気がする。自社が他社と比べて、本当に良いのか悪いのか、分からない。結論を先に書くと、「自社が良いか悪いか」は、一言では決まりません。候補者は、「条件」「役割」「人」「働き方」「成長」「会社の先」の項目で比べています。項目ごとに、自社と、候補者が受けている他社を、事実で並べれば、「上の項目」と「下の項目」が見えます。上を前に出し、下を隠さず、候補者が判断できる材料にします。「良さ」は、比べて初めて言葉になります。待遇で大手に勝てない場合は待遇で大手に勝てないに、競合の調べ方は競合の採用状況をどう調べるかにまとめています。

比べられない構造

自社が他社と比べてどうかが分からないのは、次の構造で起きます。

構造起きていること
「良いか悪いか」の一言で考えている総合で「良い」「悪い」を決めようとして、決まらない
候補者が比べる項目を知らない候補者が何で比べているかを聞いていない。条件だけだと思っている
他社の情報が無い候補者が受けている他社の求人票を見ていない。辞退の理由に「他社」があっても、中身を聞いていない
自社の事実が、言葉になっていない「裁量がある」と思っているが、「何を決められるか」を言えない
抽象語で語っている「アットホーム」「風通しが良い」「成長できる」。どの会社も言えるので、比べる材料にならない
下の項目を隠そうとしている条件で負けている事実を認めず、言葉を濁す。候補者は気づく
上の項目を、当たり前だと思っている自社では普通のことが、他社には無い。気づいていない
誰かの印象で判断している「うちは他社より劣る」「うちは良い会社だ」を、事実ではなく印象で

構造の大半は、「項目に分けて、事実で並べていない」ことです。

候補者が比べる項目

候補者が、複数社を比べるときの項目です。候補者によって重さが違いますが、項目はほぼ共通です。

項目候補者が見ていること
条件年収の幅と内訳、休日、働き方の制度、福利厚生
役割何を決める役割か、どこまで任されるか、裁量の実態
一緒に働く人、上司、経営者。面接で会った人の印象
働き方の実態時間、リモート、柔軟さ。制度ではなく、実際に使われているか
成長入社後に何ができるようになるか、次の役割、学ぶ機会
会社の先事業の方向、安定か成長か、経営者の考え
選考の対応速さ、丁寧さ、隠さない姿勢。「入社後もこう扱われる」の推測
通勤と場所場所、通勤の時間と手段

項目の要点は、「条件だけではない」ことです。条件で負けていても、役割と人と働き方と成長で上回れば、選ばれます。逆に、条件で勝っていても、選考の対応が雑なら、離れます。

候補者ごとに重さが違うので、面接で「何を重く見て会社を選んでいますか」と聞きます。

事実で並べる方法

項目ごとに、自社と他社を、事実で並べます。

自社の事実を、項目ごとに書く。 印象ではなく、事実。「裁量がある」ではなく、「顧客への提案の内容と価格の範囲を、担当者が決める。承認は責任者一人で、翌日には決まる」。役割の記述(ジョブディスクリプションがない)と、働き方の実態の記録から。

他社の事実を、集める。 候補者が受けている他社の求人票(公開されているもの)、辞退の理由で聞いた他社の提示、紹介会社の担当者から聞く「決まりやすい他社との違い」、面接で候補者が語る他社の様子(差し支えない範囲で)。競合の調べ方は競合の採用状況をどう調べるか

項目ごとに、上・同じ・下を付ける。 「条件:下」「役割:上」「人:同じ(分からない)」「働き方:上」「成長:同じ」「会社の先:下」「選考の対応:上」。

分からない項目は、「分からない」と書く。 他社の情報が無い項目を、推測で埋めない。

現場と入社した人に、確認する。 人事が並べた表を、現場の責任者と、他社から入社した人に見せる。「他社と比べて、本当にこうか」。他社から来た人は、比べる材料を持っています。

候補者ごとに、重さを聞く。 「何を重く見て選んでいますか」。条件を重く見る候補者には条件の事実を、役割を重く見る候補者には役割の事実を。

並べると、「自社は条件で下、役割と働き方と選考の対応で上」のように、一言ではなく項目で見えます。

上の項目と下の項目の扱い

並べた結果の、上の項目と下の項目の扱いです。

上の項目は、前に出す。 求人票の一行目、スカウトの一段落目、面接の最後の五分で。「自社では当たり前」と思っていることが、他社には無いことがあります。当たり前を、言葉にします。

