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副業許可の申請の出し方|「認めてもらう」ではなく「会社の懸念を先に潰す」書き方

公開 2026-09-12

本業の会社が、副業を届出制か許可制にしている。申請を出さなければならないが、何を書けば通るのか、断られたらどうするのか、上司にどう言えばよいのか。結論を先に書くと、副業の申請は、「認めてもらう」お願いではなく、「会社が持つ懸念を、先に潰す」書類です。会社が見ているのは、本業への影響・情報の漏えい・競業・労働時間の四つ。四つの懸念に対して、副業の内容と自分の運用で「起きない」と示せれば、通ります。人事の副業そのものの始め方は人事の副業の始め方に、本業と利益が相反する案件は本業と利益相反になる案件にまとめています。就業規則の効力、副業に関する法令、競業避止や守秘の法的な範囲は、この記事では扱わず、専門家にご確認ください。

会社が見ている四つの懸念

会社が副業の申請を見るとき、見ているのは、副業の中身の面白さや、本人の意欲ではありません。次の四つの懸念です。

一.本業への影響。 副業で疲れて本業のパフォーマンスが落ちないか。本業の時間に副業の連絡が入らないか。

二.情報の漏えい。 本業の会社の情報(候補者、取引先、制度、人事の内部情報)が、副業に持ち出されないか。

三.競業。 副業の依頼側が、本業の会社と競合していないか。本業の会社の利益を損なわないか。

四.労働時間。 本業と副業を合わせた労働時間が、過重にならないか。会社として、安全配慮の観点で問題にならないか。

申請は、この四つに対して、「起きない」と示すものです。「副業をしたい理由」を長く書くより、四つの懸念への答えを短く書くほうが、通ります。

申請の前に確認すること

申請を出す前に、確認しておくことがあります。

就業規則の副業の規定。 届出制か、許可制か、禁止か。申請の様式、提出先、審査の基準が書かれているか。規定の解釈は、専門家に確認。

過去の事例。 社内で、副業を認められた人がいるか。どんな副業が、どう認められたか。人事の同僚や、上司に聞ける範囲で。

自分の副業の内容の整理。 依頼側の業種と規模(会社名を出せるか)、業務の内容、稼働の時間と時間帯、契約の形、期間。申請に書けるレベルで。

四つの懸念への、自分の答え。 本業への影響、情報、競業、労働時間。それぞれ、「起きない」と言える根拠。

上司との関係。 申請の前に、上司に一言相談するか、申請と同時か。会社の文化と、上司との関係で。

認められなかった場合の選択肢。 副業の内容を変えるか、時期を待つか、諦めるか。事前に考えておく。

確認せずに出すと、様式が違う、規定に沿っていない、上司が驚く、で止まります。

申請に書く項目

申請の様式が指定されていれば、それに従います。指定が無い、または様式に加えて説明を添える場合、次の項目を書きます。

項目書くこと
副業の内容業務の種類(採用の助言、スカウト文面の作成など)。具体的に、短く
依頼側業種と規模。会社名を出せるなら出す。競合しないことを明示
契約の形業務委託か雇用か。期間
稼働週の時間、時間帯(本業の時間外であること)
本業への影響本業の時間には副業の対応をしないこと。本業のパフォーマンスを優先すること
情報の扱い本業の情報を副業に持ち込まないこと。依頼側との秘密保持
競業依頼側が本業の会社と競合しないこと。競合する案件は受けないこと
労働時間本業と合わせた時間の見込み。過重にならない範囲であること
報告副業の状況を、必要に応じて会社に報告すること。変更があれば再申請すること

四つの懸念への答えが、項目として並ぶ形です。「なぜ副業をしたいか」は、一行で足ります。

懸念ごとの書き方

四つの懸念に、どう書くか。

本業への影響。 「副業の稼働は、平日〇時以降と週末に限り、本業の勤務時間中には副業の連絡・対応を行いません。本業の業務に支障が出る場合は、副業の稼働を減らします」。時間帯の分離と、本業優先の意思。

情報の漏えい。 「本業で知り得た情報(候補者、取引先、制度、人事情報)は、副業に一切使用しません。副業の依頼側とは秘密保持を含む契約を結び、副業の情報も本業に持ち込みません」。双方向の分離。

競業。 「副業の依頼側は〇〇業界の〇〇規模の会社で、当社と競合する事業を行っていません。今後も、当社と競合する依頼側の案件は受けません」。現在と、今後の両方。

労働時間。 「副業の稼働は週〇時間を上限とし、本業と合わせた時間が過重にならない範囲で行います。健康状態に問題が生じた場合は、副業を減らすか停止します」。上限と、健康への配慮。

書き方の共通点は、「起きない」と断言するのではなく、「起きないための運用をする」と示すことです。運用が具体的なら、会社は懸念を下げられます。

労働時間の通算や、競業避止、守秘の法的な扱いは、専門家にご確認ください。この記事は、申請の書き方の整理であって、法的な助言ではありません。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「副業をしたい理由を長く書いて、四つの懸念に触れなかった」というものです。「経験を活かしたい」「成長したい」「収入を増やしたい」。理由は分かるが、会社が知りたいのは「本業に影響しないか」「情報が漏れないか」「競合しないか」「過重にならないか」。触れていないので、会社は懸念を持ったまま、「保留」か「不許可」。四つの懸念に短く答えていれば、通っていました。

