採用代行 / 香川県
香川県の採用代行|地域の採用事情と依頼先の選び方
採用代行に「うちの条件は相場に合っていますか」と聞いても、根拠のある答えが返ってこないことがあります。香川県では、その根拠が公的に用意されています。香川労働局は中途採用者採用時賃金情報という資料を四半期ごとに公表していて、産業別・職業別・年齢別・事業所規模別の採用時賃金が、香川局管内計と全国計の両方で載っています。この記事では、母集団づくりに費用をかける前に、この資料で自社の提示額の位置を検証する手順を、比べる順番に沿って整理します。以下は2026年9月24日時点で香川労働局が公開している資料の構成に基づきます。数値は更新されるため、実際の値は同局の資料でご確認ください。
採用時賃金は、求人票の金額ではなく成立した金額
最初に、この資料が何を数えているのかを注記で確認します。資料には、表記の3か月間の雇用保険被保険者資格取得データのうち、雇用形態が正社員など常用フルタイムの者(新規学卒者を除く)を対象とし、採用時賃金を集計したものと記載されています。賃金は、雇用保険被保険者資格取得届の賃金月額欄に記入された賃金額を基礎として算術平均値を算出し、四捨五入により千円単位で表示しています。
| 項目 | 資料の記載 | 条件を比べるときの意味 |
|---|---|---|
| 出所 | 雇用保険被保険者資格取得届 | 求人票の希望額ではなく、実際に採用が成立した額 |
| 対象 | 新規学卒者を除く常用フルタイム | パートや新卒の条件の比較には使えない |
| 集計 | 算術平均値、千円単位 | 一部の高い額や低い額に引っ張られることがある |
| 含むもの | 毎月決まって支払われる手当、現物給与 | 自社の提示額も同じ範囲にそろえて比べる |
| 含まないもの | 超過勤務手当、賞与、その他の臨時の給与 | 年収での比較には別の材料が要る |
求人票に書かれた下限額や上限額ではなく、成立した賃金の平均なので、条件設計の参照値として使えます。求人票の金額は「このくらいで採りたい」という企業側の希望で、成立した額は「このくらいで実際に決まった」という結果です。比べる相手を希望額から成立額に替えるだけで、条件の議論が根拠を持ちます。
自社の区分を四つの軸で特定し、香川と全国を並べる
次に、自社の募集をこの資料の区分に当てはめます。区分は細かく、年齢は計と19歳以下から60〜64歳まで、産業は農林漁業、建設業、製造業、情報通信業、医療・福祉などから公務・その他まで、職業は専門・技術的職業、事務的職業、販売の職業、サービスの職業、生産工程・労務の職業など、事業所規模は4人以下から1,000人以上までに分かれています。自社の募集がどの区分に入るかを、四つの軸それぞれで一つずつ決めておきます。
手順は四つです。自社の産業と職業と事業所規模で、香川の採用時賃金を確認します。同じ区分で全国計を確認します。香川と全国の差を把握し、最後に自社の提示額が香川の水準に対してどこにあるかを見ます。香川局管内計と全国計が別の表で載っているので、全国水準で条件を決めている企業が、香川で採用するときの位置を確認できます。
年齢別の区分があるのも使いどころです。採用したい年齢層の採用時賃金が分かるので、若手の提示額と中堅の提示額を分けて設計できます。一律の給与テーブルのまま募集すると、ある年齢層では成立額より高く、別の年齢層では低いということが起こり得ます。年齢層ごとに、自社の提示額と成立額の差を一行ずつ書き出すと、どの層の募集で条件がネックになっているかが見えてきます。
エラベルの見解
採用代行の商談でいちばん根拠が曖昧になるのは、条件の話だと考えています。「この地域の相場はこれくらいです」と言われても、出所が示されないことが多い。香川県では、労働局が四半期ごとに採用時賃金を公表していて、区分も細かく、全国計と並べて見られます。しかも出所は雇用保険の資格取得届なので、求人票の希望額ではなく成立した金額です。担当者によって差が出るのは、この資料を面談に持ってくるかどうかです。同じ料金でも、自社の産業・職業・規模の区分を当てはめて「この層では提示額が成立額より下です」と言える担当者と、感覚の相場で話す担当者では、最初に手を付ける工程が変わります。費用の確認項目は採用代行の費用で聞くことにもまとめています。
月額の平均を、年収の比較に使うときの注意
採用時賃金は月額の平均で、超過勤務手当と賞与を含みません。候補者が年収で複数の求人を比べる場合、この資料だけでは比べきれません。条件の検証では、比べる範囲をそろえることが先です。
自社の提示額と比べるときは、毎月決まって支払われる手当と現物給与を含み、残業代と賞与を除いた月額で比べます。基本給だけで比べると、手当の多い会社は実際より低く見え、手当の少ない会社は高く見えます。そのうえで、年収で競合と比べるには、賞与と残業の見込みを自社側で足して換算する必要があります。
代行会社に条件の比較を頼む場合は、どの範囲の金額で比べたのかを報告の一行目に書いてもらう形にしておくと、社内で説明するときに迷いません。賞与の水準や残業の多寡は会社によって大きく違うので、年収での比較は、自社の実績値を使って社内で行うほうが無理がありません。代行会社には、比べるための材料をそろえるところまでを頼む形が合います。
充足率と安定所別の数字で、条件以外の原因を切り分ける
条件の位置が分かっても、それだけで応募が集まらない理由がすべて説明できるわけではありません。香川労働局は職業安定業務統計速報を月次で公表していて、条件以外の原因を切り分ける材料がそろっています。全数とパート除くの新規求人倍率・有効求人倍率、正社員の職業紹介状況、労働力調査関係の完全失業率・完全失業者数、そして安定所別の数値です。
