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労働者派遣法の基本|三者の関係・期間制限・労働契約申込みみなしを押さえる

公開 2026-09-23

副業で人事を受けていると、派遣スタッフのいる職場に入ることになります。そして、会社の中で「派遣さん」の扱いが曖昧なことに気づきます。三年で交代させる理由を誰も説明できない、直接雇用に切り替えたいが手順が分からない、部署の判断で残業を頼んでいる。結論を先に書くと、労働者派遣法第2条第1号は「労働者派遣」を「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする」と定義しており、雇用と指揮命令が分かれることが最大の特徴です。そのうえで、第40条の2は派遣先の事業所ごとに、第40条の3は組織単位ごとに、それぞれ期間の制限を置いています。個別の判断は都道府県労働局の需給調整事業部門や弁護士にご確認ください。請負との線引きは偽装請負にならない業務設計に、業務委託との違いは業務委託と雇用の境界にまとめています。

三者の関係と、できない業務

定義から。第2条第1号の「労働者派遣」は、自己の雇用する労働者を、雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、その他人のために労働に従事させることです。同条第2号は「派遣労働者」を「事業主が雇用する労働者であつて、労働者派遣の対象となるもの」と定義しています。

雇用主は派遣元、指揮命令は派遣先。この分離が、派遣を請負や業務委託と分ける決定的な点です。請負では、指揮命令も受注者が行います。詳しくは37号告示の二つの柱を扱った記事に譲ります。

労働者供給との違い。職業安定法第44条は「何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない」と定めています。許可を受けた労働者派遣は、この枠の外に置かれた仕組みです。

行ってはならない業務(第4条)。第1項は「何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行つてはならない」として、次を挙げています。

第3項が派遣先にかかります。「労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その指揮命令の下に当該労働者派遣に係る派遣労働者を第一項各号のいずれかに該当する業務に従事させてはならない」。受け入れる側にも禁止がかかる形です。

二つの期間制限

期間制限は二本立てです。混同されがちなので、分けて覚えます。

事業所単位(第40条の2)。第1項は「派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない」。第2項は「前項の派遣可能期間…は、三年とする」。

第3項は、三年を超えて受け入れようとするときに、抵触することとなる最初の日の一月前の日までの間(意見聴取期間)に、三年を限り延長できるとしています。第4項は、延長しようとするときに、その事業所の過半数労働組合等の意見を聴かなければならないと定めています。第5項は、意見を聴かれた過半数労働組合等が異議を述べたときは、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、延長の理由その他の事項について説明しなければならないとしています。第7項は、延長したときは速やかに派遣元事業主に抵触日を通知することを定めています。

適用されない場合(第40条の2第1項ただし書)。無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣、雇用の機会の確保が特に困難である派遣労働者として厚生労働省令で定める者に係る労働者派遣、一定の期間内に完了することが予定されている事業の開始・転換・拡大・縮小・廃止のための業務、一箇月間の日数が通常の労働者の所定労働日数に比し相当程度少なく厚生労働大臣の定める日数以下である業務、産前産後休業・育児休業をする労働者の業務、介護休業等をする労働者の業務。

個人単位(第40条の3)。「派遣先は、前条第三項の規定により派遣可能期間が延長された場合において、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、派遣元事業主から三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣…の役務の提供を受けてはならない」。派遣元側にも、第35条の3が同じ内容の禁止を置いています。

「三年で交代」の正体はこれです。事業所単位は、意見聴取をすれば三年ごとに延長できます。一方、個人単位は、同じ組織単位について同じ人を三年を超えて受け入れられない形です。部署を変えれば同じ人が働き続けられるのは、制限が「組織単位ごと」に置かれているためです。

エラベルの見解

担当する側から見ると、この領域で会社が本当に困っているのは条文ではなく、「意見聴取を誰がいつやるのか」が社内で決まっていないことです。第40条の2第3項は、抵触することとなる最初の日の一月前の日までに延長の手続を行うことを求めています。この日付は事業所ごとに違い、しかも派遣元からの通知や自社の記録がないと分かりません。気づいたときには過ぎている、という事故が起きます。

実務で最初に作るのは、事業所ごとの抵触日の一覧です。どの事業所が、いつ抵触するのか。次の意見聴取はいつまでに行うのか。誰が過半数代表者なのか。過半数代表者の選出手続はどうなっているのか。この一枚があると、総務や現場が動けます。あわせて、個人単位の三年を迎える人の一覧も作ります。ここが見えていないと、現場は突然「来月で終わりです」と言われることになり、業務が止まります。

もう一つ、意見聴取を「形式」だと思っている会社が多いのですが、第6項は「この法律の趣旨にのつとり、誠実にこれらを行うように努めなければならない」と定めています。異議が出たときの説明義務(第5項)まで含めて設計しておくと、後から揉めません。エラベルは依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、この手の期限管理を組んだ経験は、経歴に書いておくと効きます。