見ていて差がつくのは、申請する側が「会社の側から見る」ことができるかどうかです。自分の側から「したい理由」を書く人と、会社の側から「懸念への答え」を書く人がいます。後者は、会社が判断しやすく、通りやすい。

申請する側にできるのは、申請を「お願い」ではなく「懸念への回答」として書くことです。人事の経験があるなら、会社の側の見方は分かるはずです。

上司への伝え方

申請は、書類だけでなく、上司との会話でも決まります。

申請の前に、一言相談する。 「副業を考えていて、申請を出そうと思っています。事前にお話ししておきたく」。突然の申請より、事前の一言が、上司の心証を保ちます。

本業を優先することを、先に言う。 「本業に影響が出ないように、稼働は週〇時間、平日夜と週末に限ります」。上司の最初の懸念は、本業への影響です。

上司の懸念を聞く。 「何かご懸念があれば、伺いたいです」。上司が持つ懸念を聞いて、答える。

副業の内容を、簡潔に。 「〇〇業界の会社の採用の助言を、月に数回」。詳細より、競合しないこと、情報を持ち込まないこと。

上司の協力を求めない。 「認めてください」と頼むのではなく、「申請を出します」と伝える。判断は会社の手続きで。

上司が反対する場合。 反対の理由を聞き、四つの懸念のどれかなら、運用で答える。理由が「前例が無い」「何となく」なら、規定に沿って申請を出す旨を伝える。

上司との会話は、申請の中身を変えるものではなく、申請が通った後の関係を保つためのものです。

認められなかったときの対応

申請が認められないこともあります。対応です。

理由を聞く。 四つの懸念のどれか、規定上の理由か、その他か。理由が分かれば、対応できる。

懸念が理由なら、内容を変えて再申請する。 稼働を減らす、依頼側を変える(競合の懸念)、業務の種類を変える(情報の懸念)。

規定上の理由なら、規定を確認する。 「副業は一律禁止」など。規定の効力や、法令との関係は、専門家に確認。

時期を待つ。 会社の状況(繁忙期、体制の変更)で認められない場合、時期を改めて再申請。

認められないまま副業をしない。 認められていない副業を隠れて行うと、規定違反になり、本業の立場を失うことがある。

本業を続けるか、考える。 副業が認められない会社で、副業をどうしても続けたいなら、本業を変える判断もある。ただし、副業のために本業を変えるのは、大きな判断。

認められなかったこと自体は、失敗ではありません。理由を聞き、次の対応を決めます。

認められた後に守ること

申請が認められた後、守ることがあります。

申請の内容どおりに運用する。 稼働の時間、時間帯、依頼側、業務の内容。申請と違う運用をすると、認められた前提が崩れる。

変更があれば、再申請する。 依頼側が変わった、稼働が増えた、業務の種類が変わった。申請の内容を超える変更は、再申請。

本業の時間に、副業の対応をしない。 本業の勤務時間中に、副業の連絡やチャットを見ない。見ていることが分かれば、信頼を失う。

本業の情報を、副業に持ち込まない。 候補者、取引先、制度、人事情報。持ち込んだことが分かれば、認められた前提が崩れ、問題になる。

本業のパフォーマンスを保つ。 副業で疲れて本業に影響が出れば、副業の許可は見直される。本業を優先する。

報告を求められたら、応じる。 会社が副業の状況の報告を求めるなら、応じる。

副業をやめたら、報告する。 副業を終えたときも、報告。

認められた後の運用が、次の申請(自分の再申請や、同僚の申請)の前例になります。

エラベルの見解

担当する側から見ると、副業の申請で最も困るのは「申請が認められていないのに、副業を受けようとする」ことです。「会社には言っていないが、大丈夫」「バレなければ」。受ける側の立場が不安定で、本業の会社に知られたときに、副業も本業も失う。依頼側にとっても、規定違反の人と契約するリスクがある。

副業の申請は、副業を始めるための最初の手続きです。飛ばして始めることは、受ける側にも依頼側にも、リスクを残します。

受ける側にできるのは、申請を出し、認められてから、副業を始めることです。申請が通らないなら、内容を変えるか、時期を待つ。認められない副業を隠れて行うことは、避けます。

まとめ

よくある質問

副業の申請に、依頼側の会社名を書く必要がありますか

会社の様式や規定によります。競合しないことを示すために、業種と規模で足りる場合と、会社名を求められる場合があります。依頼側との契約で会社名を出せない場合は、「業種と規模、競合しないこと」を書き、会社名は規定上必要なら別途相談する形に。規定の解釈は、専門家にご確認ください。

上司に副業のことを言うのが気まずいです

申請の前に、「副業を考えていて、申請を出そうと思っています。本業に影響が出ないように、稼働は週〇時間、平日夜と週末に限ります」と、本業優先を先に伝えてください。突然の申請より、事前の一言が、上司の心証を保ちます。上司の懸念を聞き、答えれば、多くの上司は理解します。

会社が副業を一律禁止しています

規定の内容と、その効力については、専門家にご確認ください。この記事では扱いません。規定が禁止なら、認められないまま副業を行うことは避け、規定の見直しを会社に相談するか、時期を待つか、本業を続けるかを考えます。隠れて行うことは、本業の立場を失うリスクがあります。