スカウト代行 / スカウト代行
ダイレクトリクルーティングの全体像|「待つ採用」と「探す採用」の違いから、運用の全工程まで
求人を出しても応募が来ない。紹介会社に頼んでも推薦が来ない。そこで「こちらから探して声をかける」採用——ダイレクトリクルーティング——を検討する会社が増えています。ただ、「スカウトを送ればよい」と始めると、返信が来ず、面談も組めず、「うちには合わなかった」で終わります。結論を先に書くと、ダイレクトリクルーティングは、文面を送ることではなく、対象設定から改善までの一連の運用です。工程を理解し、社内に残す判断と外に出せる作業を分け、整えてから始めてください。ヘッドハンティングとの違いはヘッドハンティングとスカウトの違いに、内製で始める準備はスカウトを内製で始める準備に、代行に頼む場合の全体はスカウト代行とはにまとめています。
「待つ採用」と「探す採用」
採用の手法は、大きく二つに分かれます。
待つ採用。 求人媒体に載せる、採用サイトで募集する、紹介会社に依頼する。候補者が来るのを待つ。来た人の中から選ぶ。
探す採用。 媒体に登録している候補者の経歴を見て、会社の側から声をかける。来るのを待たず、選んで声をかける。ダイレクトリクルーティングは、こちらです。
二つの違いは、次の点に出ます。
| 待つ採用 | 探す採用 | |
|---|---|---|
| 候補者の層 | 転職活動中の人 | 活動中でない人も含む |
| 母集団 | 来た人。量は媒体次第 | 選んだ人。量は運用次第 |
| 質の調整 | 求人票の書き方で | 対象の選び方と文面で |
| 社内の稼働 | 応募対応と選考 | 対象設定・文面・送信・返信対応・選考 |
| 効くまでの期間 | 掲載すればすぐ応募が来ることも | 対象と文面が整うまで一〜二か月 |
探す採用は、社内の稼働が多く、効くまでに時間がかかります。その代わり、待っていては来ない層に届き、対象を自社で選べます。
向く採用と向かない採用
ダイレクトリクルーティングが向くのは、次の採用です。
求人を出しても応募が来ない職種。 待っても来ないなら、探しに行く価値があります。
経歴で向き不向きが読める職種。 経験者採用、専門職、管理職。経歴を見て「この人に」と選べる。
転職活動をしていない層に届けたい場合。 活動中の人は他社と取り合いになる。まだ動いていない人に、先に声をかける。
採用の対象を、自社で決めたい場合。 来た人から選ぶのではなく、選んで声をかける。
向かないのは、次の採用です。
求人を出せば十分に応募が来る職種。 待てば来るものを、探す必要はありません。
経歴で向き不向きが読めない職種。 未経験歓迎、経験を問わない業務。誰に送るかを選べません。未経験歓迎求人のスカウトで書いた「隣の経験」が定義できるなら別です。
候補者が媒体に登録していない層。 学生、主婦・主夫、シニアの一部など。媒体に経歴が無ければ、探せません。
社内に運用の稼働が無い場合。 対象設定、文面、送信、返信対応。これを回す稼働が無いと、始めても続きません。代行に出す選択肢はありますが、判断(対象・役割・通す基準)は社内に残ります。
運用の全工程
ダイレクトリクルーティングは、次の工程を順に回します。
一.対象設定。 誰に声をかけるか。求人の役割(何を決めるか・誰と決めるか・どこまで担うか・数字を持つか)から、必須の経験、対象外の線、経歴の手がかりを決める。スカウトのターゲットペルソナの作り方にまとめています。
二.抽出。 媒体で、対象設定に沿って候補者を選ぶ。職種名で検索するのではなく、経歴の記述で読む。
三.文面。 一段落目に役割と「なぜあなたに」、会社の話は後。一通ごとに経歴を読んで書き分ける。
四.送信。 送信数は枠と稼働で決まる。数を追わず、必要な面談数から逆算した数を送る。
五.返信対応。 返信には当日中に一次対応。候補日はこちらから複数出す。条件は返信のやり取りで幅を示す。
六.面談・選考。 面談枠を先に押さえ、選考の段階を短く、条件提示を速く。取り合いで勝つのは速さ。
七.改善。 段階ごとの数字(抽出・送信・返信・面談設定・面談実施・内定)を見て、どこで落ちているかを特定し、一つずつ変える。
七つの工程は、一から順に整えます。対象設定が曖昧なまま文面を書いても、文面が良くても送信数を追っても、返信対応が遅ければ面談は組めません。前の工程が整っていないと、後の工程は効きません。
社内に残す判断と、外に出せる作業
七つの工程のうち、社内でしか決められない判断と、外(代行)に出せる作業があります。
| 工程 | 社内に残す判断 | 外に出せる作業 |
|---|---|---|
| 対象設定 | 役割の定義、必須の経験、対象外の線 | 経歴の手がかりへの落とし込み |
| 抽出 | 対象の基準の承認 | 媒体での抽出 |
| 文面 | 文面のルール(言葉づかい)、役割の記述 | 一通ごとの執筆 |
| 送信 | 送信数の目安の決定 | 送信の実行 |
| 返信対応 | 条件の幅の決定 | 一次対応、日程調整 |
| 面談・選考 | 面談、通す基準、条件提示 | 日程の設定、面談者への準備の受け渡し |
| 改善 | 何を変えるかの決定 | 数字の集計、見立て、変える案 |
社内に残す判断は、役割の定義・対象の基準・文面のルール・条件の幅・通す基準・変えることの決定です。これを外に出すと、丸投げになってしまっているで書いた状態になります。
