人事副業 / 案件獲得
ヒアリングで押さえる項目|人事の副業で、依頼側の「困っている」を聞き出すときに外せない七つの領域と聞く順番
案件が始まって最初の週、依頼側の担当に「いまどうなっていますか」と聞くと、「応募が来ない」「来ても合わない」「面接に来ない」といった困りごとが返ってきます。この言葉をそのまま受けて動くと、依頼側が思っている原因に沿った作業になり、実際の原因とずれることがあります。結論を先に書くと、ヒアリングは、依頼側の「困っている」を、採用の目的・これまでの経路と数・選考の流れ・判断する人・使っているもの・止まっている点・期待の七つの領域で聞き直し、困りごとを構造として並べ直す作業です。七つを順に聞くと、依頼側が語っていない部分(数が把握されていない、判断する人が決まっていない)が見え、自分の範囲で何ができるかが決まります。初回打ち合わせの進め方は初回打ち合わせの進め方に、聞いたあとに実物を見る作業は現状把握のしかたにまとめています。
ヒアリングの位置づけ
最初の週にやることは三つあり、ヒアリングはその一つ目です。
| 段階 | やること | 相手 | 出てくるもの |
|---|---|---|---|
| ヒアリング | 担当の口から、採用の状況と困りごとを聞く | 担当、判断する人 | 依頼側の認識 |
| 現状把握 | 実物(文面、数、表、媒体の画面)を見る | 依頼側の環境 | 実態 |
| 課題の言語化 | 認識と実態のずれから、自分の範囲で直すことを決める | 担当と合意 | 一枚の整理 |
位置づけの要点は、「ヒアリングで聞いたことは、依頼側の認識であって、実態ではない」ことです。「応募が来ない」と言われても、実際には来ているが一次返信が遅れて離脱している、ということがあります。ヒアリングは、認識を聞く作業として位置づけ、実態は次の段階で見ます。
七つの領域と、聞き方の例
聞く領域を七つに分け、それぞれ聞き方の例を示します。順番は、上から順に聞くと話がつながります。
| 領域 | 聞くこと | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| 一 採用の目的 | 誰を、何人、いつまでに。なぜ今か | 「今回の採用は、どの職種を、何名、いつまでにという想定ですか。きっかけは何でしたか」 |
| 二 これまでの経路と数 | どの経路で、どのくらい応募があり、どこまで進んだか | 「これまで、どの媒体や経路を使って、応募はどのくらいありましたか。面接に進んだのは何名くらいですか」 |
| 三 選考の流れ | 応募からの流れ、各段階で誰が何をするか、期間 | 「応募が来てから、内定までの流れを順に教えてください。それぞれ、どなたが対応していますか」 |
| 四 判断する人 | 合否、条件、優先順位を誰が決めるか。返事の速さ | 「書類の合否と、面接の合否は、どなたが決めていますか。決まるまで、どのくらいかかりますか」 |
| 五 使っているもの | 媒体、文面、管理の表、ツール | 「いま使っている媒体と、スカウトや求人票の文面、応募者を管理している表を見せていただけますか」 |
| 六 止まっている点 | 担当が困っていること、時間が取られていること | 「いま一番時間を取られているのは何ですか。止まっていると感じるのはどこですか」 |
| 七 期待 | 副業の人に、何をしてほしいか、何が変わればよいか | 「私が入ることで、何が変わると助かりますか。三か月後にどうなっていれば良いですか」 |
領域の要点は、「二の数を、必ずしも依頼側が把握していない」ことです。「応募が来ない」と言う会社が、実際の応募数を数えていないことは珍しくありません。数が出てこないときは、「では、実物を見せていただいて、数えてみます」と、現状把握につなげます。
エラベルの見解
登録の相談で多いのは、「依頼側の言うとおりにスカウトの文面を直したが、変わらなかった」という話です。話を聞くと、依頼側は「文面が悪いから返信が来ない」と言い、副業の人はそれを信じて文面を直した。実際には、返信は来ていたが、依頼側の一次返信が一週間遅れていて、候補者が離脱していた。ヒアリングで「応募が来てからの流れ」と「誰がいつ対応しているか」を聞いていれば、文面を直す前に気づけたはずです。
