スカウト代行 / スカウト運用
検索条件の保存と使い回し|「担当者の頭の中」に置かず、役割ごとに「条件・言葉・除外・並び」を名前付きで保存し、結果の記録と一緒に更新して、担当者が替わっても同じ検索ができる形にする
スカウトの検索条件は、担当者の頭の中にある。毎回、少しずつ違う条件で検索し、少しずつ違う母集団に送っている。担当者が替わると検索が変わり、母集団も返信も変わる。先月、返信が多かった検索を、今月は再現できない。逆に、返信が来なかった検索を、気づかずに繰り返している。結論を先に書くと、検索条件は、役割ごとに「条件」「言葉」「除外」「並び」の四つの要素を、名前を付けて保存します。保存した検索を送信ログの「層」と紐づけ、結果と一緒に更新すれば、良かった検索を再現でき、悪かった検索を繰り返さず、担当者が替わっても同じ検索ができます。母集団の広げ方は母集団が小さすぎるときの広げ方に、絞り方は母集団が広すぎるときの絞り方にまとめています。
検索条件が残らない構造
検索条件が担当者の頭の中に留まり、再現できないのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 検索を「その場の作業」と考えている | 検索は送る前の手段で、記録するものだと思っていない |
| 媒体の保存機能に頼っている | 媒体に保存した条件は、媒体の中、そのアカウントの中にしか無く、言葉や除外の理由は残らない |
| 条件と結果が紐づいていない | 「先月の返信が多かった」が、どの検索の結果かが分からない |
| 担当者ごとに検索が違う | 同じ役割で、担当者Aと担当者Bの検索が違い、母集団が違う |
| 除外の理由が残らない | 「この会社は除く」「この言葉は合わない」が、頭の中にしか無い |
| 言葉の一覧が無い | 検索に使った言葉と、使わなかった言葉と、試して合わなかった言葉が残らない |
| 引き継ぎで消える | 担当者の交代で、検索の蓄積がゼロになる |
構造の大半は、「検索を記録の対象にしていない」ことです。対象にすれば、保存の型は難しくありません。
保存する四つの要素
検索条件として保存するのは、四つの要素です。媒体の画面で設定する項目だけでなく、その理由と周辺も保存します。
| 要素 | 内容 | 保存する理由 |
|---|---|---|
| 条件 | 媒体の画面で設定する項目。職種、経験、スキル、勤務地、年収の幅、活動の状態など。属性は使わない | 同じ母集団を再現するため |
| 言葉 | 検索に使う言葉の一覧。使って合った言葉、試して合わなかった言葉、これから試す言葉 | 言葉の蓄積を引き継ぐため。母集団が小さすぎるときの広げ方 |
| 除外 | 除く会社、除く経歴の特徴、送ってはいけない相手の区分。理由を添えて | 除外の判断を再現し、理由を失わないため。送ってはいけない候補者の管理 |
| 並び | 順番をつける基準。経歴の特徴、転職の動きの見え方、順位ごとの扱い | 母集団の中で誰から送るかを再現するため。母集団が広すぎるときの絞り方 |
四つの要点は、「条件だけでは足りない」ことです。媒体の画面の設定は条件だけで、言葉と除外と並びは担当者の頭の中にあります。四つを揃えて保存して、初めて同じ検索が再現できます。
保存の型
四つの要素を、どう保存するかです。役割ごとに、一つの文書か、表の一行にします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検索の名前 | 「役割名+媒体+版」。「〇〇職・媒体A・第三版」のように |
| 役割 | 対象の役割 |
| 媒体 | 使う媒体。媒体ごとに条件の項目が違うので、媒体ごとに保存 |
| 条件 | 媒体の画面の項目と値を、そのまま書き写す |
| 言葉 | 使う言葉の一覧(合った・合わなかった・未試行の三つに分けて) |
| 除外 | 除く会社と経歴の特徴、理由 |
| 並び | 順番の基準と、順位ごとの扱い |
| 作った日と作った人 | 版の管理のため |
| 対応する層の名前 | 送信ログの「層」の区分名。この検索で出た候補者を、どの層として記録するか |
| 結果の要約 | この検索で出た母集団の数、送った通数、返信率、面談率(後から追記) |
| 次に試すこと | この検索で足りなかった点と、次の版で変えること |
型の要点は、「対応する層の名前」です。検索と送信ログの層が紐づいていれば、「この検索の結果はこうだった」が分かります。紐づいていないと、検索を保存しても結果と結びつかず、良し悪しが判断できません。送信ログの層は送信ログの残し方に書いています。
使い回しの型
保存した検索を、どう使い回すかです。「同じ役割で再び」「似た役割で」「別の媒体で」の三つの場面があります。
