採用代行 / 採用サイトの運用
採用サイトの運用は代行に出せるか|任せる範囲の切り分け方
「採用サイトを作ったが、その後の更新が止まっていて、運用を代行に出したい」という相談は、サイトを作ってから一年前後たった会社に多くあります。出せます。ただ、採用サイトが止まる原因は「更新する人がいない」だけでなく、「何を載せるか」「募集が終わったら誰が消すか」「社員の写真や名前をどこまで出すか」が決まっていないことにあり、そこは外に出しても決まりません。運用を外に出すなら、決めることと回すことを分けて、決めることは会社が先に済ませます。結論を先に書くと、採用サイトの運用は、「載せる情報と載せない情報の決定」「社員の顔出しと名前の方針」「公開の承認」「サイトの作り直しや費用の判断」「個人情報の方針」は会社が持ち、「現状の棚卸しと直す順番の案・求人ページの作成と更新・社員記事の取材と原稿化と追加・古い情報と募集終了の差し替え・応募フォームと導線の動作確認・閲覧と応募の記録と報告」は代行に出せます。候補者がスカウトの後に検索した先としての採用サイトの整え方は採用サイトへの導線に、記事の作り方は採用広報・オウンドメディアは代行に出せるかに書いていますので、ここでは「採用サイトの運用を工程に分けて出す」観点に絞ります。サイトの制作ツールや費用の話はしません。
「決める」と「回す」を分ける
採用サイトの運用を工程に分けると、次のようになります。
一つ目は、何を載せ、何を載せないかを決めることです。事業の中身、募集中の求人、選考の流れ、社員の話、働く環境、よくある質問。載せない情報(顧客名、未公開の事業、社内の数字)も決める。会社が決めます。案は外の人が出せます。
二つ目は、社員の顔出しと名前と写真の方針を決めることです。本名か名字か仮名か、顔写真を出すか、社員本人の同意の取り方、後から下げたいときの手順。会社が決めます。
三つ目は、現状を棚卸しし、直す順番を決めることです。古い求人が残っていないか、募集終了が消えているか、社員の話が古くないか、応募フォームが動くか、スマートフォンで読めるか。棚卸しと順番の案は外の人ができ、順番の決定は会社です。
四つ目は、求人ページの作成と更新です。募集が始まったら作り、内容が変わったら直し、終わったら消す。外の人ができます。求人の内容は会社が決めます。
五つ目は、社員記事の取材と原稿化と追加です。外の人ができます。語るのは社員で、承認は会社です。
六つ目は、応募フォームと導線の動作確認です。フォームが送れるか、送った後に自動返信が届くか、届いた応募が誰に通知されるか、スカウトや媒体からのリンクが正しい先に着くか。外の人ができます。
七つ目は、閲覧と応募の記録と報告です。どのページが見られ、どこから来て、応募フォームまで進んだか。外の人ができます。
八つ目は、サイトの作り直し、費用、個人情報の方針の判断です。会社が決めます。
八つのうち、一と二の決定、三の順番の決定、五の承認、八は会社が持ち、それ以外は外に出せます。
代行に出せる工程と出せない工程
| 工程 | 会社が持つ | 代行に出せる |
|---|---|---|
| 載せる情報と載せない情報 | 決める | 候補者が知りたいことから見た、載せるべきことの案 |
| 社員の顔出し・名前・写真 | 方針を決める。同意を取る | 同意の記録の管理 |
| 現状の棚卸しと直す順番 | 順番を決める | 棚卸しの一覧、直す順番の案 |
| 求人ページの作成と更新 | 求人の内容を決める | 作成、更新、募集終了の差し替え |
| 社員記事の追加 | 社員が語る。承認する | 取材、原稿化、掲載 |
| 応募フォームと導線の確認 | 応募の通知先を決める | 動作確認、リンク先の確認、不具合の報告 |
| 閲覧と応募の記録 | 報告を受けて判断する | 記録、月に一度の報告 |
| 作り直し・費用・個人情報の方針 | 決める | 作り直しの判断の材料 |
表の要点は、「求人ページの作成と更新」に「募集終了の差し替え」が入っていることです。採用サイトで最も多い不具合は、終わった募集が残っていることです。候補者が応募して「もう終わっています」と返されると、会社の印象が下がります。代行が募集の開始と終了を追って差し替える形にすると、これが無くなります。
