退職者へのスカウト|「戻ってきてほしい」を、送ってよい人と送り方で決める

運用・費用スカウト代行 更新日 2026-09-12

以前、自社で働いていた人が、媒体に経歴を載せている。あの人なら、また一緒に働けるかもしれない。退職者への声かけは、経歴も人柄も分かっている分、ゼロから探すより成功しやすい方法です。結論を先に書くと、退職者へのスカウトは、退職の経緯と、その後の関係と、いまの自社の状況の三つで「送ってよい人」を見極め、代行ではなく社内の人が先に声をかけてください。担当者は、その後の日程調整と条件の整理を担います。退職者との関係を保つ仕組みは、この記事の後半に書きます。候補者との関係全般は候補者との関係を切らないにも書いています。

退職者に声をかける価値

退職者は、通常の候補者と違う点が三つあります。

経歴の中身が分かっている。 経歴に書かれた「〇〇を担当」の深さと範囲を、社内の人が知っています。書類で見えないずれが、最初からありません。

人柄と働き方が分かっている。 面談で確かめることの多くが、すでに分かっています。合う・合わないの判断が、通常より正確です。

立ち上がりが速い。 会社の仕組み、人、言葉を知っています。入社後の立ち上がりの期間が、通常より短い。

一方で、通常の候補者に無い点もあります。退職の経緯があり、その経緯によっては、声をかけること自体が失礼になる。また、退職後に社外で積んだ経験と、社内の変化の両方を、双方が知らない。

価値は大きいが、送ってよい人と送り方を間違えると、関係を壊します。

送ってよい人の見分け方

退職者に声をかける前に、三つの軸で見極めます。

退職の経緯。 円満な退職(キャリアの転換、家庭の事情、独立、より大きな挑戦)なら、声をかけてよい。会社への不満や、人間関係のトラブル、評価への不服で辞めた人には、経緯が解消されていない限り、声をかけません。経緯を知っている社内の人に確認します。

退職後の関係。 退職後も社内の人と連絡があるか、会社の行事に来るか、SNSでつながっているか。関係が続いている人は、声をかけやすい。連絡が途絶えている人は、慎重に。

いまの自社の状況。 退職の理由になった状況(役割、上司、待遇、体制)が、いまも同じなら、戻っても同じ理由で辞めます。状況が変わっているなら、そのことを伝えられます。

三つの軸で「送ってよい」と判断できた人だけに、声をかけます。判断できない人には、まず関係の確認から入ります。

送り方の順序

退職者への声かけは、通常のスカウトと順序が違います。

一.社内の、その人と関係のあった人が、先に連絡する。 代行の担当者からのスカウト文面が最初に届くと、「知らない人から、元の会社の名前で」となり、違和感が出ます。元の上司や同僚が、「久しぶり、元気にしてる」から入ります。

二.近況を聞き、戻る可能性を探る。 いきなり「戻ってきてほしい」ではなく、いまの状況と、転職を考えているかを聞きます。考えていないなら、関係を保つだけで終わります。

三.可能性があれば、変わったことを伝える。 退職の理由になった状況が変わっているなら、そのことを伝えます。変わっていないなら、率直にそう伝えたうえで、それでも戻る意味があるかを一緒に考えます。

四.ここから担当者が入る。 日程調整、条件の整理、選考の設計。社内の人が関係を作り、担当者が実務を進めます。

五.選考は短く、しかし省かない。 経歴も人柄も分かっているので、面談は一回で足ります。ただし、省くと「特別扱い」と社内で受け取られます。形は通常の選考に合わせ、中身を短くします。

代行の担当者が最初から前に出る形は、退職者には合いません。担当者は、社内の人が声をかけた後を担います。

退職者ならではの確認事項

面談と条件の整理で、通常の候補者には無い確認事項があります。

退職後に積んだ経験。 社外で何をしてきたか。戻る役割は、退職時の役割ではなく、いまの経験に合わせて設計します。「前と同じ役割で」と言われると、成長を否定されたと感じます。

待遇の設計。 退職時の待遇を基準にすると、社外での経験が反映されません。いまの市場価値と、社内の他の人との整合の両方を見ます。

周囲の受け止め。 退職者が戻ることを、社内の人がどう受け止めるか。特に、その人の退職後に昇進した人、その人の役割を引き継いだ人。事前に共有し、役割の重なりを整理します。

退職の理由の再確認。 面談の場で、当時の退職の理由を、率直に話してもらいます。「あのときはこうだった、いまはこう変わった」を、双方で確認します。ここを曖昧にすると、戻った後に同じことが起きます。

「戻る」ことへの本人の整理。 一度辞めた会社に戻ることに、本人がどう向き合っているか。周囲にどう説明するか。本人の中で整理がついていないと、戻った後に居心地の悪さが出ます。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「代行の担当者に、退職者のリストを渡して、通常のスカウトとして送ってもらった」というものです。担当者からの定型の文面が、元の会社の名前で届く。退職者は「自分のことを知っているはずの会社が、知らない人を通して、定型文で声をかけてきた」と受け取ります。関係が続いていた人ほど、失望します。

