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実績を公開してよいか|「依頼側の了承」「粒度」「候補者の情報」の三つで線を引く

公開 2026-09-12

副業で、依頼側の採用を支援し、成果が出た。この実績を、次の案件の獲得に使いたい。経歴書に書きたい、ポートフォリオに入れたい、記事や登壇で話したい。しかし、依頼側の会社名、採用の数字、候補者の情報を含む実績は、どこまで公開してよいのか。結論を先に書くと、実績の公開は、「依頼側の了承」「公開する粒度」「候補者の情報」の三つで線を引きます。了承があれば会社名まで、無ければ業種と規模まで。数字は比率に、成果物は固有名詞を伏せて。候補者の情報は、どの場合も出さない。この線を守れば、実績は公開でき、信頼も保てます。実績の示し方は実績の示し方に、ポートフォリオはポートフォリオの作り方にまとめています。契約上の守秘の範囲と、個人情報の扱いは、この記事では一般的な整理にとどめ、個別の判断は専門家にご確認ください。

公開の線を三つで引く

実績の公開は、三つの線で判断します。

一.依頼側の了承。 依頼側が、実績の公開を了承しているか。了承の範囲(会社名を出してよいか、数字を出してよいか、成果物を見せてよいか)。契約の守秘の条項と、依頼側の意向の両方。

二.公開する粒度。 会社名か、業種と規模か。実数か、比率か。成果物そのものか、抽象化したものか。粒度が細かいほど、依頼側の情報が特定されやすい。

三.候補者の情報。 候補者の氏名、経歴、辞退の理由、面談での発言。これは、依頼側の了承があっても、候補者本人の情報であり、公開しない。

三つの線を、実績ごとに確認します。線の内側なら公開でき、外側なら公開しない。迷うなら、粒度を粗くするか、公開しない。

依頼側の了承の取り方

依頼側の了承は、次の手順で取ります。

契約時に、実績の公開について聞いておく。 「契約が終わった後、実績として、業種と規模と課題と変化を、会社名を伏せて公開してよいか」。契約時に聞けば、後で聞くより通りやすい。

了承の範囲を、具体的に。 「会社名を出してよいか」「数字を出してよいか(実数か比率か)」「成果物(文面、面接の観点など)を見本として見せてよいか」「どの場(経歴書、ポートフォリオ、発信)で」。範囲を分けて聞く。

書面で残す。 メールで「〇〇の範囲で公開してよい、と伺いました」と確認。口頭の了承は、後で「言った」「言わない」になる。

公開する前に、内容を見せる。 了承があっても、公開する実績の一枚を、依頼側に見せてから公開する。「この形で公開します」。依頼側が「ここは伏せてほしい」と言えば、直す。

契約の守秘の条項を確認する。 契約に守秘の条項があれば、実績の公開がその範囲に触れないか。触れるなら、了承があっても、条項の扱いを専門家に確認。

了承が変わることを想定する。 依頼側の担当者が替わる、依頼側の状況が変わる。了承が撤回されたら、公開を止める。

了承は、依頼側との信頼の上に成り立ちます。了承なしに公開すれば、依頼側との関係が終わるだけでなく、「守秘を守らない人」として、次の依頼側からも警戒されます。

公開する粒度

了承の範囲に応じて、粒度を決めます。

要素了承あり(会社名可)了承あり(会社名不可)了承なし
会社会社名業種と規模業種と規模(特定されない範囲で)
課題具体的に具体的に一般化して
打ち手具体的に具体的に一般化して
変化実数(了承の範囲で)比率、前後の変化比率、または「改善した」
期間実際の期間実際の期間おおよそ
成果物固有名詞を伏せて見本に固有名詞を伏せて見本に見本用に作り直す
自分の関与正確に正確に正確に

「了承なし」の場合も、業種と規模と課題・打ち手・変化の一般化した形なら、依頼側が特定されない範囲で公開できることが多い。ただし、業種と規模で特定される(その業種でその規模の会社が一つしか無い)なら、さらに粗く。

数字は、了承があっても、実数より比率が安全です。「面談設定が〇件から〇件に」は、会社の採用の規模を示し、特定の材料になります。「面談設定が倍に」なら、規模は示されません。

候補者の情報の扱い

候補者の情報は、依頼側の了承に関係なく、公開しません。

氏名、経歴の詳細。 出さない。「〇〇の経験を持つ候補者」程度の抽象化でも、依頼側の採用と組み合わせると特定されることがある。

辞退の理由、面談での発言。 「候補者が〇〇と言った」は、候補者本人の情報。公開しない。傾向として「条件を理由にした辞退が多かった」程度なら、個人が特定されない範囲で。

