労働時間の通算ルール|業務委託の副業は通算されない、雇用なら通算される

報酬・契約・税務単価・契約・税務 更新日 2026-10-16

人事の仕事をしている人なら、「副業をすると本業と副業の労働時間を通算しなければならない」という話を聞いたことがあるはずです。自分が副業をする側になると、この通算が自分の副業にも当てはまるのか、本業の会社に何か手続きが発生するのか、気になるところです。結論から書くと、労働時間の通算は雇用されて働く場合の話で、業務委託で受ける人事の副業は、原則として通算の対象になりません。ただし、副業でも雇用される場合は通算の対象になり、本業と副業の両方の会社が労働時間を管理することになります。

以下は条文と厚生労働省のガイドラインに沿った一般的な整理です。個別の働き方が通算の対象になるかどうかは、契約の形と実態で判断されます。具体的な判断は社会保険労務士・弁護士にご確認ください。

労働基準法第38条第1項の考え方

労働基準法第38条第1項は、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めています。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、この「事業場を異にする場合」には、事業主を異にする場合も含まれると説明されています。つまり、本業の会社と副業の会社の両方に雇用されて働く場合、二つの会社での労働時間は合わせて考えることになります。

通算するのは、法定労働時間(労働基準法第32条)や、時間外労働と休日労働の合計についての上限(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)などの規定です。ガイドラインでは、休憩、休日、年次有給休暇については、労働時間に関する規定ではないため通算されないとされています。

通算されない場合

ガイドラインは、通算されない場合として、次の二つを挙げています。

区分ガイドラインの例
労働基準法が適用されない場合フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等
労働基準法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル制度

人事の副業を業務委託で受ける場合、依頼側に雇用されているわけではないので、一つ目の「労働基準法が適用されない場合」に当たると考えられます。フリーランスやコンサルタントとして採用の支援をする形です。この場合、副業の時間は本業の労働時間と通算されません。

ただし、ガイドラインはこれらの場合でも、過労などにより業務に支障を来さないよう、本人からの申告などにより就業時間を把握し、長時間にならないよう配慮することが望ましいとしています。通算の対象にならないからといって、本業の会社が副業の時間をまったく気にしないわけではない、ということです。

エラベルの見解

担当者として登録している人から、「業務委託なら通算されないので、いくらでも働けますよね」と聞かれることがあります。制度の上ではそうかもしれませんが、担当する側から見ると、副業の時間を自分で決めて守れる人ほど長く続いているのが実情です。

人事の副業は、候補者とのやりとりや面接の日程調整など、相手の都合に合わせて時間が延びやすい仕事です。業務委託で通算の対象にならない分、自分で上限を決めておかないと、本業の睡眠時間を削ることになります。週に何時間までと決め、それを依頼側にも伝えておく。通算のルールが適用されない働き方だからこそ、自分の中にルールを持っておくことが、本業と副業の両方を守ることにつながります。

雇用の副業で通算されるとき

副業先とも雇用契約を結ぶ場合は、通算の対象になります。ガイドラインでは、副業・兼業を行う労働者を使用するすべての使用者が、自らの事業場の労働時間と、労働者からの申告などにより把握した他の使用者の事業場の労働時間とを通算して管理する必要がある、とされています。

通算の方法は、大きく二つの段階に分かれます。副業を始める前に、両方の会社の所定労働時間を通算し、法定労働時間を超える部分がある場合は、時間的に後から労働契約を結んだ会社での超える部分が時間外労働になるとされています。副業を始めた後は、それぞれの会社の所定外労働時間を、行われた順に通算していきます。

この管理は、両方の会社にとって手間がかかります。そこでガイドラインは、手続上の負担を軽減する「管理モデル」を示しています。副業を始める前に、先に契約した会社の法定外労働時間と、後から契約した会社の労働時間を合わせた時間が、単月100時間未満・複数月平均80時間以内となる範囲で、それぞれの会社の労働時間の上限を決めておく方法です。それぞれの会社がその範囲内で働かせる限り、相手の会社の実労働時間を把握しなくても法律を守れる、という仕組みです。

本業の会社への届け出との関係

ガイドラインでは、会社が副業・兼業の有無や内容を確認する方法として、就業規則などに届出制を定めることが挙げられています。確認する事項としては、副業先の事業内容、副業先で従事する業務の内容、労働時間の通算の対象になるかどうかなどが例示されています。

業務委託で受ける人事の副業なら、届け出のときに「業務委託で、労働時間の通算の対象にはならない形です」と伝えると、本業の会社の担当者も判断しやすくなります。雇用で受ける場合は、副業先での所定労働時間や所定外労働の見込みなども伝え、管理モデルを使うかどうかを両方の会社で相談することになります。副業の届け出全般については住民税から本業に知られるかでも触れています。

なお、副業・兼業の労働時間の通算については、制度の見直しが議論されています。現時点のルールは厚生労働省のガイドラインのとおりですが、今後の改正の動きは厚生労働省の発表で確認してください。

エラベルの見解

人事の副業をする人には、もう一つの視点があります。自分が依頼側の人事として、副業の人を受け入れる立場になることがあるという点です。副業で採用を支援している会社が、別の副業人材を雇用する場面に関わることもあります。

自分が副業をする側として通算のルールを理解しておくと、受け入れる側の手続きも説明できるようになります。管理モデルを使うかどうか、届出で何を確認するかを依頼側に提案できれば、それ自体が人事の副業としての価値になります。制度を自分のためだけでなく、依頼側の仕組みづくりにも生かしてください。

まとめ

よくある質問

業務委託の副業なら、本業の会社に届け出なくてよいですか

労働時間の通算の対象にならないことと、本業の会社への届け出が要らないことは別の話です。会社の就業規則で副業の届出や許可が定められている場合は、業務委託であっても規程に従って届け出てください。届け出の際に業務委託であることを伝えておくと、会社の担当者も判断しやすくなります。

副業先で雇用されると、残業代はどちらの会社が払いますか

ガイドラインでは、所定労働時間を通算して法定労働時間を超える部分は、時間的に後から労働契約を結んだ会社の時間外労働になるとされています。副業を始めた後の所定外労働時間は、行われた順に通算されます。個別の計算は複雑になるため、両方の会社の人事担当者や社会保険労務士に確認してください。

労働時間の通算のルールは変わる予定がありますか

副業・兼業の労働時間の通算については、制度の見直しが議論されています。ただし、記事の執筆時点では、厚生労働省のガイドラインに示されたルールに沿って運用されています。今後の改正の内容や時期は、厚生労働省の発表で確認してください。

出典

本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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