派遣元の義務・派遣先の義務と、みなし制度

派遣元の主な義務。第30条の2第1項は「その雇用する派遣労働者が段階的かつ体系的に派遣就業に必要な技能及び知識を習得することができるように教育訓練を実施しなければならない」、第2項は、求めに応じた職業生活の設計に関する相談の機会の確保その他の援助を定めています。第30条の3は不合理な待遇の禁止、第30条の4は労使協定による方式です。待遇については同一労働同一賃金にまとめています。

派遣先の主な義務。

条文内容
第40条の2事業所単位の期間制限(三年)、延長には過半数労働組合等の意見聴取、抵触日の通知
第40条の3組織単位ごとの、同一の派遣労働者についての三年の制限
第40条の4組織単位ごとの同一の業務に継続して一年以上、同一の特定有期雇用派遣労働者を受け入れた場合、その業務に労働者を従事させるため雇い入れようとするときは、遅滞なく雇い入れるよう努めなければならない
第40条の5同一の事業所で一年以上継続して同一の派遣労働者を受け入れている場合、通常の労働者の募集事項を当該派遣労働者に周知しなければならない。組織単位で継続して三年間従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者については、対象がさらに広がる読み替えがある

第40条の5は、採用の設計に直結します。正社員の募集を出すとき、派遣で来ている人に周知する義務がかかる場合があります。募集の掲示や社内周知の運用に、この経路を入れておきます。募集時の明示事項は募集時の労働条件明示にまとめています。

労働契約申込みみなし制度(第40条の6)。これが、派遣先にとってもっとも重い規定です。「労働者派遣の役務の提供を受ける者…が次の各号のいずれかに該当する行為を行つた場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす」。ただし書きで、その行為が各号に該当することを知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときを除いています。

各号は次のとおりです。

第2項は「前項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者は、当該労働契約の申込みに係る同項に規定する行為が終了した日から一年を経過する日までの間は、当該申込みを撤回することができない」と定めています。

五号が、偽装請負の話とつながります。適用を免れる目的で請負の名目にした場合、派遣先が労働契約の申込みをしたものとみなされ得る、という構えです。請負の設計を軽く見てはいけない理由は、ここにあります。

エラベルの見解

外に出してよいのは、抵触日の一覧、意見聴取の段取りと過半数代表者の選出手続、個人単位の三年を迎える人の一覧、募集周知の経路、派遣先管理台帳や派遣先責任者の設置の確認までで、「この受入れが期間制限に違反するか」「この契約がみなし制度の対象になるか」といった個別の判断は、都道府県労働局の需給調整事業部門や弁護士の範囲です。

担当する側から見ると、この案件の本当の価値は、派遣を「採用の一部」として設計し直せるかにあります。多くの会社は、派遣を人手不足の穴埋めとして扱い、三年経ったら交代させて、また一から教えています。しかし第40条の4は継続して一年以上の受入れがある場合の雇入れの努力義務を、第40条の5は募集事項の周知義務を置いています。法令は、直接雇用への道筋を想定した書き方になっています。

実務では、派遣で三年働いた人のうち、誰を正社員として迎えたいかを現場に聞くところから始めます。すると、たいてい名前が出てきます。仕事も人も分かっている人を、制度の期限が来たという理由だけで手放している。ここを可視化すると、会社は自分で動きます。期間制限の管理表を作る仕事が、採用の設計に変わる瞬間です。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、派遣の受入れから直接雇用への転換まで設計した経験は、経歴に書いておくと効きます。

まとめ

よくある質問

派遣の人は三年で交代させないといけないのですか

期間制限は二つあります。第40条の2は事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について派遣可能期間(三年)を定めていますが、第3項により、過半数労働組合等の意見を聴いたうえで三年を限り延長できます。第40条の3は、派遣可能期間が延長された場合に、組織単位ごとの業務について同一の派遣労働者を三年を超えて受け入れてはならないとしています。したがって、事業所としては延長でき、同じ人については組織単位が変わらない限り三年が上限という構えです。また、無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣など、第40条の2第1項各号に当たるものは期間制限の対象外とされています。個別の判断は都道府県労働局の需給調整事業部門にご確認ください。

派遣で来ている人に、正社員の求人を伝える必要はありますか

第40条の5第1項は、同一の事業所その他派遣就業の場所において一年以上の期間継続して同一の派遣労働者を受け入れている場合に、その場所で労働に従事する通常の労働者の募集を行うときは、掲示その他の措置により、従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の募集に係る事項を当該派遣労働者に周知しなければならない、と定めています。第2項には、組織単位の業務について継続して三年間従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者について、対象を広げる読み替えが置かれています。自社の状況への当てはめは、都道府県労働局の需給調整事業部門にご確認ください。

請負契約にしておけば、期間制限は関係ありませんか

第40条の6第1項第5号は、この法律等の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第26条第1項各号に掲げる事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けることを、労働契約の申込みをしたものとみなす行為として挙げています。また、37号告示第三条は、区分の要件を形式的に満たしていても、故意に偽装されたものであって真の目的が労働者派遣を業として行うことにあるときは、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることができないとしています。契約の名目ではなく実態で判断される構えなので、請負として設計するなら告示の要件を実際に満たす運用が要ります。個別の判断は都道府県労働局や弁護士にご確認ください。

出典