採用代行 / 採用の課題
どの媒体を使えばよいか分からない|媒体の名前で選ばず、「誰に届けたいか」と「どの段階が止まっているか」で選ぶ
求人媒体は数えきれないほどある。総合型、職種特化型、スカウト型、成果報酬型、無料のもの。有名な媒体に出したが応募が来ない。媒体の営業に勧められて契約したが、来る人が合わない。どれを使えばよいか、判断の軸が無い。結論を先に書くと、媒体は、名前や有名さで選ぶものではなく、「誰に届けたいか」と「いまどの段階が止まっているか」で選びます。この二つが決まれば、候補は数個に絞れ、あとは小さく試して、自社の記録で判断します。媒体費の見方は媒体費と代行費を分けて見るべき理由に、媒体への対応は媒体対応にまとめています。
媒体選びで起きている失敗
媒体選びで、次の失敗が起きています。
| 失敗 | 何が起きているか |
|---|---|
| 有名な媒体に出す | 利用者が多い媒体は、競合の求人も多い。自社の求人が埋もれる |
| 営業に勧められて契約する | 媒体の営業は自社の媒体を勧める。自社の職種に合うかは、営業の判断ではない |
| 複数の媒体に薄く出す | 予算を分散し、どの媒体も効かず、どれが効いたか分からない |
| 一度出して、応募が来なければ「媒体が悪い」 | 求人票が薄い、返信が遅い、など媒体以外の原因を見ていない |
| 前任者が使っていた媒体を、そのまま続ける | 職種や状況が変わっているのに、惰性で契約を更新する |
| 無料の媒体だけで、手間をかけない | 無料は「費用の代わりに手間」。手間をかけなければ効かない |
| 媒体を変えれば解決すると思う | 応募は来ているのに面接で落ちる、辞退される、という段階の問題は媒体では直らない |
媒体選びの失敗は、媒体そのものより、「選ぶ前に決めるべきこと」を決めていないことから起きます。
媒体を選ぶ前に決めること
媒体の名前を見る前に、三つを決めます。
誰に届けたいか。 「〇〇の経験がある人」だけでなく、「いま、どういう状況の人か」。転職を考えて動いている人か、動いていないが良い話があれば聞く人か。新卒か、中途か。経験の深さは。地域は。届けたい相手の像が無いと、媒体は選べません。
どの段階が止まっているか。 応募が来ないなら、経路の問題で、媒体を見直す意味があります。応募は来るが面接で落ちる、辞退される、なら媒体の問題ではなく、求人票・基準・速さの問題です。媒体を変えても直りません。
使える予算と手間。 予算がゼロなら、無料の媒体と紹介と自社のページ。予算があるなら、先に費用が出る形(掲載)か、採れたときに出る形(成果報酬)か。手間をかけられる人がいるか(スカウト型は手間がかかる)。
この三つが決まれば、「有名だから」「勧められたから」で選ぶことは無くなります。
媒体の種類と向き不向き
媒体を、種類で整理します。個別の媒体の名前ではなく、型で見ます。
| 種類 | 届く相手 | 向いている場面 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 総合型の求人媒体 | 転職を考えて、自分で探している人。幅広い職種 | 応募の数を集めたい、一般的な職種 | 競合の求人が多く、求人票が薄いと埋もれる |
| 職種・業界特化型 | 特定の職種や業界の、探している人 | 専門職、経験者を絞って集めたい | 利用者の数は総合型より少ない。職種が合えば効く |
| スカウト型 | 登録しているが、自分から応募はしない人 | 経験者、動いていない人に届けたい | 自社から送る手間がかかる。文面の質で返信率が変わる |
| 成果報酬型 | 媒体により幅広い | 先に費用を出したくない、採れたときに払いたい | 採用単価は先に確認。条件は各社の公式の案内で |
| 人材紹介 | 紹介会社に登録している人 | 経験者、急ぎ、自社で選考の手間をかけられない | 手数料の水準と返金の条件を先に確認 |
| 無料の媒体・公的な職業紹介 | 探している人。地域性がある場合も | 予算が無い、地域の採用 | 費用の代わりに手間。求人票を丁寧に書き、更新する |
| 自社の採用ページ・SNS | 自社を知っている人、検索して来る人 | 全ての採用の受け皿。他の媒体から来た人も見る | 単独で応募を集めるには時間がかかる |
| 社員の紹介 | 社員の知り合い | 定着が良い傾向。費用がかからない | 具体的に頼み、結果を戻す。謝礼は法令上の扱いを確認 |
