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性別による募集差別の禁止|均等法第5条の直接差別と、第7条の間接差別の三つ

公開 2026-09-23

副業で人事を受けていると、募集の相談でこういう言い方に出会います。「職場が男性ばかりなので女性を採りたい」「体力仕事なので男性向けに書きたい」「営業は転勤ありにしておきたい」。どれも悪意なく出てくる言葉ですが、条文と照らすと、そのまま通せないものがあります。結論を先に書くと、男女雇用機会均等法第5条は「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」と定め、第7条は、性別以外の事由を要件とする措置のうち実質的に性別を理由とする差別となるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるものを、合理的な理由がある場合でなければ講じてはならないと定めています。その省令で定められている三つの措置には、募集又は採用に当たって身長・体重・体力を要件とすることと、募集若しくは採用、昇進又は職種の変更に当たって転居を伴う転勤に応じられることを要件とすることが入っています。個別の判断は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)や弁護士にご確認ください。求人票そのものの書き方は求人情報の的確表示義務に、面接での質問は面接で聞いてはいけないことにまとめています。

第5条が禁じる五つの類型

指針(平成18年厚生労働省告示第614号)は、募集及び採用に関し、一の雇用管理区分において次に掲げる措置を講ずることは法第5条により禁止される、として五つの類型を挙げ、それぞれに具体例を付けています。

イ 募集又は採用に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。排除していると認められる例として、一定の職種(いわゆる「総合職」「一般職」等を含む)や一定の雇用形態(いわゆる「正社員」「パートタイム労働者」等を含む)について募集又は採用の対象を男女のいずれかのみとすること、男女のいずれかを表す職種の名称を用い(対象を男女のいずれかのみとしないことが明らかである場合を除く)、又は「男性歓迎」「女性向きの職種」等の表示を行うこと、男女をともに募集の対象としているにもかかわらず応募の受付や採用の対象を男女のいずれかのみとすること、が挙げられています。

ロ 募集又は採用に当たっての条件を男女で異なるものとすること。例として、女性についてのみ、未婚者であること、子を有していないこと、自宅から通勤すること等を条件とし、又はこれらの条件を満たす者を優先すること。

ハ 採用選考において、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。例として、筆記試験や面接試験の合格基準を男女で異なるものとすること、男女で異なる採用試験を実施すること、男女のいずれかについてのみ採用試験を実施すること、採用面接に際して、結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について女性に対してのみ質問すること。

ニ 募集又は採用に当たって男女のいずれかを優先すること。例として、採用の基準を満たす者の中から男女のいずれかを優先して採用すること、男女別の採用予定人数を設定し、これを明示して募集すること、又は設定した人数に従って採用すること、男女のいずれかについて採用する最低の人数を設定して募集すること、男性の選考を終了した後で女性を選考すること。

ホ 求人の内容の説明等、募集又は採用に係る情報の提供について、男女で異なる取扱いをすること。例として、会社の概要等に関する資料を送付する対象を男女のいずれかのみとし、又は資料の内容・送付時期等を男女で異なるものとすること、求人の内容等に関する説明会の対象を男女のいずれかのみとし、又は実施時期を男女で異なるものとすること。

「雇用管理区分」という言葉。指針は、雇用管理区分を「職種、資格、雇用形態、就業形態等の区分その他の労働者についての区分であって、当該区分に属している労働者について他の区分に属している労働者と異なる雇用管理を行うことを予定して設定しているもの」と定義し、同一か否かは職務の内容や人事異動の幅・頻度等に客観的・合理的な違いが存在しているかで判断する、その判断は単なる形式ではなく雇用管理の実態に即して行う必要がある、としています。名前を分けただけの区分は、区分として扱われないということです。

第7条の間接差別

第7条の条文はこうです。「事業主は、募集及び採用並びに前条各号に掲げる事項に関する措置であつて労働者の性別以外の事由を要件とするもののうち、措置の要件を満たす男性及び女性の比率その他の事情を勘案して実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置として厚生労働省令で定めるものについては、当該措置の対象となる業務の性質に照らして当該措置の実施が当該業務の遂行上特に必要である場合、事業の運営の状況に照らして当該措置の実施が雇用管理上特に必要である場合その他の合理的な理由がある場合でなければ、これを講じてはならない」。

厚生労働省令(同法施行規則第2条)が定める三つは、次のとおりです。

採用に関わるのは一と二です。指針は、一の「身長・体重・体力要件」について、合理的な理由がないと認められる例として、荷物を運搬する業務について当該業務を行うために必要な筋力より強い筋力があることを要件とする場合、運搬等のための設備・機械等が導入されており通常の作業において筋力を要さない場合に一定以上の筋力があることを要件とする場合、単なる受付や出入者のチェックのみを行う等防犯を本来の目的としていない警備員の職務について身長又は体重が一定以上であることを要件とする場合、を挙げています。

二の「転勤要件」については、合理的な理由がないと認められる例として、広域にわたり展開する支店・支社等がなくその計画等もない場合、広域にわたり展開する支店・支社等はあるが長期間にわたり本人が希望した場合を除き転居を伴う転勤の実態がほとんどない場合、異なる地域での勤務経験等が労働者の能力の育成・確保に特に必要とは認められずかつ組織運営上も人事ローテーションを行う必要が認められない場合、が挙げられています。

「とりあえず転勤ありにしておく」が引っかかります。実態として転勤がほとんどない会社が、慣例で募集要件に転勤を書いている。これは第7条の枠で見られる形です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、この分野の相談で難しいのは、依頼側の動機がたいてい善意だということです。「女性が働きやすい職場にしたいから女性を採りたい」「体力的にきつい仕事だから、応募者が後悔しないように男性向けに書きたい」。悪気がないぶん、条文を突きつけると会話が止まります。

