採用代行 / 採用の課題

紹介手数料が高くて採れない|手数料の額ではなく、「一人採るのに全体でいくらか」と「他の経路と並べたとき」で判断する

公開 2026-09-13

紹介会社から良い候補者が推薦された。ただ、手数料が年収に対して高く、経営者が「その額は出せない」と言う。紹介を使えず、媒体では応募が来ず、採用が止まる。手数料を払えば採れるのに、払えないから採れない。結論を先に書くと、紹介手数料は、額の大小だけで判断するものではなく、「一人採るのに、全体の費用と時間でいくらかかるか」と「他の経路と並べたときにどうか」で判断するものです。並べて見れば、紹介が高い場合も、紹介のほうが合う場合もあります。そのうえで、紹介を使わずに採る設計と、手数料を抑える交渉の余地を持ちます。費用の見方は媒体費と代行費を分けて見るべき理由に、費用の相場の考え方は採用代行の費用相場の見方にまとめています。

「手数料が高い」と感じる状態

手数料が高いと感じる状態は、いくつかに分かれます。

状態起きていること
手数料の額だけを見ている「年収の何割」という額だけを見て、他の経路の費用と時間を並べていない
他の経路の費用が見えていない媒体の費用、社内の人の時間、採れないことで遅れる事業の費用が、計算に入っていない
一人あたりの手数料と、年間の採用の数を混ぜている一人なら払えるが、十人分を想像して「無理」になっている
手数料の条件を、契約のまま受け入れている手数料の水準や返金の条件に、交渉の余地があることを知らない
経営者が「紹介は高い」という印象を持っている過去の経験や周囲の話から、額を見る前に「高い」と決めている
紹介でしか採れない職種なのに、紹介を避けている市場に少ない職種は、媒体では応募が来ず、紹介が現実的な経路になる

手数料が高いかどうかは、額だけでは決まりません。並べる相手が要ります。

手数料を全体の費用の中で見る

一人採るのにかかる費用を、経路ごとに全体で見ます。

紹介の場合。 手数料。社内の人の時間は、書類の判断と面接だけで、募集と絞り込みの手間は紹介会社が担う。採用までの期間は、推薦が来れば短い。

媒体の場合。 掲載の費用。社内の人の時間は、求人票の作成、応募の対応、絞り込み、日程調整、面接、と全工程。応募が来なければ、掲載の費用は無駄になる。採用までの期間は、応募次第。

スカウト型の場合。 媒体の費用に加え、スカウトを送る手間が社内か外部にかかる。返信率次第で期間が変わる。

社員の紹介の場合。 費用は謝礼があれば謝礼のみ。社内の人の時間は少ない。ただし、来るかどうかは運に近い。

採用代行の場合。 月額の費用。社内の人の時間は判断だけ。経路は組み合わせる。

比べるときに入れる項目は、「直接の費用」「社内の人の時間」「採用までの期間」「採れない場合の損失(事業の遅れ)」の四つです。数字は自社の記録から出します。他社の数字や一般の相場を、そのまま自社の計算に使いません。

四つを並べると、「紹介の手数料は高いが、社内の時間と期間を含めれば、媒体で三か月かけて採れないより安い」という判断になることがあります。逆に、「応募が来る職種なら、媒体のほうが全体で安い」という判断にもなります。

紹介以外の経路と比べる

紹介が高いかどうかは、他の経路で採れるかどうかで変わります。

その職種で、媒体に応募が来るか。 過去に媒体に出して、面接に進む応募が来ていれば、媒体で採れる職種です。来ていなければ、市場に少ない職種で、紹介やスカウトが現実的です。

スカウト型で、返信が来るか。 自社から送って、返信が来る職種なら、紹介より費用は抑えられることがあります。手間はかかります。

社員の紹介で、心当たりがあるか。 現場に「知り合いにいるか」を聞きます。いれば、費用は最も抑えられます。

急ぎか、待てるか。 急ぎなら、期間の短い経路(紹介)の価値が上がります。待てるなら、媒体やスカウトで時間をかける選択があります。

採れないことの損失は、どのくらいか。 事業が止まる、既存の人が疲弊して辞める、といった損失が大きければ、手数料を払って早く採るほうが、全体では安い場合があります。

