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本名を出さずに受けられるか|「依頼側には本名、候補者には会社の名義」で分けると成り立つ

公開 2026-09-12

副業をしたいが、本名を出したくない。本業の会社に知られたくない、候補者に個人名で連絡したくない、検索されたときに副業が見つかるのが嫌。本名を出さずに、副業は受けられるのか。結論を先に書くと、契約の相手(依頼側)には本名が要ります。契約と請求と税務は、本名でしか成り立ちません。一方、業務で接する相手(候補者)には、依頼側の会社の名義や、採用担当の名義で接することができ、本名を出す必要はありません。「依頼側には本名、候補者には会社の名義」で分ければ、多くの場合、成り立ちます。副業の申請は副業許可の申請の出し方にまとめています。契約・請求・税務での本名の扱いは、この記事では一般的な整理にとどめ、個別の判断は専門家にご確認ください。

本名を出したくない理由の整理

本名を出したくない理由を、整理します。理由によって、対応が違います。

本業の会社に知られたくない。 副業の申請をしていない、または申請はしているが、社内に広く知られたくない。候補者が本業の会社の関係者だった場合に、本名から辿られたくない。

候補者に個人名で接したくない。 候補者から個人的に連絡が来る、SNSで検索される、退職後にも連絡が続く。個人と会社を分けたい。

検索されたくない。 本名で検索したときに、副業の実績や発信が出ることを避けたい。

家族や周囲に知られたくない。 副業をしていることを、周囲に伝えていない。

前職や過去との関係。 本名で、前職の関係者に副業が知られることを避けたい。

理由の多くは、「候補者や第三者に本名が出ること」への懸念で、「依頼側に本名を伝えること」への懸念ではありません。分けて考えれば、対応できます。

依頼側との契約での扱い

依頼側との契約、請求、税務では、本名が要ります。

契約書の当事者。 契約は、本名の個人(または本名で登録した屋号)で結びます。通称や仮名での契約は、契約の効力や、後のトラブルのときの扱いに問題が出ることがあります。この点は専門家に確認。

請求書の発行者。 請求書には、発行者の氏名(本名)が要ります。屋号を使う場合も、本名と併記することが一般的とされています。税務上の記載事項は、専門家に確認。

振込先の口座名義。 報酬の振込先は、本名の口座(または屋号の口座で本名が確認できるもの)。

税務の申告。 副業の収入の申告は、本名で。

秘密保持契約。 依頼側との秘密保持は、本名の個人として結ぶ。

つまり、依頼側には、本名は隠せません。隠す必要もありません。依頼側は、契約の相手であり、本名を知る立場です。依頼側に「本名を第三者に出さない」ことを求めることはできます。

候補者への名義の扱い

業務で接する候補者に対しては、本名を出さない形が取れます。

依頼側の会社の名義で。 スカウトの文面の差出人を、依頼側の会社名、または依頼側の採用担当の名前にする。受ける側は、依頼側の代理として文面を書き、送る。候補者は、依頼側の会社からの連絡として受け取る。

依頼側の採用担当の名義で。 依頼側の採用担当者の名前で送り、受ける側は裏で運用する。候補者への返信も、採用担当の名義で。依頼側との合意と、依頼側の担当者の了承が要る。

「採用チーム」などの部署名で。 個人名を出さず、「〇〇株式会社 採用チーム」の形。候補者から見て、個人が特定されない。

面談に出る場合。 受ける側が面談に出るなら、本名を出すか、依頼側の一員として通称で出るか。依頼側と合意し、候補者に不自然でない形で。面談に出ない業務(文面、対象の基準、面接の設計)なら、候補者と接することは無い。

候補者への名義を、依頼側と契約で決める。 「候補者への連絡は、御社の名義で行う」「受ける側の本名は、候補者に開示しない」。契約に入れる。

候補者に本名を出さない形は、依頼側との合意があれば、多くの場合、成り立ちます。依頼側にとっても、外部の人の名前より、自社の名義のほうが、候補者への一貫性を保てます。複数名義で送り分けるは依頼側向けの記事ですが、名義の考え方は共通です。

屋号や通称の使い方

本名の代わりに、屋号や通称を使う形があります。使い方と限界です。

屋号。 個人事業として届出をした屋号。請求書や名刺に使える。ただし、契約や請求では本名と併記が一般的とされ、屋号だけで本名を隠すことはできない。届出の要否や効果は、専門家に確認。

通称(ビジネスネーム)。 依頼側との合意のもとで、業務上の呼び名として使う。候補者や依頼側の社内に対しては通称で、契約と請求は本名で。依頼側に「通称で活動している」と伝え、了承を得る。

依頼側の社内での呼び名。 依頼側の社内で「〇〇さん」と通称で呼ばれる形。依頼側の担当者だけが本名を知っている。

発信での名義。 記事、SNS、登壇。通称で発信し、実績は通称で溜める。ただし、依頼側の実績を通称で公開する場合、依頼側の了承が要る。

屋号や通称は、「業務上の呼び名」であって、「契約上の名義」ではありません。契約と請求と税務は本名、業務上の接点は通称、と分けます。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「本名を出さずに副業をしたいので、依頼側にも本名を伝えなかった」というものです。通称で契約し、通称で請求し、報酬は家族の口座に。後で、契約の効力、請求の有効性、税務の申告で問題になり、依頼側にも「本名を隠していた人」として不信を持たれる。依頼側には本名を伝え、候補者には会社の名義で、と分けていれば、何の問題もありませんでした。

