スカウト代行 / スカウト運用
スカウトはスピードでどれだけ変わるか|「速ければ良い」ではなく、「新着への送信」「返信への返答」「日程の提示」「面談後の連絡」の四つの箇所で、遅れが候補者を失う理由と、速さが効く箇所を分ける
スカウトはスピードが大事、と言われる。それは分かる。ただ、どこを速くすればよいのか、速くすると何がどれだけ変わるのかが分からない。全部を急ぐと、担当者が疲弊し、文面が雑になり、面談の担当者の日程が押さえられなくなる。結論を先に書くと、速さが効くのは、「新着への送信」「返信への返答」「日程の提示」「面談後の連絡」の四つの箇所です。この四つは、遅れると候補者が他社に進み、取り返しがつきません。それ以外の箇所(文面の作成、対象の選定、検証)は、速さより質で、急ぐと悪くなります。どれだけ変わるかは、自社の記録で「遅れた候補者」と「速く動いた候補者」の面談以降の結果を比べて見ます。対応が遅い場所の特定は対応が遅いに、新着への送信は新着候補者への即時アプローチにまとめています。
速さが漠然としている構造
「速さが大事」が、運用の改善につながらないのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 「全部速く」と考えている | 文面の作成も対象の選定も急ぎ、質が落ちる |
| 速さが効く箇所を特定していない | どこの遅れが候補者を失っているか、記録で見ていない |
| 「遅い」の基準が無い | 「翌日」が速いのか遅いのか、社内で決まっていない |
| 遅れの原因が「担当者の努力」だと思っている | 遅れは、仕組み(承認、日程、権限)で起きていることが多い |
| 速さの効果を測っていない | 速くしても、何が変わったかを見ていないので、続かない |
| 速さと質を対立させている | 「速くすると雑になる」で、速さを諦める |
| 候補者側の時間の感覚を知らない | 候補者は複数の会社と同時に動いており、数日の遅れが「選ばれなかった」になる |
構造の大半は、「速さが効く箇所を特定していない」ことです。四つに絞れば、全部を急ぐ必要は無くなります。
速さが効く四つの箇所
候補者との接点で、遅れが候補者を失う箇所は四つです。
| 箇所 | 遅れると起きること | 目安の考え方 |
|---|---|---|
| 新着への送信 | 登録や更新の直後は媒体を見ているが、数日で他社のスカウトが溜まり、埋もれる | 数日以内。当日である必要は無い |
| 返信への返答 | 「話を聞きたい」と返信した候補者は、返答を待つ間に、他社の面談に進む。返答が遅いと「本気ではない」と受け取る | 営業日の当日か翌営業日。遅くとも数日 |
| 日程の提示 | 返答の後、日程の候補が出るまでが長いと、候補者の予定が他社で埋まる | 返答と同時に候補を出す。「別途ご連絡します」にしない |
| 面談後の連絡 | 面談の後、次の連絡が無い間に、候補者は「不合格か」と考え、他社に気持ちが移る | 翌営業日に、感謝と次の流れ |
四つの要点は、「候補者が待っている状態」を作らないことです。候補者が待っている間、他社は動いています。四つの箇所は、どれも「候補者が返事を待っている」箇所です。
箇所ごとに遅れが起きる理由
四つの箇所で、遅れが起きる理由です。担当者の努力ではなく、仕組みで起きています。
| 箇所 | 遅れの理由 | 仕組みで直す |
|---|---|---|
| 新着への送信 | 新着を見る時間が決まっていない。送る前の承認に時間がかかる | 見る時間の固定。文面の型を先に承認し、個別の一段落目は承認を不要にする |
| 返信への返答 | 返信の確認が週に一度。返答の文面を毎回考える。誰が返答するか決まっていない | 返信の確認を毎営業日に。返答の型を用意。返答する人を決める |
| 日程の提示 | 面談の担当者の予定を、返信が来てから探す。担当者が忙しく、候補が出ない | 面談の枠を先に空けておく。日程が押さえられない |
| 面談後の連絡 | 面談の担当者の評価が出るまで連絡しない。「評価が出てから」で数日空く | 評価とは別に、翌営業日に「感謝と次の流れ」を送る。評価は後で |
理由の要点は、「承認」「型」「枠」です。承認を減らし、型を用意し、枠を先に空ける。この三つで、四つの箇所の遅れの大半は消えます。担当者に「もっと速く」と言うより、仕組みを変えるほうが効きます。
速さが効かない箇所
急ぐと悪くなる箇所です。ここは、速さより質です。
| 箇所 | 急ぐと起きること | 適切な進め方 |
|---|---|---|
