人事副業 / 両立・スキル
発信のネタの見つけ方|人事の副業の発信は出来事ではなく「案件で繰り返している判断」から取る。迷った場面・直した型・聞かれた質問の三つを記録しておけば、書くことは尽きない
発信を始めたものの、数本書いたところで何を書けばよいか分からなくなった。案件の話は書けないし、一般論は他の人が書いている。結論を先に書くと、人事の副業の発信のネタは、案件の出来事ではなく、案件の中で自分が繰り返している判断から取ります。「迷った場面で何を決めたか」「途中で直した型」「依頼側や候補者から聞かれた質問」の三つを案件の中で記録しておけば、依頼側と候補者を出さずに書けるネタは尽きません。ネタが尽きるのは、書くことが無いからではなく、出来事しか見ていないからです。判断に目を向けると、当たり前にやっていることがすべてネタになります。書いてはいけない線は発信で書いてはいけないことに、頻度の決め方は発信の頻度に、発信の進め方はSNS発信から案件につなげるにまとめています。
ネタが尽きる本当の理由
ネタが尽きたと感じるとき、実際に起きていることは決まっています。
| 感じていること | 実際に起きていること |
|---|---|
| 書くことが無い | 出来事を探している。案件の出来事は書けないので、書けるものが無いように見える |
| 一般論しか書けない | 自分の判断を「当たり前」だと思い、書く価値が無いと決めている |
| 他の人が書いている | 同じテーマでも、自分がどう判断しているかは他の人と違う。テーマの重複を気にしている |
| 案件が無いと書けない | 案件の話を書こうとしている。判断の仕方は、案件が無くても書ける |
| 専門的なことを書かないといけない | 依頼側が読みたいのは専門知識ではなく、この人はどう進める人か |
理由の要点は、「出来事を探している」ことです。出来事は依頼側と候補者に結びついているので、書けません。書けるのは、出来事から取り出した判断で、それは自分の中にいくらでもあります。「当たり前にやっていること」が、依頼側から見れば「この人の進め方」です。
出来事ではなく判断からネタを取る
同じ場面でも、出来事として見るか、判断として見るかで、書けるかどうかが変わります。
| 場面 | 出来事として書く(書けない) | 判断として書く(書ける) |
|---|---|---|
| 候補者が日程の都合で辞退した | 「今日、候補者が日程の理由で辞退した」 | 「面接の枠を先に固定しないと、母集団があっても辞退が出る。自分は最初に面接官の時間を押さえる」 |
| 依頼側の求人票が曖昧だった | 「クライアントの求人票がひどかった」 | 「求人票の要件が五つ以上あるときは、三つに絞ることを最初に提案する」 |
| スカウトの返信が来なかった | 「今週の返信率が低い」 | 「返信が来ないとき、文面より先に、送っている相手の絞り方を疑う」 |
| 依頼側から範囲外の仕事を頼まれた | 「クライアントから急に面接をやってくれと言われた」 | 「範囲外の依頼が来たとき、断るのではなく、範囲の見直しとして話す」 |
| 単価の交渉で迷った | 「今の案件の単価が安い」 | 「単価は相場ではなく、自分の稼働の上限と時間で決めている」 |
取り方の要点は、「その場面で、自分は何を決めるようになったか」を書くことです。出来事には依頼側と候補者と時期が含まれますが、判断にはそれが含まれません。判断として書けば、五つの線を越えず、依頼側が読みたい「この人の進め方」になります。事例として書く場合の粗くし方は事例の書き方に整理しています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「自分がやっていることは当たり前なので、書いても誰も読まない」というものです。実際には、依頼側の担当者は人事の実務を毎日やっているわけではなく、担当者にとっての「当たり前」は、依頼側にとっては「そうやって進めるのか」という発見です。求人票の要件を三つに絞る、面接の枠を先に固定する、返信が来ないときは文面より相手の絞り方を疑う。担当者には当たり前でも、依頼側はそれを知らないから外に頼んでいます。
