人事副業 / 単価・契約・税務

経費にできるもの|「副業に直接要った支出か」で仕分け、判断は専門家に、記録は自分で

公開 2026-09-12

副業の収入があると、「何が経費になるのか」が気になります。パソコン、通信費、書籍、カフェの作業代。全部が経費になるわけではなく、どこまでが認められるかは、制度と個別の状況で変わります。結論を先に書くと、経費にできるかどうかの判断は、税理士などの専門家に委ねてください。受ける側が自分でできるのは、「副業に直接要った支出か」で仕分けて記録を残し、専門家に判断してもらえる状態にすることです。判断を自分で下すより、判断できる材料を揃えるほうが、正確で安全です。請求書は請求書の書き方に、申告は確定申告の進め方にまとめています。この記事は、税務上の判断を示すものではありません。

経費の考え方の一般的な整理

副業の経費については、一般に、「その収入を得るために直接要した支出」が経費として扱われる、と整理されています。ただし、何が「直接要した」に当たるかは、支出の種類、副業の形、本業との関係、証拠の有無で変わり、個別の判断になります。

受ける側が持っておく前提は、次のとおりです。

全部が経費になるわけではない。 副業に関係の薄い支出、私的な支出と区別できない支出は、経費として扱えないことがあります。

判断は、専門家に。 制度は複雑で、改定もあります。自分で「これは経費」と決めて申告すると、後で否認されることがあります。

記録が無ければ、判断もできない。 領収書やレシート、何に使ったかの記録が無いと、専門家も判断できません。

本業の給与とは、扱いが違う。 本業の給与には、経費という概念が原則としてありません。副業の収入(報酬)には、経費の概念があります。副業の形(給与か報酬か)で、扱いが変わります。

この記事は、「何が経費か」を示すものではなく、「専門家に判断してもらえる準備」を整理するものです。

副業で出やすい支出の種類

人事の副業で出やすい支出を、種類で挙げます。経費になるかどうかは、種類ではなく、個別の状況で専門家が判断します。

種類
道具パソコン、周辺機器、ソフトウェアの利用料
通信通信回線、携帯電話の利用料
場所作業場所の費用(自宅の一部、外の作業場所)
情報書籍、有料の情報サービス、セミナーの参加費
移動依頼側との打ち合わせや面談への交通費
通信・連絡郵送、印刷
専門家税理士などへの相談料
媒体・ツール副業で使う採用媒体やツールの利用料(自分で契約している場合)
交際依頼側や関係者との飲食(判断が分かれやすい)

種類ごとに、「副業に直接要ったか」「本業や私用と兼ねていないか」「証拠があるか」を、記録に添えておきます。判断は専門家に。

本業と副業で兼ねる支出の扱い

パソコン、通信費、作業場所など、本業や私用と副業で兼ねて使う支出があります。

一般に、兼ねて使う支出は、副業に使った割合の分だけを経費として扱う考え方がある、と整理されています。ただし、割合の決め方、合理的な根拠、証拠の残し方は、個別の判断で、専門家に確認が要ります。

受ける側が準備しておくのは、次のことです。

使い方の記録。 その支出を、副業でどのくらい、本業や私用でどのくらい使っているか。時間、日数、面積など、割合の根拠になる記録。

副業専用にできるものは、専用に。 副業専用の通信回線、副業専用のパソコン。専用なら、割合の問題が起きにくい。ただし、専用にする費用と、経費として扱える分を比べて判断。

私用と区別できない支出は、経費として期待しない。 家族と共用の支出、私用の割合が大きい支出。

割合を、自分で決めない。 「半分くらい」と自分で決めて申告すると、根拠を問われることがあります。記録をもとに、専門家と決める。

兼ねる支出の扱いは、最も判断が分かれるところです。自分で判断せず、記録を残して専門家に。

記録の残し方

経費の記録は、次の形で残します。

領収書・レシートを残す。 支出のたびに。紙なら封筒やファイルに、電子なら画像やPDFで。日付、金額、支払先、内容が分かるもの。

何に使ったかを、一行添える。 領収書だけでは、副業に使ったかが分からない。「〇〇案件の打ち合わせの交通費」「副業用のソフトの月額」。

月ごとに整理する。 月末に、その月の支出を一覧に。日付、内容、金額、副業との関係、兼ねているなら割合の根拠。

入金の記録と分ける。 収入の記録(請求書、入金)と、支出の記録(経費)を、別に。混ぜると、申告のときに分けられない。

保管の期間を確認する。 税務上、記録の保管が一定期間求められることがあります。期間と方法は、専門家に確認。

電子の記録の扱いを確認する。 電子で受け取った領収書、電子で保管する場合の要件。制度上の扱いがあるので、専門家に確認。

記録は、一日一行の稼働の記録と同じ場所で管理すると、続けやすい。稼働時間の管理と申告の記録に、支出の欄を足す形でも。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「何が経費になるかを自分で調べて、自分で判断して申告した」というものです。調べた情報が古かった、自分の副業の形に当てはまらなかった、根拠が無かった。後で確認が入り、否認され、修正することになる。最初から専門家に判断してもらっていれば、避けられました。

