人事副業 / 案件獲得

何から手を付けるか|「案件を探す」から始めず、「経験の棚卸し」「本業の規定の確認」「受けられる時間の固定」「一つの業務に絞った見せ方」の四つを先に済ませる

公開 2026-09-14

人事や採用の仕事を何年かやってきて、副業で活かしたい。ただ、何から手を付ければよいか分からない。副業の案件を探しに行っても、プロフィールに何を書けばよいか、いくらで受ければよいか、本業の会社に言うべきかで止まる。結論を先に書くと、最初にやるのは「案件を探す」ことではありません。「経験の棚卸し」「本業の副業の規定の確認」「受けられる時間の固定」「一つの業務に絞った見せ方」の四つを先に済ませます。この四つが無いまま案件を探すと、何を書けばよいか分からず、受けてから時間が足りず、本業との関係で止まります。四つは合わせて数日で済み、済ませてから探すと、最初の一件が決まりやすくなります。最初の九十日の全体は人事の副業の始め方に、時間の決め方は週何時間から受けられるかにまとめています。本業の規定と法令に関わる部分は一般的な整理にとどめ、個別の判断は専門家にご確認ください。

最初で止まる構造

副業を始めようとして、最初で止まるのは、次の構造で起きます。

構造起きていること
案件から探している案件の一覧を見て、「自分にできるか」を一件ずつ考え、決められない
経験が言葉になっていない「採用を担当していた」までしか言えず、何を頼めるかが依頼側に伝わらない
本業の規定を見ていない副業が認められているか、届け出が要るかを知らず、不安のまま止まる
時間が決まっていない「空いた時間で」と考え、受けてから時間が足りなくなる
全部できると書いている「人事全般」と書き、依頼側は何を頼めばよいか分からず、声がかからない
単価で止まる「いくらが妥当か」で悩み、探すところまで進まない
完璧に準備しようとするポートフォリオ、職務経歴書、名刺、サイト。全部そろえてからと考え、始まらない

構造の大半は、「探す前に決めることを、探しながら決めようとしている」ことです。四つを先に済ませれば、探す段階で迷いません。

先に済ませる四つ

案件を探す前に済ませる、四つです。

やること済んだ状態所要
経験の棚卸しやってきたことを「頼める業務」の単位で三〜五個、書き出せている半日
本業の規定の確認副業の可否、届け出の要否、禁止の範囲(競業、時間、情報)を、就業規則で確認した一時間
受けられる時間の固定本業が忙しい週でも固定できる時間を、週の曜日と時間帯で決めた一時間
一つの業務に絞った見せ方三〜五個のうち、最初に受ける一つを選び、その一つを「範囲」「経験」「進め方」で三文に書いた半日

四つの要点は、「順番」です。棚卸しが無いと、見せ方が書けません。規定を見ないと、受けてから問題になります。時間が固定されていないと、見せ方に「週何時間」が書けません。一から四の順で、合わせて数日です。

一:経験の棚卸し

やってきたことを、「頼める業務」の単位に分けます。肩書きではなく、手が動く範囲で書きます。

書き方例の形
肩書きではなく業務「採用担当」ではなく「求人票の作成」「スカウトの文面の作成と送信」「一次面接の実施」「候補者の日程調整」「内定者のフォロー」
使った道具と媒体「〇〇(媒体名)でのスカウト運用」「△△(ツール名)での応募者管理」。具体的な名前で
数と期間「月に〇〇通」「年に〇〇名の採用」「三年間」。自分の実績の数字は書いてよい
何が変わったか「返信率が上がった」「日程調整の日数が短くなった」。変化を一行
できないこと「合否の決定」「年収の提示」「労務の判断」は、外部の立場ではやらないと決める

棚卸しの要点は、「三〜五個に絞る」ことです。十個書くと、次の「一つに絞る」ができません。自分が最も長くやり、最も数字で語れるものから、三〜五個です。実績の示し方は実績の示し方に、経歴書の組み替えは副業用の職務経歴書に書いています。

二:本業の規定の確認

副業を始める前に、本業の会社の規定を確認します。ここを飛ばすと、受けてから止まります。

確認すること見る場所分かれる対応
副業の可否就業規則の副業・兼業の条項認められている、届け出制、許可制、禁止
届け出や許可の手続き就業規則、人事への確認書式、提出先、期間
禁止の範囲競業の禁止、情報の持ち出しの禁止、労働時間の制限同業の会社の案件を避ける、本業の情報を使わない、時間の上限
本業への影響就業規則の「本業に支障が無いこと」の条項稼働時間を固定し、本業の時間帯に副業をしない
相談先人事、上司、社外の専門家規定の解釈は専門家に