見ていて差がつくのは、担当者が「退職者には、まず社内の方から連絡してください」と言えるかどうかです。退職者を通常の対象として扱う担当者と、「退職者は、関係を持っている社内の人が先に声をかけるべきです。私は日程と条件の整理を担います」と役割を分ける担当者がいます。後者は、退職者との関係の価値を分かっています。

発注側にできるのは、退職者へのスカウトを「担当者の仕事」にせず、「社内の人が声をかけ、担当者が実務を進める」と役割を分けることです。声をかける社内の人の時間を確保することが、発注側の仕事です。

社内の受け入れで気をつけること

退職者が戻ることが決まったら、社内の受け入れで気をつけることがあります。

「出戻り」の空気を作らない。 戻る人を、社内が「一度辞めた人」として扱うと、居心地が悪くなります。経営や上司から、「社外で経験を積んで戻ってきた人」として位置づけを示します。

役割と待遇の整合を、事前に説明する。 その人の役割を引き継いでいた人、後から昇進した人に、戻る人の役割と待遇の考え方を事前に説明します。説明が無いと、不公平感が出ます。

変わったことを、改めて共有する。 退職後の社内の変化(人、仕組み、言葉)を、戻る人に共有します。「知っているはず」と省くと、戻った人は変化に戸惑います。

最初の三か月を、通常の入社と同じように見る。 立ち上がりは速いはずですが、社外の経験と社内の変化で、ずれは出ます。通常の入社と同じ頻度で、役割の認識を確認します。

退職の理由が再現していないかを、本人に聞く。 三か月後、半年後に、「当時の理由は、いまどうか」を率直に聞きます。再現しているなら、早めに手を打ちます。

退職者との関係を保つ仕組み

退職者へのスカウトを、必要になったときに慌てて始めるのではなく、日頃から関係を保つ仕組みにしておきます。

退職時に、関係を切らない。 退職の面談で、「また一緒に働く可能性があるなら、声をかけてよいか」を聞いておきます。了承が得られれば、後の連絡がしやすくなります。円満な退職なら、多くの人は了承します。

退職者の一覧を持つ。 退職の経緯(円満か否か)、退職後の連絡先、退職後の関係(連絡があるか)。一覧にしておけば、必要になったときに「送ってよい人」がすぐ分かります。

年に一度ほど、接点を持つ。 会社の行事への招待、近況の連絡、社内の変化の共有。退職者が「自分はまだ会社とつながっている」と感じる程度で足ります。

退職者からの紹介も受ける。 退職者は、社外で自社に合いそうな人と出会っています。「合いそうな人がいたら教えてほしい」と伝えておけば、紹介の経路になります。

担当者に、退職者の一覧を共有しておく。 担当者が候補者を探すときに、退職者が対象に含まれていれば、「この人は退職者なので、社内の方から先に」と判断できます。知らないと、定型の文面を送ってしまいます。

退職者との関係は、採用の経路であると同時に、会社の評判の一部です。丁寧に保てば、退職者が自社を良く語り、それが採用にも効きます。

エラベルの見解

担当する側から見ると、退職者の案件で最も困るのは「退職の経緯を知らされずに、対象に含まれている」ことです。媒体で経歴を抽出し、要件に合うので送ろうとしたら、実は退職者だった。しかも、円満でない経緯で辞めた人だった。送ってしまえば、その人と会社の関係をさらに壊します。

担当者は、退職者かどうかを経歴からは判断できません。在籍企業に自社の名前があれば気づけますが、経歴に書かれていないこともあります。

発注側にできるのは、退職者の一覧を担当者に渡し、「この人たちには、社内から先に連絡する」と伝えることです。担当者は、対象に退職者が含まれていれば、送る前に止められます。退職者との関係を守るのは、担当者の注意力ではなく、発注側からの情報です。

まとめ

よくある質問

退職者に、代行の担当者から文面を送ってもらってはいけませんか

避けてください。退職者は、自分のことを知っている会社から、知らない人を通して定型文が届くことに違和感を持ちます。関係のあった社内の人が先に連絡し、可能性があれば担当者が日程調整と条件の整理を担う、という役割分担にしてください。担当者には、退職者の一覧を共有し、対象に含まれていれば送る前に止めてもらいます。

円満でない理由で辞めた人に、声をかけたいです

その理由が解消されていないなら、声をかけないでください。解消されている(当時の上司が異動した、待遇の仕組みが変わった、など)なら、まず関係の確認から入り、変わったことを率直に伝えたうえで、本人の判断に委ねます。無理に戻すと、同じ理由で辞めます。

戻る人の待遇を、退職時と同じにしてよいですか

退職後に社外で積んだ経験を反映しないと、「成長を認められていない」と受け取られます。一方で、社内の他の人との整合も要ります。いまの市場価値と社内の整合の両方を見て、本人と率直に話してください。待遇の考え方を、その人の役割を引き継いでいた人にも事前に説明しておくと、不公平感を防げます。

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