スカウト代行 / スカウト運用
自社紹介はどこまで書くか|会社の全部ではなく、「この役割をこの会社で担う理由」に要る四つだけを、三段落目に
スカウトの文面に、自社の紹介をどこまで書けばよいか。事業の説明、設立からの沿革、社員の数、理念、受賞や実績。並べると三段落分になり、削ると「どんな会社か分からない」と言われそうで、削れない。知名度が無い会社ほど、「まず会社を知ってもらわないと」と長くなる。結論を先に書くと、スカウトの自社紹介は、「会社の全部」を伝えるものではなく、「この役割を、この会社で担う理由」を伝えるものです。要るのは、「会社の段階」「この役割の位置」「一緒に働く人」「働き方の実態」の四つで、三段落目に二〜四文。沿革、規模、理念、実績は、候補者が検索した先(採用サイト)で見せます。文面は「開いて、返信してもらう」ため、会社の全部はその後で足ります。本文の構成はスカウト本文の構成に、知名度が無い会社の書き方は知名度のない会社のスカウトにまとめています。
自社紹介で迷う構造
自社紹介の範囲で迷うのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 「会社を知ってもらってから」と思っている | 会社の説明を先に、または長く。候補者は「自分宛てか」を先に判断するので、会社の説明の前に閉じる |
| 「全部書かないと分からない」と思っている | 事業、沿革、規模、理念、実績。全部を入れて長くなる |
| 削ると「不誠実」に感じる | 会社の説明を削ることに、後ろめたさがある |
| 会社の紹介と、役割を担う理由を分けていない | 「どんな会社か」と「なぜこの会社でこの役割か」が混ざっている |
| 検索された先を考えていない | 候補者が会社名で検索することを想定せず、文面で全部を伝えようとする |
| 知名度が無い会社ほど、長くなる | 「知られていないから、説明しないと」で、説明が長くなり、読まれない |
| 良く見せようとして、抽象語になる | 「急成長中」「アットホーム」「風通しが良い」。事実ではなく印象で、候補者に見抜かれる |
| 自社紹介の型が無い | 担当者ごとに、書く量と内容が違う |
構造の大半は、「会社の全部を文面で伝えようとしている」ことです。役割を置き直します。
自社紹介の役割の置き直し
スカウトの文面での自社紹介の役割を、置き直します。
役割は、「この役割をこの会社で担う理由」を渡すこと。 候補者は、一段落目で「自分宛てか」、二段落目で「興味があるか」を判断した後、三段落目で「この会社でよいか」を判断します。三段落目の自社紹介は、「この会社でよいか」の判断の材料です。会社の全部ではなく、判断に要ることだけ。
候補者は、文面の後に検索する。 三段落目を読んで興味を持った候補者は、会社名で検索します。沿革、規模、理念、実績は、検索された先で見ます。文面は、検索させるための入口です。採用サイトへの導線。
文面は、返信をもらうためのもの。 会社の全部を伝えるのは、返信の後の二通目、面談、採用サイト。文面に全部を入れると、読まれずに閉じられ、何も伝わりません。
「知ってもらう」は、長さではなく、事実の具体性で。 「〇〇の事業を、△△の段階で」の一文は、「急成長中の企業です」の一段落より、会社が分かります。
自社紹介は、三段落目に、二〜四文。 一段落目には入れない。四段落目には入れない。
置き直しの要点は、「文面で全部を伝えない。検索された先と分担する」ことです。
書く四つと書かない四つ
三段落目に書く四つと、書かない四つです。
| 書く四つ | 中身 | 例の形 |
|---|---|---|
| 一、会社の段階 | 何の事業を、どの規模で、いまどの段階か。一文 | 「〇〇の事業を△△の規模で行い、いま□□の段階です」 |
| 二、この役割の位置 | この役割が、会社にとってどういう位置か。なぜ今か。一文 | 「この役割は、次の一年で最も力を入れる領域です」 |
| 三、一緒に働く人 | 誰と働くか。責任者か、チームか。一文 | 「事業責任者の〇〇(△△の経験)と、□□の二名と一緒に」 |
| 四、働き方の実態 | 制度ではなく実態。一文 | 「リモート中心で、週に一度の出社です」 |
| 書かない四つ | 理由 | 代わりに |
|---|---|---|
| 一、沿革 | 「〇年に設立し」は、役割を担う理由にならない | 採用サイトで |
| 二、規模の詳細 | 社員数、拠点数、売上の詳細。段階の一文で足りる | 採用サイトで。数字は自社の記録から、出典を明記 |
| 三、理念 | 「〇〇を大切にしています」は、抽象語になりやすい | 採用サイトと面談で。文面では、理念より「人」と「実態」 |
| 四、実績と受賞 | 会社の実績は、候補者の役割を担う理由と直接つながらない | 採用サイトで。役割に関わる実績なら、二の「役割の位置」に一言 |
四つの要点は、「候補者が『この会社でよいか』を判断するのに要るのは、段階・位置・人・実態」であることです。沿革と理念と実績は、判断の後に見るものです。
書く四つは、事実の言葉で。「急成長中」ではなく「〇〇の段階」、「アットホーム」ではなく「〇〇と□□の二名と一緒に」。
