スカウト代行 / スカウト運用
送ってはいけない候補者の管理|「連絡不要と言った人」「取引先・競合の在籍者」「自社の元社員・在籍者」「社内の判断で除く人」の四つを一覧にし、送る前に照合する
スカウトを送ってはいけない相手がいる。「今後の連絡は不要」と言われた人。取引先の在籍者。競合の在籍者で、送ると先方との関係に響く人。自社を辞めた人。いま自社にいる人。分かっているつもりだが、一覧にはなっておらず、人事の記憶と、責任者の「あの会社はまずい」で運用している。担当者が替わると、記憶は引き継がれず、送ってしまってから気づく。結論を先に書くと、送ってはいけない相手は、「連絡不要と言った人」「取引先・競合の在籍者」「自社の元社員・在籍者」「社内の判断で除く人」の四つの区分で一覧にし、送る前に照合します。一覧は記憶の代わりであり、担当者が替わっても残る形で自社が持ちます。区分ごとに「誰が決めるか」「いつ見直すか」が違うので、区分を分けて管理します。照合の手順は重複送信を防ぐ仕組みに、元社員・在籍者に当たったときの個別の対応は自社の元社員・在籍者に当たったときにまとめています。
管理が無い構造
送ってはいけない相手に送ってしまうのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 一覧が無い | 人事の記憶と責任者の口頭。担当者が替わると消える |
| 区分が混ざっている | 「連絡不要の人」と「取引先の人」を同じ扱いにし、どちらも曖昧 |
| 会社名でしか持っていない | 「A社の人には送らない」はあるが、A社の人が転職して別の会社にいると気づけない。逆に、A社に転職してきた人に送る |
| 連絡不要の返信を記録していない | 返信の内容を「断り」で一括りにし、「今後の連絡は不要」の意思の表明が残らない |
| 代行に伝えていない | 社内では分かっている取引先や競合を、担当者に渡していない |
| 送る前に見ていない | 一覧はあるが、送る前に照合する手順が無い |
| 見直しが無い | 取引先は変わり、競合も変わり、元社員は時間が経つ。一覧が古いまま |
構造の大半は、「一覧が無い」か「あっても送る前に見ない」ことです。一覧を作り、照合を手順に入れれば、止まります。
除く相手の四つの区分
送ってはいけない相手を、四つに分けます。区分ごとに、決める人と扱いが違います。
| 区分 | 相手 | 決める人 | 扱い |
|---|---|---|---|
| 連絡不要と言った人 | 「今後の連絡は不要」「興味が無い」と意思を表明した候補者 | 候補者本人 | 期間を決めて送らない。原則は解除しない |
| 取引先・競合の在籍者 | 取引先の在籍者、競合の在籍者で送ると関係に響く人 | 経営や営業の責任者 | 会社の単位で決め、在籍の確認で個人に落とす。見直しは定期的に |
| 自社の元社員・在籍者 | いま自社にいる人、辞めた人 | 人事 | 在籍者には送らない。元社員は「戻ってきてほしい人」と「送らない人」を分ける |
| 社内の判断で除く人 | 過去の選考で問題があった人、社内の事情で避ける人 | 人事と責任者 | 理由を記録し、期間を決める。個人の属性を理由にしない |
区分の要点は、「決める人が違う」ことです。連絡不要は候補者本人の意思で、社内が解除するものではありません。取引先・競合は経営の判断で、人事だけでは決められません。元社員・在籍者は人事の管轄です。社内の判断で除く人は、理由を記録し、属性(年齢、性別、国籍など)を理由にしないことが要ります。この区分の扱いは法令に関わるので、個別の判断は専門家に確認してください。
一覧の持ち方
四つの区分の一覧を、どう持つかです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一つの一覧 | 四つの区分を、一つの一覧に「区分」の列を付けて持つ。区分ごとに別の表にすると、照合が四回になる |
| 識別 | 候補者の識別は、媒体のID、表示名、現職を併記。会社の単位で除く場合は、会社名と「在籍者全員」の印 |
| 理由 | 区分と、短い理由。「連絡不要の返信(〇月〇日)」「取引先(営業部の判断)」など |
| 決めた人と日付 | 誰が、いつ、一覧に入れたか |
| 期間 | いつまで送らないか。連絡不要は長く、社内の判断は期間を決めて見直す |
| 解除の条件 | どうなったら外すか。「取引が終わった」「本人から連絡があった」など |
| 保管の場所 | 自社の管理下。送信ログの表と同じ場所に置き、照合しやすく |
| 閲覧の権限 | 採用に関わる人だけ。理由の列は、特に権限を絞る |
