スカウト代行 / スカウト運用
社内のスカウト体制の作り方|「人事が全部やる」でも「現場に投げる」でもなく、「送る・返す・会う・決める・記録する」の五つの役割を、人事・現場・責任者・代行の誰が担うかで組む
スカウトを社内で回したい。ただ、誰が何をやるかが決まっていない。人事が検索も文面も送信も返信の対応も面談の調整も記録も全部やって、他の業務が止まる。現場に「スカウトを書いてください」と頼んだら、最初の一週間で止まった。責任者は「良い人が来たら会う」と言うが、日程が取れない。結論を先に書くと、スカウトの体制は、「人事が全部やる」でも「現場に投げる」でもなく、「送る」「返す」「会う」「決める」「記録する」の五つの役割に分け、人事・現場・責任者・代行の誰が担うかで組みます。五つのうち「会う」と「決める」は社内の人でないと成り立たず、「送る」「返す」「記録する」は代行に出せます。体制は一度組んだら固定ではなく、稼働と成果で見直します。人力の限界の見方は人力運用の限界はどこかに、内製で始める準備はスカウトを内製で始める準備にまとめています。
体制が組めない構造
社内のスカウト体制が組めず、止まるのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 役割を分けていない | 「スカウト」を一つの仕事として一人に渡し、五つの役割が全部その人に集まる |
| 人事に全部が集まる | 人事が送る・返す・調整する・記録するを全部やり、他の採用の業務が止まる |
| 現場に投げる | 「現場が書いたほうが刺さる」で現場に送信まで頼み、現場の本業で止まる |
| 責任者の役割が無い | 「良い人が来たら会う」だけで、枠を空ける、名義を貸す、面談後に判断する、が決まっていない |
| 代行との境目が無い | 代行に「全部お願いします」で、社内の役割(会う、決める)まで期待し、成果が出ない |
| 稼働の見積もりが無い | 各役割に週何時間かかるかを見ずに、兼務で組む |
| 見直しが無い | 最初に組んだ体制のまま、稼働が足りなくなっても変えない |
構造の大半は、「役割を分けていない」ことです。分ければ、誰がどれを担うかを、向き不向きと稼働で決められます。
五つの役割
スカウトの運用を、五つの役割に分けます。
| 役割 | 内容 | 稼働の性質 | 社内でないと成り立たないか |
|---|---|---|---|
| 送る | 検索、選定、文面の作成、送信、二通目と再送 | 継続的。毎週一定の時間 | 代行に出せる。型と対象の承認は社内 |
| 返す | 返信の確認、返答、日程の提示、追客、質問への一次対応 | 毎営業日。速さが要る | 代行に出せる。条件と事実の答えは社内から |
| 会う | 面談、候補者との対話、判断の材料を渡す | 週に数枠。相手が誰かで成果が変わる | 社内。責任者か一緒に働く人 |
| 決める | 要件の定義、対象の承認、型の承認、面談後の判断、条件の提示、内定 | 節目ごと。判断の速さが要る | 社内。責任者と人事 |
| 記録する | 送信ログ、CRM、面談以降の記録、集計、報告 | 送信と返信は当日。面談以降は起きた日 | 送信と返信は代行に出せる。面談以降は社内 |
五つの要点は、「会う」と「決める」は社内でしか担えないことです。この二つが社内で回らなければ、「送る」「返す」「記録する」をどれだけ整えても、成果は出ません。体制を組むときは、「会う」と「決める」を誰がやるかを最初に決めます。
担う人の候補と向き不向き
五つの役割を、誰が担うかの候補と、向き不向きです。
| 担う人 | 向く役割 | 向かない役割 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 人事 | 決める(要件、型の承認)、返す、記録する | 送る(全部)、会う(単独) | 人事だけの面談は判断の材料が出せない。送るまで担うと稼働が尽きる |
| 現場(一緒に働く人) | 会う、送る(一段落目の材料だけ)、決める(面談後の判断の一部) | 送る(全部)、返す、記録する | 本業がある。送信と返信の継続は無理。材料の提供と面談なら負担が小さい。現場メンバーにスカウトを書いてもらう |
| 責任者 | 会う、決める、送る(名義) | 送る(作業)、返す、記録する | 名義と面談と判断が最も効く。作業は担わせない |
| 代行 | 送る、返す、記録する(送信と返信) | 会う、決める、記録する(面談以降) | 作業と速さと型を担う。判断と面談は社内 |
| 経営 | 決める(方針、費用、送ってはいけない相手) | それ以外 | 節目の判断だけ |
向き不向きの要点は、「現場と責任者に作業を渡さない」ことです。現場と責任者が担うのは、「会う」と「決める」と「材料と名義」で、送信と返信と記録の作業は人事か代行です。作業を渡すと、本業で止まり、「現場は協力してくれない」という誤った結論になります。
体制の三つの型
五つの役割の担い方の、代表的な三つの型です。自社の規模と稼働で選びます。
