採用代行 / 求人原稿の作成
求人原稿の作成は代行に出せるか|任せる範囲の切り分け方
求人原稿の作成は、採用の工程の中で最も代行に出しやすい工程です。書く技術は外の人が持っていて、社内の人が書くより読みやすい原稿ができることが多い。ただ、「書く」だけを外に出すと、綺麗だが実態と違う原稿ができます。「風通しの良い社風」「成長できる環境」「裁量が大きい」と書かれた原稿は、応募者に何も伝えず、面接で「聞いていたのと違う」を生みます。求人原稿で応募者が見ているのは書き方ではなく、「日々何をするか」「誰の下で働くか」「条件の数字」「なぜ採るか」で、これらは社内にしかありません。結論を先に書くと、求人原稿の作成は、「書く材料を持つこと」と「実態との一致の確認」は会社が持ち、「聞き取り・要件の翻訳・経路ごとの書き分け・外す言葉の削除・反応を見た書き直し」は代行に出せます。原稿を何年も更新していない場合は求人原稿を何年も更新していないときに、応募が来ない原因の分解は応募が来ないときに書いていますので、ここでは「代行に出す」観点に絞ります。
「材料」と「書く」を分ける
求人原稿の作成を工程に分けると、次のようになります。
一つ目は、書く材料を持つことです。この役割で最初に困ること(なぜ採るか)、日々の中身の割合、誰の下で働くか、条件の数字(給与の範囲、時間、休日、勤務地)、現場の人の言葉。これは社内にあり、外の人は聞き取ることはできても、持ってくることはできません。
二つ目は、現場と経営者に聞き取ることです。「入った人に最初の三か月で何をしてほしいか」「日々の時間の使い方は」「前に入った人で続いた人と辞めた人の違いは」。外の人ができ、むしろ外の人のほうが現場から本音を聞けます。
三つ目は、要件を文面に翻訳することです。「既存顧客の対応の経験」を「営業経験」と書かずに、要件の言葉のまま、応募者が自分に合うか判断できる形に書く。外の人ができます。
四つ目は、経路ごとに書き分けることです。求人媒体、スカウト、リファラル、自社サイトで、読む人と長さと重心が違う。外の人ができます。
五つ目は、外す言葉を削ることです。「風通しの良い社風」「成長できる環境」「アットホーム」「即戦力」「未経験歓迎」のうち、その募集の層に合わないものを削る。外の人ができます。
六つ目は、実態との一致を確認することです。書かれた「残業は月に〇時間程度」「在宅は週に〇日」「クレームは少ない」が実態と合っているか。これは社内にしかできません。
七つ目は、反応を見て書き直すことです。応募の数、書類で残る率、面接での「聞いていたのと違う」を見て、原稿を直す。外の人ができます。
七つのうち、一と六は会社にしかできず、二から五と七は外に出せます。「代行に出せるか」の答えは、この分け方で決まります。
代行に出せる工程と出せない工程
| 工程 | 会社が持つ | 代行に出せる |
|---|---|---|
| 書く材料を持つ | なぜ採るか・中身の割合・誰の下か・条件の数字・現場の言葉 | 何が材料になるかを示し、聞き取りで引き出す |
| 現場と経営者に聞き取る | 時間を出す | 質問の設計、聞き取り、本音を引き出す |
| 要件を文面に翻訳する | 確認 | 要件の言葉のまま、応募者が判断できる形に書く |
| 経路ごとに書き分ける | 確認 | 媒体・スカウト・リファラル・自社サイトで長さと重心を変える |
| 外す言葉を削る | ― | 層に合わない言葉を削る |
| 実態との一致を確認する | 現場と経営者が読んで確認する | 「ここは実態と合っていますか」と確認を促す |
| 反応を見て書き直す | 面接での「聞いていたのと違う」を共有する | 応募の数と書類で残る率と面接の反応から直す |
| 法令に関わる表記の確認 | 最終確認 | 気になる箇所を示す(判断は専門家に) |
表の要点は、「実態との一致の確認」が会社に残ることです。外の人が書いた原稿は、読みやすく、応募者が判断できる形になりますが、「残業は少ない」「在宅ができる」「クレームは少ない」が本当かどうかは、外の人には分かりません。現場と経営者が読んで、「ここは違う」と言う工程を省くと、面接で「聞いていたのと違う」が起きます。
もう一つの要点は、「法令に関わる表記」です。年齢や性別に関わる条件、労働時間や休日の書き方、給与の表記には決まりがあり、書き方を誤ると募集自体が問題になります。代行は気になる箇所を示せますが、判断は専門家にご確認ください。