見ていて差がつくのは、「困りごとを聞いたあとに、流れと数と人を聞いているか」です。困りごとは、依頼側の認識です。流れと数と人は、構造です。構造を聞くと、困りごとの原因が、依頼側の思っている場所と違うことが見えます。エラベルの登録でも、最初の週にヒアリングを七つの領域で行い、一枚に整理して渡している人は、依頼側から「状況を整理してくれた」と評価され、その後の提案が通りやすくなっています。
聞く順番と、進め方
ヒアリングの進め方を、番号付きで整理します。一時間の目安です。
- 目的から聞く。 誰を、何人、いつまでに。ここが曖昧なら、以降の話も曖昧になる。曖昧なら「決まっていない」と記録する。
- 経路と数を聞く。 数が出てこなければ、「実物で数えます」と伝えて次へ。数えることを自分の最初の作業にする。
- 流れを、応募から順に聞く。 各段階で、誰が、いつまでに、何をするか。「いつまでに」が無い段階を記録する。
- 判断する人と、返事の速さを聞く。 決まっていない、遅い、を記録する。
- 使っているものを見せてもらう。 見せてもらう約束を取り、権限の発行につなげる。
- 止まっている点を、担当の言葉で聞く。 ここは遮らず、担当が語りたいことを語ってもらう。
- 期待を聞く。 三か月後の姿を聞く。範囲外の期待が出たら、その場で受けず、書面の範囲を示す。
- 聞いたことを、七つの領域で一枚に整理して、翌日までに送る。 「聞いた内容の整理です。違う点があれば直してください」
進め方の要点は、「六で、担当の話を遮らない」ことです。一〜五は構造を聞く質問で、担当は答えにくいこともあります。六で、担当が語りたい困りごとを語ってもらうと、一〜五で聞けなかったことが出てきます。
聞いたあとの整理
聞いた内容を、一枚に整理します。整理の型を示します。
| 領域 | 聞いた内容 | 分かっていないこと | 自分の範囲との関係 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 営業職を二名、年内に。前任の退職がきっかけ | 要件(経験年数、業界)は曖昧 | 要件の決定は依頼側。自分は要件を聞いて文面に反映 |
| 経路と数 | 媒体を二つ。応募数は把握していない | 応募数、面接に進んだ数 | 自分の最初の作業で数える |
| 流れ | 応募→担当が書類確認→経営者が面接→内定 | 書類確認にかかる期間 | 一次返信と書類の一次絞りが自分の範囲 |
| 判断する人 | 書類は担当、面接は経営者 | 経営者の返事の速さ | 判断は依頼側。返事の目安を決める |
| 使っているもの | 媒体の管理画面、スカウト文面一種類、管理の表なし | 文面の中身 | 現状把握で見る |
| 止まっている点 | 担当が一次返信に手が回らない | 返信の遅れが離脱につながっているか | 自分の範囲。数で確かめる |
| 期待 | 応募が増えて、面接が組めるようになってほしい | — | 文面と一次返信で対応。面接の設定は依頼側 |
整理の要点は、「分かっていないこと」の列を埋めることです。ヒアリングで分かったことより、分かっていないことのほうが、次の作業(現状把握)を決めます。
聞き方の失敗
ヒアリングで起きやすい失敗を整理します。
| 失敗 | 起きる構造 | 直し方 |
|---|---|---|
| 困りごとだけ聞いて動く | 依頼側の認識を実態と思う | 流れと数と人を聞く。実物を見る |
| 数を聞かない | 依頼側が答えられなそう | 答えられなければ、数えることを最初の作業に |
| 判断する人を聞かない | 担当が全部やっていると思う | 合否、条件、優先順位の判断者を聞く |
| 期待をその場で受ける | 「面接もお願いしたい」に応じる | 書面の範囲を示す。区切りで相談 |
| 自分の型の話をする | 早く提案したい | ヒアリングでは聞くだけ。提案は課題の言語化のあと |
