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女性活躍推進法の義務|情報公表の必須項目・行動計画・えるぼし認定の要点

公開 2026-09-22

副業で人事を受けていると、依頼先から「女性活躍推進法で、うちは何を公表しないといけないのか」と聞かれることがあります。この法律は改正が続いており、令和8年4月1日施行の改正で情報公表の必須項目が広がり、これまで対象外だった規模の企業にも義務が及ぶようになりました。解説サイトの古い記事を見て「うちは1項目でよい」と思っている依頼先があるので、副業の人事は一次情報で確かめてから伝えます。この記事は、女性活躍推進法に基づく義務を、厚生労働省の記載に沿って整理したものです。結論を先に書くと、令和7年6月11日公布の改正法と、同年12月23日公布・告示の省令・指針により、2026(令和8)年4月1日から情報公表の必須項目が拡大しました。従業員301人以上の企業は男女間賃金差異と女性管理職比率に加えて2項目以上、101〜300人の企業は男女間賃金差異と女性管理職比率に加えて1項目以上の公表が義務付けられ、100人以下の企業は努力義務の対象です。副業の人事が持つのは、対象の確認、数字の作り方と記録の運用、公表と行動計画の準備までで、個別の判断は社会保険労務士や労働局にご確認ください。育児休業取得率の公表は育児休業取得率の公表義務に、法改正の追い方は法改正の追い方と情報源にまとめています。

改正で何が変わったか

厚生労働省のリーフレットによれば、女性の職業生活における活躍に関する取組の推進等を図るため、10年の期限延長や情報公表の必須項目の拡大を含めた女性活躍推進法等を改正する法律が成立し、令和7年6月11日に公布されました。あわせて、女性活躍推進法に基づく省令・指針が改正され、同年12月23日に公布・告示されています。施行は2026(令和8)年4月1日です。

情報公表については、これまで従業員301人以上の企業に義務付けられていた男女間賃金差異の公表が101人以上の企業に拡大され、新たに女性管理職比率についても101人以上の企業に公表が義務付けられました。従業員100人以下の企業は努力義務の対象です。

企業の規模改正前改正後
301人以上男女間賃金差異に加えて、2項目以上を公表男女間賃金差異および女性管理職比率に加えて、2項目以上を公表
101〜300人1項目以上を公表男女間賃金差異および女性管理職比率に加えて、1項目以上を公表
100人以下—努力義務

男女間賃金差異は令和4年7月8日から301人以上の企業に義務付けられていたもので、女性管理職比率は令和8年4月1日から新たに義務付けられたものです。101〜300人の企業にとっては、男女間賃金差異も女性管理職比率も、どちらも令和8年4月1日から新たな義務になります。

選択して公表する項目

必須項目に加えて選ぶ項目は、二つの区分から選びます。301人以上の企業は、それぞれの区分から1項目以上(合計2項目以上)、101〜300人の企業は、二つの区分の14項目のうち1項目以上を選びます。

「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」の7項目。採用した労働者に占める女性労働者の割合、男女別の採用における競争倍率、労働者に占める女性労働者の割合、係長級にある者に占める女性労働者の割合、役員に占める女性の割合、男女別の職種または雇用形態の転換実績、男女別の再雇用または中途採用の実績。

「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」の7項目。男女の平均継続勤務年数の差異、10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合、男女別の育児休業取得率、労働者の一月当たりの平均残業時間、雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間、有給休暇取得率、雇用管理区分ごとの有給休暇取得率。

リーフレットには、情報公表の範囲そのものが、女性活躍に対する姿勢を表すものとして求職者の企業選択の要素となることに留意し、必須項目数以上の項目について積極的な公表を検討してほしい、と書かれています。

エラベルの見解

担当する側から見ると、この案件で結果が分かれるのは、必須項目を埋めることではなく「選択する項目を、依頼先の採用の状況に合わせて選べるか」です。リーフレットが「公表の範囲そのものが求職者の企業選択の要素になる」と書いているとおり、選択項目は求職者へのメッセージになります。相談で見ていると、多くの依頼先は「数字が良い項目」を選ぼうとしますが、採用の観点で見ると、候補者が知りたい項目を選ぶほうが効きます。