エラベルの見解
相談で多いのは、「求人原稿を制作会社に頼んで綺麗になったが、応募が増えず、来た人も面接で辞退する」というご相談です。原稿を見ると、写真も文章も整っていて、「風通しの良い社風」「裁量を持って働ける」「成長を支援」と書かれていましたが、日々の中身の割合も、誰の下で働くかも、なぜ採るかも無く、条件の数字は「応相談」でした。制作会社は「書く」を引き受けていて、材料の聞き取りをしておらず、会社側も材料を渡していませんでした。担当者が現場に聞き取って、「前任者の退職で既存顧客の担当が空いている」「日々は既存対応が七割」「上司は営業部長で月に一度同行する」「給与の範囲は〇〇」を原稿に入れたところ、応募は減りましたが、面接での辞退が減り、決まりました。
見ていて差がつくのは、「書く前に聞き取っているか」です。原稿の良し悪しは、書き方ではなく材料で決まります。エラベルでは、求人原稿を任された担当者に、書く前に現場と経営者に聞き取り、材料を一枚にまとめてから書き始めてもらっています。
代行に出したほうがよい状況
次の状況では、求人原稿の作成を代行に出したほうが進みます。
一つ目は、社内に書く人がいないときです。専任の人事がいない、いても原稿を書いた経験が無い。聞き取りから書き分けまでを外に出すと、社内は材料を渡して確認するだけで済みます。
二つ目は、原稿が「理想の人」と「良い会社」の言葉で埋まっていて、応募者が判断できないときです。「風通し」「成長」「裁量」を削って、中身と条件と誰の下かに置き換える作業は、外の人が向いています。社内の人は、自社の言葉を客観的に削れません。
三つ目は、複数の経路に同じ原稿を使っているときです。媒体とスカウトとリファラルで、読む人と長さと重心が違う。書き分けを外に出すと、経路ごとに合った原稿になります。
四つ目は、応募は来るが、面接で「聞いていたのと違う」が多いときです。原稿と実態がずれています。外の人が現場に聞き取って、実態に合わせて書き直すと減ります。
五つ目は、原稿を何年も更新していないときです。直す型と担当と頻度が無い。外の人に「反応を見て直す」工程ごと出すと、更新が回ります。
代行に出さないほうがよい状況
逆に、次の状況では、求人原稿の作成を外に出しても進みません。
一つ目は、なぜ採るかと、日々の中身の割合が決まっていないときです。外の人は聞き取ることはできますが、社内で決まっていないことは書けません。書けないまま書くと、「良い会社」の言葉で埋まります。まず要件の定義を進めます。要件の定義は採用要件の定義の進め方に書いています。
二つ目は、条件の数字を出せないときです。給与の範囲、時間、休日、勤務地を「応相談」にしたまま出しても、応募者は判断できません。数字を出せない理由(社内の給与との整合、決裁が取れていない)を先に解きます。
三つ目は、現場と経営者が原稿を読んで確認する時間を取れないときです。実態との一致の確認は会社にしかできず、省くと「聞いていたのと違う」が起きます。三十分でよいので、読む時間を先に決めます。
四つ目は、「綺麗な原稿にすれば応募が増える」と考えているときです。応募は、書き方より材料で決まります。材料が無いまま書き方だけ外に出しても、応募は増えません。
担当者の選び方
求人原稿の作成を任せる担当者は、次の点で選びます。
一つ目は、その職種の採用を経験していて、応募者が何を見ているかを知っているかです。営業なら「新規か既存か」、エンジニアなら「使う技術と開発の割合」、サポートなら「チャネルとクレームの割合」のように、職種ごとに応募者が最初に見る点が違います。それを知っている人は、聞き取りで自分から聞きます。
二つ目は、書く前に聞き取る習慣があるかです。「材料をください」ではなく、現場と経営者に自分から聞き取りに行く人。
三つ目は、外す言葉を削れるかです。「風通しの良い社風」を残す人ではなく、削って「上司は営業部長で月に一度同行する」に置き換える人。
四つ目は、反応を見て直す習慣があるかです。書いて終わりではなく、応募の数と書類で残る率と面接の反応を見て、直す人。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に、外注の範囲の考え方は外注する範囲の決め方に書いています。
出す前に用意しておくもの
