労務担当の副業単価の目安と案件の見つけ方|資格がなくても受けられる「仕組みの整備」に絞って値付けし、手続きの代行とは線を引く

経歴別の人事副業労務担当 更新日 2026-10-16

労務担当として勤怠の管理や入退社の手続き、社員からの相談に関わってきた人は、会社の労務がどこでつまずきやすいかを知っています。人事の担当者がいない会社や、労務の仕事が一人に集中している会社にとって、この経験は役に立ちます。ただし、労務の仕事を副業で受けるときは、社会保険労務士の資格が要る業務との線引きが欠かせません。結論から書くと、労務担当の副業単価は、資格がなくても受けられる「労務の仕組みの整備」に絞って値付けし、手続きの書類の作成や提出の代行とは線を引くことで、安心して長く続けられます。

人事の副業の単価には公的な統計がなく、案件の範囲や依頼先で大きく変わるため、この記事では金額の相場は書きません。自分の単価を組み立てる手順と、案件の見つけ方を書きます。労務担当の経験の何が売れるかは労務担当が副業でできることで詳しく書いています。

受けられる作業と受けられない作業の線

まず、資格の決まりを押さえておきます。社会保険労務士法第27条は、社会保険労務士または社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、同法第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行ってはならないと定めています。第2条第1項第1号は労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成、第1号の2はその提出の手続の代行、第1号の3は事務代理、第2号は労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成などです。

このため、社会保険や雇用保険の届出の書類を作成する、その提出を代わりに行う、といった作業は、資格がなければ報酬を得て受けることができません。一方で、社内の担当者が自分で手続きを進められるように仕組みを整える作業は、受けられる範囲に入ることが多いと考えられています。どこまでが受けられる範囲かは事案によって判断が分かれるため、社会保険労務士に確かめてください。

区分例扱い
資格が要る作業届出の書類の作成、提出の代行、行政への代理社会保険労務士に頼むよう依頼先に案内する
仕組みの整備入退社の手続きの流れの整理、社内の手順書、確認の一覧副業として受けられることが多い
相談の受け止め方の整備社員からの相談の窓口と、受け止めた後の流れ副業として受けられることが多い

仕組みの整備を成果物にして値付けする

受けられる範囲の作業を、成果物にして値付けします。

  1. 成果物を決める:入退社の手続きの流れの図、社内の担当者向けの手順書、毎月の確認の一覧、記録の保存の決まりの整理など
  2. 成果物ごとに時間を見積もる:今のやり方の聞き取り、たたき台、修正、社内の担当者への説明に分けて時間を出す
  3. 自分の時間単価を掛ける:時間 × 時間単価 で成果物ごとの単価を出す
  4. 伴走は月額で見積もる:手順書を渡した後、社内の担当者が回せるまで見届ける場合は、月の時間で別に見積もる

時間単価の考え方は本業の年収と副業単価の関係で書いています。労務の実務の考え方は労務の実務の副業単価でも書いています。

エラベルの見解

労務担当の副業でよくある失敗は、依頼先に頼まれるまま、届出の書類の作成まで引き受けてしまうことです。依頼先は資格の決まりを知らないことも多く、「ついでにやってほしい」と頼まれます。引き受けると、法律に触れるおそれがあるうえ、書類に誤りがあったときの責任も負うことになります。

担当する側から見ると、価値があるのは、社内の担当者が自分で手続きを進められる仕組みをつくり、資格が要る部分は社会保険労務士につなぐ流れまで整えることです。どの手続きを社内で行い、どれを社会保険労務士に頼むかを一覧にして渡せば、依頼先は安心して労務を回せます。線を引けることは、信頼される担当者の条件です。

記録の保存の決まりを仕組みに入れる

労務の仕組みを整えるときは、記録の保存の決まりも入れておきます。労働基準法第107条は、使用者に、各事業場ごとに労働者名簿を調製することを求め、同法第109条は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならないと定めています(当分の間は三年間とする経過措置があります)。

小さい会社では、書類がどこにあるか分からなくなっていることがよくあります。どの書類を、どこに、いつまで保存するかを一覧にし、社内の担当者が迷わず保存できる仕組みを整えることは、副業の担当者として受けられる、役に立つ成果物です。保存の期間の判断など個別の判断は、社会保険労務士に確かめるよう案内してください。

案件の見つけ方と、受けるときの条件

労務担当の経験を活かせる案件は、次のような場所で見つけやすくなります。

業務委託で受ける場合は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)第3条が、業務委託事業者に、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面または電磁的方法で直ちに明示することを求めています。受ける作業の範囲に、資格が要る作業が含まれていないことも、契約のときに確かめてください。

本業に勤めながら副業をする場合は、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が示すとおり、まず勤め先の副業・兼業に関するルールを確認し、秘密保持義務や競業避止義務を意識してください。本業で知った社員の情報を副業で使うことはしないでください。20万円を超える副収入がある場合は、確定申告が必要です。個別の判断は社会保険労務士・弁護士・税理士にご確認ください。

エラベルの見解

もう一つ見てほしいのは、労務担当の副業は、採用と労務のつなぎ目を整えると価値が伝わりやすいということです。採用が決まった後の入社の手続きは、採用の担当と労務の担当の間で抜けや遅れが起きやすいところです。入社の日に必要な書類がそろっていない、労働条件の書面が渡っていない、ということも起こります。

内定から入社までに、誰が何をいつまでに行うかを一覧にし、採用と労務のつなぎ目の抜けをなくす仕組みを渡してください。採用の流れの中に労務の手続きを組み込める人は、依頼先にとって代わりがききにくい担当者になります。

まとめ

よくある質問

労務担当の副業単価の相場はいくらですか

案件の範囲や依頼先によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。受けられる範囲の成果物ごとに時間を見積もり、自分の時間単価を掛けて単価の根拠をつくってください。

社会保険の手続きを頼まれたらどうすればよいですか

届出の書類の作成や提出を報酬を得て代わりに行うことは、社会保険労務士の業務にあたります。社内の担当者が自分で手続きを進められる手順を整えるか、社会保険労務士に頼むよう依頼先に案内してください。

給与計算は受けられますか

給与計算そのものの扱いや、関連する帳簿書類の作成がどこまで社会保険労務士の業務にあたるかは、判断が分かれることがあります。受ける前に、社会保険労務士に確かめてください。

出典

本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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