確認の要点は、「禁止の範囲」です。副業が認められていても、競業の禁止と情報の持ち出しの禁止は、ほぼ全ての規定にあります。人事の副業は、本業と同じ業界の会社から声がかかりやすいので、競業の範囲を先に確認します。規定の解釈と、法令上の扱いは、専門家に確認してください。許可の申請の出し方は副業許可の申請の出し方に、本名を出すかは本名を出さずに受けられるかに書いています。

三:受けられる時間の固定

「空いた時間で」ではなく、「本業が忙しい週でも固定できる時間」を決めます。

決めること内容
週の時間本業の最も忙しい週を思い出し、それでも確保できる時間。多くの人は週に三〜六時間から
曜日と時間帯「平日の夜」「土曜の午前」のように、曜日と時間帯で固定する。「空いたら」にしない
連絡の時間帯依頼側から連絡が来たとき、いつ返せるか。「平日は夜に、土日は午前に確認」など
増やせる条件本業の繁忙期が過ぎたら、慣れたら。増やす判断は三か月後
減らす条件本業の繁忙期。減らすときは依頼側に事前に

時間の要点は、「少なくても固定」です。週三時間でも、固定されていれば、依頼側は予定が立ちます。週十時間でも、不安定なら、依頼側は頼めません。時間の決め方は週何時間から受けられるかに書いています。

エラベルの見解

登録の相談で最も多いのは、「全部できます、と書いてあるが、何を頼めばよいか分からない」というプロフィールです。「採用全般、人事制度、労務、研修」と並び、経験は本物でも、依頼側は「この人に、何を、いくらで頼めるか」が読めません。棚卸しで三〜五個に分け、最初の一つに絞り、「〇〇の媒体でのスカウト運用(検索、文面、送信、一次返信まで)を、週に五時間で」と書き直した人は、その月に声がかかりました。全部できるより、一つが具体的なほうが、頼まれます。

見ていて差がつくのは、「時間を固定しているか」です。「週に十時間くらい、調整できます」と書く人と、「火曜と木曜の夜に二時間ずつ、土曜の午前に二時間、合計六時間」と書く人がいます。後者は、依頼側が予定を立てられるので、頼まれやすい。少なくても固定されている時間が、最初の一件を決めます。

エラベルでは、登録の時点で稼働の時間帯を書いていただきますが、それは依頼側が「この人なら、この曜日に動いてもらえる」と分かるためです。固定できる時間が週に数時間でも、案件はあります。

四:一つの業務に絞った見せ方

棚卸しした三〜五個のうち、最初に受ける一つを選び、三文で書きます。

選ぶ基準内容
最も長くやった経験の年数と数が最も語れるもの
一人で完結する社内の他の人の協力が無くてもできる業務。スカウトの文面、求人票、日程調整など
固定した時間に収まる週三〜六時間で、一つの区切りまでできる
本業の規定に触れない競業に当たらない、本業の情報を使わない
需要がある依頼側が外に出しやすい業務。スカウトの運用、求人票の作成、一次対応、面接の設計
三文の形例の形
範囲「〇〇(媒体名)でのスカウト運用を、検索条件の設計・文面の作成・送信・一次返信の対応まで受けます」
経験「前職で三年間、月に〇〇通を送り、△△職の採用を年に〇〇名担当しました」
進め方と時間「週に六時間(火・木の夜と土曜の午前)で、初月は文面の型と対象の基準を作り、二か月目から送信します」

見せ方の要点は、「範囲」です。「スカウトできます」ではなく、「検索から一次返信まで」と、どこまでやるかを書きます。範囲が書いてあれば、依頼側は見積もりを作れます。範囲の固め方は業務範囲を書面で固めるに書いています。