もう一つの要点は、「応募フォームと導線の確認」です。フォームが壊れていて応募が届いていなかった、自動返信が届かず候補者が不安になっていた、媒体からのリンクが古いページに着いていた、という不具合は、誰も試さないと見つかりません。代行が月に一度、候補者の立場で応募まで通してみる形にすると、見つかります。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「採用サイトは作れば終わりで、あとはたまに記事を足せばよい」というものです。実際には、採用サイトは候補者がスカウトや媒体の後に「検索した先」で、そこに古い募集や壊れたフォームがあると、候補者はそこで止まります。ある会社では、採用サイトに半年前に終わった募集が三つ残っていて、応募フォームの自動返信が止まっていて、候補者から「応募したが返事が無い」と媒体経由で問い合わせが来ていました。担当者が入って、まず棚卸しで古い募集を消し、フォームを候補者の立場で通して自動返信を直し、募集の開始と終了を追う型を作り、月に一度フォームを通す確認を入れたところ、「返事が無い」は消え、スカウトの返信率が上がりました。記事を足す前に、いまあるものが正しく動いているかを確かめることが先です。
代行に出したほうがよい状況
次の状況では、採用サイトの運用を代行に出したほうが進みます。
一つ目は、終わった募集が残っている、古い社員の話が載っているなど、更新が止まっているときです。棚卸しと差し替えを外に出します。
二つ目は、募集が頻繁に始まり終わり、求人ページの作成と差し替えに人事の時間が取られているときです。作成と更新を外に出します。
三つ目は、応募フォームや導線の不具合に、候補者から言われて気づいたことがあるときです。動作確認を外に出し、月に一度通す形にします。
四つ目は、社員の話を足したいが、取材と原稿化の時間が取れないときです。取材と原稿化を外に出します。
五つ目は、サイトが見られているか、どこから来て応募まで進んでいるか、分からないときです。記録と報告を外に出します。
代行に出さないほうがよい状況
逆に、次の状況では、採用サイトの運用を外に出しても進みません。
一つ目は、載せる情報と載せない情報が決まっておらず、更新のたびに承認が長引くときです。先に伝えない一覧を作り、承認の期限を決めます。
二つ目は、社員の顔出しと名前の方針が無いときです。公開してから「やはり下げたい」となると、記事を下げることになります。先に方針と同意の取り方を決めます。個人情報に関わる部分は専門家にご確認ください。
三つ目は、サイトの仕組みが古く、更新そのものに専門の作業が要るときです。運用を外に出す前に、作り直すかどうかを会社が判断します。作り直しの材料(更新にかかる手間、スマートフォンでの表示、フォームの状態)は代行が出せます。
四つ目は、応募者の個人情報がフォームからどこに届き、誰が見られるかの方針が無いときです。代行がフォームの通知先や応募データを扱うことになるので、扱いの決まりと契約が先です。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。
担当者の選び方
採用サイトの運用を任せる担当者は、次の点で選びます。
一つ目は、採用サイトを候補者の立場で見られるかです。「きれいか」ではなく、「募集は最新か」「応募まで迷わず進めるか」「スマートフォンで読めるか」を確かめる人。
二つ目は、募集の開始と終了を追って、求人ページを差し替える型を持っているかです。
三つ目は、サイトの更新作業を自分でできるか、できない場合に制作会社とやり取りできるかです。更新の仕組み(自社で編集できるか、制作会社に依頼するか)に合わせて選びます。
四つ目は、社員から場面を聞き出す取材と、社員の言葉を残す原稿化ができるかです。
五つ目は、閲覧と応募の記録を「どこから来て、どのページを見て、応募まで進んだか」で出し、会社の判断に使える形で報告できるかです。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に書いています。
出す前に用意しておくもの
