採用代行 / 条件提示・オファー面談

条件提示・オファー面談の進め方|自社でやる場合の手順

公開 2026-09-19

条件提示を自社で進めようとして、「最終面接に通ったら額を決めて書面を送る」から始めると、提示の場で初めて候補者の希望を知って折り合わず、他社の状況を知らないまま出して「他社に決めました」と言われ、提示の後は承諾期限まで連絡が無く、辞退が来てから理由を探すことになります。条件提示で最初にやるべきは、額の決め方を考えることではなく、「提示の時点で、候補者の希望と他社の状況を知っている状態」を作ることです。それができていれば、額は同じでも辞退は減り、オファー面談は「あなたに来てほしい」を伝える場になります。結論を先に書くと、進め方は、募集ごとの年収の幅と内訳を決める→一次面接で幅を伝え、希望と現年収を聞く→最終面接の前に他社の状況と重視点を聞く→額の決裁の流れと期限を決める→オファー面談の出る人と話すことを決める→提示書の型を作る→提示から承諾までの連絡と期限の管理の型を作る→記録の表を作り、月に一度、承諾と辞退を見る、の八つの手順です。代行に出す場合の切り分けは条件提示・オファー面談は代行に出せるかに、交渉で折り合わないときの直し方は年収交渉で毎回折り合わないときに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。

手順の全体

手順やること誰が頻度
募集ごとの年収の幅と内訳を決める経営者と人事募集ごと
一次面接で幅を伝え、希望と現年収を聞く一次の面接官か人事候補者ごと
最終面接の前に他社の状況と重視点を聞く人事候補者ごと
額の決裁の流れと期限を決める経営者最初に一度
オファー面談の出る人と話すことを決める人事と責任者最初に一度
提示書の型を作る人事最初に一度
提示から承諾までの連絡と期限の管理の型を作る人事最初に一度
記録の表を作り、承諾と辞退を見る人事と経営者月に一度

手順の要点は、二と三が「提示の前」にあることです。多くの会社は四以降だけをやっていて、二と三が無いので、提示の場で初めて候補者のことを知ります。

手順一:募集ごとの年収の幅と内訳を決める

募集ごとに、下限と上限、基本給と賞与と手当の内訳、幅の中でどう決めるか(経験年数か、役割か、現年収か)を決めます。幅が無いと、候補者ごとに一から考えることになり、提示までの日数が延び、既存社員との整合も崩れます。

決めること
下限と上限募集の要件に対する会社の給与の仕組みで
内訳基本給、賞与の有無と考え方、手当
幅の中の決め方役割の大きさか、経験の中身か、現年収を基準にするか
候補者に伝えてよい範囲幅を伝えるか、下限だけか、内訳まで伝えるか

止まりやすいのは、「良い人なら上限を超えてもよい」と幅が無くなるときです。例外を認めるなら、誰が判断するかを決めておきます。提示年収が市場と合わないときの見せ方は提示年収が市場と合っていないときに書いています。

手順二:一次面接で幅を伝え、希望と現年収を聞く

一次面接の終わりに、募集の年収の幅を伝え、候補者の希望と現年収を聞きます。数分で済みます。大きくずれていれば、その場か翌日までに「この幅の中で進めてよいか」を確認します。ずれたまま最終まで進むと、提示の場で折り合いません。

止まりやすいのは、「額の話は早すぎると印象が悪い」と避けるときです。幅を伝えるのは提示ではなく、候補者にとっても「この会社は隠さない」という受け止めになります。避けるほうが、後半での辞退につながります。

手順三:最終面接の前に他社の状況と重視点を聞く

最終面接の日程を決める連絡の中で、他社の選考の進み具合、転職で重視していること、懸念していること、入社できる時期を聞きます。尋問にならないよう、「他社さんの状況もあると思うので、進め方を合わせたい」と目的を伝えて聞きます。

聞くこと何に使うか
他社の選考の進み具合提示の時期を合わせる。他社の提示を待たれる前に出す
重視していること額以外で会社が伝えられることを面談で話す
懸念していること面談で先に答える
入社できる時期入社日の提示に使う

止まりやすいのは、候補者が「他社は受けていません」と言うのを鵜呑みにするときです。転職活動で一社だけということは少なく、言わないだけのこともあります。「もし他社の状況が変わったら教えてください」と窓口を開けておきます。

エラベルの見解

これをやる前に、先に手順一の幅を決めておかないと、手順二の目線合わせはできません。相談で多いのは、「一次で年収の話をするようにしたが、面接官が答えられない」というご相談です。聞くと、幅が募集ごとに決まっておらず、面接官は「会社に確認します」としか言えず、候補者は不信を持っていました。幅を募集ごとに決め、面接官に「伝えてよい範囲」を渡してからは、一次で目線が合い、最終まで進んだ候補者の提示での辞退が減りました。目線合わせは面接官の話し方ではなく、会社が幅を決めているかどうかで決まります。エラベルで条件提示の前後を担当する人には、一次での目線合わせを始める前に、募集ごとの幅と伝えてよい範囲を会社と決めてもらっています。

手順四:額の決裁の流れと期限を決める

最終面接の後、誰が案を出し、誰が決め、何日以内に提示するかを決めます。「最終面接の翌日までに人事が案を出し、その翌日までに決裁者が決め、その翌日にオファー面談」のように、日数で決めます。決裁が遅いと、段取りを速くしても提示までの日数は縮みません。

止まりやすいのは、決裁者が出張や会議で捕まらず、案が机で止まるときです。決裁者が決められない日の代わりの人を決めるか、幅の中なら人事の責任者が決められる形にします。