| 文面の型の作成 | 役割の見せ方が雑になり、返信が来ても層が違う | 一週間かけて、社内の人の話を聞いて作る |
| 対象の選定 | 「良さそう」で送り、要件と合わない人に届く | 絞りと順番の基準を言葉にしてから |
| 検証と改善 | 一回の結果で判断し、偶然に振り回される | 二〜三週間ごとに一つずつ |
| 内定の条件の決定 | 候補者に急かされて条件を上げ、社内の基準が崩れる | 社内の基準で、決めた期限内に |
| 候補者の意思の確認 | 「決めてください」と急かし、辞退される | 期限は伝えるが、急かさない。追客(フォローアップ)の設計 |
| 役割の要件の定義 | 曖昧なまま送り始め、母集団がずれる | 送る前に決める。スカウトを始めて最初の三十日 |
効かない箇所の要点は、「候補者が待っていない箇所」です。文面の作成や対象の選定は、候補者はまだ知りません。ここで時間をかけても、候補者を失いません。急ぐ箇所と、かける箇所を分けます。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「『スカウトはスピード』と言われ、担当者に全部を急がせたら、文面が雑になって返信が減り、一方で、返信が来た候補者への返答は『上司の確認待ち』で一週間かかっていた」というものです。急ぐ箇所を間違えていました。文面と対象は一週間かけ、返信への返答は当日、日程は返答と同時、面談後は翌日、に変えたら、返信の数は変わらないのに、面談に至る数と、面談から応募に進む数が増えました。速さは、候補者が待っている四つの箇所で効きます。
見ていて差がつくのは、担当者が「候補者が今、待っているか」で優先順位をつけるかです。届いた順に処理する担当者と、「返信への返答と日程の提示は、他の作業より先」と決めている担当者がいます。後者の運用では、候補者が待つ時間が短く、面談に至る率が違います。
発注側にできるのは、四つの箇所の「返答する人」「日程を出す人」「面談後に連絡する人」を、名前で決めて、その人の承認の待ちを無くすことです。
速さを出す仕組み
四つの箇所で速さを出すための、仕組みの一覧です。
| 仕組み | 内容 |
|---|---|
| 確認の頻度 | 返信の確認を、毎営業日に、決めた時間に。週次では遅い |
| 返答の型 | 「話を聞きたい」への返答、「質問」への返答、「断り」への返答の型。当日に送れる形に |
| 返答する人 | 担当者か人事か、名前で決める。休みの日の代替も |
| 承認の省略 | 型に沿った返答と日程の提示は、承認を不要にする。承認が要るのは条件の話だけ |
| 面談の枠 | 面談の担当者に、週に数枠を先に空けてもらう。候補を「返答と同時に」出せる状態に |
| 日程調整の道具 | 予約リンクなど、候補者が自分で選べる形。予約リンクを貼るべきか |
| 面談後の連絡の型 | 翌営業日に送る「感謝と次の流れ」の型。評価とは分ける |
| 記録 | 四つの箇所の日数を、送信ログに記録。返信日、返答日、日程の提示日、面談日、面談後の連絡日 |
| 週次の確認 | 四つの箇所で、目安を超えた候補者がいないかを、週に一度見る |
仕組みの要点は、「記録」です。四つの箇所の日付を残せば、「いま何日かかっているか」が出ます。出れば、どこが遅いかが分かり、速くした効果も測れます。指標の見方はスカウト運用で見るべき指標に書いています。
どれだけ変わるかの見方
「速くするとどれだけ変わるか」は、一般の数字ではなく、自社の記録で見ます。
| 見方 | 内容 |
|---|---|
| 遅れた候補者と速く動いた候補者を分ける | 返信から返答までが目安を超えた候補者と、目安内の候補者で、面談に至った率と、面談から応募に進んだ率を比べる |
| 箇所ごとに見る | 四つの箇所のうち、どこの遅れが最も面談以降の結果に効いているか |
| 仕組みを変えた前後で見る | 承認を省略した、枠を空けた、の前後で、日数と面談率がどう動いたか |
| 辞退の理由に「他社に決まった」があるか | 辞退の理由の記録で、「他社に決まった」が多ければ、速さの問題の可能性 |
| 一般の数字は使わない | 「速くすると返信率が何倍」のような外部の数字は、役割と層と媒体が違えば当てはまらない |
見方の要点は、「自社の記録で、遅れた候補者と速く動いた候補者を比べる」ことです。それが、自社にとっての「どれだけ変わるか」です。
外注する場合の範囲
スカウトの速さの改善を、スカウト代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 四つの箇所の日数の記録、返信の毎営業日の確認、返答の型の作成と当日の返答、日程の候補の提示(枠が空いていれば返答と同時に)、日程調整の道具の設定、面談後の連絡の型の作成と翌営業日の送信(担当者から送る場合)、週次の目安超えの確認、遅れた候補者と速く動いた候補者の比較と報告、承認の省略の提案。