下の項目は、隠さない。 「条件は、同じ職種の他社より低い場合があります」。隠すと、候補者は他社の求人票で知り、「隠された」と受け取ります。認めたうえで、上の項目を添えます。

下の項目を、上げられるかを検討する。 条件なら、市場と自社の幅の見直し(提示年収が市場と合っていない)。上げられないなら、「上げない」と決めて、上の項目で届く候補者に集中します。

「同じ」の項目は、差をつけられるかを検討する。 「選考の対応」が同じなら、速さと丁寧さで上にできます。費用がかかりません。

「分からない」の項目は、情報を集める。 面接で候補者に聞く、辞退の理由を深く聞く、紹介会社に聞く。

上の項目が無い場合。 全項目で下か同じなら、「上にできる項目」を作ります。役割の設計、働き方の実態、選考の対応。費用がかからず、自社の判断で変えられる項目から。

扱いの要点は、「上を前に、下を隠さず」です。全項目で上の会社はありません。上と下の組み合わせが、自社の「良さ」の形です。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「面接で『御社の良さは』と聞かれて『アットホームです』と答え続けて、辞退の理由の大半が『他社の条件』だった」というものです。条件で下なのは事実でしたが、役割の裁量と選考の速さは上でした。ただ、それを言葉にしていませんでした。項目で並べ、「条件は低い場合があります。ただ、この役割では〇〇を自分で決められ、選考は三週間で終わります」と面接で言うようにしたら、条件を重く見ない候補者が残るようになりました。「良さ」は、比べて言葉にして、初めて伝わりました。

見ていて差がつくのは、担当者が「項目で並べる」ところから入るかどうかです。「御社の強みを教えてください」と聞いて「アットホーム」を受け取る担当者と、「候補者が比べる項目ごとに、自社の事実と他社の事実を並べましょう。役割の記述と辞退の理由と紹介会社の話から」と、並べることから入る担当者がいます。後者は、抽象語を使いません。

発注側にできるのは、「自社の強みは何か」を考えるのではなく、「項目ごとに、自社の事実は何か」を書き出すことです。

「良さ」を言葉にする手順

並べた結果から、自社の「良さ」を言葉にする手順です。

上の項目を、事実の言葉で書く。 「裁量がある」ではなく、「〇〇を担当者が決め、承認は責任者一人で翌日に決まる」。抽象語を使わない。

他社から入社した人に、聞く。 「前の会社と比べて、うちの良いところと、劣るところは」。他社を知っている人の言葉が、最も比べる材料になります。本人の同意のうえで、求人票と面接に使います。

辞退しなかった人に、聞く。 「他社と迷って、なぜうちを選んだか」。選ばれた理由が、自社の「良さ」です。

辞退した人の理由から、下の項目を確認する。 「他社の条件」「他社の知名度」。下の項目が、事実として分かります。

「合う人」と「合わない人」で書く。 「〇〇を自分で決めたい人には合い、細かい指示が欲しい人には合わない」。「良さ」は、全員にとっての良さではなく、「合う人にとっての良さ」です。

一枚にする。 項目ごとの上・下、上の項目の事実の言葉、合う人・合わない人、下の項目の認め方。面接官全員に渡します。

三か月ごとに見直す。 辞退の理由、入社した人の話、他社の求人票の変化で、上・下は動きます。

言葉にする要点は、「事実の言葉」と「合う人・合わない人」です。抽象語と、全員向けの良さは、比べる材料になりません。

求人票と面接への反映

言葉にした「良さ」を、求人票と面接に反映します。

場面反映
求人票の一行目上の項目を、事実の言葉で。「〇〇を自分で決めて進める役割」
求人票の本文上の項目を具体的な場面で。下の項目は隠さず正確に。「合う人・合わない人」を書く
スカウトの一段落目上の項目で、相手に合わせて。知名度のない会社のスカウト
面接の最後の五分見極めで分かった候補者に合わせて、上の項目を。「あなたの〇〇は、この役割の△△で活きる」
「他社と比べて」と聞かれたら「条件では届かない場合があります。そのうえで、この役割にはこれがあります」と、下を認めてから上を。項目で答える
内定の場候補者が重く見る項目で、自社の事実を改めて。他社と迷っているなら、比べる材料を渡す
面接官向けの一枚項目ごとの上・下、事実の言葉、合う人・合わない人。面接官全員が同じことを語れる状態に
採用サイトとSNS上の項目の事実を、社員の話と場面で。採用SNSで何を発信すればよいか

