人事副業 / 単価・契約・税務

最低保証を付けてもらえるか|成果が出ない月の収入をゼロにしない交渉の型

公開 2026-09-12

成果報酬型で受けている。今月は面談が組めず、報酬はゼロ。稼働はしていたのに、収入が無い。「最低限の保証を付けてもらえないか」と思うが、言い出せない。人事の副業で、成果報酬型や時給型を受けている人が、一度は考えることです。結論を先に書くと、最低保証は、「稼働の下限を約束する代わりに、報酬の下限を約束してもらう」形なら、依頼側が応じやすい。受ける側が何も約束せずに保証だけを求める形は、応じにくい。交換の形で切り出してください。成果報酬の判断は成果報酬型は受けるべきかに、超過の扱いは超過稼働の扱いにまとめています。この記事では、金額の数値は扱いません。

最低保証の仕組み

最低保証は、「成果や稼働に関係なく、月に最低この額は払う」という約束です。形は、次のようなものがあります。

月額の下限。 成果報酬型で、成果がゼロの月でも、月額の下限を払う。成果が出れば、成果報酬が上乗せされる。

稼働の下限の保証。 時給型で、月に最低〇時間分は払う。稼働が少ない月でも、下限の時間分は払われる。

立ち上げ期間の保証。 最初の一〜二か月は、成果に関係なく月額を払う。三か月目から成果報酬に移る。

成果の下限の保証。 「月に〇件の面談設定を成果の下限として扱う」。成果が下限に満たなくても、下限分の成果報酬を払う。

どの形も、受ける側の収入の下限を作ります。依頼側から見れば、成果が出なくても払う費用が発生する形です。だから、依頼側が応じるには、理由が要ります。

依頼側が応じやすい形

依頼側が最低保証に応じやすいのは、受ける側が何かを約束する形です。

稼働の下限を約束する。 「月に最低〇時間は稼働します。その代わり、月額の下限を」。依頼側は、稼働が確保されることを得ます。

業務の範囲を固定する。 「この工程は必ずしも成果に直結しませんが、毎月行います。その分を月額で」。対象の抽出、文面の整備、レポート。成果に関係なく要る業務を、月額の根拠にします。

立ち上げの期間に限定する。 「最初の二か月だけ、月額で。三か月目から成果報酬に」。依頼側は、期間が限定されているので応じやすい。

成果報酬の単価を下げる代わりに。 「月額の下限を付けていただく代わりに、成果一件あたりの単価を下げます」。依頼側の総額が大きく変わらない形。

依頼側の体制が整うまで。 「面談枠が確保されるまでは、成果が出にくいので、その期間は月額で」。依頼側の体制の問題で成果が出ない期間の保証。

交換の形なら、依頼側は「保証を付ける理由」を社内で説明できます。何も約束せずに「保証してほしい」では、説明できません。

依頼側が応じにくい形

次の形は、依頼側が応じにくい。

受ける側が何も約束しない。 「成果が出なくても払ってほしい」だけ。依頼側にとって、費用が増えるだけ。

保証の額が、成果報酬の期待値と釣り合わない。 保証が高く、成果報酬も残る形。依頼側の総額が大きく増える。

期間が無限。 「ずっと最低保証を」。依頼側は、成果が出ない期間が続いても払い続けることになる。

成果が出ない原因が、受ける側にある場合。 対象がずれている、文面が型、返信対応が遅い。この状態で保証を求めても、依頼側は「成果を出してから」と返します。

契約の途中で、突然。 契約時に無かった保証を、成果が出ない月に突然求める。「なぜ今」となります。

応じにくい形で切り出すと、断られるだけでなく、「成果を出す自信が無いのか」と受け取られることがあります。

受ける側が約束すること

最低保証と引き換えに、受ける側が約束できることを整理します。

稼働の下限。 月に最低何時間。記録で示せる形で。

成果に直結しない業務の実施。 対象の抽出、文面の整備、レポート、定例会。毎月行うことを約束。

返信対応の速さ。 当日中の一次対応。依頼側にとって、成果に効く約束。

成果報酬の単価の調整。 保証を付ける代わりに、一件あたりを下げる。

期間の限定。 保証は立ち上げの期間だけ、または三か月ごとに見直し。

成果が出なかったときの見直し。 「三か月で成果が出なければ、保証を見直す」。依頼側のリスクを限定。

約束できることが多いほど、依頼側は応じやすくなります。ただし、約束したことは守る必要があります。稼働の下限を約束して守れなければ、保証の根拠が消えます。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「成果がゼロの月に、『最低保証を付けてほしい』とだけ言った」というものです。依頼側は「成果が出ていないのに、なぜ払うのか」と返し、受ける側は「稼働はしている」と言うが、記録が無く示せない。契約時に「稼働の下限を約束する代わりに、月額の下限を」と交換の形で決めていれば、成果がゼロの月も、稼働の記録で下限が払われました。

