人事副業 / 単価・契約・税務
週何時間から受けられるか|「空いている時間」ではなく「固定できる時間」で決める
人事の副業を始めたいが、週に何時間なら受けられるか分からない。本業の忙しさは週によって違い、「空いた時間で」と考えると、忙しい週は稼働がゼロになり、依頼側との約束が守れません。結論を先に書くと、稼働時間は「空いている時間」ではなく「本業が忙しい週でも固定できる時間」で決めてください。少なくても固定されている時間のほうが、多くても不安定な時間より、依頼側にとっても自分にとっても価値があります。副業の始め方は人事の副業の始め方に、価格の決め方は最初の1件の価格の決め方にまとめています。本業の副業規定と、労働時間に関する法令の扱いは、一般的な整理にとどめ、個別の判断は専門家にご確認ください。
「空いた時間で」が続かない理由
「空いた時間で副業を」と考えると、次のことが起きます。
忙しい週に止まる。 本業が忙しい週は、空いた時間がゼロになり、副業の稼働もゼロになる。依頼側の運用が止まります。
返信対応が遅れる。 スカウトの返信に当日対応する、という業務は、「空いた時間」では回りません。返信は、こちらの都合に関係なく来ます。
見積もりができない。 週に何時間かが決まっていないと、月に何時間で、いくら、という見積もりが出せません。
依頼側が計画を立てられない。 「今週は何時間できるか分からない」相手に、依頼側は業務を任せられません。
自分の消耗が見えない。 空いた時間を全部使うと、休息の時間が消え、本業にも副業にも影響します。
「空いた時間」は、実際には無いことが多い。副業の時間は、空いている時間ではなく、作る時間です。
固定できる時間から決める
稼働時間は、次の手順で決めます。
一.本業が最も忙しい週を想定する。 繁忙期、締めの週、出張の週。その週でも確保できる時間が、固定できる時間です。
二.固定できる曜日と時間帯を決める。 「火曜と木曜の夜二時間ずつ」「土曜の午前三時間」。曜日と時間帯が固定されていれば、予定に入り、守れます。
三.その時間で担える業務を選ぶ。 固定できる時間が週に数時間なら、その時間で完結する業務。返信対応のように、時間帯を選ばない業務は、固定の時間帯だけでは回らないことがあります。
四.見積もりと契約に、固定の時間を書く。 「週〇時間、火曜と木曜の夜」。依頼側は、それを前提に業務を設計します。
五.余裕があれば足すが、約束には入れない。 空いた週に追加で稼働するのは構いませんが、それを依頼側との約束にはしません。約束は、固定できる時間だけです。
固定できる時間が週に数時間でも、それが守られていれば、依頼側は業務を任せられます。週に十数時間を約束して、忙しい週にゼロになるほうが、依頼側にとって困ります。
業務の種類ごとに要る最低限の時間
人事の副業の業務には、それぞれ最低限の稼働と、時間帯の制約があります。
| 業務 | 最低限の稼働の目安 | 時間帯の制約 |
|---|---|---|
| スカウトの文面作成(送信は依頼側) | 週に数時間、固定の時間帯で可 | 制約は小さい |
| スカウトの送信と返信対応 | 週に数時間+返信対応は日中に断続的 | 返信への当日対応が要る。平日日中に動けないと難しい |
| 求人票・採用サイトの作成 | 成果物ごと。固定の時間帯で可 | 制約は小さい |
| 面接の設計・評価基準の作成 | 成果物ごと。固定の時間帯で可 | 依頼側との打ち合わせは日中のことが多い |
| 面接官・面談の同席 | 面談ごとに一時間程度 | 平日日中が多い。夜や週末は依頼側次第 |
| 採用の助言・相談 | 月に数回の打ち合わせ | 依頼側の都合に合わせる |
| レポート・定例会 | 月に数時間 | 定例会は依頼側の営業時間内が多い |
固定の時間帯(夜、週末)で完結する業務と、平日日中の対応が要る業務があります。本業がある人は、前者から始めるのが現実的です。
返信対応を含むスカウト代行は、返信が平日日中に来ることが多く、当日対応が要ります。本業の合間に短い対応ができるかどうかで、受けられるかが決まります。できないなら、返信対応は依頼側か別の担当者が担い、自分は文面と対象の抽出を担う形にします。
時間帯の制約と依頼側への伝え方
本業がある人の稼働は、時間帯に制約があります。制約は、隠さず、最初に伝えます。
対応できる時間帯を、具体的に。 「平日は夜〇時以降、週末は午前」。「本業の合間に、短い返信は可能」。
対応できない時間帯を、明示する。 「平日の日中は、打ち合わせや面談には出られません」。
返信の速さを、時間帯とセットで。 「平日日中の返信は、昼休みと夕方に確認します。それ以外は翌朝」。依頼側は、それを前提に候補者対応を設計できます。
打ち合わせや定例会の時間帯を、合意する。 「定例会は、平日の夜か、週末の午前で」。依頼側の営業時間内でないと難しい場合は、月に一度、本業を調整して出る形にします。
本業の繁忙期を、事前に伝える。 「〇月は本業が忙しく、稼働を減らします」。減らす時期を事前に伝えれば、依頼側は計画に組み込めます。
制約を隠して受けると、「連絡が取れない」「対応が遅い」となり、信頼を失います。制約を伝えて受ければ、依頼側はその範囲で業務を設計します。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「週に十時間くらいできます」と言って受け、実際は忙しい週にゼロになった、というものです。依頼側は十時間を前提に業務を設計し、返信対応も任せていた。忙しい週に返信が放置され、候補者が離れ、依頼側は「約束と違う」と言う。受ける側は「本業が忙しくて」と言うが、依頼側にとっては言い訳です。最初に「固定できるのは週に四時間、火曜と木曜の夜」と言っていれば、依頼側はその前提で設計していました。
