採用代行 / 採用の課題

書類通過率が低いときに見る数字|「率」の前に「誰が・何を見て・何で落としているか」を数える

公開 2026-09-12

応募は月に数十件ある。しかし、書類で通るのは数件。「書類通過率が低い」と言われるが、低いのが問題なのか、何を直せば上がるのか、分からない。結論を先に書くと、書類通過率は、率だけを見ても原因が分かりません。「応募が要件を満たしているか」「何の理由で見送っているか」「誰が見ているか」「通過した人が面接でどう評価されたか」を数えれば、原因が要件・原稿・基準のどれかに切り分けられます。そして、通過率を上げること自体を目的にすると、面接の質が下がります。応募の質が合わない場合は応募は来るが質が合わないに、面接の欠席は面接のドタキャン・無断欠席を減らすにまとめています。

率だけでは分からない理由

書類通過率が低い、という事実から分かるのは、「応募の多くが書類で止まっている」ことだけです。なぜ止まっているかは、率からは分かりません。

低い理由は、次のどれかです。

要件を満たさない応募が多い。 原稿が要件を伝えておらず、満たさない人が応募している。通過率が低いのは、正しく見送っている結果。

要件は満たしているが、見送っている。 要件を満たす応募を、書類を見る人が「もっと良い人が」「なんとなく」で見送っている。基準の問題。

要件そのものが厳しすぎる。 市場にほとんどいない要件で、満たす人が来ない。要件の問題。

書類を見る人ごとに、基準が違う。 ある人は通し、ある人は見送る。基準が揃っていない。

通過した人が、面接で「合わない」。 書類の基準が緩すぎて、面接で落ちる。通過率は低くないが、実は問題。

率が同じでも、理由が違えば、打ち手は違います。理由を知るために、率以外の数字を見ます。

見る五つの数字

書類通過率が低いときに、見る数字は五つです。

一.応募の要件充足率。 応募のうち、必須の要件を満たしている割合。低ければ、原稿が要件を伝えていない(原稿の問題)。高いのに通過率が低ければ、基準の問題。

二.見送り理由の内訳。 見送った応募を、理由で分ける。「必須の要件を満たさない」「経験の深さが足りない」「条件が合わない」「その他(なんとなく、雰囲気)」。「その他」が多ければ、基準が言葉になっていない。

三.見る人ごとの通過率。 書類を複数の人が見ているなら、人ごとに通過率を出す。大きく違えば、基準が揃っていない。

四.書類を見る時間。 一件あたり、何分で判断しているか。短すぎれば、要件を確かめずに印象で判断している可能性。長すぎれば、判断の基準が無くて迷っている。

五.通過後の面接での評価。 書類を通った人が、面接でどう評価されたか。「書類は通したが面接で合わない」が多ければ、書類の基準が緩い(または面接の観点が別)。

五つを、直近の一〜三か月分で出します。担当者に集計してもらえば、数日で出ます。

数字から原因を三つに切り分ける

五つの数字から、原因を「要件」「原稿」「基準」の三つに切り分けます。

数字の状態原因
要件充足率が低い(満たさない応募が多い)原稿が要件を伝えていない
要件充足率が高いのに通過率が低く、見送り理由に「その他」が多い基準が言葉になっていない
要件充足率が高いのに通過率が低く、見送り理由が「経験の深さ」要件の書き方が浅い(原稿)か、要件が実態より高い(要件)
見る人ごとに通過率が大きく違う基準が揃っていない
要件充足率が低く、満たす応募がほとんど無い要件が市場に無い(要件)
通過後の面接で「合わない」が多い書類の基準が緩い、または面接の観点が書類と別(基準)

三つに切り分けたら、その原因だけを直します。三つを同時に直すと、どれが効いたか分かりません。

原因ごとの打ち手

原稿が原因なら。 要件を、経歴で読める形で書く。「〇〇の経験」ではなく「〇〇を自分で設計した経験」。対象外を書く。「未経験歓迎」を外す。応募は来るが質が合わないの原稿の直し方と同じです。応募は減りますが、要件充足率は上がります。

要件が原因なら。 入社後三か月の仕事から、必須を三つ程度に絞る。市場にいない要件は、範囲を見直す。一緒に働く人が決める。

基準が原因なら。 書類で何を見て、どうなら通すかを、言葉にして揃える。「必須の要件を満たしていれば通す。深さは面接で確かめる」。見る人の間で、同じ基準を持つ。「なんとなく」を無くす。

基準が緩すぎるなら。 通過後の面接で「合わない」が多い場合。書類で確かめられること(要件の充足、経歴の深さの記述)を、書類で確かめる。面接でしか分からないことは、面接に回す。書類と面接の観点を分ける。

打ち手は、一つずつ、二週間から一か月で効果を見ます。

通過率を上げること自体を目的にしない

書類通過率を「上げる」ことを目的にすると、次のことが起きます。

基準を緩めて、通す。 通過率は上がるが、面接で「合わない」が増え、面接者の時間が消える。

要件を満たさない人を、通す。 「数を面接に回せば、誰か合うかも」。面接は、書類の代わりにはなりません。

面接の質が下がる。 面接の数が増え、一件あたりの準備と時間が減る。

候補者にも不利益。 合わない面接に呼ばれる候補者は、時間を使って見送られる。

通過率は、「正しく見送れているか」を見る指標であって、「高ければ良い」指標ではありません。要件充足率が高く、通過率も高く、面接で合う、という状態が目標で、通過率だけを上げても意味がありません。