| 型 | 送る | 返す | 会う | 決める | 記録する | 向く状態 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 人事中心 | 人事 | 人事 | 責任者+人事 | 責任者+人事 | 人事 | 人事に専任か半専任の稼働がある。役割が少ない |
| 人事+代行 | 代行 | 代行(事実は人事から) | 責任者+一緒に働く人 | 責任者+人事 | 代行(送信と返信)+人事(面談以降) | 人事が兼務。役割が複数。速さが要る |
| 現場主導+支援 | 人事か代行(材料は現場) | 人事か代行 | 現場+責任者 | 責任者 | 人事か代行 | 現場が採用に関わる文化がある。役割が専門的 |
三つの要点は、「どの型でも、会うと決めるは社内」ということです。型の違いは、「送る」「返す」「記録する」を人事が担うか代行が担うかと、「会う」に現場が入るかどうかです。人事の稼働が足りなければ「人事+代行」、現場の協力が得られれば「現場主導+支援」、どちらも無ければ「人事中心」で役割を絞ります。半分だけ代行に出す設計は半分だけ内製にする設計に書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「スカウトを人事の一人に任せ、その人が検索から面談の調整まで全部やって、三か月で他の採用の業務が止まり、スカウトも止まった」というものです。五つの役割が一人に集まっていました。「送る」と「返す」と送信・返信の「記録する」を代行に出し、「会う」を責任者と一緒に働く人に、「決める」を責任者と人事に分けたら、人事の稼働は「決める」と面談以降の記録だけになり、他の業務が戻り、スカウトも回りました。体制は、役割を分けた時点で組めます。
見ていて差がつくのは、発注側が「会う人」を最初に決めるかです。「送る人」から決める会社と、「まず、候補者と会うのは誰か、面談後に決めるのは誰か、を決めます」と言う会社があります。後者は、送る前に成果の出る体制になっています。
発注側にできるのは、体制を組む最初に、「会う」と「決める」を担う人の名前を書くことです。名前が書けなければ、送り始めても成果は出ません。
現場と責任者の巻き込み方
「会う」「決める」「材料」「名義」を現場と責任者に担ってもらうための、頼み方です。
| 頼むこと | 頼み方 | 負担 |
|---|---|---|
| 面談の枠 | 「週に一枠、候補者と話す時間を空けてください」。上司から | 週に三十分〜一時間 |
| 一段落目の材料 | 「この役割で、どんな経験の人が欲しいか、三つ教えてください」。一度だけ | 十五分 |
| 名義 | 「上位の候補者には、あなたの名前で送ります。文面はこちらで作り、返信への対応もこちらでやります」 | 確認だけ |
| 面談後の判断 | 「面談の当日に、進めるかどうかと、一行の感想をください」 | 五分 |
| 面談後の一言 | 「翌日に、二文だけ、あなたの名前で送ってください。下書きは用意します」 | 三分 |
| 内定後の接点 | 「内定を出した候補者に、一度、話す場を作ってください」 | 三十分 |
巻き込み方の要点は、「負担を時間で示す」ことです。「協力してください」では、現場は「どれだけ取られるか分からない」と身構えます。「週に一時間」「一度だけ十五分」と示せば、引き受けやすい。現場が面談に出ない構造は現場が面談に出てくれないに書いています。
体制の見直しの判断
体制は固定ではなく、稼働と成果で見直します。
| 兆候 | 見直し |
|---|---|
| 「返す」が遅れている(返答が翌営業日を超える) | 「返す」を担う人の稼働が足りない。代行に出すか、分担する |
| 「送る」の通数が計画に届かない | 「送る」の稼働が足りない。型で減らすか、代行に出す |
| 「会う」の枠が取れない | 責任者の枠の合意を上司から取り直す。会う人を一緒に働く人に広げる |
| 「決める」が遅い(面談後の判断に数日) | 決める人を変えるか、判断の期限を決める |
| 面談以降の「記録する」が抜けている | 面談した人が当日に書く決まりを、名前で決め直す |
| 役割が増えた | 「送る」「返す」の稼働が倍になる。代行の範囲を広げるか、役割の優先順位をつける |
| 代行に出しているのに成果が出ない | 「会う」「決める」が社内で回っていない可能性。代行ではなく社内の役割を見る |
見直しの要点は、「兆候を役割ごとに見る」ことです。「スカウトがうまくいかない」ではなく、「五つのうち、どの役割が止まっているか」で見ると、直す箇所が決まります。指標の見方はスカウト運用で見るべき指標に書いています。
外注する場合の範囲
社内のスカウト体制の構築を、スカウト代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 五つの役割の稼働の見積もり、担う人の候補と向き不向きの整理、体制の型の提案、「送る」「返す」「送信と返信の記録する」の実施、現場と責任者への頼み方の型の作成(時間で示す)、面談の準備の資料と面談後の連絡の下書き、面談以降の記録の依頼と集約、役割ごとの兆候の月次の確認と見直しの提案、体制の文書化(誰が何を、いつ)。