見ていて差がつくのは、受ける側が「固定できる時間」で約束しているかどうかです。「できるだけやります」と言う人と、「週に〇時間、この曜日のこの時間帯」と言う人がいます。後者は、時間が少なくても、依頼側から「計画が立てられる人」として信頼されます。
受ける側にできるのは、約束する時間を、最も忙しい週でも守れる時間にすることです。余裕があれば足せばよい。約束を超えて働くことは信頼を増やし、約束を下回ることは信頼を減らします。
本業との両立で気をつけること
副業の稼働を決めるとき、本業との両立で気をつけることがあります。
本業の副業規定を確認する。 本業の会社が副業を認めているか、届出が要るか、制限(競業、稼働時間)があるか。確認せずに始めると、本業側でトラブルになります。規定の解釈は、専門家にご確認ください。
本業と副業の合計の労働時間に配慮する。 合計の労働時間には、法令上の扱いがあるとされています。本業の労働時間に、副業の稼働を足して、無理の無い範囲にします。この点の扱いは、専門家にご確認ください。
本業の情報と副業を分ける。 本業の会社の情報、取引先、候補者の情報を、副業に持ち込まない。逆も同じ。
競業に注意する。 本業の会社と競合する会社の副業は、規定で禁止されていることが多い。依頼側の業界を確認します。
休息の時間を残す。 本業と副業で、休息が消えると、どちらにも影響します。週に一日は、どちらもしない日を作ります。
本業に影響が出たら、副業を減らす。 本業のパフォーマンスが落ちたら、副業の稼働を減らします。本業があっての副業です。
両立は、稼働の設計で決まります。固定できる時間を守り、それ以上を約束しなければ、両立は続きます。
稼働を増やす・減らすタイミング
固定の時間で始めた後、稼働を変えるタイミングがあります。
増やすとき。 固定の時間で三か月続き、余裕があり、依頼側から追加の依頼がある。増やすなら、新しい固定の時間を決めてから。「空いた時間で」に戻さない。
減らすとき。 本業の繁忙期、家庭の事情、体調。減らす時期を、事前に依頼側に伝える。「〇月は週〇時間に減らします」。突然減らすと、依頼側の運用が止まります。
増やさないほうがよいとき。 増やした分が、休息を削る。本業に影響が出ている。時給が下がっている(範囲が広がって時間だけ増えている)。増やす前に、時給と休息を確認します。
複数の案件を持つとき。 案件ごとに固定の時間を分ける。「A案件は火曜の夜、B案件は木曜の夜」。合計が、固定できる時間を超えないように。
やめるとき。 固定の時間が確保できなくなった、時給が下限を下回った、本業に影響が出た。引き継ぎの期間を取り、記録を渡し、丁寧にやめます。
稼働は、固定の時間を基準に、増やすときも減らすときも、事前に伝えて動かします。
エラベルの見解
担当する側から見ると、稼働で最も困るのは「約束した時間が、実際には確保されていない」ことです。「週に十時間」と言われて業務を設計したのに、実際は週に三時間。返信は溜まり、送信は不定期、定例会は欠席。依頼側は、稼働が少ないこと自体より、「約束が守られない」ことで信頼を失います。
週に三時間しか確保できないなら、最初から三時間で約束すればよい。依頼側は、三時間で回る業務を設計します。十時間と言って三時間では、設計が崩れます。
受ける側にできるのは、約束する時間を正直に、最も忙しい週でも守れる時間にすることです。時間が少ないことは、恥ずかしいことではありません。少ない時間を着実に守る人が、長く依頼されます。
まとめ
- 「空いた時間で」は忙しい週に止まり・返信対応が遅れ・見積もりができず・依頼側が計画を立てられず・消耗が見えない
- 稼働は最も忙しい週でも固定できる時間で決め、曜日と時間帯を固定し、その時間で担える業務を選び、契約に書き、余裕分は約束に入れない
- 業務ごとに最低限の稼働と時間帯の制約が違う。本業がある人は、固定の時間帯で完結する業務から
- 時間帯の制約は隠さず最初に伝える。対応できる時間帯・できない時間帯・返信の速さ・定例会の時間帯・繁忙期
- 両立では副業規定・合計の労働時間・情報の分離・競業・休息・本業への影響に気をつける。法令の扱いは専門家に
- 増やすときも減らすときも固定の時間を基準に、事前に伝えて動かす
- 少ない時間を着実に守る人が、長く依頼される
よくある質問
週に三時間しか確保できません。それでも受けられる案件はありますか
あります。スカウトの文面作成(送信は依頼側)、求人票や採用サイトの作成、面接の設計や評価基準の作成など、固定の時間帯で完結する業務です。返信対応を含む業務は、平日日中の短い対応ができるかどうかで決まります。三時間を着実に守れるなら、依頼側はその前提で業務を設計できます。
本業の繁忙期に、副業の稼働を減らしてもよいですか
減らして構いませんが、事前に伝えてください。「〇月は本業が忙しく、週〇時間に減らします」と、時期と減らす量を、一か月前には伝えます。突然減らすと、依頼側の運用が止まり、信頼を失います。事前に伝えれば、依頼側は計画に組み込めます。
本業の会社に、副業のことを言うべきですか
本業の会社の副業規定を確認してください。届出が要る場合、届出をせずに始めると、本業側でトラブルになります。規定で認められているか、届出の要否、制限(競業、稼働時間)は、会社によって違います。規定の解釈や、労働時間の扱いに関する法令については、専門家にご確認ください。