エラベルで担当者の経歴を整えるとき、「案件で繰り返していることは何ですか」と聞くと、最初は「特に無い」と返ってきます。そこから一つずつ聞いていくと、十を超える判断が出てきます。それを経歴に書くと、依頼側の反応が変わります。発信のネタも同じ場所にあります。当たり前だと思っていることを、一つずつ書き出すと、それがネタの一覧になります。
ネタの三つの源泉
判断からネタを取るとき、案件の中の三つの場面を見ておくと、取りやすくなります。
| 源泉 | 何を取るか | 例 |
|---|---|---|
| 迷った場面 | 迷ったときに、何を基準に決めたか | 「受けるか断るか迷った案件で、自分は固定できる時間があるかで決めた」 |
| 直した型 | 最初の型が合わず、途中でどう直したか | 「スカウトの文面の冒頭を、役割の説明から会社の状況の説明に変えたら、返信の質が変わった」 |
| 聞かれた質問 | 依頼側や候補者、同じ立場の人から、何を聞かれたか | 「依頼側に『媒体を増やすべきか』と聞かれたとき、自分はこう答えている」 |
三つの要点は、「聞かれた質問」が最も取りやすいことです。聞かれた質問は、誰かが知りたかったことなので、書けば読む人がいます。依頼側から聞かれたこと、候補者から聞かれたこと、同じ立場の仲間から聞かれたことを、質問の形で書き留めておき、自分の答えを投稿にします。質問の中身は依頼側の情報を含むことがあるので、粗くして一般化します。同じ立場の人から聞かれる場面は同じ立場の仲間を作るに書いています。
案件の中で記録しておく方法
ネタは、案件が終わってから思い出すより、案件の中で書き留めるほうが、依頼側の情報と切り分けやすくなります。
| 記録するとき | 何を書くか | 書き方の要点 |
|---|---|---|
| 初回の打ち合わせの後 | 最初に確認したことと、最初に決めたこと | 依頼側の情報を書かず、「自分は最初に〇〇を確認する」の形で |
| 迷ったとき | 何で迷い、何を基準に決めたか | 「〇〇と〇〇で迷い、〇〇を基準に〇〇にした」の一行 |
| 型を直したとき | 直す前と後、直した理由 | 型そのものは依頼側の情報を抜いた形で |
| 質問されたとき | 質問と、自分の答え | 質問は一般化して。「媒体を増やすべきか」のような形に |
| 定例や報告の後 | 依頼側に説明して、伝わったこと・伝わらなかったこと | 伝わらなかったことは、書き方を変えるネタになる |
| 案件が終わったとき | この案件で繰り返した判断を三つ | 終了時にまとめると、事例の材料にもなる |
記録の要点は、「依頼側の情報を最初から書かない」ことです。記録の時点で判断だけを書いておけば、投稿にするときに粗くする手間がありません。記録は、稼働の記録の表に「判断」の列を足す形で足ります。稼働時間の管理と申告の型に一列足せば、案件ごとの判断の一覧が自然にできます。
一つの判断を複数の投稿に分ける型
一つの判断は、切り口を変えると複数の投稿になります。ネタが少なくても、切り口で増やせます。
| 切り口 | 一つの判断「求人票の要件は三つに絞る」から |
|---|---|
| なぜそうするか | 「要件が五つ以上あると、候補者は自分が合うか判断できず、応募が減る」 |
| どうやるか | 「三つに絞るとき、依頼側に『この中で一つだけ残すなら』と聞く」 |
| うまくいかない場合 | 「絞れないときは、依頼側の中で採用の目的が揃っていない。先にそこを合わせる」 |
| 依頼側にどう説明するか | 「『要件を減らす』ではなく『応募が来る形にする』と説明する」 |
| 初めての人への説明 | 「副業で最初に求人票を任されたら、まず要件の数を数える」 |
| 自分が変わったこと | 「以前は要件をそのまま載せていた。絞るようになって、面接で聞くことが変わった」 |
分ける型の要点は、「一つの判断につき、なぜ・どうやる・うまくいかない場合・依頼側への説明」の四つは書けることです。十の判断があれば、四十の投稿になります。頻度を低く決めていれば、それで一年以上続きます。切り口ごとに書くと、同じ判断を別の角度から何度も伝えることになり、読む側に「この人の進め方」として残ります。
書けないネタの見分け方
判断から取っても、書けないネタはあります。書く前に見分けます。
| 書けないネタ | なぜ書けないか | 代わりに |
|---|---|---|