知名度の有無で変わる書き方
知名度の有無で、自社紹介の書き方が変わります。
| 知名度 | 書き方 | 注意 |
|---|---|---|
| ある | 会社の段階は一言で足りる。「役割の位置」と「一緒に働く人」を厚く | 知名度に頼って、役割の中身が薄くなりがち。役割を厚く |
| ない | 「何をしている会社か」を一般の言葉で一文足す。「〇〇をする人が、△△で困っていることを、□□で解決している」 | 説明を長くしない。一文で分かる言葉に。知名度のない会社のスカウト |
| 業界では知られているが、一般には知られていない | 業界の言葉ではなく、一般の言葉で。候補者が業界の外にいる場合は特に | 「〇〇業界向けの△△ソリューション」は、業界の外の候補者には分からない |
| 知名度が低く、事業が分かりにくい | 「誰の、何の困りごとを、どう解決しているか」の一文。取引先の名前が公開できるなら一言 | 取引先の名前は公開の可否を確認 |
知名度の要点は、「無いからといって長くしない」ことです。知名度が無い会社の自社紹介が長いと、「知らない会社の長い説明」になり、読まれません。一文で分かる事業の説明と、四つの事実で足ります。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「知名度が無いので、文面の三段落目に、事業の説明、沿革、社員数、理念、受賞歴を全部書いた。三段落目だけで一画面を超え、返信率が低かった」というものです。「知られていないから説明しないと」で、長くなっていました。事業を一般の言葉で一文、段階を一文、役割の位置を一文、一緒に働く人を一文、働き方の実態を一文、の五文に絞り、沿革と理念と受賞歴は採用サイトに移したら、三段落目は数行になり、返信が増えました。「知ってもらう」は、長さではなく、事実の具体性でした。
見ていて差がつくのは、担当者が「削る」提案をできるかどうかです。「会社の魅力をもっと書きましょう」と足す担当者と、「三段落目は、段階・位置・人・実態の四つに絞りましょう。沿革と理念は採用サイトへ。文面は検索させる入口です」と、削って分担する担当者がいます。後者の文面は、読まれ、検索されます。
発注側にできるのは、「会社の全部を文面で伝えたい」を手放し、「四つだけ」を許し、採用サイトを整えることです。
段階と相手で変える
自社紹介は、送る段階と相手で変えます。
| 段階・相手 | 自社紹介の量 | 中身 |
|---|---|---|
| 最初の一通 | 最小。三段落目に二〜四文 | 段階・位置・人・実態 |
| 返信が来た後の二通目 | 相手の質問に応じて足す | 聞かれたこと(事業の詳細、規模、制度)に答える |
| 面談 | 全部。対話で | 沿革、理念、実績を含めて、候補者の関心に合わせて |
| 動いていない人 | 最小。「なぜ自分に」が主で、会社は従 | 段階と役割の位置を中心に |
| 動いている人(複数社を比べている) | 四つに加えて、「他社と違う点」を一文 | 比べる材料。他社と比べて自社が良いのか分からない |
| 幹部・経営幹部 | 段階と課題を厚く。経営者の言葉で | 「なぜ、いま、この役割か」の経営の課題。幹部・役員クラスへのアプローチ |
| 未経験・隣の職種 | 「育てる型があること」を一文足す | 「入社後、最初の三か月はこう教えます」 |
| 過去の応募者・退職者 | 「変わったこと」を一文 | 「以前と比べて、会社はこう変わりました」 |
変える要点は、「最初の一通は最小、返信の後に足す」ことです。最初の一通で全部を伝えようとするから、長くなります。
検索された先との役割分担
文面の自社紹介と、候補者が検索した先(採用サイト、記事、SNS)の役割を分担します。
| 場所 | 役割 | 書くこと |
|---|---|---|
| スカウトの文面(三段落目) | 「この会社でよいか」の判断の入口。検索させる | 段階・位置・人・実態の四つ。二〜四文 |
| 採用サイト | 検索された先。会社の全部 | 事業、沿革、規模、理念、実績、社員の話、働き方の制度と実態、選考の流れ。採用サイトを作ったのに効果がない |
| 記事・SNS | 日々の実態。人と仕事の場面 | 社員の一か月、役割の一日、経営者の言葉。採用SNSで何を発信すればよいか |
| 求人票 | 役割と条件の詳細 | 役割の記述、要件、条件、選考の流れ |
| 面談 | 対話で、候補者の関心に合わせて | 全部。候補者が聞きたいことに答える |
| 二通目 | 質問への答え | 聞かれたことに絞って |
分担の要点は、「文面で書かないことは、検索された先にある」状態にすることです。文面で沿革を削っても、採用サイトに沿革があれば、候補者は見られます。採用サイトに何も無ければ、文面で削ったものは、どこにもありません。
検索された先が弱い(採用サイトが無い、古い)場合、文面を長くするのではなく、採用サイトを整えます。文面を長くしても、読まれません。
外注する場合の範囲