比べた結果、紹介が合う職種と、合わない職種が分かれます。「紹介は高いから使わない」ではなく、「この職種は紹介、この職種は媒体」と分けます。

手数料を抑える交渉の余地

手数料の条件には、交渉の余地があることがあります。ただし、条件は各社の方針によるので、応じるかどうかは相手次第です。

交渉の項目内容
手数料の水準複数の求人をまとめて依頼する、継続して依頼する、といった条件で、水準の相談ができることがある
返金の条件入社後に早期に退職した場合の返金の期間と割合。契約書で確認し、条件の相談ができることがある
手数料の算定の基礎年収のどの範囲(基本給か、賞与を含むか、など)を基礎にするか。契約書で確認
支払いの時期入社時か、入社後一定期間の経過後か。契約書で確認
求人を絞る全求人を渡すのではなく、紹介が合う職種だけを渡し、他は自社で採る
成果報酬型の採用代行や、他の形の比較紹介以外の成果報酬の形と比べ、条件の合うものを選ぶ

交渉の前に、自社の年間の採用の見込み(何職種、何人)を整理します。「年間で複数人を継続して依頼する」という材料があれば、相談しやすくなります。

契約の条件は、契約書の文言で決まります。口頭の合意は残りません。条件の変更は書面で交わし、契約書の条項は専門家に確認します。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「手数料が高いので紹介を断り、媒体で半年募集して応募がゼロ、その間に既存の担当者が疲弊して一人辞めた」というものです。手数料を払っていれば、半年前に採れていました。半年の媒体の費用と、社内の人の時間と、辞めた人の穴を足すと、手数料より高くついています。手数料の額だけを見て、全体の費用を見ていませんでした。

見ていて差がつくのは、担当者が「経路ごとの全体の費用を並べる表」を出せるかどうかです。「紹介は高いですね」と同意するだけの担当者と、「この職種は過去の記録で媒体に応募が来ていません。紹介の手数料と、媒体で三か月かける費用と時間を並べると、こうなります」と、自社の記録で表を出す担当者がいます。後者なら、経営者は判断できます。

発注側にできるのは、「手数料が高い」で止めず、「他の経路と全体で並べるとどうか」を担当者に出してもらうことです。

経営者に承認してもらう伝え方

手数料を経営者に承認してもらう伝え方です。

額ではなく、全体の費用と期間で示す。 「手数料は〇〇です」ではなく、「紹介で採る場合と媒体で採る場合を、費用・社内の時間・期間・採れない損失で並べると、こうなります」。自社の記録の数字で。

その職種で、他の経路で採れなかった記録を示す。 「媒体に三か月出して、面接に進んだ応募はゼロでした」。記録があれば、「紹介しかない」が伝わります。

採れないことの事業への影響を、事業の言葉で示す。 「この職種が採れないと、〇〇の計画が□か月遅れます」。採用の数字ではなく、事業の数字で。

一人分の判断にする。 「年間十人分」ではなく、「この候補者一人を、この手数料で」。一人分なら、判断しやすくなります。

返金の条件を添える。 早期退職の場合の返金の条件があれば、経営者の懸念(払ったのにすぐ辞めたら)に答えられます。

紹介を使う職種と使わない職種を分けて示す。 「全部を紹介で」ではなく、「この職種だけ紹介、他は媒体と社員の紹介で」。全体の採用の費用が膨らまないことを示します。

経営者が「高い」と言うのは、比べる相手が無いからです。比べる相手を出せば、判断が変わることがあります。変わらない場合は、経営者の判断として、紹介を使わずに採る設計に移ります。

