採用代行 / 採用計画の設計

採用計画の設計の進め方|自社でやる場合の手順

公開 2026-09-17

採用計画を自社で作ろうとして、「今年は営業五名、エンジニア三名」の一行を書いて終わると、いつ募集を出し、いつ面接をし、いつまでに内定を出すかが決まらず、気づけば下半期で、年末に「結局三名だった」で終わります。去年もそうで、今年も同じ一行から始めている会社は多い。採用計画で最初にやるべきは「何人」を決めることではなく、「去年の数字を経路ごとに拾う」ことです。去年の数字があれば、「五名」に根拠が付き、月ごとの工程に落とせます。結論を先に書くと、進め方は、来期に何をするかから要員を出す→退職と異動を引いて採用で埋める数と時期を決める→去年の数字を経路ごとに拾う→入社一名に要る面接・書類・応募の件数を経路ごとに逆算する→月ごとに工程を暦に置く→月末に見る表を作る→ずれたら経路・要件・時期のどれを直すか決める、の七つの手順で、順番を守ると、計画が「頑張る」から「この経路で何件」に変わります。要員計画とのつなぎ方は要員計画と採用計画がつながっていないときに、代行に出す場合の切り分けは採用計画の設計は代行に出せるかに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。

手順の全体

手順やること誰が使うもの
来期に何をするかから要員を出す経営者事業計画の一文
退職と異動を引いて、採用で埋める数と時期を決める経営者と人事要員の表
去年の数字を経路ごとに拾う人事媒体の管理画面、面接の日程、紹介会社の記録
入社一名に要る面接・書類・応募の件数を経路ごとに逆算する人事経路ごとの比率の表
月ごとに工程を暦に置く人事暦、面接官の予定、繁忙期
月末に見る表を作る人事計画と実績の表
ずれたら経路・要件・時期のどれを直すか決める経営者と人事月末の表

手順の要点は、一と二と七で経営者が「決める」以外は、人事が数字を拾って表にする作業であることです。専任の人事がいない会社では、経営者が三以降も自分でやることになりますが、手順は同じです。

手順一:来期に何をするかから要員を出す

「営業が欲しい」ではなく、「来期に新しい拠点を出すので、拠点に営業が三名要る」「既存の顧客が増えて、いまの四名では対応が回らないので、二名要る」のように、来期にすることと、そのために要る人数を一文にします。

この一文があると、要員は「何のために」が付いた数になり、後の手順で「本当に三名要るか」「時期はいつか」を判断できます。一文が無いと、「去年五名だったから今年も五名」になります。

止まりやすいのは、来期の事業計画が無いときです。この場合は、「来期に変わることは何か」を経営者に一つだけ聞きます。「拠点を出す」「新しいサービスを始める」「大きな顧客が増える」。一つあれば、そこから要員が出ます。何も変わらないなら、要員は「退職の補充」だけです。

手順二:退職と異動を引いて、採用で埋める数と時期を決める

要員から、退職の見込みと社内の異動を引きます。

職種来期の要員いまの人数退職の見込み異動で埋める採用で埋める時期
営業七名四名一名四名拠点の開設に合わせて上期に二名、下期に二名
エンジニア五名三名二名新サービスの開発に合わせて上期
事務二名二名一名一名退職の時期に合わせて

「採用で埋める」の数と時期が、採用計画の元になります。

止まりやすいのは、退職の見込みが分からないときです。人事が「辞めそうな人」を把握していない。この場合は、去年と一昨年の退職の人数から「年に何名は辞める」と仮に置きます。当たらなくてよく、後で直します。

手順三:去年の数字を経路ごとに拾う

去年の採用で、経路ごとに、応募が何件で、書類で何件残り、面接で何件進み、内定が何件で、入社が何件だったかを拾います。

経路応募書類で残った面接内定入社
求人媒体A六十十二
人材紹介十五
リファラル
スカウト返信十

数字は例で、自社の記録から拾います。媒体の管理画面には応募の件数が残っていることが多く、面接は日程表やメールから、内定と入社は人事の記録から拾えます。

止まりやすいのは、記録が無いときです。この場合は、拾える範囲だけ拾い、拾えないところは「不明」と書きます。「不明」が多いなら、今年は記録を取ることを計画に入れます。まったく無い場合は、経路の一般的な特性から仮の比率を置き、数か月で自社の数字に置き換えます。

エラベルの見解

相談で多いのは、「採用計画を毎年作っているが、毎年達成できない」というご相談です。計画を見ると、「営業五名、エンジニア三名」の一行と、「媒体二つと紹介会社三社を使う」の一行で、去年の応募と面接の件数がどこにも無く、「五名」に根拠がありませんでした。手順三で去年の数字を拾ってもらったところ、媒体からの入社は年に一名、紹介からは二名で、去年と同じ経路では三名が上限と分かり、「五名なら経路を足すか時期を分ける」と初めて判断できました。

見ていて差がつくのは、「去年の数字を拾っているか」です。計画を達成できない会社の多くは、計画の立て方が悪いのではなく、去年の結果を数字で持っていないため、今年の数に根拠が無いだけです。エラベルでは、自社で計画を作ろうとしている会社に、まず手順三だけを試してもらっています。

手順四:入社一名に要る件数を経路ごとに逆算する

手順三の数字から、経路ごとに「入社一名に、面接が何件、書類が何件、応募が何件要るか」を出します。

経路入社一名に要る面接入社一名に要る書類入社一名に要る応募
求人媒体A八件十二件六十件
人材紹介三件五件八件(推薦)
リファラル三件三件三件(紹介)