| 場面 | 使い回し方 | 注意 |
|---|---|---|
| 同じ役割で、再び募集する | 最新の版をそのまま使う。時間が経っていれば、言葉と除外を見直す | 前回送った人への再送の扱い。時間を空けて再送するときの書き方 |
| 似た役割で募集する | 最も近い役割の検索を複製し、条件と言葉を役割に合わせて直す。並びの基準は役割ごとに違うので作り直す | 「似ている」と決めつけて条件をそのまま使うと、母集団がずれる |
| 別の媒体で同じ役割を募集する | 言葉と除外と並びは引き継ぎ、条件は媒体の項目に合わせて作り直す | 媒体ごとに項目が違う。仕様は公式の案内で確認 |
| 担当者が替わる | 最新の版と、過去の版の「次に試すこと」を渡す | 版の履歴が無いと、前の担当者が試して合わなかったことを繰り返す |
| 検索の結果を見直す | 結果の要約を見て、返信率と面談率が良かった版を「基準の版」にする | 一度の結果で決めず、二〜三回の募集で判断 |
使い回しの要点は、「複製して直す」ことです。似た役割で、前の検索をそのまま使うと、母集団がずれます。複製し、役割に合わせて直し、新しい名前を付けます。元の検索はそのまま残します。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「前の担当者の検索が良く、返信も面談も出ていたが、担当者が替わった途端に母集団が変わり、返信が落ちた。前の担当者の検索は、媒体に保存された条件だけが残っていて、言葉と除外と並びは頭の中だった」というものです。条件だけを引き継いだ新しい担当者は、同じ条件で検索しても、言葉が違い、除外が違い、順番が違った。四つの要素を役割ごとに文書にし、結果の要約と「次に試すこと」を版ごとに残す形にしたら、次の交代では母集団が変わりませんでした。検索は、条件だけでは再現できません。
見ていて差がつくのは、担当者が「試して合わなかった言葉」を残しているかです。合った言葉だけを残す担当者と、「この言葉は試したが、出てくる人の経歴が違った」と合わなかった言葉と理由を残す担当者がいます。後者の記録は、次の担当者が同じ遠回りをせずに済みます。
発注側にできるのは、契約の最初に、「検索の四つの要素を、役割ごとに、当社の文書として残してください」を条件にすることです。
更新の運用
保存した検索を、結果に合わせて更新する運用です。
| タイミング | 更新すること |
|---|---|
| 送信のたび | 対応する層の名前で、送信ログに記録する(検索の側は変えない) |
| 週に一度 | 返信者の経歴から、言葉を拾って「言葉」に追記。「次に試すこと」を書き足す |
| 月に一度 | 結果の要約(母集団の数、送った通数、返信率、面談率)を追記。基準の版を見直す |
| 版を変えるとき | 複製して新しい名前を付け、変えた点を書く。元の版は残す |
| 募集が終わったとき | 最終の結果の要約と、「次に募集するときの注意」を書く |
| 担当者が替わるとき | 最新の版と、過去の版の「次に試すこと」を、引き継ぎの資料として渡す |
更新の要点は、「版を上書きしない」ことです。上書きすると、送信ログの層が指す検索が変わり、結果と検索の対応が崩れます。変えるときは複製し、新しい名前で、変えた点を残します。文面の型と同じ考え方です。
媒体の機能との関係
媒体には、検索条件を保存する機能があることが多い。それと、自社の保存の関係です。
| 項目 | 媒体の保存機能 | 自社の保存 |
|---|---|---|
| 保存されるもの | 条件(画面の項目) | 条件・言葉・除外・並びの四つと、理由と結果 |
| 置き場所 | 媒体の中、そのアカウントの中 | 自社の管理下 |
| 引き継ぎ | アカウントの権限を引き継げば見られる。ただし理由は無い | 文書として渡せる |
| 媒体を替えたとき | 消える | 言葉と除外と並びは残る |
| 使い方 | 日々の検索の手間を減らす道具として使う | 再現と引き継ぎと検証のための記録として持つ |
| 新着の通知 | 保存した条件に合う新着を通知する機能がある媒体もある。仕様は公式の案内で確認 | 通知を受けた後の動きを決める。新着候補者への即時アプローチ |
関係の要点は、「媒体の保存は道具、自社の保存は記録」です。両方使います。媒体の保存機能の有無や仕様は媒体ごとに違うので、公式の案内で確認してください。媒体のアカウントの権限と引き継ぎは媒体アカウントの権限設定に書いています。
外注する場合の範囲
検索条件の保存と使い回しを、スカウト代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 役割ごとの検索の四つの要素の文書化、検索の名前と版の管理、送信ログの層との紐づけ、週次の言葉の追記、月次の結果の要約の追記、版の複製と変更点の記録、似た役割や別の媒体への使い回しの案、担当者の交代時の引き継ぎの資料の作成、媒体の保存機能の設定。
