社会保険はどうなるか|業務委託か雇用かで、まったく扱いが違う

報酬・契約・税務単価・契約・税務 更新日 2026-10-16

人事の副業を始めるとき、社会保険がどうなるのかを気にする人は多いです。人事の仕事をしている人なら、社会保険の加入要件を一度は扱ったことがあるはずですが、自分が副業をする立場になると、どの要件がどう当てはまるのか迷うことがあります。結論から書くと、副業の社会保険の扱いは、副業を業務委託で受けるか、雇用で受けるかでまったく変わります。業務委託なら副業先で社会保険に加入することはなく、雇用なら副業先ごとに加入要件を満たすかを判断します。

以下は厚生労働省と日本年金機構の案内に沿った一般的な整理です。加入の要否は個別の働き方で判断されます。具体的な判断は年金事務所や社会保険労務士にご確認ください。

業務委託で受ける場合

人事の副業の多くは、業務委託契約で受ける形です。業務委託は雇用契約ではないので、副業先の会社に雇われているわけではありません。そのため、副業先で厚生年金保険・健康保険・雇用保険に加入することはありません。本業の会社で社会保険に加入している人は、副業をしてもその加入はそのまま続きます。

ただし、契約書の名前が業務委託でも、働き方の実態が雇用に近い場合は、雇用として扱われる可能性があります。依頼側から勤務時間や場所を細かく指示され、仕事の進め方も決められているといった場合です。人事の副業で、依頼側の社員と同じように朝から夕方まで社内の会議に出続けるような働き方は、業務委託としては注意が必要です。

雇用で受ける場合の加入要件

副業先と雇用契約を結んで働く場合は、副業先で社会保険の加入要件を満たすかどうかを判断します。厚生年金保険と健康保険について、厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」のQ&Aでは、短時間で働く人が加入の対象になる要件として、次のような点が示されています。

要件内容(厚生労働省の案内)
週の所定労働時間20時間以上
雇用の見込み2か月を超える見込みがある
学生でないこと学生は原則として対象外(一部例外あり)
企業規模現在は従業員51人以上の事業所。2027年10月から常時36〜50人の事業所も対象
月額賃金8.8万円以上という要件は、2026年10月に撤廃されたと案内されている

この表のうち、月額賃金の要件は2026年10月に撤廃されたと厚生労働省のサイトで案内されています。これまで「月8.8万円未満なら加入しない」と考えていた人は、今後は週の所定労働時間などの要件で判断することになります。企業規模の要件も、2027年10月から対象が広がる予定です。最新の要件は、厚生労働省の特設サイトで確認してください。

また、同じQ&Aでは、所定労働時間が週20時間未満でも、実際の労働時間が2か月連続で週20時間以上になり、その後も続く見込みがある場合は、3か月目から加入の対象になるとされています。副業で雇用され、稼働が想定より増えた場合は注意が必要です。

エラベルの見解

担当者として登録している人には、副業を雇用ではなく業務委託で受けることをすすめています。社会保険の手続きが本業と副業で複雑にならないこと、稼働時間を自分で決めやすいことが理由です。人事の副業は、成果物や月の稼働時間で約束する形が多く、業務委託との相性がよい仕事です。

ただし、依頼側から雇用での契約を提案されることもあります。依頼側が社内の人事の一員として扱いたい場合などです。そのときは、加入要件に当たるかどうかを、週の所定労働時間を軸に依頼側の人事と確認してください。人事の仕事をしている人なら、依頼側の担当者と同じ言葉で話せるはずです。どちらの形で受けるにしても、契約の形と働き方の実態をそろえることが大切です。

複数の事業所で働く場合

本業と副業の両方で雇用されている場合、社会保険の加入要件はどう判断されるのでしょうか。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、社会保険(厚生年金保険及び健康保険)の適用要件は事業所ごとに判断するとされています。そのため、どの事業所でも要件を満たさない場合は、労働時間などを合算して要件を満たしたとしても適用されない、と説明されています。

一方、同時に複数の事業所で、それぞれ被保険者の要件を満たす場合は、いずれかの事業所を管轄する年金事務所と医療保険者を選び、各事業所の報酬月額を合算して標準報酬月額を算定し、保険料を決めるとされています。各事業主は、支払う報酬の額で按分した保険料を納めることになります。

雇用保険については、同じガイドラインで、同時に複数の事業主に雇用されている人がそれぞれの雇用関係で被保険者の要件を満たす場合、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける雇用関係についてのみ被保険者になるとされています。また、65歳以上の人については、本人の申出を起点に、二つの事業所の労働時間を合算して雇用保険を適用する制度が設けられています。

法人を作った場合

副業のために自分で法人を作る場合は、また扱いが変わります。日本年金機構の案内では、厚生年金保険の適用事業所となるのは、株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)とされています。法人から役員報酬を受け取る場合、本業の会社と副業の法人の両方が関わる形になることがあります。法人化の考え方は法人化を考える目安で整理しています。

エラベルの見解

人事の副業で社会保険を気にする人の多くは、本業の会社に手続きの面で迷惑をかけないかを心配しています。業務委託で受けている限り、本業の会社の社会保険の手続きに影響することは通常ありません。一方、副業でも雇用され、両方で加入要件を満たすと、保険料の按分などで本業の会社の担当者にも手続きが発生します。

担当する側から見て大切なのは、副業を始める前に、本業の会社に副業の形を伝えておくことです。厚生労働省のガイドラインでも、会社が副業・兼業の内容を確認する方法として届出制が挙げられています。業務委託か雇用か、週に何時間程度かを最初に伝えておけば、手続きが必要になったときも慌てずに済みます。

まとめ

よくある質問

業務委託の副業でも国民年金に入る必要がありますか

本業の会社で厚生年金保険に加入している人は、副業を業務委託で受けても、その加入が続きます。副業のために別に国民年金に入り直す必要は通常ありません。本業を辞めて副業だけになる場合などは扱いが変わるので、年金事務所や市区町村にご確認ください。

副業先で雇用されて週20時間未満なら加入しませんか

週の所定労働時間が20時間未満であれば、原則として短時間労働者としての加入対象にはなりません。ただし、実際の労働時間が2か月連続で週20時間以上になり、その後も続く見込みがある場合は、3か月目から対象になるとされています。稼働が増えたときは副業先と確認してください。

業務委託なのに雇用と判断されることはありますか

契約の名前ではなく、働き方の実態で判断されることがあります。勤務時間や場所、仕事の進め方を依頼側が細かく指示している場合などは、雇用に近いと見られる可能性があります。不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談してください。

出典

本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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