案件を探すのはその後

四つを済ませたら、案件を探します。探し方と、最初の一件の選び方です。

項目内容
探す先人事・採用に特化した登録先、知人の紹介、本業で接点のあった会社(規定に触れない範囲で)、一般の副業の仲介
出す情報四で書いた三文と、棚卸しの一覧。全部を出さず、一つを前面に
最初の一件の選び方範囲が明確、期間が短い(一〜三か月)、固定した時間に収まる、依頼側に人事の担当がいる(相談相手がいる)
避ける一件範囲が「採用全般」で曖昧、期間が長い、稼働が読めない、合否や年収の判断を求められる
受ける前に確認すること範囲、期間、時間、報酬の形、含まない業務、判断は誰か、連絡の手段と頻度、成果物の権利、秘密保持
単価相場を探すより、「時間×自分の時給」から根拠を作る。最初の1件の価格の決め方

探す段階の要点は、「最初の一件は、範囲が明確で期間が短いもの」です。最初から大きな案件を取ろうとせず、一〜三か月で終わる一件を、固定した時間で終わらせる。それが二件目につながります。面談で聞かれることは副業案件の面談で聞かれることに書いています。

やらなくてよいこと

始める前に「やらなければ」と思いがちだが、最初は要らないことです。

やらなくてよいこと理由
ポートフォリオを完璧に作る最初の一件は、三文と棚卸しで足りる。ポートフォリオは一件目の成果物で作る。ポートフォリオの作り方
開業の届け出や屋号税務の扱いは、収入が発生してからでも間に合うことが多い。ただし判断は専門家に。確定申告の進め方
名刺やサイト最初の一件には要らない
複数の業務を同時に売る一つに絞る。二つ目は一件目が終わってから
単価の相場の調査相場より、時間×時給の根拠。相場は案件によって幅が大きく、調べても決まらない
資格の取得人事の副業で、資格が必須の案件は限られる。経験の棚卸しが先
全部の登録先に登録する一つか二つに絞る。多いと、それぞれのプロフィールの更新で止まる

やらなくてよいことの要点は、「一件目の前に整えるものは、四つだけ」ということです。それ以外は、一件目が終わってから、その成果物で整えます。

エラベルの見解

担当する側として登録した人の中で、最初の一件が早く決まるのは、「一つに絞って、時間を固定して、範囲を書いた人」です。経験の深さや年数の差より、この三つが揃っているかで、声がかかる速さが変わります。逆に、経験が十年あっても、「人事全般、週十時間くらい、応相談」と書いた人には、声がかかりにくい。依頼側が、何を頼めるか読めないからです。

四つを済ませるのに、数日です。数日で、探す段階の迷いが消えます。案件を探しながら決めようとすると、一件ごとに「自分にできるか」「時間はあるか」「本業は大丈夫か」を考え、決められないまま数か月が過ぎます。

エラベルでは、登録の時点で「一つの業務」「固定した時間」「範囲」を書いていただく形にしています。書けていれば、条件の合う案件のときだけ声がかかり、合わない案件で悩む時間が減ります。稼働時間と単価は、ご自身で決めていただけます。

まとめ

よくある質問

経験が三年程度でも、始められますか

年数より、棚卸しで「頼める業務」が一つ書けるかです。三年間、スカウトの送信と返信の対応をしてきたなら、「〇〇の媒体でのスカウト運用」は頼める業務です。年数が短くても、一つの業務で数と変化が語れれば、最初の一件は取れます。逆に、十年あっても業務の単位で書けなければ、頼まれません。まず、三〜五個の棚卸しから始めてください。

本業の会社が副業を禁止しています。どうすればよいですか

就業規則の禁止の条項を確認し、禁止の範囲(全面か、届け出や許可で認められるか、特定の業種だけか)を見ます。全面の禁止なら、規定を変えずに始めることは勧めません。届け出や許可で認められるなら、申請の準備をします。規定の解釈と、法令上の扱い(副業の制限がどこまで有効か)は、個別の事情によるので、専門家に確認してください。副業許可の申請の出し方に、申請の書き方を整理しています。

四つを済ませたのに、声がかかりません

三つを見直します。一つ目、「範囲」が具体的か。「スカウトできます」ではなく「検索から一次返信まで」になっているか。二つ目、時間が「曜日と時間帯」で固定されているか。「週十時間くらい」になっていないか。三つ目、絞った一つの業務に需要があるか。依頼側が外に出しにくい業務(合否の判断、労務の判断)を前面にしていないか。三つとも整っていれば、登録先を一つ足すか、知人の紹介を頼みます。最初の一件は、時間がかかることもあります。時間を固定した状態で、待てる形にしておきます。