| 一つの案件でしか起きていない判断 | その案件の状況と結びつき、依頼側が特定される | 複数の案件で繰り返すようになってから書く |
| 依頼側の体制や事情が前提の判断 | 「人事が一人で経営者が面接に出る会社では」は体制の特定になる | 体制を粗くし、「人事の専任がいない体制では」に |
| 候補者の反応が中心の判断 | 候補者の話が抜けると成り立たない | 候補者を消して成り立たないなら書かない |
| 依頼側との交渉の具体 | 単価や条件の交渉は契約の情報 | 交渉の「決め方」だけにする。最初の1件の価格の決め方 |
| 法令の解釈を含む判断 | 断定すると事故になる | 「一般に〜と整理されている」と添え、専門家に確認してから |
| 本業で身につけた判断で、本業の内情を含むもの | 本業の情報の持ち出し | 本業の内情を抜いて、判断だけにできるなら書く。できないなら書かない |
見分けの要点は、「複数の案件で繰り返している判断だけを書く」ことです。一つの案件でしか起きていないことは、まだ判断ではなく出来事で、その案件と結びついています。二つ以上の案件で同じ判断をするようになったら、それは自分の型で、書いても案件は特定されません。
エラベルの見解
担当する側から見ると、発信が続いている人と続かない人の差は、文章の上手さではなく、記録の有無です。案件の中で判断を書き留めている人は、発信のときに記録から選ぶだけで済み、「何を書くか」で止まりません。書き留めていない人は、発信のたびに思い出そうとし、思い出せるのは出来事なので、書けないか、線を越えるかのどちらかになります。
順番として、発信を始める前に、いまの案件で繰り返している判断を十個書き出す。それが無いなら、発信を始めるのはまだ早く、案件の中で記録を始めるのが先です。十個あれば、切り口で四十本になり、頻度を低く決めていれば一年続きます。エラベルでは、担当者の経歴を整えるときに聞く「繰り返している判断」を、担当者自身が発信の種にしている例があります。経歴の中身と発信の種は同じもので、どちらかを整えれば、もう一方も整います。経歴の書き方はプロフィールの書き方に整理しています。
まとめ
- ネタが尽きるのは出来事を探しているから。書けるのは出来事から取り出した判断で、それは尽きない
- 同じ場面でも出来事として書けば書けず、判断として書けば書ける。「その場面で自分は何を決めるようになったか」
- 源泉は迷った場面・直した型・聞かれた質問の三つ。聞かれた質問が最も取りやすい
- 案件の中で初回の後・迷ったとき・型を直したとき・質問されたとき・報告の後・終了時に判断だけを記録する
- 一つの判断はなぜ・どうやる・うまくいかない場合・依頼側への説明の四つの切り口で複数の投稿になる
- 書けないのは一つの案件でしか起きていない・体制が前提・候補者が中心・交渉の具体・法令の解釈・本業の内情。複数の案件で繰り返す判断だけを書く
よくある質問
まだ案件が一件しかありません。ネタは取れますか
一件の案件の中でも、迷った場面と聞かれた質問は起きているので、記録は始められます。ただし、一件でしか起きていない判断は、その案件と結びついているので、投稿にするのは待ちます。本業の経験で繰り返している判断のうち、本業の内情を含まないものは、副業の案件が一件でも書けます。「本業で身につけた、求人票の要件の絞り方」のような形です。本業の情報を含まないかは、発信で書いてはいけないことの線で確かめてください。
他の人がすでに同じことを書いています。書く意味はありますか
同じテーマでも、自分がどう判断しているかは他の人と違います。依頼側が読んでいるのは、テーマの新しさではなく、「この人はこう進める人か」です。他の人と同じテーマで、自分の判断を書けば、それは自分の発信になります。逆に、他の人が書いていないテーマを探すと、自分が繰り返していない判断を書くことになり、内容が薄くなります。
判断を書くと、自分の型を他の人に真似されませんか
型は真似されますが、依頼側が頼んでいるのは型ではなく、その型で進める人です。同じ型を読んだ人が同じように進められるなら、それは型が広まっただけで、自分の案件が減るわけではありません。むしろ、型を公開している人は「この型で進める人」として依頼側に覚えられ、案件の入口が増える傾向があります。真似されて困る型があるなら、それは公開せず、面談で話す形にします。