人事副業 / 案件獲得
どの名義で候補者に接するか|人事の副業で、会社の窓口名・依頼側ドメインの自分の名前・通称の三つの名義の使い分け
候補者にスカウトや返信を送るとき、差出人の名前をどうするかは、最初に決めておかないと毎回迷います。会社の採用窓口の名前で送るのか、自分の名前で送るのか、自分の名前なら本名か通称か。候補者は差出人の名前で「誰と話しているか」を判断し、依頼側は名義で「誰が送ったか」を管理し、副業の人は名義で本業との距離が決まります。結論を先に書くと、候補者に接する名義は「会社の採用窓口の名義」「依頼側のドメインで自分の名前」「通称」の三つから、候補者の受け取り方・依頼側の管理・本業との関係の三つを見て依頼側と決め、案件の中では一つに固定するのが型です。名義が途中で変わると、候補者は混乱し、依頼側の記録も乱れます。本名で活動するかの判断は本名で活動するかに、候補者対応の全体は候補者対応で気をつけることにまとめています。
三つの名義
候補者に接する名義を三つに分け、それぞれの特徴を整理します。
| 名義 | 差出人の見え方 | 候補者の受け取り方 | 依頼側の管理 | 本業との関係 |
|---|---|---|---|---|
| 一 会社の採用窓口 | 「〇〇株式会社 採用担当」 | 会社と話している。個人は見えない | 誰が送ったかは社内の記録で把握。担当が変わっても名義は同じ | 副業の人の名前が外に出ない。本業との距離が最も遠い |
| 二 依頼側のドメインで自分の名前 | 「〇〇株式会社 採用担当 △△」 | 会社の中の特定の人と話している | 送信者が明確。候補者の記憶に名前が残る | 本業の関係者が候補者になる可能性があると、名前が届く |
| 三 通称 | 「〇〇株式会社 採用担当 □□(通称)」 | 二と同じ | 通称と本人の対応を依頼側が把握しておく必要 | 本名が出ないので本業との距離は保てる。ただし依頼側との契約は本名 |
三つの要点は、「一が最も安全で、二が最も候補者に伝わり、三はその中間」ということです。候補者の体験としては、特定の人の名前があるほうが安心しますが、副業の人の本業との関係と、案件終了後の引き継ぎを考えると、一が最も扱いやすい。
選ぶ基準
三つの名義から、どれを選ぶかの基準を整理します。
| 基準 | 一(会社の窓口)が向く | 二(自分の名前)が向く | 三(通称)が向く |
|---|---|---|---|
| 候補者との関係の深さ | 一次対応、日程調整、定型の連絡が中心 | スカウトの返信から面接前まで、やり取りが続く | 二と同じで、本名を出せない事情がある |
| 依頼側の体制 | 担当が別にいて、窓口が一つに集約されている | 副業の人が候補者との主な接点になる | 同上 |
| 本業との関係 | 本業と同じ業界で、候補者が本業の関係者である可能性がある | 本業と業界が離れていて、名前が出ても問題ない | 本業の規定で本名を出せない、または出したくない |
| 案件の期間 | 短期。終了時に引き継ぎが要る | 長期。候補者との関係が続く | 二と同じ |
| 依頼側の希望 | 「窓口は一本化したい」 | 「担当の顔が見える形にしたい」 | 「顔は見せたいが、本名は控えたい」に対応 |
| 媒体の仕様 | 媒体のアカウントが会社名義 | 媒体で担当者名が表示される | 同上。媒体によっては通称の登録の可否を確認 |
基準の要点は、「本業との関係が、最も重い基準」ということです。本業と同じ業界で、候補者が本業の同僚や取引先である可能性があるなら、自分の名前は出さないほうが、本業の規定にも、自分の立場にも安全です。判断がつかない点は、本業の規定を確認し、専門家にご相談ください。
エラベルの見解
登録の相談で多いのは、「候補者に自分の名前で送っていたら、本業の知り合いが応募してきて、副業をしていることが本業に伝わりそうになった」という話です。本業と同じ業界の依頼側で、自分の本名でスカウトを送っていた。候補者の中に、本業の元同僚がいた。名義を決めるときに、本業との関係を考えていなかったことが原因です。