見ていて差がつくのは、受ける側が「保証を求める」ではなく「交換を提案する」形で切り出せるかどうかです。「払ってほしい」と言う人と、「これを約束するので、これを保証してほしい」と言う人がいます。後者は、依頼側から「筋を通す人」と見られ、保証が通りやすい。

受ける側にできるのは、契約の時点で交換の形を提案することです。成果が出ない月に後から求めるより、契約時に決めておくほうが、はるかに通ります。

交渉の切り出し方

最低保証を切り出すときは、次の手順で。

契約の時点で。 成果が出ない月に後から求めるのではなく、契約時に。「成果報酬型で受けますが、稼働の下限と報酬の下限を、交換の形で決めさせてください」。

成果が出にくい理由を、事実で。 「最初の二か月は対象と文面を整える期間で、成果は出にくい」「返信対応は成果に直結しませんが、毎月要る」。理由が事実なら、依頼側は理解します。

交換の形を、具体的に。 「月に〇時間の稼働と、対象の抽出・文面・レポートの実施を約束します。その分を月額の下限として、成果報酬はその上に」。

期間と見直しを添える。 「三か月ごとに、成果と稼働を見て、保証の額を見直します」。依頼側のリスクを限定。

依頼側の体制を確認する。 「面談枠と返信対応の体制が整っていれば、成果は出やすくなります。その確認をさせてください」。成果が出ない原因が依頼側にある場合、保証の根拠が強くなります。

断られたら、代わりの形を。 保証が付かないなら、成果の定義を面談設定に置く、立ち上げの期間だけ月額にする、稼働の上限を決める、のどれかを。

切り出し方は、「保証してほしい」ではなく「この形で契約したい」です。契約の設計の提案として出します。

最低保証が無い場合の代わりの守り方

最低保証が付かない場合、収入のゼロを避ける代わりの方法があります。

成果の定義を、自分で動かせる範囲に置く。 「内定」ではなく「面談設定」。成果が出やすくなり、ゼロの月が減ります。

稼働の上限を決める。 成果が出ない月に、無限に稼働しない。上限で止めれば、時給がゼロに近づくことを防げます。

複数の案件を持つ。 一つの案件の成果がゼロでも、別の案件で収入がある形。ただし、稼働の合計が固定できる時間を超えないように。

月額型の案件を混ぜる。 成果報酬型だけでなく、月額型の案件を一つ持つ。収入の下限が、月額型で作られます。

立ち上げの期間だけ月額を。 全期間の保証が無理でも、最初の二か月だけ月額にしてもらう。

期限を切る。 「三か月で成果が出なければ、契約を見直す」。成果がゼロのまま続けない。

最低保証は、収入の下限を作る一つの方法で、全部ではありません。付かないなら、他の方法で下限を作ります。

エラベルの見解

担当する側から見ると、最低保証で最も困るのは「保証が無い成果報酬で受けて、依頼側の体制が整わず、成果が出ず、無償の稼働が続く」ことです。対象を絞り、文面を整え、面談を提案しても、依頼側の面談枠が無く、日程が組めない。成果はゼロで、稼働は続く。依頼側は「成果報酬だから」と、体制を整える動機も薄い。

最低保証は、受ける側の収入のためだけでなく、依頼側に「成果が出る体制を整える」動機を作るものでもあります。保証を払う以上、依頼側は成果を出したくなり、面談枠を空けます。

受ける側にできるのは、保証を「自分のため」だけでなく「依頼側が体制を整える動機」として提案することです。「保証があれば、御社も成果を出す体制を整える理由になります」。この言い方は、依頼側にとっても筋が通ります。

まとめ

よくある質問

契約の途中ですが、最低保証を求めてもよいですか

契約の途中で突然求めると、「なぜ今」となります。契約の更新や、範囲の変更の節目に、「次の期間から、稼働の下限と報酬の下限を交換の形で」と提案してください。それまでは、稼働の記録を残し、成果が出ない原因(依頼側の体制か、自分の運用か)を整理しておきます。

依頼側から「成果報酬なので保証は無理」と言われました

交換の形で再提案してください。「稼働の下限を約束し、成果に直結しない業務(対象の抽出、文面の整備、レポート)を毎月行います。その分を月額の下限として」。それでも無理なら、成果の定義を面談設定に置く、立ち上げの期間だけ月額にする、稼働の上限を決める、のどれかを。全部無理なら、受けない判断も。

最低保証を付けてもらいましたが、稼働の下限を守れませんでした

保証の根拠が消えます。守れなかった理由(本業の繁忙、体調)を率直に伝え、その月の保証を辞退するか、翌月に稼働を繰り越すかを提案してください。黙って保証を受け取ると、次の月から依頼側の信頼が落ちます。約束した下限は、最も忙しい月でも守れる時間にしておくことが、保証を続ける前提です。