| 指標 | 資料での定義 | 読み方 |
|---|---|---|
| 正社員有効求人倍率 | 正社員有効求人数/常用フルタイム有効求職者数 | 競争の度合い。常用フルタイム有効求職者にはフルタイムの派遣労働者や契約社員を希望する者も含まれるため、厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値となる |
| 充足率 | 正社員就職件数÷正社員新規求人数×100 | 出した求人が埋まる割合。決まりやすさ |
充足率が公表されている点は、他県の資料ではあまり見かけません。倍率が高くて充足率が低いなら、求人を出しても埋まっていない市場で、条件や仕事の内容の見直しが優先になります。条件の位置は問題ないのに充足率が低い場合は、仕事の内容の伝え方や選考の進め方に原因がある可能性を考えます。
安定所別の数値は、高松、丸亀、坂出、観音寺、さぬき、土庄の6か所です。土庄は小豆島に所在し、島嶼部を含むため、地理的な条件が他のエリアと違います。高松に人口が集中している県なので、高松以外のエリアでは母集団の絶対数が小さくなります。拠点の所の数字と県計の差を見て、土庄を含むエリアで採用する場合は、通勤と移動の条件を別に設計します。
四半期と月次の二つの資料を、代行会社との運用に組み込む
最後に、二つの資料を運用の周期に組み込みます。条件は四半期ごと、市場の動きは月次で確認し、それぞれ誰が何をするかを決めておきます。周期の違う作業を一つの契約に混ぜると、どちらかが後回しになりやすいからです。
| 資料 | 使う場面 | 頻度 | 代行会社に頼めること | 社内に残すこと |
|---|---|---|---|---|
| 中途採用者採用時賃金情報 | 条件の設計と見直し | 四半期ごと | 自社の区分の数字を抜き出し、提示額との差を一覧にする | 提示額を動かすかどうかの決定 |
| 職業安定業務統計速報 | 市場の動きの確認 | 月次 | 倍率と充足率、拠点の所の数字を報告に入れる | 依頼する工程を変えるかどうかの判断 |
応募が集まらないときは、条件の位置を先に確認します。条件の位置を確認せずに母集団形成に投資すると、原因を外したまま費用がかかります。契約前には、自社の産業・職業・事業所規模の区分、対象とする年齢層、拠点の安定所、報告に含める指標(応募数、充足率、条件の位置)、賞与や手当を含めた年収での比較方法を決めておきます。
費用の見積もりでは、条件の検証にかかる作業を「四半期に一度 × 区分の数」、市場の確認を「月に一度 × 拠点の数」で数え、母集団形成の工程と分けて提示してもらいます。そうすると、条件を直すための作業と応募を集めるための作業の費用が混ざらず、どちらにいくら使っているかが見えます。労働関係の法令や助成金の適用については個別の判断が伴うため、個別の判断は専門家にご確認ください。
エラベルの見解
地域別の採用を考えるとき、県によって公表資料の性格が違います。四国や九州の県を見ても、賃金まで公表している県はそう多くありません。香川県はそれがあるので、条件設計の議論を数字でできる県です。ここで外に出してよいのは、資料から自社の区分の数字を抜き出し、提示額との差を一覧にするところまでだと考えています。提示額を動かすかどうか、どの年齢層の条件から直すかという判断を代行会社に渡すと、応募を集めやすい方向に条件が寄り、人件費の全体像との整合が取れなくなります。まず自社で資料を読み、判断の軸を持ったうえで依頼すれば、代行会社との議論が具体化します。地方企業の採用代行の考え方は地方企業の採用代行、地域の媒体の使い分けは地域の採用媒体も参考にしてください。
まとめ
- 香川労働局の中途採用者採用時賃金情報は、雇用保険の資格取得届をもとにした、実際に採用が成立した賃金の平均
- 自社の産業・職業・年齢・事業所規模で区分を特定し、香川局管内計と全国計を並べて、提示額の位置を確かめる
- 採用時賃金は超過勤務手当と賞与を含まない月額。比べる範囲をそろえ、年収での比較は自社側で換算する
- 職業安定業務統計速報の充足率と安定所別の数字で、条件以外の原因を切り分ける
- 応募が集まらないときは、母集団形成に投資する前に条件の位置を確認する
よくある質問
Q. 中途採用者採用時賃金情報は、どこで見られますか
香川労働局のウェブサイトで、四半期ごとに公表されています。産業別・職業別・年齢別・事業所規模別の採用時賃金が、香川局管内計と全国計の両方で載っています。最新の数値は同局の資料でご確認ください。
Q. 採用時賃金と自社の提示額は、そのまま比べてよいですか
採用時賃金は毎月決まって支払われる手当と現物給与を含み、超過勤務手当と賞与を含まない月額です。自社の提示額も同じ範囲にそろえてから比べてください。年収で比べる場合は、賞与や残業の見込みを自社側で足して換算します。
Q. 充足率は、何を見るための指標ですか
正社員就職件数を正社員新規求人数で割って100を掛けたもので、出した求人がどれだけ埋まったかを示します。香川労働局の職業安定業務統計速報で、月次で確認できます。倍率が高くて充足率が低いなら、求人を出しても埋まっていない市場なので、条件や仕事の内容の見直しが優先になります。
※資料の構成と数値は更新されます。掲載した内容は2026年9月24日時点で香川労働局が公開している資料の構成に基づくものであり、実際の数値は同局の資料をご確認ください。