社内に残す判断。 「会う」と「決める」を担う人の決定(名前で)、責任者と現場への依頼(上司からの合意の取り付け)、面談の実施と面談後の判断、要件と対象と型の承認、面談以降の記録、代行に出す範囲の決定と費用、体制の見直しの決定。
外注の効きどころ。 体制は、「五つに分け、会うと決めるを社内に、送ると返すと記録を担う人を決め、稼働と成果で見直す」運用で、社内では「人事に全部」か「現場に投げる」になりやすい工程です。担当者が稼働を見積もり、型を提案し、送ると返すと記録を担い、現場と責任者への頼み方を時間で示し、兆候を月次で見れば、体制は社内の稼働に合った形で回ります。担当者は複数の会社の体制を見ているので、「この規模ならこの型」「この頼み方なら責任者が動く」を持ち込めます。ただし、「会う」と「決める」を担う人の決定と実施は、社内でしか行えません。
外注しても動かない場合。 「会う」人を決めない(人事だけで会う)、面談後の判断が遅い、責任者が枠を空けない、面談以降の記録を社内が書かない、「代行に全部任せた」と社内の役割を手放す。社内の判断で、代行を替えても直りません。
社内のスカウト体制は、五つの役割に分け、会うと決めるを社内の名前で決め、送ると返すと記録を稼働に合わせて配り、兆候で見直せば、人事一人に集まらず、現場も止まりません。外注は、稼働の見積もりと型の提案と作業の実施と頼み方の型と月次の見直しを担う手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、体制の相談で最も多いのは、「代行に出したので、社内は何もしなくてよいと思っている」ことです。送信も返信も記録も代行がやる。面談の日程も代行が調整する。ところが、面談に出る人が決まっておらず、日程が取れない。面談の後に誰が判断するかが決まっておらず、候補者が待つ。「会う」と「決める」が社内に無いので、代行がどれだけ送っても、面談の先に進みません。
代行に出すのは「送る」「返す」「記録する」の作業で、「会う」「決める」は社内の役割として残ります。この線を、契約の前に引きます。
発注側にできるのは、代行に出す前に、「会う人」と「決める人」の名前を、代行の担当者に伝えることです。名前が無ければ、代行は始められません。
まとめ
- 組めないのは役割を分けない・人事に全部・現場に投げる・責任者の役割が無い・代行との境目が無い・稼働の見積もりが無い・見直しが無い構造
- 役割は送る・返す・会う・決める・記録するの五つ。会うと決めるは社内でしか成り立たない
- 担う人は人事(決める・返す・記録)・現場(会う・材料)・責任者(会う・決める・名義)・代行(送る・返す・送信と返信の記録)・経営(方針)。現場と責任者に作業を渡さない
- 型は人事中心・人事+代行・現場主導+支援。どの型でも会うと決めるは社内
- 巻き込みは面談の枠・材料・名義・面談後の判断・一言・内定後の接点を、時間で示して頼む
- 見直しは返すの遅れ・送るの未達・会うの枠・決めるの遅さ・記録の抜け・役割の増加・代行で成果が出ないの兆候で、役割ごとに
- 外注できるのは稼働の見積もり・向き不向きの整理・型の提案・送ると返すと記録の実施・頼み方の型・面談の資料と下書き・記録の集約・月次の確認・文書化。社内に残るのは会うと決めるの人・依頼と合意・面談と判断・承認・面談以降の記録・範囲と費用・見直しの決定
よくある質問
人事が一人しかいません。体制は組めますか
組めます。人事一人が担うのは「決める」(要件、型の承認)と「記録する」の面談以降だけにし、「送る」「返す」「送信と返信の記録」は代行に、「会う」は責任者か一緒に働く人に、と分けます。人事が全部を担う「人事中心」の型は、人事に専任の稼働がある場合の型で、一人で兼務なら「人事+代行」の型です。人事の稼働は、週に数時間で足ります。人事が一人で回らない構造は人事が一人で回らないに書いています。
現場に「スカウトを書いてほしい」と頼んで断られました
頼み方の問題です。「書いてほしい」は「送る」の作業全部を渡す形で、現場は本業があるので断ります。頼むのは「一段落目の材料を三つ、一度だけ十五分で」と「候補者と会う枠を週に一つ」です。文面の作成と送信と返信は、人事か代行が担います。負担を時間で示して頼み直せば、引き受けてもらえることが多い。現場メンバーにスカウトを書いてもらうに書いています。
責任者が「良い人が来たら会う」と言うだけで、枠を空けてくれません
「良い人が来たら」では、来たときに枠が無く、候補者を待たせて失います。「週に一枠、先に空けておく。使われなければ自分の仕事に使ってよい」の形で、上司(経営)から合意を取ります。責任者本人に頼んでも空かないことが多いので、上司からです。加えて、「面談の相手が責任者だと、日程の返事が変わる」という事実を、自社の記録で示せると、責任者は動きます。日程の押さえ方は日程が押さえられないに書いています。