社内に残す判断。 返答する人と面談後に連絡する人の決定(社内の人が送る場合)、承認の省略の決定(型に沿った返答と日程は承認不要に)、面談の枠を先に空けること(面談の担当者の協力)、内定の条件の判断の期限、急ぐ箇所とかける箇所の合意。
外注の効きどころ。 速さは、「毎営業日に確認し、型で返答し、枠から日程を出し、翌日に連絡し、日数を記録する」運用で、社内では「担当者の努力」に頼って、承認と日程で止まりやすい工程です。担当者が確認の頻度と型と記録を持ち、返答と日程を当日に出せば、四つの箇所の遅れは仕組みで消えます。担当者は複数の会社で遅れの原因を見ているので、「この会社は承認で止まっている」「この会社は枠で止まっている」を最初に指摘できます。ただし、承認の省略と枠の確保は、社内でしか決められません。
外注しても動かない場合。 返答のたびに社内の承認を求める、面談の枠を空けない、面談後の連絡を「評価が出てから」にする、「全部速く」と文面の作成まで急がせる。社内の判断で、代行を替えても直りません。
スカウトの速さは、候補者が待っている四つの箇所で効き、承認と型と枠で出ます。どれだけ変わるかは自社の記録で見て、外注は確認と型と記録と当日の返答を担う手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、速さの相談で最も多いのは、「返信への返答が、社内の承認で止まっている」ことです。候補者から「話を聞きたい」と返信が来た。担当者は当日に返答の文面を用意した。ところが、「返答は人事の確認を経てから」という決まりで、人事が忙しく、三日後に承認が来る。その間、候補者は待っています。
型に沿った返答と日程の提示は、承認を不要にする。承認が要るのは、条件に関わる返答だけ。それだけで、返答は当日になります。担当者の速さではなく、承認の設計の問題です。
発注側にできるのは、「返答と日程の提示は、担当者の判断で当日に送ってよい」と決めて、担当者に伝えることです。
まとめ
- 漠然としているのは全部速く・箇所を特定しない・基準が無い・努力の問題だと思う・効果を測らない・速さと質を対立させる・候補者の時間の感覚を知らない構造
- 効くのは新着への送信(数日以内)・返信への返答(当日か翌営業日)・日程の提示(返答と同時)・面談後の連絡(翌営業日)の四つ。候補者が待っている箇所
- 遅れの理由は承認・型が無い・枠が無い・評価待ち。仕組みで直す
- 効かないのは文面の型・対象の選定・検証・内定の条件・意思の確認・要件の定義。候補者が待っていない箇所は質で
- 仕組みは毎営業日の確認・返答の型・返答する人・承認の省略・面談の枠・調整の道具・面談後の型・記録・週次の確認
- どれだけ変わるかは自社の記録で、遅れた候補者と速く動いた候補者の面談以降を比べる。一般の数字は使わない
- 外注できるのは記録・確認・返答の型と当日の返答・日程の提示・道具の設定・面談後の型と送信・目安超えの確認・比較と報告・省略の提案。社内に残るのは返答する人・承認の省略・枠の確保・条件の期限・箇所の合意
よくある質問
返信への返答は、当日中でないとだめですか
営業日の当日か翌営業日が目安で、遅くとも数日です。当日と翌営業日で大きな差は出にくいですが、一週間空くと明らかに違います。「当日中」を目標にして担当者が夜中に返答するより、「翌営業日の午前中までに」と決めて欠かさず返答するほうが続きます。返答の型と、返答する人と、承認の省略があれば、翌営業日は難しくありません。
面談の担当者が忙しく、日程の候補がすぐ出せません
「返信が来てから探す」をやめ、「週に数枠、先に空けておく」に変えます。空けた枠が使われなければ、担当者は自分の仕事に使えます。使われれば、候補者を待たせません。枠を空けることの合意は、面談の担当者の上司から取ります。担当者本人に「空けてください」と頼んでも、空きません。日程の押さえ方は日程が押さえられないに書いています。
面談後、評価が出ていないのに連絡してよいのですか
評価と連絡を分けます。翌営業日に送るのは、「お時間をいただきありがとうございました。次の流れは〇〇で、△日以内にご連絡します」という感謝と次の流れです。合否や評価は含めません。これが無いと、候補者は「不合格か」と考え始めます。評価は、社内で決めた期限内に、別の連絡で伝えます。面談後の候補者の体験は候補者体験が悪いまま放置されているにも書いています。