採用サイトの運用を代行に出す前に、次を用意しておくと、最初の一週間が速くなります。
一つ目は、載せる情報と載せない情報の決定です。伝えない一覧(顧客名、未公開の事業、社内の数字、社員の個人的な事情)を先に作ります。
二つ目は、社員の顔出し・名前・写真の方針と、同意の取り方です。個人情報に関わる部分は専門家にご確認ください。
三つ目は、サイトの更新の仕組みと、権限です。自社で編集できる仕組みなら、代行に渡す編集の権限の範囲。制作会社に依頼する仕組みなら、代行が制作会社に直接依頼してよいか。
四つ目は、応募フォームの通知先と、応募者の個人情報の扱いの決まりです。届いた応募を誰が見て、どこに保管するか。代行が見る範囲。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。
五つ目は、募集の開始と終了を代行に伝える流れです。「募集が決まったら人事から担当者に、終わったら当日中に」のように決めます。
六つ目は、承認する人と期限です。「更新の案を受けて三営業日以内」のように決めます。
エラベルの見解
担当する側から見ると、採用サイトの運用で最も効くのは、「募集の開始と終了を追う型を作る」ことと、「月に一度、候補者の立場で応募まで通す」ことの二つです。前者で古い募集が残らず、後者でフォームと導線の不具合が候補者より先に見つかります。記事を足すのはその後です。エラベルでは、採用サイトの運用を任せる案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間で載せない一覧と顔出しの方針を会社と確認し、棚卸しをして直す順番の案を出し、募集の開始と終了を伝える流れを決め、フォームを一度通して不具合を報告するところまでをお願いしています。載せる情報の決定、社員の方針、公開の承認、作り直しの判断、個人情報の方針は会社の役割であり、担当者はそれを求める立場にとどめています。
まとめ
- 採用サイトの運用は「決める」と「回す」に分かれる。載せる情報・社員の方針・公開の承認・作り直しと費用・個人情報の方針は会社。棚卸しと順番の案・求人ページの作成と差し替え・社員記事の追加・フォームと導線の確認・閲覧と応募の記録は代行に出せる
- 最も多い不具合は終わった募集が残っていること。募集の開始と終了を追う型が要る
- 月に一度、候補者の立場で応募まで通す。フォームの不具合は誰も試さないと見つからない
- 出したほうがよいのは更新が止まっている・求人ページの差し替えに時間が取られる・不具合に候補者から気づかされた・社員の話を足したい・見られているか分からないとき
- 出さないほうがよいのは載せる情報が決まっていない・顔出しの方針が無い・仕組みが古くて作り直しが先・個人情報の方針が無いとき
- 担当者は候補者の立場で見られる・募集の差し替えの型・更新の仕組みに合う・場面を聞く取材・判断に使える記録で選ぶ
よくある質問
採用サイトの作り直しも代行に頼めますか
作り直すかどうかの判断と費用の承認は会社が持ち、代行はその材料(いまの仕組みで更新にかかる手間、スマートフォンでの表示、フォームの状態、候補者が迷う箇所)を出せます。作り直すと決まった後の、載せる内容の整理、制作会社への要件の伝達、公開前の確認は代行が持てます。制作そのものは制作会社の仕事で、代行が制作会社を選ぶかどうかは会社が決めます。
求人ページは媒体に出しているので、採用サイトには要りませんか
候補者は媒体やスカウトの後に会社名で検索し、採用サイトを見ます。そこに募集が無いと、「本当に募集しているのか」と迷います。媒体と同じ内容でよいので、採用サイトにも募集中の求人を載せ、媒体の求人から採用サイトへ、採用サイトから応募へ、の導線を通しておきます。導線の整え方は採用サイトへの導線に書いています。
社員の記事を出したら、その社員が退職しました
退職した社員の記事は、そのまま残すか、下げるかを会社が決めます。残す場合は「取材当時」と分かる日付を入れます。下げる場合に備えて、公開時に「退職したら下げるか、残すか」を本人と合意しておくと、迷いません。方針は手順として先に決め、同意の記録に含めます。個人情報に関わる部分は専門家にご確認ください。