見ていて差がつくのは、受ける側が「誰に本名を出したくないのか」を整理しているかどうかです。「全員に出したくない」と考える人と、「依頼側には出す、候補者と第三者には出さない」と分ける人がいます。後者は、契約は正しく、候補者への名義は保護され、両立します。

受ける側にできるのは、本名を出したくない理由を整理し、「依頼側には本名、候補者には会社の名義」の形を、契約時に依頼側と合意することです。

本名を出さないことの限界

本名を出さない形には、限界があります。

依頼側には隠せない。 契約・請求・税務で、本名は必須。

面談や面接官として出るなら、名乗る必要がある。 候補者に接する業務で、通称を使うなら、依頼側との合意と、候補者に不自然でない形が要る。「外部の採用支援者」として本名で出るか、依頼側の一員として通称で出るか。

実績を公開するなら、通称で溜めることになる。 通称で公開した実績は、本名の経歴には使いにくい。本名で転職活動をするときに、副業の実績を示しにくい。

本業の会社に知られる可能性は、ゼロにはならない。 候補者が本業の会社の関係者だった、依頼側が本業の会社と取引があった、税務の手続きで知られた。本名を出さなくても、他の経路で知られることがある。本業の会社に知られたくないなら、副業の申請をしておくほうが、根本の対策。

依頼側の社内で、本名が広まることがある。 契約書を見る人、経理、担当者の上長。依頼側に「本名は担当者と経理に限る」と求めることはできるが、保証はされない。

候補者から個人を特定される可能性。 面談で会えば、顔と声で特定されることがある。

本名を出さない形は、「候補者と第三者に本名を出さない」ことはできますが、「誰にも知られない」ことはできません。

依頼側への伝え方

本名を出さない形を、依頼側にどう伝えるか。

契約の前に伝える。 「契約と請求は本名で行いますが、候補者への連絡は御社の名義で行い、私の本名は候補者に開示しない形にしたい」。契約の後に言うと、依頼側の運用が変わる。

理由は、簡潔に。 「本業との関係で」「個人と業務を分けたいので」。詳細は要らない。

依頼側の利益として。 「候補者への連絡が御社の名義なら、担当者が替わっても一貫性が保てます」。依頼側にとっても利点がある形で。

契約に入れる。 「候補者への連絡は依頼側の名義で行う」「受ける側の本名は、契約と請求と税務以外の目的で第三者に開示しない」。

依頼側の社内での扱いを、確認する。 本名を知る人の範囲。担当者と経理に限れるか。

面談に出る場合の形を、決める。 出ない業務に限るか、出るなら本名か通称か。

依頼側は、「候補者への名義を会社にする」ことには、多くの場合、応じます。自社の名義のほうが、候補者への一貫性が保てるからです。「本名を隠したい」と伝えるより、「候補者への名義を御社にしたい」と伝えるほうが、自然に通ります。

エラベルの見解

担当する側から見ると、本名の扱いで最も困るのは「受ける側が、依頼側にも本名を隠そうとする」ことです。契約の相手が誰か分からない、請求書の発行者が本名でない、振込先が本人の口座でない。依頼側の経理は処理できず、契約の効力も不安。依頼側は「何か隠している人」と感じ、信頼が下がります。

依頼側に本名を伝えることは、副業の信頼の土台です。本名を出したくない相手は、候補者と第三者であって、依頼側ではないはずです。

受ける側にできるのは、依頼側には本名を伝え、「候補者と第三者には出さない」を契約で合意することです。依頼側を信頼の相手として扱えば、依頼側も受ける側の事情を守ります。

まとめ

よくある質問

本業の会社に副業を知られたくないので、本名を出したくありません

候補者や第三者に本名を出さない形(依頼側の会社の名義で候補者に接する)は取れますが、依頼側には本名が要ります。また、本名を出さなくても、税務の手続きや他の経路で本業の会社に知られる可能性はゼロになりません。本業の会社に知られたくないなら、副業の申請を出して認められておくことが、根本の対策です。申請については副業許可の申請の出し方に。

候補者に、依頼側の採用担当の名義で連絡してもよいですか

依頼側との契約と、依頼側の担当者の了承があれば、成り立ちます。「候補者への連絡は依頼側の名義で行う」を契約に入れ、担当者に「あなたの名前で送る文面を、送る前に確認してもらう」形にします。依頼側にとっても、自社の名義のほうが候補者への一貫性が保てるので、多くの場合、応じます。

通称で契約や請求をしてもよいですか

契約と請求と税務は、本名で行うのが一般的とされています。通称だけで契約すると、契約の効力や請求の有効性、税務の申告で問題が出ることがあります。通称は、業務上の呼び名として、依頼側との合意のもとで使い、契約と請求は本名で。屋号を使う場合も、本名と併記が一般的です。個別の扱いは、専門家にご確認ください。