「通過率が低い」を「見送りが正しいか」に置き換えて見ます。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「書類通過率が低いので、基準を緩めて通した」というものです。通過率は上がり、面接の数は増え、面接者の時間が倍になり、面接での「合わない」も倍になった。採用は進まず、面接者が疲弊した。数字を見ると、要件充足率が低く、原稿が要件を伝えていなかった。直すべきは基準ではなく原稿で、直せば応募は減り、通過率は上がり、面接は減っていました。

見ていて差がつくのは、担当者が「通過率」だけでなく「要件充足率」と「見送り理由」を出しているかどうかです。通過率だけを報告する担当者は、「低い」としか言えません。五つの数字を出す担当者は、「原稿が原因です」「基準が揃っていません」と言えます。

発注側にできるのは、「通過率を上げてほしい」ではなく「通過率が低い原因を切り分けてほしい」と担当者に頼むことです。上げるのは結果で、切り分けが先です。

書類の基準を揃える

基準が原因の場合、書類で見る基準を揃えます。

必須の要件の充足を、最初に見る。 満たしていなければ見送り、満たしていれば次へ。ここは、誰が見ても同じになる。

経歴の深さを、記述で見る。 「設計した」「立ち上げた」「決めた」の記述があるか。「関わった」「支援した」だけか。深さの判断の手がかりを、書面にする。

面接でしか分からないことは、書類で判断しない。 判断力、主体性、相性。書類では見えない。書類で「なんとなく合わない」と見送らない。

見送り理由を、必ずしも長くなくてよいが、一行残す。 「必須の〇〇を満たさない」「深さの記述が無い」。「その他」を無くす。

見る人を絞るか、基準を共有する。 複数の人が見るなら、同じ書面の基準で。可能なら、書類は一人か二人で見て、面接で複数の目を入れる。

月に一度、通過した人と見送った人を見直す。 基準が機能しているか。通過した人が面接でどうだったか。見送った人に、通すべき人がいなかったか。

基準が揃えば、通過率は「誰が見ても同じ率」になり、原因の切り分けもしやすくなります。

外注する場合の範囲

書類通過率の問題を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 五つの数字の集計、原因の切り分け、原稿の書き直し、書類の一次の絞り込み(基準は社内が決める)、見送り理由の記録、通過後の面接での評価の集計。

社内に残す判断。 要件を決める、通す基準を決める、書類の最終判断(一次の絞り込みの後)、面接の判定。

外注の効きどころ。 数字の集計と原因の切り分けは、担当者が数日でできる。原稿の書き直しも、経験のある担当者なら速い。一次の絞り込みは、基準が書面にあれば担当者が担え、社内の書類を見る時間が減る。

外注しても動かない場合。 要件が社内で決まらない、基準が揃わない、面接の観点が書類と別。社内の問題で、代行を替えても直りません。

書類の一次の絞り込みを外に出すなら、基準を書面にすることが前提です。基準が無いまま出すと、担当者の判断で通過率が決まり、社内が納得しません。

エラベルの見解

担当する側から見ると、書類通過率の相談で最も多いのは「基準が無いまま、書類を見てほしいと言われる」ことです。「良さそうな人を通してください」。良さそう、の基準が無い。担当者が通すと「なぜこの人を」と言われ、見送ると「なぜこの人を見送ったのか」と言われる。基準が無い限り、どちらも起きます。

書類の基準は、社内が決めるものです。担当者にできるのは、「必須の要件の充足と、深さの記述で見る」という基準の案を出し、社内に決めてもらうことまでです。

発注側にできるのは、書類で「何を見て、どうなら通すか」を書面にして、担当者と社内で共有することです。書面があれば、担当者は一次の絞り込みを担え、社内は最終の判断に集中できます。

まとめ

よくある質問

書類通過率は、どのくらいが適正ですか

一つの数字ではお答えできません。原稿が要件を正確に伝えていれば、要件を満たさない応募は減り、通過率は上がります。伝えていなければ、満たさない応募が多く、正しく見送った結果として通過率は低くなります。「率が高いか低いか」より、「要件充足率が高く、通過した人が面接で合っているか」で見てください。

書類を見る人によって、通す人が違います

基準が揃っていません。「必須の要件の充足を最初に見る」「深さは記述で見る」「面接でしか分からないことは書類で判断しない」を書面にし、見る人の間で共有してください。見送り理由を一行残す運用にすると、基準のずれが見えます。可能なら、書類は一人か二人で見て、面接で複数の目を入れます。

書類の一次の絞り込みを、代行に出せますか

基準が書面にあれば、出せます。「必須の要件の充足」「深さの記述の有無」「対象外の条件」を書面にし、担当者がそれに沿って絞り込み、社内が最終判断をする形です。基準が無いまま出すと、担当者の判断で通過率が決まり、社内が納得できません。基準を書面にすることが、出す前提です。