求人原稿の作成を代行に出す前に、次を用意しておくと、最初の一週間が速くなります。
一つ目は、なぜ採るかの一文です。「前任者の退職で既存顧客の担当が空いている」「新しい拠点を出す」。応募者は、採る理由が具体な求人を信用します。
二つ目は、日々の中身の割合です。「既存対応が七割、新規が三割」「ヘルプデスクが七割、基幹システムが三割」。完成していなくてよく、現場に聞けば出ます。
三つ目は、条件の数字です。給与の範囲、時間、休日、勤務地、在宅の可否、残業の実態。「応相談」にしない。数字を出す前に、社内の給与との整合と決裁を取っておきます。
四つ目は、誰の下で働くかと、その人の言葉です。上司の名前と役職と、「最初はこうしてもらう」の一言。原稿に入れると、応募者に「誰の下で働くか」が見えます。
五つ目は、現場と経営者が原稿を読む時間です。三十分。実態との一致を確認する工程です。
六つ目は、いまの原稿と、応募と面接の記録です。あれば、担当者は現状の原稿がどこで応募者を判断できなくしているかを最初に読めます。
年齢や性別に関わる条件、労働時間と休日と給与の表記は、書き方に決まりがあります。原稿を出す前に、専門家にご確認ください。
エラベルの見解
担当する側から見ると、求人原稿で最も効くのは、「なぜ採るかの一文」と「条件の数字」の二つです。前者で応募者が求人を信用し、後者で自分に合うかを判断できます。「風通し」「成長」「裁量」をどれだけ整えても、この二つが無い原稿は判断できず、飛ばされます。
エラベルでは、求人原稿を任せる案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間で現場と経営者に聞き取り、なぜ採るかと中身の割合と条件の数字と上司の言葉を一枚にまとめ、実態との一致を現場に確認してもらってから書き始めるところまでをお願いしています。年齢や性別に関わる条件と労働時間と給与の表記は、専門家にご確認いただくようお伝えしています。
まとめ
- 求人原稿の作成は「材料」と「書く」に分かれる。なぜ採るか・中身の割合・誰の下か・条件の数字・現場の言葉は会社が持ち、実態との一致の確認も会社。聞き取り・要件の翻訳・経路ごとの書き分け・外す言葉の削除・反応を見た書き直しは代行に出せる
- 「書く」だけを外に出すと、綺麗だが実態と違う原稿になる。面接で「聞いていたのと違う」を生む
- 出したほうがよいのは社内に書く人がいない・「良い会社」の言葉で埋まっている・複数の経路に同じ原稿・面接で「聞いていたのと違う」が多い・何年も更新していないとき
- 出さないほうがよいのはなぜ採るかと中身の割合が決まっていない・条件の数字を出せない・現場が読む時間を取れない・「綺麗にすれば応募が増える」と考えているとき
- 担当者はその職種の応募者が何を見ているかを知る・書く前に聞き取る・外す言葉を削れる・反応を見て直すで選ぶ
- 出す前になぜ採るかの一文・中身の割合・条件の数字・上司の言葉・読む時間・いまの原稿と記録を用意する
- 法令に関わる表記は専門家に確認する
よくある質問
制作会社に頼んで綺麗な原稿を作ったのに、応募が増えません
原稿の良し悪しは、書き方ではなく材料で決まります。制作会社は「書く」を引き受けていて、なぜ採るか・中身の割合・条件の数字・誰の下かの材料は会社が渡すものです。渡していないと、「風通し」「成長」「裁量」で埋まった綺麗な原稿になり、応募者は判断できず飛ばします。材料を渡して書き直すか、聞き取りから引き受ける担当者に出し直します。
条件の数字を「応相談」にしたいのですが
「応相談」の原稿は、応募者が自分に合うか判断できず、飛ばされます。給与の範囲を出せない理由が「社内の給与との整合」なら範囲を広めに出し、「決裁が取れていない」なら先に取ります。範囲を出すと応募が減るように見えますが、範囲に合わない人が応募しなくなるだけで、合う人は増えます。給与の表記には決まりがあるので、書き方は専門家にご確認ください。
原稿を代行に出した後、社内では何をすればよいですか
二つです。一つは、書かれた原稿を現場と経営者が読んで、「ここは実態と違う」を言うこと。三十分でよく、これを省くと面接で「聞いていたのと違う」が起きます。もう一つは、面接で応募者が「聞いていたのと違う」と言った点を担当者に共有すること。原稿と実態のずれは面接で分かるので、共有すると担当者が直せます。書く作業は出しても、この二つは社内にしかできません。