候補者とのやり取りの文面。 返信の内容、日程調整のやり取り。公開しない。

候補者の数に関わる情報。 「〇名に送って〇名が返信」は、候補者の個人情報ではないが、依頼側の採用の規模を示す。比率に。

成果物の見本に、候補者の情報が残っていないか確認。 スカウトの文面の見本に、実際の候補者の経歴の記述が残っていることがある。見本用に、架空の経歴に書き換える。

候補者の情報の扱いは、契約の守秘だけでなく、個人情報の扱いに関わります。判断に迷う場合は、専門家にご確認ください。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「依頼側の了承を取らずに、会社名と数字を経歴書に書いた」というものです。次の依頼側との面談で、その経歴書を見せた。次の依頼側が、前の依頼側と同じ業界で、「〇〇社の採用の数字を、こんなに詳しく外に出すのか」と警戒した。前の依頼側にも伝わり、関係が終わった。了承を取り、粒度を業種と規模と比率にしていれば、実績は伝わり、信頼も保てました。

見ていて差がつくのは、受ける側が「公開の線を、契約時に依頼側と決めている」かどうかです。契約が終わってから「公開してよいか」と聞く人と、契約時に「終わった後、この範囲で公開してよいか」と合意する人がいます。後者は、実績を安心して使え、依頼側との関係も保てます。

受ける側にできるのは、契約時の合意の項目に「実績の公開の範囲」を入れることです。条件のすり合わせで決めることの八つに、九つ目として。

公開の場ごとの違い

公開の場によって、線の引き方が少し違います。

経歴書(依頼側に個別に送る)。 読む相手が限られる。了承の範囲で、会社名を出せる場合は出してもよい。ただし、次の依頼側が前の依頼側と同じ業界なら、業種と規模に。

ポートフォリオ(依頼側に個別に送る)。 経歴書と同じ。成果物の見本は、固有名詞を伏せて。

発信(記事、SNS、登壇)。 不特定多数が読む。会社名は、明示的な了承がある場合だけ。数字は比率に。成果物は見本用に作り直す。候補者の情報は一切出さない。発信は、依頼側にも候補者にも届く可能性がある前提で。

窓口への登録(案件の紹介を受けるための登録)。 窓口が依頼側に見せる範囲を確認。窓口の運営者に、公開の範囲を伝える。

口頭(面談での説明)。 記録に残らないが、聞いた側は覚えている。書面と同じ線で。

場が広いほど、粒度を粗くします。経歴書で会社名を出せても、発信では業種と規模に。

了承が得られないときの代わり

依頼側の了承が得られない、または依頼側に聞けない(契約が終わって連絡が取れない)場合の代わりです。

業種と規模と、一般化した課題・打ち手・変化で。 依頼側が特定されない範囲で。「〇〇業界の中堅企業で、スカウトの返信率が低い課題に対して、対象の基準と一段落目を変え、面談設定が改善した」。

成果物は、見本用に作り直す。 実際の成果物ではなく、架空の会社を想定して作った見本。「見本用に作成」と明示。

進め方の型で示す。 実績の詳細ではなく、「こういう課題には、こう進める」という型。型は、依頼側の情報を含まない。

本業の実績で。 本業の実績を、本業の会社の守秘の範囲で。副業の実績が使えなくても、本業の実績は別。

了承が得られる次の案件で、実績を作る。 契約時に公開の範囲を合意した案件で、公開できる実績を作る。

了承が得られない実績を、無理に公開しないことです。公開できる実績は、これから作れます。

エラベルの見解

担当する側から見ると、実績の公開で最も困るのは「候補者の情報が、実績の中に残っている」ことです。スカウトの文面の見本に、実際の候補者の経歴の記述が残っている。「〇〇の立ち上げをされた」と、候補者の経歴が読める。依頼側の了承を取っていても、候補者本人の了承は取れません。候補者が見れば、自分の情報が公開されていると分かります。

候補者の情報は、依頼側の情報とは別に、公開しない線を引きます。見本を作るときは、実際の候補者の記述を、架空の記述に書き換える。

受ける側にできるのは、公開する前に、「この中に、候補者の情報が残っていないか」を確認することです。依頼側の了承の確認と、候補者の情報の確認は、別の確認です。

まとめ

よくある質問

依頼側の会社名を、経歴書に書いてよいですか

依頼側の明示的な了承があれば、経歴書(個別に送るもの)には書けることがあります。契約時に「会社名を出してよいか」を聞き、書面で残してください。了承が無い、または契約の守秘の条項に触れるなら、業種と規模で。次の依頼側が前の依頼側と同じ業界なら、了承があっても業種と規模にするほうが、警戒されません。

「面談設定が〇件から〇件に」と、実数で書いてよいですか

了承の範囲で実数を出せる場合もありますが、実数は依頼側の採用の規模を示し、特定の材料になります。「面談設定が倍に」「返信率が〇割改善」のように、比率や前後の変化で書くほうが安全で、規模に関係なく伝わります。発信(記事、SNS)では、比率に。

契約が終わって、依頼側に連絡が取れません。実績を公開できますか

依頼側の了承が取れないなら、業種と規模と一般化した課題・打ち手・変化の形で、依頼側が特定されない範囲で。成果物は見本用に作り直します。契約の守秘の条項があれば、その範囲に触れないかを専門家にご確認ください。今後の案件では、契約時に公開の範囲を合意しておくと、この問題は起きません。