| 担当の話を遮る | 構造の質問を優先する | 止まっている点は遮らず聞く |
| 整理を送らない | 聞いた気になる | 翌日までに一枚で送る。認識のずれを直す機会 |
| 経営者にだけ聞く | 担当が同席していない | 担当の困りごとは担当に聞く |
| 一度で全部聞こうとする | 一時間で足りない | 分かっていないことを、次の週に聞く |
| 業界の慣行を確かめずに前提にする | 自分の本業の常識で聞く | 依頼側の業界の採用の型を聞く |
失敗の要点は、「聞く段階で、提案や判断をしない」ことです。ヒアリングは聞く作業で、提案は課題の言語化のあとに来ます。聞く段階で提案すると、依頼側の認識に引きずられた提案になります。
エラベルの見解
担当する側として登録した人の話を聞くと、最初の一か月で依頼側の信頼を得た人は、ヒアリングで「分かっていないこと」を明らかにして渡しています。「応募数を把握されていないので、まず数えます」「書類確認の期間が決まっていないので、目安を決めましょう」。依頼側は、自分たちが分かっていなかったことに気づき、副業の人が状況を見ていると感じます。分かったことだけを並べた整理は、依頼側がすでに知っていることの繰り返しになります。
依頼側から見ると、ヒアリングで構造を聞かれる経験は、社内の人事からは受けないものです。社内の人は、前提を共有しているので聞きません。外から入る副業の人だからこそ、目的から順に聞けて、前提のずれが見つかります。エラベルは、範囲と時間を書いた登録に、条件が合う案件のときだけご連絡する窓口ですが、案件の最初の週にヒアリングの型を持って入れる人は、依頼側との関係が最初から対等になり、その後の提案が通りやすい。聞く型を一つ持っていただくことをお勧めしています。
まとめ
- ヒアリングは依頼側の「困っている」を、採用の構造として聞き直す作業。聞いたことは認識であって実態ではない
- 七つの領域は目的・経路と数・選考の流れ・判断する人・使っているもの・止まっている点・期待。上から順に
- 数を依頼側が把握していないことは珍しくない。数えることを最初の作業に
- 進め方は目的→数→流れ→判断→実物→止まっている点(遮らない)→期待→翌日までに一枚で送る
- 整理は聞いた内容・分かっていないこと・自分の範囲との関係の三列。分かっていないことが次を決める
- 失敗は困りごとだけで動く・数を聞かない・期待をその場で受ける・聞く段階で提案する・整理を送らない
よくある質問
依頼側が数を把握していません。どう聞けばよいですか
把握していないことを責めず、「では、実物を見せていただいて、私が数えます」と、自分の最初の作業にします。媒体の管理画面や応募のメールを見れば、応募数、返信数、面接に進んだ数は数えられます。数えた結果を一枚にして渡すと、依頼側は初めて自分たちの状況を数で見ることになり、その後の話が数で進められるようになります。数を把握していない会社は多く、数えることは、それだけで価値のある作業です。
担当が「とにかく応募を増やしてほしい」としか言いません
「応募が増えれば解決する」は依頼側の認識で、実態は別のところにあることがあります。応募は来ているが一次返信が遅い、応募は来ているが要件と合わない、面接の日程が組めていない。「応募が来てから、いま何が起きていますか」と流れを聞き、実物で数を見ると、増やす前に直す点が見つかることが多い。担当の言葉を否定せず、「応募を増やす前に、いまの応募がどこまで進んでいるかを見せてください」と、流れに話を戻します。
ヒアリングに一時間も取ってもらえません
三十分なら、目的・流れ・判断する人・止まっている点の四つに絞ります。経路と数は実物で見る、使っているものは権限をもらって見る、期待は書面の範囲で代える。時間が取れないなら、七つの領域を書面にして送り、「分かる範囲で埋めてください」と依頼する形もあります。埋まらない項目が「分かっていないこと」なので、それ自体が整理になります。聞く時間が短くても、聞く型があれば、抜けは減ります。