たとえば、中途採用で女性の応募が少ない依頼先が「男女別の再雇用または中途採用の実績」を出すと、候補者は「この会社は中途で女性を採っている」と分かります。長く働けるかを気にされる依頼先が「男女の平均継続勤務年数の差異」や「男女別の育児休業取得率」を出すと、面接で聞かれる前に答えになります。数字が良くないなら、要因と課題の分析を説明欄に書く方法もあり、リーフレットにも、単に数値の情報だけでなく要因および課題の分析の結果等のより詳細な情報や補足的な情報を公表することも可能で、説明欄を有効活用して追加的な情報公表を行うことが望ましい、と書かれています。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、「公表を採用のメッセージとして設計できる」ことは、採用も見ている依頼先に効く経歴になります。

数字の作り方と、公表の時期・方法

男女間賃金差異。リーフレットでは、男性労働者の賃金の平均に対する女性労働者の賃金の平均を割合(パーセント)で示すもので、「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の区分での公表が必要だとされています。計算の前提とした重要事項(対象期間、対象労働者の範囲、「賃金」の範囲等)を付記することが示され、付記事項の例として、対象期間、正社員は社外への出向者を除く、パート・有期社員は契約社員・アルバイト・パートが該当、賃金は通勤手当等を除く、といった記載が挙げられています。小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位まで表示する形が示されています。

女性管理職比率の「管理職」。リーフレットでは、管理職とは「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」の合計だとされています。「課長級」とは、①事業所で通常「課長」と呼ばれている者であって、その組織が二係以上からなり、もしくはその構成員が10人以上(課長を含む)のものの長、②同一事業所において、課長の他に、呼称や構成員に関係なく、その職務の内容および責任の程度が「課長級」に相当する者(ただし、一番下の職階ではないこと)、のいずれかに該当する者とされ、一般的に「課長代理」や「課長補佐」については「課長級」に該当しない、と書かれています。

公表の時期。初回の「男女間賃金差異」および「女性管理職比率」の情報公表は、改正法の施行後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表する必要があるとされています。リーフレットの例では、令和8年4月末に事業年度が終了する企業はおおむね令和8年7月末まで、令和8年12月末に終了する企業はおおむね令和9年3月末まで、令和9年3月末に終了する企業はおおむね令和9年6月末まで、とされています。その後もおおむね1年に1回以上、最新の数値を公表する必要があります。女性管理職比率については、公表時点で得ることができる最新のものとする必要があり、具体的には、古くとも公表を行う事業年度の前事業年度時点の情報である必要があるが、最新のものであれば公表を行う事業年度またはその前事業年度のいずれの時点の情報であっても差し支えない、とされています。

公表の方法。リーフレットでは、公表の場は厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」が最も適切だとされ、自社のホームページへの掲載等でも差し支えない、と書かれています。同データベースにはあらかじめ注釈・説明欄が設けられているとも案内されています。

行動計画と、えるぼし認定

一般事業主行動計画。女性活躍推進法では、情報公表とあわせて一般事業主行動計画の策定が求められます。リーフレットでは、事業主は、女性活躍推進法に基づく情報公表や一般事業主行動計画の策定に際し、改正法や改正省令・指針に沿った取組が行われるよう準備を進めてほしい、とされています。今回の改正では、企業が行動計画を策定する際に職場における女性の健康支援に資する取組を盛り込むことを促進するため、事業主行動計画策定指針が改正され、男女の性差を踏まえ、特に職場における女性の健康上の特性に係る取組が行われることが望ましい、とされています。あわせて、健康に関してはプライバシー保護が特に求められることに留意する、とも書かれています。