これで、「営業を上期に二名、媒体Aで採るなら、応募が百二十件、面接が十六件要る」のように、計画が件数になります。

止まりやすいのは、「去年の数字が少なすぎて比率にならない」ときです。入社が一名しかないと、比率は偶然に左右されます。この場合は、二年分を合わせるか、経路の一般的な特性で補います。比率は目安で、月ごとに直していきます。

手順五:月ごとに工程を暦に置く

逆算した件数を、暦に置きます。「四月入社なら、内定は二月末、面接は一月から二月、書類は一月、募集開始は十二月」のように、入社から逆に置きます。

営業(媒体A)営業(紹介)エンジニア(紹介)面接官の予定
十二月募集開始紹介会社に依頼年末で面接枠が少ない
一月応募六十件、書類十二件推薦四件紹介会社に依頼面接枠を週に三つ確保
二月面接八件、内定一件面接三件、内定一件推薦四件繁忙期で現場の面接官が出にくい
三月入社準備入社準備面接三件、内定一件
四月入社一名入社一名入社準備

面接官の予定と繁忙期を入れると、「二月は現場の面接官が出にくいので、面接を一月に寄せる」のように、工程が現実に合います。

止まりやすいのは、複数の職種の面接が同じ月に重なるときです。この場合は、時期をずらすか、面接官を分けるか、書類の段階で絞る率を上げるかを決めます。

手順六:月末に見る表を作る

計画と実績を、月末に並べて見る表を作ります。

経路計画(応募・書類・面接・内定)実績ずれ
一月媒体A六十・十二・〇・〇三十・五・〇・〇応募が半分
一月紹介四・四・〇・〇五・四・〇・〇順調

表の要点は、「入社」だけを見ないことです。入社は最後の数字で、ずれが分かるのが遅すぎます。応募と書類と面接の件数を月末に見ると、「応募が半分」の時点でずれが分かり、手を打てます。

手順七:ずれたら経路・要件・時期のどれを直すか決める

ずれが分かったら、三つの選択肢から決めます。

一つ目は、経路を足すことです。応募が計画の半分なら、媒体を足す、スカウトを始める、紹介会社を増やす。費用が増えます。

二つ目は、要件を見直すことです。応募は来ているが書類で九割落としているなら、要件が高すぎるか、文面が合わない人を呼んでいます。要件の見直しは採用要件の定義の進め方に書いています。

三つ目は、時期をずらすことです。上期二名を上期一名、下期三名に変える。事業の側で受け入れられるかを経営者が判断します。

止まりやすいのは、「まだ様子を見よう」で一か月延びるときです。月末の表でずれが見えたら、翌月の初めに決めます。二か月続けて様子を見ると、時期をずらす以外の選択肢が無くなります。

外の人に頼む場合の境目

七つの手順を自社でやるとき、止まりやすいのは手順三と四と五です。去年の数字を拾う時間が無い、比率の出し方が分からない、暦に置く作業が煩雑。この場合は、手順三から六だけを外の人に頼む選択があります。外の人は数字を拾って逆算して暦に置き、「決める」を経営者に戻せます。

手順一と二と七の「決める」は、外に出せません。「来期に何をするか」「何人・いつまでに」「ずれたときにどれを直すか」は、会社にしかできない判断です。切り分けの詳細は採用計画の設計は代行に出せるかに、年間計画への代行の組み込み方は年間の採用計画に代行をどう組み込むかに書いています。

エラベルの見解

担当する側から見ると、採用計画で最も効くのは、手順六の「月末に応募と書類と面接の件数を見る」ことです。入社だけを見ている会社は、ずれが分かるのが年末で、手の打ちようがありません。応募と書類と面接を月末に見ると、一月の時点で「このままだと足りない」が分かり、経路を足すか要件を見直すか時期をずらすかを二月に決められます。

エラベルでは、自社で計画を作りたい会社には、手順三の「去年の数字を拾う」と手順六の「月末に見る表」だけを先に試してもらい、そこで止まったときに担当者が入る形をお勧めしています。人材紹介や派遣の契約と費用の扱いは、専門家にご確認いただくようお伝えしています。

まとめ

よくある質問

専任の人事がいないので、経営者が全部やることになります

手順は同じで、経営者が三以降も自分でやります。ただし、手順三の「去年の数字を拾う」と手順五の「暦に置く」は時間を取られる作業で、経営者が本業の合間にやると止まります。この二つだけを外の人に頼むか、社内の総務や経理に「媒体の管理画面から応募の件数を月ごとに拾う」作業だけを頼む選択があります。手順一と二と七の「決める」は経営者にしかできませんが、それ以外は誰がやっても質は変わりません。

去年の数字が少なすぎて、比率が信用できません

入社が一名しかないと、比率は偶然に左右されます。二年分を合わせるか、経路の一般的な特性で補って、目安として置きます。目安は当たらなくてよく、今年の月末の表で実績を見ながら、数か月で自社の比率に置き換えます。「信用できないから計画を作らない」より、「目安で作って月ごとに直す」ほうが、年末の結果は良くなります。

計画どおりに進まないとき、何から直すべきですか

月末の表で、どの段階でずれているかを見ます。応募が少ないなら経路か文面、応募はあるが書類で落としすぎているなら要件か文面、面接には進むが内定に至らないなら面接か条件、内定を辞退されるなら連絡の速さか条件です。ずれの段階で直すものが決まるので、「全部見直す」ではなく、ずれている段階だけを直します。直しても足りない分は、時期をずらすかどうかを経営者が判断します。