外に出せる作業は、量が多く、判断の幅が小さいものです。内製で始めるなら社内が担い、代行に頼むなら担当者が担います。どちらでも、判断の所在は同じです。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「ダイレクトリクルーティングを始めよう」と決めて、媒体と契約し、翌週から送り始めることです。対象設定が無いので、職種名で抽出し、型の文面を送り、返信は来ず、三か月で「うちには合わなかった」。合わなかったのではなく、工程の一と三を飛ばしていました。
見ていて差がつくのは、担当者が「送る前に、役割の定義と対象の基準を一緒に決めましょう」と言えるかどうかです。「すぐ送り始めます」と言う担当者は、工程の一を飛ばしています。「最初の二週間は対象と文面を整えて、三週目から送ります」と言う担当者は、工程の順番を分かっています。
発注側にできるのは、始める前に、工程の一(役割の定義)を社内で済ませることです。何を決める役割か、誰と決めるか、どこまで担うか、数字を持つか。これが決まっていれば、内製でも代行でも、二以降の工程は動けます。決まっていないと、どちらでも動けません。
始めるときに整えること
ダイレクトリクルーティングを始める前に、社内で整えることがあります。
役割の定義。 求人票の役割の記述。四つの軸で書く。
面談の体制。 面談者と、週の面談枠。候補者が進んだときに、日程が組める状態。
決める人。 対象・文面・条件を変える判断をする人を一人。
通す基準。 面談で何を確認し、どうなら通すか。
条件の幅。 年収の幅、働き方。返信のやり取りで示せる状態。
採用サイトの整備。 候補者が検索した先に、役割の裏付けがある状態。採用サイトへの導線にまとめています。
記録の仕組み。 送信の記録、段階ごとの数字、辞退理由。改善の土台。
これらが整っていれば、内製でも代行でも、立ち上げは一か月以内に済みます。整っていないと、送り始めてから整えることになり、立ち上げが二か月、三か月と延びます。
内製か、代行か
七つの工程を、社内で回すか、代行に出すかの判断です。
内製が合う場合。 社内に、対象設定と文面を書ける人がいて、返信対応を当日中にできる稼働があり、継続的に運用する意思がある。運用のノウハウが社内に溜まります。
代行が合う場合。 社内の稼働が足りない、立ち上げを速くしたい、運用のノウハウを外から持ち込みたい。判断は社内に残し、作業を外に出す。
内製から始めて代行に出す。 最初は社内で小さく試し、運用の形が見えてから、作業を代行に出す。判断の所在が明確になりやすい。
代行から始めて内製に戻す。 代行で立ち上げ、文面のルールと対象の基準を資産として受け取り、社内で回せる状態になったら戻す。代行から内製に戻すにまとめています。
どちらでも、判断は社内に残ります。内製でも代行でも、役割の定義・対象の基準・通す基準が社内に無ければ、機能しません。
エラベルの見解
担当する側から見ると、ダイレクトリクルーティングで最も困るのは「探す採用を、待つ採用と同じ感覚で頼まれる」ことです。「求人票を渡すので、あとはお願いします」。求人票は待つ採用の道具で、探す採用には役割の定義と対象の基準が要ります。それが無いまま「送って」と言われ、職種名で抽出して送り、返信が来ず、「代行の質が低い」と言われる。
探す採用は、社内の関与が待つ採用より多い手法です。判断を社内が持ち、作業を担当者が担う。この分担が無いと、どんな担当者でも成果は出ません。
発注側にできるのは、「探す採用は、待つ採用より社内の関与が要る」と理解して始めることです。関与が要ることを前提にすれば、内製でも代行でも、工程は回ります。
まとめ
- ダイレクトリクルーティングは「探す採用」。待つ採用と、候補者の層・母集団・質の調整・社内の稼働・効くまでの期間が違う
- 向くのは応募が来ない・経歴で読める・活動していない層に届けたい・対象を自社で決めたい採用。向かないのは応募が十分・経歴で読めない・媒体に登録していない層・社内の稼働が無い採用
- 工程は対象設定→抽出→文面→送信→返信対応→面談・選考→改善の七つ。前が整っていないと後は効かない
- 社内に残す判断(役割・対象の基準・文面のルール・条件の幅・通す基準・変えることの決定)と外に出せる作業を分ける
- 始める前に役割の定義・面談の体制・決める人・通す基準・条件の幅・採用サイト・記録を整える
- 内製でも代行でも、判断は社内に。探す採用は待つ採用より社内の関与が要る
よくある質問
求人媒体で応募が来ているのに、ダイレクトリクルーティングも始めるべきですか
応募が十分に来て、その中から採れているなら、始める必要はありません。応募は来るが合わない、特定の経験の人が来ない、活動していない層に届けたい、という状況なら、始める価値があります。両方を並行するなら、求人媒体で来た応募者と、スカウトで声をかけた候補者の記録を一本にし、重複を防いでください。
小さな会社でも、ダイレクトリクルーティングはできますか
できます。母数が一定以上ある職種で、役割の定義と対象の基準を社内で決められ、返信対応の稼働が確保できれば、規模は関係ありません。むしろ、知名度の無い小さな会社ほど、待っていても応募が来ないので、探す採用が合います。知名度のない会社のスカウトで書いた一段落目の書き方が効きます。
始めてから、どのくらいで結果が出ますか
対象と文面が整うまでに一か月から二か月、返信が来て面談が組めるようになるのが二か月目以降、内定まで含めると三か月以降が目安です。職種と母数と社内の体制で変わります。最初の三か月は立ち上げと考え、段階ごとの数字(返信率、面談設定数)が改善しているかで判断してください。