種類ごとに、届く相手が違います。「誰に届けたいか」が決まっていれば、種類はおのずと絞れます。動いていない経験者に届けたいならスカウト型か紹介、探している若手を広く集めたいなら総合型か特化型、のように。
各媒体の仕組み・費用・条件は変わるので、必ずしも上の表のとおりではありません。契約の前に、各媒体の公式の案内で確認します。
候補を絞る手順
種類が決まったら、その種類の中から候補を絞ります。
同じ職種の他社の求人が、どこに出ているかを見る。 採りたい職種で検索し、競合の求人がどの媒体に出ているかを見ます。競合が出している媒体には、その職種の人がいます。ただし、競合が多い媒体は埋もれる面もあります。
媒体の利用者の像を、媒体の案内で確認する。 媒体は、利用者の層(職種、年代、経験)を公開していることがあります。自社の届けたい相手と合うかを見ます。数字は媒体の公式の案内で確認し、自社の記事や資料に引用する場合は出典を明記します。
媒体の担当者に、自社の職種の実績を聞く。 「この職種で、御社の媒体を使った会社の応募の傾向はどうか」。担当者は答えられる範囲で答えます。答えが曖昧なら、その職種に強くない可能性があります。
同業の経営者や人事に聞く。 同じ職種を採っている会社が、どの媒体で効いたか。規模や状況が違えば同じ結果にはなりませんが、候補の絞り込みには使えます。
候補を二〜三個に絞る。 十個を比べても、決まりません。種類が決まっていれば、二〜三個に絞れます。
絞った候補は、次の段階で小さく試します。絞った段階で「これに決めた」と大きく契約しません。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「有名な総合型の媒体に、年間の契約で出した。専門職の求人だったので、応募は来たが経験者はほぼいなかった。契約が残っているので、他の媒体に予算を回せない」というものです。届けたい相手は「動いていない経験者」で、総合型に自分から応募する層とは違いました。先に「誰に届けたいか」を決めて、スカウト型か紹介から小さく試していれば、年間の契約は要りませんでした。
見ていて差がつくのは、担当者が「媒体の名前」ではなく「届けたい相手と段階」で話すかどうかです。「〇〇という媒体が良いです」と名前で勧める担当者と、「この職種で動いていない経験者に届けたいので、スカウト型を小さく試し、二週間で返信の傾向を見ましょう」と、相手と種類と試し方で話す担当者がいます。後者は、外れたときに次の手が打てます。
発注側にできるのは、担当者に「どの媒体が良いか」ではなく「誰に届けたいかと、どの段階が止まっているか」を先に伝えることです。
小さく試して判断する
候補を絞ったら、小さく試します。
期間を区切る。 「一か月」「二週間」。区切らないと、いつ判断するかが決まりません。媒体の契約の最短の期間で始めます。最短の期間は各媒体の公式の案内で確認します。
一つの求人で試す。 複数の求人を同時に出すと、媒体の効きと求人票の効きが混ざります。一つの求人で、媒体だけを変えて比べます。
求人票は、事前に直しておく。 求人票が薄いまま試すと、媒体の効きが分かりません。役割と働く理由が書かれた求人票で試します。
記録を取る。 媒体ごとに、応募の数、書類で通った数、面接に進んだ数、内定の数、辞退の数。数字は自社の記録だけを使います。
「応募の数」ではなく「面接に進んだ数」で見る。 応募が多くても、経験者がいなければ意味がありません。届けたい相手が来ているかは、面接に進んだ数で分かります。
期間が終わったら、続ける・変える・止めるを決める。 面接に進む人が来ていれば続ける、来ていなければ求人票を直して再度か、別の候補に変える。
小さく試す形は、媒体の担当者に「最短の期間で、一求人で試したい」と伝えれば、応じる媒体は多いです。応じない媒体は、候補から外します。
媒体の担当者との付き合い方
媒体には担当者が付きます。付き合い方の要点です。
担当者は、自社の媒体を勧める人だと理解する。 担当者の仕事は、自社の媒体を使ってもらうことです。「うちは合わないので他をどうぞ」とは言いにくい立場です。中立の助言者ではありません。
求人票の書き方は、聞く価値がある。 その媒体でどういう求人票が読まれるか、担当者は知っています。書き方の助言は、聞きます。
「この職種の実績」を聞く。 曖昧な答えなら、その職種に強くない可能性があります。
契約の条件を、書面で確認する。 期間、更新の条件、解約の予告、費用の内訳。口頭の説明と書面が違うことがあります。書面が正です。