持ち方の要点は、「会社の単位」と「個人の単位」を両方持つことです。取引先・競合は会社の単位で持ち、送る前に候補者の現職と突き合わせます。連絡不要と元社員は個人の単位で持ちます。会社の単位だけだと、転職して別の会社にいる元・取引先の人は除かれません(除く必要があるかは、区分の理由によります)。
送る前の照合
一覧を、送る前にどう使うかです。
| 順 | 照合 | 見る列 |
|---|---|---|
| 一 | 候補者の識別で、一覧の個人の単位と突き合わせる | 連絡不要、元社員・在籍者、社内の判断 |
| 二 | 候補者の現職で、一覧の会社の単位と突き合わせる | 取引先・競合 |
| 三 | 候補者の職歴で、自社の在籍歴が無いかを見る | 元社員(一覧に無くても、職歴に自社があれば人事に確認) |
| 四 | 迷う相手は、送らずに決める人に確認する | 全区分 |
照合の要点は、「三」です。一覧に無い元社員がいます。人事の一覧が古い、名前が変わっている、媒体の表示名が違う。候補者の職歴に自社の名前があれば、一覧に無くても人事に確認します。取引先・競合についても、候補者の現職が一覧に無くても、「この会社は取引があるかもしれない」と担当者が気づいたら、送る前に聞きます。担当者に、「迷ったら送らずに聞く」を渡しておきます。
一覧の更新
一覧は、更新が無いと古くなります。
| 区分 | 更新のきっかけ | 担当 |
|---|---|---|
| 連絡不要 | 「連絡不要」の返信が来た当日に追加 | 返信を受けた人(担当者) |
| 取引先・競合 | 新しい取引の開始、取引の終了、競合の変化。四半期に一度、営業や経営に確認 | 人事が営業・経営に聞く |
| 元社員・在籍者 | 入社と退職のたびに更新。月に一度、人事の名簿と突き合わせ | 人事 |
| 社内の判断 | 入れたときに期間を決め、期間が来たら見直す | 人事と責任者 |
| 解除 | 解除の条件を満たしたら、決めた人の確認で外す。連絡不要は本人からの連絡があったときだけ | 決めた人 |
更新の要点は、「取引先・競合を、人事が営業・経営に聞く仕組み」です。取引先の変化は、人事には届きません。四半期に一度、「新しい取引先と、終わった取引先を教えてください」と聞く場を作ります。聞かなければ、一覧は作った時点で止まります。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「取引先の在籍者にスカウトを送ってしまい、先方の経営者から自社の経営者に『うちの社員を引き抜くのか』と連絡が来た」というものです。人事は取引先を一覧にしておらず、代行の担当者は取引先を知らされていませんでした。会社の単位の一覧を営業から出してもらい、担当者に渡し、送る前に候補者の現職と突き合わせる手順を入れたら、止まりました。担当者は、渡されていないものは除けません。
見ていて差がつくのは、担当者が「一覧に無くても、迷ったら聞く」を実行するかです。「一覧に無かったので送りました」で済ませる担当者と、「候補者の職歴に御社の名前があったので、送る前に確認します」「この会社は御社と取引がありそうですが、送ってよいですか」と聞く担当者がいます。後者は、一覧の穴を埋めます。
発注側にできるのは、四つの区分の一覧を、契約の最初に担当者に渡すことです。渡していない一覧は、無いのと同じです。
個人情報と公平さの扱い
送ってはいけない相手の一覧は、扱いを誤ると別の問題になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 理由を属性にしない | 年齢、性別、国籍、出身、家族の状況などを理由に除かない。理由の列に属性が書かれていたら見直す |
| 必要な項目だけ | 除くために必要な識別と区分と理由だけ。経歴の全文や評価の詳細を入れない |
| 理由の列の権限 | 「社内の判断」の理由は、見られる人を最も絞る |
| 保管の期間 | 区分ごとに決める。連絡不要は本人の意思を尊重して長く、社内の判断は期間を切る |
| 本人からの照会 | 候補者から「なぜ連絡が来ないのか」「自分の情報を消してほしい」と言われた場合の対応を決めておく |
| 媒体の規約 | 媒体上の候補者の情報を一覧として媒体の外に持つ範囲は、媒体ごとの規約による。公式の案内で確認 |
| 法令 | 個人情報の扱いと、採用における公平さは、法令に沿う。個別の判断は専門家に確認 |
扱いの要点は、「理由を属性にしない」ことです。「社内の判断で除く」の区分は、使い方を誤ると、属性による排除の一覧になります。理由を記録し、属性が理由になっていないかを、人事が定期的に見ます。判断に迷う場合は、専門家に確認してください。
外注する場合の範囲