見ていて差がつくのは、「名義を、依頼側と最初に決めているか」です。「候補者への連絡は、御社の採用窓口の名義で送る形でよいですか。私の名前を出す場合は、御社のドメインでお願いします」と、初回打ち合わせで決める。決めていないと、媒体のアカウントの設定のまま、自分の名前が出ていることに気づかないまま進みます。エラベルの登録でも、名義を最初に決めている人は、本業との距離が保たれていて、案件が終わったときの引き継ぎも、名義が会社の窓口なら候補者に混乱がありません。
依頼側と決める手順
名義を決める手順を、番号付きで整理します。初回打ち合わせの項目の一つです。
- 本業との関係を、自分の中で先に整理する。 本業と同じ業界か、候補者が本業の関係者になりうるか、本業の規定で本名を出せるか。
- 依頼側の体制を聞く。 窓口は一本化されているか、担当は別にいるか、副業の人が候補者との主な接点になるか。
- 媒体の仕様を確認する。 媒体のアカウントは会社名義か、担当者名が表示されるか、通称の登録は可能か。
- 三つの名義から、基準に沿って提案する。 「私は御社の採用窓口の名義で送る形を提案します。理由は〇〇です」。
- 依頼側の希望を聞く。 「顔が見える形にしたい」なら、二か三。「一本化したい」なら一。
- 決めた名義を書面に入れる。 「候補者への連絡は〇〇の名義で行う」。
- 依頼側の環境で、名義の設定を確認する。 メールの差出人、媒体のアカウントの表示名。自分の私用の名前が出ていないか。
- 案件の中では変えない。 途中で名義が変わると、候補者は「担当が変わった」と受け取る。変える必要があれば、候補者に一言添える。
手順の要点は、「一で、本業との関係を先に整理する」ことです。依頼側の希望を聞いてから本業の事情を持ち出すと、話が戻ります。自分の側の制約を先に整理して、その範囲で提案します。
名義ごとに起きる問題
三つの名義それぞれで、起きやすい問題と対応を整理します。
| 名義 | 起きる問題 | 対応 |
|---|---|---|
| 一 会社の窓口 | 候補者が「誰と話しているか分からない」と不安に。担当の顔が見えない | 文面の中で「採用担当の〇〇(役割)がご案内します」と役割を示す。面接の前日に担当の名前を伝える |
| 一 会社の窓口 | 社内で、誰が送ったかが分からなくなる | 依頼側の環境で、送信者の記録を残す。自分の記録にも数と種類で |
| 二 自分の名前 | 候補者が自分を「会社の社員」と思い、案件終了後も連絡してくる | 終了時に、担当の変更を候補者に案内する。連絡先は依頼側のドメインなので、終了後は依頼側に届く |
| 二 自分の名前 | 本業の関係者が候補者に含まれる | 本業と業界が離れた依頼側でだけ使う。同じ業界なら一か三 |
| 三 通称 | 依頼側が通称と本人の対応を把握していない | 書面に本名と通称の対応を書く。契約は本名 |
| 三 通称 | 候補者が通称で検索して、何も出てこず不審に思う | 依頼側のドメインから送ることで、会社の人であることは伝わる |
| 三 通称 | 面接で対面したときに本名が出る | 面接には同席しないか、同席するなら依頼側と通称の扱いを決める |
問題の要点は、「二と三は、案件終了時の引き継ぎに注意」ということです。候補者が特定の名前を覚えていると、終了後に「〇〇さんはどうしたのか」となります。終了時に、担当の変更を候補者に案内する文面を、依頼側と決めておきます。引き継ぎ資料の残し方を参照してください。
名義で起きる失敗
名義にまつわる失敗を整理します。
| 失敗 | 起きる構造 | 直し方 |
|---|---|---|
| 名義を決めずに始める | 媒体の設定のまま | 初回打ち合わせで決める |
| 私用のメールの名前で送る | 依頼側のアカウントが無い | 依頼側のアカウントを待つ。私用で送らない |
| 本業と同じ業界で本名を出す | 本業との関係を考えていない | 会社の窓口か通称 |
| 途中で名義を変える | 依頼側の都合、媒体の変更 | 変えない。変えるなら候補者に一言 |