実務で効くのは、動機を否定せずに、実現の道を別に示すことです。女性を増やしたいという話なら、第8条(女性労働者に係る措置に関する特例)と、指針が挙げるポジティブ・アクションの枠があります。指針は、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない雇用管理区分における募集・採用に当たって女性に有利な取扱いをすることを、法違反とはならない場合として整理しています。体力の話なら、身長・体重・体力そのものを要件にするのではなく、業務の内容を具体的に書いて、応募者が自分で判断できるようにする。「実際の作業は一回◯kgの荷物を一日◯回運びます」と書けば、性別の話をせずに済みます。禁止を伝えるだけでは現場は動きませんが、代わりの手を一緒に出すと動きます。エラベルは依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、この転換ができる人は、募集設計の案件で指名されます。

例外と、求人票の点検

指針は、次の場合に募集・採用等の措置を講ずることは、性別にかかわりなく均等な機会を与えていない、又は性別を理由とする差別的取扱いをしているとは解されず、法第5条及び第6条の規定に違反することとはならない、としています。

例外は狭く書かれています。「力仕事だから」「職場に女性用の設備がないから」は、ここに並んでいません。設備を理由に募集を絞る相談は現場でよく出ますが、条文の例外としては書かれていないので、設備側を解く方向で考えることになります。

副業の人事が作るのは、次の形です。個別の適否の判断は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)や弁護士にご確認ください。

点検するもの見るところ
職種名男女のいずれかを表す名称を使っていないか(対象を限らないことが明らかな場合を除く)
求人票の表現「男性歓迎」「女性向きの職種」等の表示がないか
応募条件未婚であること、子を有していないこと、自宅から通勤することを女性にのみ求めていないか
身長・体重・体力要件にしているか。しているなら、業務の遂行上どう必要かを説明できるか
転勤要件実際に転居を伴う転勤の実態があるか。ない場合、なぜ要件に入れているか
採用予定人数男女別の人数を設定していないか
選考の進め方試験や面接の基準、受付、説明会の案内が男女で違っていないか
面接の質問結婚の予定、出産後の就労希望を女性にのみ聞いていないか
資料・説明会送付対象、内容、時期、実施時期が男女で違っていないか

面接の質問は、二重に引っかかります。結婚の予定や出産後の継続就労の希望を女性にのみ聞くことは、指針が第5条の禁止の例として明示しています。加えて、公正な採用選考の枠でも家族に関することは配慮すべき事項に挙げられています。面接官への説明では、両方の根拠を示すと伝わります。妊娠・出産等に関する不利益取扱いの禁止は第9条にあり、ハラスメントの側面はマタハラ・ケアハラ対応にまとめています。女性活躍推進法の枠は女性活躍推進法の義務に分けています。

エラベルの見解

外に出してよいのは、求人票と募集要件の点検表、職種名と表現の整理、転勤要件と身長・体重・体力要件の棚卸し、面接の質問の設計、説明会と資料の扱いの統一までで、「この要件に合理的な理由があるか」「この措置がポジティブ・アクションとして認められるか」といった個別の判断は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)や弁護士の範囲です。

担当する側から見ると、この案件の本体は、転勤要件を外せるかどうかにあります。多くの会社は、総合職の要件に転勤を入れたまま、実際にはほとんど転勤させていません。ここを外すと、応募者の母集団が目に見えて広がります。育児や介護を抱える人、共働きで地域を動けない人、地方で優秀な人。第7条の話として入っても、結果として採用の成果が出るのはここです。逆に言うと、条文を持ち出さなくても、採用がうまくいっていない会社ほど、この要件に引っかかっています。制度の整理と採用の改善が同じ方向を向く、珍しい領域です。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、募集要件の見直しで母集団を変えた経験は、経歴に書いておくと効きます。

まとめ

よくある質問

女性が少ない職場なので、女性を優先して採用したいと言われました

指針は、募集及び採用に当たって男女のいずれかを優先することを法第5条により禁止される措置として挙げる一方で、ポジティブ・アクションを講ずる場合はこの限りではない、としています。均等法第8条も「前三条の規定は、事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となつている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を講ずることを妨げるものではない」と定めています。指針では、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない雇用管理区分において女性に有利な取扱いをすることが整理されています。自社の状況がこの枠に当たるかどうかは、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)にご確認ください。

力仕事なので、体力を条件に書きたいと言われました

体力を要件とすることは、均等法第7条と施行規則第2条第1号の「労働者の募集又は採用に関する措置であつて、労働者の身長、体重又は体力に関する事由を要件とするもの」に当たり、合理的な理由がある場合でなければ講じてはならないとされています。指針は、合理的な理由がないと認められる例として、当該業務を行うために必要な筋力より強い筋力を要件とする場合や、設備・機械等が導入されていて通常の作業で筋力を要さない場合を挙げています。実務では、体力そのものを要件にするより、実際の作業内容を具体的に書いて応募者が自分で判断できるようにする形を採ります。個別の判断は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)にご確認ください。

転勤の可能性があるので、総合職は転勤ありにしています

均等法施行規則第2条第2号は、募集若しくは採用、昇進又は職種の変更に当たって住居の移転を伴う配置転換に応じることができることを要件とするものを、第7条の対象として定めています。指針は、合理的な理由がないと認められる例として、広域にわたる支店・支社等がなくその計画もない場合、支店・支社等はあるが長期間にわたり本人の希望による場合を除き転居を伴う転勤の実態がほとんどない場合などを挙げています。まずは直近数年の転勤の実績を数えるところから始めます。実態が伴っているなら、その必要性を説明できる形に整理します。個別の判断は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)や弁護士にご確認ください。

出典