反映の要点は、「面接官全員が、同じ項目で、同じ事実を語れる」ことです。一人の面接官が「アットホームです」と言えば、他の面接官が事実で語った信用が消えます。

外注する場合の範囲

他社と比べて自社が良いのか分からない問題を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 候補者が比べる項目の整理、自社の事実の書き出しの進行(役割の記述、働き方の実態の記録、現場の責任者への聞き取り)、他社の事実の収集(公開の求人票、辞退の理由の深掘り、紹介会社への聞き取り)、項目ごとの上・下の整理、他社から入社した人と辞退しなかった人への聞き取り、「良さ」の事実の言葉への書き換え、合う人・合わない人の整理、一枚の作成、求人票とスカウトと面接への反映、面接官向けの一枚、三か月ごとの見直し。

社内に残す判断。 下の項目を上げるかどうか(条件の見直しなど)、「上げない」と決める判断、公開する事実の範囲、経営者の言葉、面接官の指名。

外注の効きどころ。 自社の「良さ」は、社内の人には見えにくいものです。「自社では当たり前」が他社には無いことに、社内は気づきません。外部の担当者は、複数の会社を見ているので、「これは他社に無い」「これは他社も同じ」を、項目ごとに見立てられます。他社の事実の収集(紹介会社への聞き取り、辞退の理由の深掘り)も、担当者が回せます。

外注しても動かない場合。 社内が「アットホーム」を譲らない、下の項目を隠すことを求める、現場が事実の書き出しに応じない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

自社の「良さ」は、比べて、事実で、言葉にすれば見えます。外注は、比べる材料を集め、言葉にする手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、この相談で最も多いのは、「自社では当たり前のことに、価値があると気づいていない」ことです。「承認が翌日に下りる」「経営者と直接話せる」「残業が少ない」を、「普通のこと」と思っている。他社では、承認に二週間、経営者には会えない、残業が多い。当たり前が、上の項目でした。

他社から入社した人に「前の会社と比べて」と聞くと、当たり前の価値が言葉になります。「前は承認に二週間かかっていた。ここは翌日で驚いた」。その言葉が、求人票の一行目になります。

発注側にできるのは、他社から入社した人に、「うちの当たり前で、前の会社に無かったことは」と聞くことです。

まとめ

よくある質問

面接で「御社の良さは」と聞かれて、答えられません

「良さ」を一言で答えようとするから、詰まります。候補者が比べる項目(条件、役割、人、働き方、成長、会社の先、選考の対応)ごとに、自社の事実を書き出し、他社と比べて上の項目を事実の言葉で答えます。「条件では届かない場合があります。そのうえで、この役割では〇〇を自分で決められ、承認は翌日に下り、選考は三週間で終わります」。下を認めてから、上を。「アットホーム」「成長できる」は、どの会社も言えるので、比べる材料になりません。

全部の項目で、他社に負けている気がします

「気がする」を、項目ごとに事実で確認します。他社から入社した人に「前の会社と比べて」と聞くと、自社では当たり前で他社に無いこと(承認の速さ、経営者との距離、残業の実態)が出てきます。全項目で本当に下なら、費用がかからず自社の判断で変えられる項目(選考の対応の速さと丁寧さ、役割の裁量の設計、働き方の実態)から、上にできる項目を作ります。全項目で上の会社は無く、上と下の組み合わせが自社の形です。

条件で負けていることを、候補者に言うべきですか

隠すと、候補者は他社の求人票で知り、「隠された」と受け取ります。「条件は、同じ職種の他社より低い場合があります」と認め、そのうえで上の項目(役割、働き方、選考の対応、成長)を事実で添えます。条件を重く見る候補者は離れますが、それは隠しても同じです。条件以外を重く見る候補者には、正直に認めた会社のほうが信用されます。条件を上げられるかの検討は別に行い、上げないと決めたなら、上の項目で届く候補者に集中します。