紹介を使わずに採る設計

経営者が紹介を承認しない、または紹介が合わない職種の場合、紹介を使わずに採る設計です。

求人票を、応募が来る形に直す。 「何を決める役割か」「誰と働くか」「この会社で働く理由」が書かれた求人票に。媒体で応募が来ない原因の多くは、求人票です。

スカウト型を、小さく試す。 自社から送る形なら、手数料は要りません。手間はかかるので、社内か外部の担当者が送る体制を作ります。

社員の紹介を、具体的に頼む。 「〇〇ができる人を探している」と、現場に頼みます。制度(謝礼)を作る場合は、社内の規程と法令上の扱いを専門家に確認します。

要件と条件を、市場に合わせて見直す。 応募が来ない、返信が来ない職種は、要件が厳しすぎるか、条件が市場と合っていないことがあります。見直しは提示年収が市場と合っていないに書いています。

選考を速くする。 応募から内定まで短ければ、少ない応募でも採れます。返信は当日、面接は一週間以内、内定まで三週間。

採用代行で、経路を組み合わせる。 月額の費用で、媒体・スカウト・社員の紹介を組み合わせて運用する形。紹介の手数料と比べて、どちらが全体で合うかは、職種と採用の数で変わります。

紹介を使わない設計は、時間がかかることがあります。急ぎの職種には向かないので、急ぎかどうかで判断します。

外注する場合の範囲

手数料の問題を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 経路ごとの全体の費用の表の作成(自社の記録から)、他の経路で採れるかの診断、紹介会社との条件の相談の準備、経営者向けの比較の資料、紹介を使わない設計(求人票、スカウト、社員の紹介、選考の速さ)、経路の運用。

社内に残す判断。 手数料の承認、契約の条件の決定、要件と条件の決定、紹介を使う職種と使わない職種の決定。

外注の効きどころ。 採用代行の担当者は、複数の会社で複数の経路を見ているので、「この職種は紹介が現実的」「この職種は媒体で採れる」の見立てを持っています。手数料を払うかどうかの判断の材料を、自社の記録と見立てで出せます。紹介を使わない設計に移る場合も、経路の運用を担えます。

外注しても動かない場合。 経営者が「紹介は高い」の印象を変えない、比較の資料を見ない、要件と条件を変えない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

手数料の問題は、比べる相手と、判断の材料の問題です。外注は、材料を出す速さを上げる手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、手数料の相談で最も多いのは、「紹介の手数料と、採用代行の月額を、同じ土俵で比べていない」ことです。紹介は一人採るたびに手数料、採用代行は月額で経路を組み合わせる。どちらが合うかは、年間に何人採るか、職種が紹介でしか採れないか、で変わります。

年に一人なら、紹介の手数料一回のほうが安いことがあります。年に何人も、複数の職種を採るなら、月額で経路を回すほうが全体で安いことがあります。混ぜて「どっちが高い」と言っても、答えは出ません。

発注側にできるのは、「年間に、何職種を、何人採るか」を先に出すことです。それが無いと、担当者も比べられません。

まとめ

よくある質問

手数料の水準は、交渉できますか

各社の方針によるので、応じるかどうかは相手次第ですが、相談する余地はあります。複数の求人をまとめて依頼する、継続して依頼する、といった材料があれば相談しやすくなります。水準のほか、返金の条件、算定の基礎、支払いの時期も、契約書で確認し、相談できる項目です。合意した条件は書面で交わし、契約書の条項は専門家に確認します。

紹介と採用代行は、どちらが安いですか

年間に何人、何職種を採るかで変わります。年に一人なら、紹介の手数料一回のほうが安いことがあります。年に何人も、複数の職種を採るなら、月額で経路を組み合わせる採用代行のほうが全体で安いことがあります。紹介でしか採れない職種があれば、採用代行と紹介を併用する形もあります。「年間に何職種を何人」を先に出して、両方の見積もりを並べます。

経営者が「紹介は使わない」と決めています

経営者の判断なので、紹介を使わずに採る設計に移ります。求人票を応募が来る形に直し、スカウト型を小さく試し、社員の紹介を具体的に頼み、要件と条件を市場に合わせ、選考を速くします。その職種で他の経路で採れなかった記録が溜まったら、記録と事業への影響を添えて、改めて経営者に判断を仰ぎます。記録が無いまま「やはり紹介が要る」と言っても、判断は変わりません。