見ていて差がつくのは、受ける側が「判断」と「記録」を分けているかどうかです。判断まで自分でしようとする人と、記録を整えて判断は専門家に委ねる人がいます。後者は、正確で、安全で、結果として時間も節約できます。

受ける側にできるのは、記録を残すことです。記録が揃っていれば、専門家は短時間で判断できます。記録が無ければ、専門家も判断できず、経費として扱えるものも扱えません。

専門家に聞くときに持っていくもの

税理士などの専門家に経費の相談をするときは、次を持っていきます。

副業の形。 業務委託か、雇用か。報酬の形(月額、時給、成果)。契約書。

年間の収入の見立て。 年間の副業収入の見立てで置いた数字。

支出の一覧。 月ごとに整理した、日付・内容・金額・副業との関係。領収書とセットで。

兼ねる支出の使い方の記録。 割合の根拠。

本業の状況。 本業の会社、給与の形、副業規定。本業との関係で扱いが変わることがある。

聞きたいことの一覧。 「この支出は経費になるか」「兼ねる支出の割合はどう決めるか」「記録はどう残せばよいか」「申告の要否と方法」。

持っていくものが揃っていれば、相談は短時間で済み、費用も抑えられます。何も持たずに行くと、「まず記録を」と言われて終わります。

やってはいけないこと

経費に関して、やってはいけないことがあります。

私的な支出を、経費として申告する。 副業に関係の無い支出。否認されるだけでなく、問題になることがあります。

領収書が無い支出を、経費として申告する。 証拠が無い支出は、認められないことがあります。

割合を、根拠なく決める。 兼ねる支出を「だいたい半分」で申告する。根拠を問われたときに答えられない。

古い情報や、他人の例で判断する。 制度は改定され、状況は人によって違う。自分の状況で、専門家に。

経費を増やすために、要らない支出をする。 経費として扱えても、支出は支出。要らないものを買って経費にしても、手元の資金は減ります。

依頼側の支出と混ぜる。 依頼側が負担する支出(媒体費など)を、自分の経費として扱わない。契約で、誰が負担するかを明確に。

判断を後回しにする。 年末に一年分をまとめて判断しようとすると、記録が無く、判断もできない。月ごとに記録し、年の途中で一度専門家に。

経費は、収入を得るために要った支出を正しく扱うためのもので、税の負担を減らすための道具ではありません。

エラベルの見解

担当する側から見ると、経費で最も困るのは「依頼側が負担する支出と、受ける側の経費が混ざる」ことです。副業で使う媒体の費用を、受ける側が立て替え、経費として扱おうとする。依頼側は「媒体費はこちらで払う」と思っている。契約で誰が負担するかが決まっていないと、どちらの支出かが曖昧になり、税務でも混乱します。

受ける側にできるのは、契約時に「副業に要る支出のうち、依頼側が負担するものと、自分が負担するもの」を分けておくことです。媒体費、ツールの利用料、交通費。分けておけば、自分の経費の記録も明確になります。

経費の判断は専門家に、負担の線引きは契約で、記録は自分で。この三つの分担が、経費を整理する形です。

まとめ

よくある質問

自宅で作業しているのですが、家賃や光熱費は経費になりますか

兼ねる支出は、副業に使った割合の分を経費として扱う考え方がある、と一般に整理されていますが、割合の決め方と根拠は個別の判断です。作業に使っている面積や時間の記録を残し、税理士などの専門家に相談してください。自分で「三割」と決めて申告することは避けます。

パソコンを副業のために買いました。全額が経費になりますか

本業や私用でも使うなら、兼ねる支出の扱いになることがあります。また、金額によっては、一度に経費として扱えず、複数年に分ける考え方がある、とされています。購入の記録と、使い方の記録を残し、専門家に確認してください。この記事では、金額の基準は扱いません。

経費の相談をする専門家は、どう探せばよいですか

税理士が、経費と申告の相談先です。副業や個人事業に詳しい税理士、自治体や業界団体の相談窓口、確定申告の時期の相談会などがあります。相談のときは、副業の形、収入の見立て、支出の一覧、本業の状況を持っていくと、短時間で具体的な相談ができます。