社内に残す判断。 検索の文書を自社の管理下に置くこと、役割の要件の定義(条件の元になる)、除外の理由の提供(取引先、競合、社内の判断)、基準の版の承認、担当者の交代時に文書の引き渡しを確認すること。
外注の効きどころ。 検索の保存は、「四つを揃えて、名前を付けて、結果と紐づけて、版で更新する」運用で、社内では「担当者の頭の中」になりやすい工程です。担当者が四つを文書にし、送信ログと紐づけ、週次と月次で更新し、版を上書きしなければ、検索は再現でき、引き継げます。担当者は複数の会社で同じ役割の検索を見ているので、「この役割はこの言葉で」「この媒体はこの項目が効く」を持ち込めます。ただし、文書の置き場所を自社の管理下にすることと、除外の理由は、社内でしか決められません。
外注しても動かない場合。 検索の文書を代行の手元にだけ置く、役割の要件が曖昧で条件が作れない、除外の理由を担当者に渡さない、担当者の交代時に文書の引き渡しを確認しない。社内の判断で、代行を替えても直りません。
検索条件は、四つの要素を役割ごとに名前付きで保存し、送信ログの層と紐づけ、版で更新すれば、再現でき、引き継げます。外注は、文書化と紐づけと更新を担う手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、検索の保存の相談で最も多いのは、「保存はあるが、結果と紐づいていない」ことです。役割ごとに検索の条件は文書になっている。ただ、その検索で出た人に送って、どうだったかが、文書には無い。送信ログにも、どの検索から出た人かが無い。結果、「第二版と第三版のどちらが良かったか」が分からず、担当者の記憶で「たぶん三版」になります。
紐づけは、送信ログの「層」の列に、検索の名前を書くだけです。それだけで、月次の集計で「検索ごとの返信率と面談率」が出ます。
発注側にできるのは、送信ログの「層」の列を、担当者と一緒に見て、検索の名前が入っているかを確認することです。
まとめ
- 残らないのはその場の作業と考える・媒体の保存に頼る・条件と結果が紐づかない・担当者ごとに違う・除外の理由が無い・言葉の一覧が無い・引き継ぎで消える構造
- 保存するのは条件・言葉・除外・並びの四つ。条件だけでは再現できない
- 型は名前(役割+媒体+版)・役割・媒体・条件・言葉(合った・合わなかった・未試行)・除外と理由・並び・作った日と人・対応する層・結果の要約・次に試すこと
- 使い回しは同じ役割は最新の版・似た役割は複製して直す・別の媒体は言葉と除外と並びを引き継ぎ条件を作り直す・交代は最新の版と過去の次に試すこと・結果で基準の版を決める
- 更新は送信のたびに層で記録・週次で言葉・月次で結果の要約・版は複製して上書きしない・募集の終了時に注意を書く・交代時に渡す
- 媒体の保存は道具、自社の保存は記録。両方使い、媒体の仕様は公式の案内で確認
- 外注できるのは文書化・版の管理・紐づけ・言葉の追記・要約の追記・複製と記録・使い回しの案・引き継ぎの資料・媒体の設定。社内に残るのは置き場所・要件の定義・除外の理由・基準の版の承認・引き渡しの確認
よくある質問
検索条件の文書は、どこに置けばよいですか
送信ログと同じ、自社の管理下の場所です。送信ログの「層」の列が検索の名前を指すので、同じ場所にあると照合しやすい。代行の手元だけに置くと、契約が終わったときに残りません。文面の型の一覧、送ってはいけない一覧、送信ログ、検索の文書の四つを、同じ場所に置くのが型です。契約終了時のデータの扱いは送信データの引き渡しに書いています。
役割が多く、全部の検索を文書にする手間が大きいです
優先順位をつけます。今、募集している役割と、繰り返し募集する役割から文書にします。一度きりの役割は、募集が終わったときに「結果の要約」と「次に募集するときの注意」だけを残します。四つの要素のうち、最初は「条件」と「言葉」だけでも、無いよりはるかに良い。「除外」と「並び」は、二回目の募集で足します。複数の役割の優先順位は複数職種があるときの優先順位に書いています。
媒体の保存機能があれば、自社の文書は要らないのではないですか
媒体の保存は、条件だけで、そのアカウントの中にだけあります。言葉の蓄積、除外の理由、並びの基準、結果との紐づけは、媒体には残りません。媒体を替えたとき、担当者が替わったとき、代行を替えたときに、媒体の保存だけでは再現できません。媒体の保存は日々の手間を減らす道具として使い、自社の文書は再現と引き継ぎと検証のために持ちます。媒体の保存機能の仕様は、公式の案内で確認してください。