送ってはいけない相手の管理を、スカウト代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 一覧の表の設計、送信ログとの同じ場所への配置、「連絡不要」の返信の当日の追加、候補者の識別と現職と職歴での照合の実施、迷う相手の確認の依頼、会社の単位から個人への落とし込み(在籍の確認)、更新のきっかけごとの人事への確認の依頼、四半期の見直しの進行、一覧の穴(一覧に無い元社員など)の報告。
社内に残す判断。 取引先・競合の一覧の提供(営業・経営の判断)、元社員・在籍者の名簿の提供と更新(人事)、社内の判断で除く人の決定と理由の記録、解除の判断、理由が属性になっていないかの確認、個人情報と法令の扱い(専門家との連携)、本人からの照会への対応。
外注の効きどころ。 この管理は、「一覧を持ち、送る前に照合し、当日に追加し、定期的に更新する」運用で、社内では「記憶と口頭」で済ませて、担当者が替わると消える工程です。担当者が表の型と照合の手順を持ち込み、当日に追加し、迷ったら聞き、四半期の見直しを進行すれば、送ってはいけない相手への送信は仕組みで止まります。ただし、一覧の中身(取引先、競合、元社員、社内の判断)は、社内からしか出ません。
外注しても動かない場合。 取引先・競合の一覧を出さない、元社員の名簿を渡さない、「迷ったら聞く」に答えない、理由が属性になっている一覧を渡す。社内の判断で、代行を替えても直りません。
送ってはいけない相手は、四つの区分で一覧にし、送る前に照合し、当日に追加し、定期的に更新すれば、担当者が替わっても止まります。外注は、表の型と照合と更新の進行を担う手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、この相談で最も多いのは、「連絡不要の返信が、一覧に入っていない」ことです。「今後のご連絡は控えてください」と返信が来た。担当者は「断り」として記録し、返信率の集計では「断り」に数えた。ところが、一覧には入れておらず、半年後に別の担当者が新規として送った。候補者から見れば、意思を無視されたことになります。
「連絡不要」は、断りの中でも別の扱いです。返信の内容の区分に「連絡不要」を独立して持ち、当日に一覧へ追加します。これを担当者の手順に入れるだけで、最も信頼を落とす送信が止まります。
発注側にできるのは、返信の内容の区分に「連絡不要」があるかを、担当者の記録で確認することです。
まとめ
- 管理が無いのは一覧が無い・区分が混ざる・会社名だけ・連絡不要を記録しない・代行に伝えていない・送る前に見ない・見直しが無い構造
- 区分は連絡不要と言った人(本人が決める)・取引先・競合の在籍者(経営が決める)・自社の元社員・在籍者(人事が決める)・社内の判断で除く人(理由を記録、属性を理由にしない)の四つ
- 一覧は一つの一覧に区分の列・個人と会社の両方の単位・理由・決めた人と日付・期間・解除の条件・自社の管理下・権限
- 照合は個人の単位→現職で会社の単位→職歴で自社の在籍歴→迷ったら送らずに聞く
- 更新は連絡不要は当日・取引先は四半期に営業に聞く・元社員は入退社のたび・社内の判断は期間で見直し・解除は決めた人
- 扱いは属性を理由にしない・必要な項目だけ・理由の権限・期間・本人からの照会・媒体の規約・法令は専門家に
- 外注できるのは表の設計・配置・当日の追加・照合・確認の依頼・落とし込み・更新の依頼・見直しの進行・穴の報告。社内に残るのは取引先と競合・名簿・社内の判断・解除・属性の確認・法令・照会
よくある質問
競合の在籍者には、一律に送らないほうがよいですか
一律に決めるものではなく、経営の判断です。競合からの採用を方針として行う会社もあれば、業界の関係で避ける会社もあります。「送らない会社」を経営が決め、一覧にし、それ以外は送る、という形にします。担当者に「競合っぽいので送りませんでした」と判断させると、送れる相手まで除かれます。競合を調べる考え方は競合の採用状況をどう調べるかに書いています。
「連絡不要」と言われた人は、永久に送れませんか
原則として、本人からの連絡が無い限り送りません。役割が大きく変わっても、社内の都合で解除するものではありません。本人が媒体で再び活動を始めた、本人から問い合わせが来た、という場合に限り、決めた人(この場合は人事)の確認で解除を検討します。保管の期間と扱いは法令に関わるので、個別の判断は専門家に確認してください。
過去の選考で問題があった人を除きたいのですが、記録してよいですか
「社内の判断で除く人」の区分に入りますが、理由の記録と期間と権限に注意が要ります。理由は事実で書き(「面接に無断で来なかった」など)、評価や印象や属性で書かない。期間を決めて見直す。理由の列は権限を最も絞る。本人から照会があった場合の対応を決めておく。この区分の扱いは法令に関わるので、一覧を作る前に専門家に確認してください。不採用にした人への再アプローチの考え方は不採用にした人にもう一度声をかけたいに書いています。