えるぼし認定とえるぼしプラス。リーフレットでは、えるぼし認定(1段階目)の基準が見直され、改善傾向にあることを評価する新たな選択肢が示されたこと、えるぼし認定(1・2・3段階目)およびプラチナえるぼしについて、女性の健康支援に関する基準を追加した新しい認定(えるぼしプラス・プラチナえるぼしプラス)が創設され、令和8年4月1日から申請できることが案内されています。女性の健康支援に関する認定基準として、女性の健康上の特性に配慮した休暇制度等を設けていること、方針を示して周知する取組を実施していること、理解を促進するための研修等の取組を実施していること、担当者を選任して相談に応じさせる措置を講じ周知していること、が挙げられています。

副業の人事がやること。行動計画は、依頼先の課題分析から作るもので、人事の実務経験がそのまま使える領域です。公表の数字を作る過程で見えた課題(採用の段階で女性が少ない、係長級で止まっている、継続勤務年数に差がある)を、行動計画の目標と取組に落とします。認定の申請の可否や基準の充足の判断は、労働局や社会保険労務士にご確認ください。

エラベルの見解

外に出してよいのは、対象の確認の材料、数字の作り方と記録の運用、公表の期限の一覧、選択項目の選定と説明欄の下書き、行動計画の課題分析と目標の案、認定の基準と自社の状況の突き合わせの整理までで、「この人は課長級に当たるか」「この賃金の範囲でよいか」「認定の基準を満たすか」といった個別の判断は、労働局や社会保険労務士の範囲です。特に管理職の定義と賃金の範囲は、依頼先の職階と賃金制度に当てはめる判断なので、副業の人事が決め切る場所ではありません。

担当する側から見ると、この案件で最も価値が出るのは、「公表のための集計」を「人事の課題の発見」に変えることです。男女間賃金差異を全労働者・正規・非正規で出すと、差が正規の中にあるのか、非正規の比率の違いから来ているのかが見えます。女性管理職比率を課長級と課長級より上で分けて見ると、どの段階で止まっているかが見えます。この読み取りをして行動計画につなげると、依頼先にとっては「義務の対応」ではなく「人事の改善の起点」になります。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、数字を読んで次の打ち手まで出せる人は、公表の翌年も続けて頼まれています。

まとめ

よくある質問

依頼先は従業員150人です。これまで1項目でよかったのに、増えるのですか

はい。改正前は101〜300人の企業は1項目以上の公表でしたが、改正後は男女間賃金差異と女性管理職比率に加えて1項目以上、合計3項目以上の公表が義務付けられます。男女間賃金差異も女性管理職比率も、101〜300人の企業にとっては令和8年4月1日から新たな義務です。解説サイトの古い記事には改正前の内容が残っていることがあるので、厚生労働省のリーフレットで確かめてから依頼先に伝えます。対象や数え方の個別の判断は、労働局や社会保険労務士にご確認ください。

数字が良くありません。そのまま公表するしかないですか

公表は義務なので数字自体は出しますが、リーフレットには、単に数値の情報だけでなく、要因および課題の分析の結果等のより詳細な情報や補足的な情報を公表することも可能であり、説明欄を有効活用して追加的な情報公表を行うことが望ましい、と書かれています。女性の活躍推進企業データベースには注釈・説明欄が設けられているとも案内されています。数字の背景(雇用管理区分の構成、職種の偏り、近年の採用の変化)と、行動計画で何に取り組むかを書けば、求職者に伝わる形になります。数字を良く見せるために対象を操作することは避けます。

育児休業取得率の公表と、どう関係しますか

別の制度ですが、女性活躍推進法の選択項目には「男女別の育児休業取得率」が含まれており、育児・介護休業法に基づく男性の育児休業取得率等の公表も、常時雇用する労働者が300人を超える企業に義務付けられています。依頼先の規模によっては両方の対象になるので、事業年度の終了後に、両方の集計と公表をまとめて行う年間の予定を作ると漏れにくくなります。集計の元になる記録も共通する部分があります。育児休業取得率の公表は育児休業取得率の公表義務に整理しています。

出典