自動更新の有無を確認する。 気づかずに更新されている契約が、媒体の費用を膨らませます。更新の期限を、契約の一覧に書いておきます。
担当者の変更に備える。 媒体の担当者は替わります。やり取りの記録を、社内に残します。
媒体の担当者は、味方にも、費用を膨らませる相手にもなります。「勧められたから」ではなく、「自社の記録で判断する」姿勢を持てば、良い付き合いができます。
外注する場合の範囲
媒体選びの問題を、採用代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 届けたい相手と止まっている段階の整理、媒体の種類の提案、候補の絞り込み(他社の求人の調査、媒体の担当者への確認)、小さく試す設計、求人票の各媒体向けの調整、媒体の運用(掲載・スカウトの送信・応募の受付)、記録の集計と判断の材料の作成、契約の条件の確認の支援。
社内に残す判断。 誰を採るか、予算、契約の可否、続ける・変える・止めるの判断。
外注の効きどころ。 採用代行の担当者は、複数の会社で複数の媒体を運用しているので、「この職種にはこの種類」の経験を持っています。媒体の営業とは違い、特定の媒体に縛られない立場です。ただし、担当者にも得意な媒体と不得意な媒体があるので、「なぜその媒体か」を相手と段階で説明してもらいます。
外注しても動かない場合。 発注側が「有名な媒体に出したい」を譲らない、求人票を直さずに媒体だけ変え続ける、記録を取らない。社内の判断で、代行を替えても直りません。
媒体選びは、経験があれば速く、無ければ試行錯誤になる工程です。外注は、試行錯誤を短くする手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、媒体選びの相談で最も多いのは、「媒体を変えれば応募が来ると思っている」ことです。応募が来ない原因を見ると、求人票が業務の箇条書きで、返信が三日遅れで、面接の日程が二週間先。この状態で媒体を変えても、同じことが起きます。
担当者が最初にやるのは、媒体の提案ではなく、「止まっている段階」の確認です。応募が来ていないのか、来ているが合わないのか、来て合っているが落ちるのか。段階が分かって初めて、媒体を変える意味があるかどうかが分かります。
発注側にできるのは、「どの媒体が良いか」の前に、「いま、どの段階で止まっているか」を担当者と一緒に見ることです。
まとめ
- 失敗は有名で選ぶ・営業の勧めで契約・薄く撒く・媒体のせいにする・惰性で更新・無料を放置・段階の問題を媒体で直そうとする
- 選ぶ前に誰に届けたいか・どの段階が止まっているか・予算と手間を決める
- 種類は総合型・特化型・スカウト型・成果報酬型・紹介・無料と公的・自社ページとSNS・社員の紹介。届く相手が違う。条件は各媒体の公式の案内で確認
- 候補は競合の求人の出ている先・媒体の利用者の像・担当者への職種の実績の確認・同業に聞くで二〜三個に
- 期間を区切り・一求人で・求人票を直してから・記録を取り・面接に進んだ数で見て・続ける変える止めるを決める
- 媒体の担当者は自社の媒体を勧める人。求人票の助言は聞き、契約は書面で、自動更新に注意
- 外注できるのは整理・提案・絞り込み・試す設計・運用・記録。社内に残るのは誰を採るか・予算・契約・判断
よくある質問
有名な媒体に出せば、応募は来ますか
利用者の多い媒体は、競合の求人も多く、求人票が薄いと埋もれます。届けたい相手がその媒体にいるかどうかが先です。動いていない経験者を採りたいなら、自分から応募する層が中心の総合型より、スカウト型や紹介のほうが届きます。有名さは、届けたい相手がいるかどうかとは別の話です。
複数の媒体を同時に使ってもよいですか
予算と手間があるなら、種類の違う媒体を組み合わせる(総合型と紹介、スカウト型と社員の紹介など)のは合理的です。避けたいのは、同じ種類の媒体に薄く撒くことです。予算が分散し、どれが効いたか分からなくなります。最初は一〜二個で小さく試し、記録を見て、効いたものに寄せます。
媒体の営業から「今なら安い」と言われています
期限を切った提案は、判断を急がせる形です。「誰に届けたいか」「どの段階が止まっているか」に合っているかを、値段より先に見ます。合っているなら、最短の期間で小さく試す条件で契約できるかを聞きます。合っていないなら、安くても使わない媒体は費用の無駄です。契約の条件は書面で確認し、自動更新の有無を見ます。