手順五:オファー面談の出る人と話すことを決める

オファー面談に出る人(配属先の上司と人事、場合によって経営者)と、話すことを決めます。額と条件を伝えるだけなら書面で済みますが、面談は「あなたに来てほしい」を伝える場です。

話すこと誰が
額と条件と内訳人事
なぜあなたに来てほしいか。何を期待しているか上司
入社後に最初にやること、チームの人上司
候補者の懸念(手順三で聞いたもの)への答え上司と人事
承諾の期限と、期限までの相談の窓口人事

止まりやすいのは、人事だけが出て額を読み上げる面談になるときです。候補者は「会社の人が出てこない」と受け止めます。上司が出られないなら日程をずらしてでも出ます。

手順六:提示書の型を作る

提示書のひな型を用意し、記載事項を確認します。法令で書面に明示すべき事項(給与、勤務地、勤務時間、契約期間など)があるので、専門家に確認したうえで型を作ります。型があれば、額が決まってから書面になるまでが速くなります。

止まりやすいのは、候補者ごとに書面を一から作り、記載漏れが出るときです。型を作り、変わる部分(額、役職、入社日、勤務地)だけを埋める形にします。個別の記載事項は専門家にご確認ください。

手順七:提示から承諾までの連絡と期限の管理の型を作る

提示の後、承諾期限までの間に、会社の人からの連絡を一つ入れます。「面談の後、気になることは出てきましたか」と上司か人事から声をかける。期限の前日にも一度連絡します。候補者から相談があれば当日中に受け、額の相談は決裁者に取り次いで翌日までに返します。

場面誰がいつ
提示の翌日か翌々日上司か人事気になることの確認
期限の前日人事期限の確認と、相談があれば受ける
額の相談があった人事→決裁者翌日までに回答
承諾か辞退の連絡人事当日中に受け、辞退なら理由を聞く

止まりやすいのは、提示の後に「考えてください」と放置するときです。候補者は迷いを言葉にする相手がおらず、他社の連絡のほうが多ければ他社に傾きます。

手順八:記録の表を作り、月に一度、承諾と辞退を見る

候補者ごとに、一次で聞いた希望と現年収、最終前に聞いた他社状況と重視点、提示額と内訳、最終面接から提示までの日数、面談に出た人、提示後の連絡、結果(承諾か辞退か)、辞退なら理由を一行で残します。月に一度、辞退の理由と、提示までの日数と、提示額と希望のずれを見ます。

止まりやすいのは、辞退の理由が「他社に決めた」で終わるときです。「他社の何が決め手だったか」まで聞きます。理由の集め方は内定辞退の理由を正しく集める方法に書いています。

外の人に頼む場合の境目

八つの手順のうち、一の幅の決定、四の決裁、五で語ること、六の内容の決定、七の額の相談への回答は会社が持ちます。二の目線合わせ、三の状況把握、五の設計と日程、六の書面の事務、七の連絡と期限の管理、八の表と見方の整理は、外の人に出せます。切り分けの詳しい話は条件提示・オファー面談は代行に出せるかに書いています。

外に出す判断の目安は、「幅と決裁の期限は決まっているが、目線合わせと状況把握と提示後の連絡が回っていない」ときです。幅が無いまま外に出しても、目線合わせはできません。

エラベルの見解

担当する側から見ると、条件提示で会社ごとに差がつくのは、手順三の「最終面接の前に他社の状況を聞いているか」です。聞いている会社では、提示の時期を他社に合わせられ、候補者が重視することを面談で話せ、懸念に先に答えられます。聞いていない会社では、額が同じでも「他社に決めました」で終わり、理由は分かりません。担当者が候補者に自然に状況を聞き、会社に整理して渡すだけで、額を変えずに承諾が増える会社は少なくありません。エラベルでは、条件提示の前後を担当する人に、最初の一週間で幅と伝えてよい範囲を会社と決め、一次の目線合わせと最終前の状況把握の聞き方を作り、提示後の連絡の型を上司と合意してもらうところまでをお願いしています。額と条件の決定、提示、交渉への回答は会社の判断であり、提示書の記載事項と候補者情報の扱いは専門家にご確認いただくようお伝えしています。

まとめ

よくある質問

一次面接で年収の話をすると、候補者に悪い印象を与えませんか

幅を伝えて希望を聞くのは、提示ではなく目線合わせです。候補者にとっても、最終まで進んでから折り合わないより、早く分かるほうが助かります。「この募集の年収はこの幅で考えています。ご希望と現在の年収を伺ってもよいですか」と目的を添えて聞けば、悪い印象にはなりにくい傾向があります。避けるほうが、提示の場での辞退につながります。

候補者が希望額を上限より高く言ってきました

一次の段階で分かれば、「この幅の中で進めてよいか」を確認し、候補者が幅を受け入れるなら進み、受け入れないなら早めに見送ります。提示の場で分かった場合は、幅の例外を誰が判断するかを手順一で決めているので、その人が判断します。例外を認めるなら、既存社員との整合と、なぜこの候補者は例外かを説明できる状態にします。折り合わないときの直し方は年収交渉で毎回折り合わないときに書いています。

提示から承諾までの期限はどのくらいにすればよいですか

一つの日数で決まるものではなく、候補者の他社の状況と、現職の退職交渉の見込みで変わります。手順三で他社の状況を聞いていれば、他社の提示の時期に合わせて期限を置けます。短すぎると「急かされた」と受け止められ、長すぎると他社に傾きます。期限を置いたうえで、期限の前に会社の人からの連絡を入れることのほうが、日数そのものより効きます。