自社紹介の範囲の問題を、スカウト代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 現状の文面の三段落目の点検(書く四つと書かない四つに照らす)、書く四つの事実の整理(会社の段階、役割の位置、一緒に働く人、働き方の実態の聞き取り)、知名度に応じた事業の一文(一般の言葉で)の作成、三段落目の型の作成(役割ごと)、段階と相手ごとの自社紹介の量の設計、二通目と面談で足す内容の整理、検索された先(採用サイト、記事)との分担の点検と、足りないものの整理、抽象語を事実の言葉に書き換える作業。
社内に残す判断。 公開してよい事実の範囲(取引先の名前、段階の詳細、一緒に働く人の名前)、事業の一文の承認、採用サイトを整えるかどうかの判断と費用、型の承認。
外注の効きどころ。 自社紹介は、社内の人には「全部大事」に見え、削れません。外部の担当者は、候補者の目で「判断に要る四つ」を見つけ、削って分担できます。担当者は複数の会社のスカウトを見ているので、「この段階の会社は、この一文で伝わる」「この抽象語は事実にすると、こう」の型を持ち込めます。ただし、事実は社内から正確に渡し、公開の範囲は社内が決めます。
外注しても動かない場合。 社内が「会社の全部を文面に」を譲らない、抽象語を事実に直すことを認めない、採用サイトを整えない(文面で削ったものの行き先が無い)。社内の判断で、代行を替えても直りません。
自社紹介は、四つに絞り、検索された先と分担すれば、読まれます。外注は、絞る作業と分担の設計を担う手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、自社紹介の相談で最も多いのは、「文面で削ったものの行き先が無い」ことです。「文面の自社紹介は四つに絞りましょう」と提案すると、「では、沿革や理念はどこで伝えるのか」と聞かれ、採用サイトを見ると、無いか、古い。文面で削れないのは、削った先が無いからでした。
文面を絞ることと、採用サイトを整えることは、一組です。文面は入口で、採用サイトは中身。両方が揃って、文面を短くできます。
発注側にできるのは、文面を絞ると決めたら、同時に「検索された先」を整えることです。
まとめ
- 迷うのは会社を知ってもらってからと思う・全部書かないと分からないと思う・削ると不誠実に感じる・紹介と理由を分けていない・検索された先を考えていない・知名度が無いほど長くなる・抽象語・型が無い構造
- 役割は「この役割をこの会社で担う理由」を渡すこと。候補者は文面の後に検索する。文面は返信をもらうため。知ってもらうは長さではなく事実の具体性。三段落目に二〜四文
- 書く四つは会社の段階・この役割の位置・一緒に働く人・働き方の実態。書かない四つは沿革・規模の詳細・理念・実績と受賞(採用サイトへ)
- 知名度があれば役割と人を厚く・無ければ事業を一般の言葉で一文足すが長くしない・業界で知られているなら業界の外の言葉で・分かりにくければ誰の何の困りごとをどう
- 段階と相手で最初の一通は最小・二通目は質問に応じて・面談で全部・動いていない人は最小・動いている人は他社と違う点を一文・幹部は課題を厚く・未経験は育てる型・過去の応募者は変わったこと
- 分担は文面は入口の四つ・採用サイトは会社の全部・記事とSNSは日々の実態・求人票は役割と条件・面談は対話で全部・二通目は質問への答え。文面で削ったものは検索された先に
- 外注できるのは点検・事実の整理・事業の一文・型・量の設計・足す内容の整理・分担の点検・抽象語の書き換え。社内に残るのは公開の範囲・一文の承認・採用サイトの判断と費用・型の承認
よくある質問
知名度が無いので、会社の説明を厚く書かないと分かってもらえません
「知ってもらう」は、長さではなく、事実の具体性で決まります。「〇〇をする人が、△△で困っていることを、□□で解決している」の一文と、段階・役割の位置・一緒に働く人・働き方の実態の四つで、知名度が無い会社でも「どんな会社か」は伝わります。長い説明は、「知らない会社の長い説明」として閉じられます。文面で興味を持った候補者は会社名で検索するので、採用サイトに会社の全部を置きます。文面は入口、採用サイトは中身です。
沿革や理念を削ると、会社の誠実さが伝わらないのではないですか
誠実さは、沿革や理念の記載ではなく、「事実を正確に、抽象語を使わずに書いているか」で伝わります。「急成長中」「アットホーム」より、「〇〇の段階で、△△と□□の二名と一緒に、リモート中心で週に一度の出社」のほうが、誠実に見えます。沿革と理念は、採用サイトと面談で伝えます。文面で削ることは、伝えないことではなく、伝える場所を変えることです。
三段落目に何を書けばよいか、社内で決まりません
「会社の段階」「この役割の位置」「一緒に働く人」「働き方の実態」の四つを、事実で、それぞれ一文ずつ書きます。段階は事業の責任者に、役割の位置は現場の責任者に、一緒に働く人は実際に働く人の名前と経験を、働き方の実態は制度ではなく実際の運用を聞きます。「何を書くか」で迷うのは、「会社の全部から選ぼう」としているからで、四つに限定すれば、迷いません。四つ以外は、採用サイトに置きます。