| 通称の対応を依頼側が知らない | 書面に無い | 本名と通称の対応を書面に |
| 会社の窓口の名義で、候補者に冷たく感じられる | 役割が見えない | 文面で役割を示す。担当の名前は面接前に |
| 自分の名前で送って、終了後も候補者から連絡が来る | 引き継ぎの案内が無い | 終了時に担当変更の案内 |
| 副業であることを名義に含める | 正直でいたい | 含めない。候補者にとっては会社の人 |
| 複数の依頼側で同じ通称を使い、候補者が重なる | 通称が同じ | 依頼側ごとに名義を分ける。候補者が重なる依頼側は受けない |
失敗の要点は、「決めずに始める」ことが最も多い点です。媒体のアカウントの設定や、メールの差出人の設定に、意図しない名前が入ったまま送っていることがあります。最初の送信の前に、差出人の表示を確認します。
エラベルの見解
担当する側として登録した人の話を聞くと、名義で困っていない人は、原則を「会社の採用窓口の名義」にして、依頼側が顔の見える形を望む場合だけ、依頼側のドメインで自分の名前にしています。会社の窓口の名義は、候補者から見ると個人が見えにくいですが、文面で役割を示し、面接の前に担当の名前を伝えれば、体験は損なわれません。副業の人から見ると、本業との距離が保たれ、終了時の引き継ぎも楽です。
依頼側から見ると、副業の人が自分の名前で候補者と接することは、候補者との関係がその人に紐づくことを意味し、終了時に引き継ぎにくくなります。エラベルは、企業と担当者の間に立つ窓口として、案件を出すときに、候補者への名義を依頼側と担当者の間で決めていただくようお伝えしています。会社の窓口の名義を原則に、依頼側の希望で自分の名前、本業の事情で通称、という順で考えていただくことをお勧めしています。
まとめ
- 名義は会社の採用窓口・依頼側のドメインで自分の名前・通称の三つ。候補者の受け取り方・依頼側の管理・本業との関係で決める
- 一(会社の窓口)が最も安全、二(自分の名前)が最も候補者に伝わる、三(通称)はその中間
- 最も重い基準は本業との関係。同じ業界で候補者が本業の関係者になりうるなら、自分の名前を出さない
- 手順は本業との関係を先に整理→依頼側の体制→媒体の仕様→提案→依頼側の希望→書面→設定の確認→案件の中では変えない
- 二と三は終了時の引き継ぎに注意。担当変更の案内を候補者に
- 失敗は決めずに始める・私用の名前で送る・同じ業界で本名・途中で変える
よくある質問
依頼側が「あなたの名前で送ってほしい。そのほうが候補者が安心する」と言います
依頼側の希望として理解したうえで、本業との関係を確認します。本業と業界が離れていて、候補者が本業の関係者になる可能性が低く、本業の規定で本名を出せるなら、依頼側のドメインで自分の名前にします。同じ業界なら、「本業の関係で本名は控えたいので、通称か、会社の窓口の名義で、文面で役割を示す形にさせてください」と伝えます。依頼側の希望と、自分の本業との関係は、両方を並べて決めます。どちらかだけで決めると、後で問題になります。
通称を使う場合、契約や請求はどうなりますか
契約と請求は本名です。通称は、候補者に対する表示名であって、依頼側との法的な関係は本名で結びます。書面に「候補者への表示名として〇〇(通称)を使用する。契約上の氏名は△△(本名)」と、対応を明記します。依頼側の環境(メール、媒体のアカウント)の設定で、表示名を通称にし、依頼側の管理では本名と紐づけておきます。通称の使用が媒体の規約や依頼側の規程で制限されていないかは、確認してください。
案件が終わったあと、自分の名前で送っていた候補者から連絡が来ました
連絡先が依頼側のドメインなら、連絡は依頼側に届き、自分には届きません。依頼側の担当が対応します。自分の私用の連絡先で送っていた場合は、自分に届くので、「担当が変わりました。ご連絡は御社の窓口へ」と案内し、依頼側の担当に共有します。この状態を避けるために、終了時に「担当の変更」を候補者に案内する文面を、依頼側と決めて送っておきます。名義が会社の窓口なら、この問題自体が起きません。