失業保険との関係|受給中の人事副業は「申告」と「失業の状態」で考える

報酬・契約・税務単価・契約・税務 更新日 2026-10-16

人事の仕事を辞めて次の職を探している間に、知り合いの会社から「少しだけ採用を手伝ってほしい」と声がかかることがあります。収入が途切れている時期なので受けたいけれど、失業保険(雇用保険の基本手当)がもらえなくなるのではないか、と迷う人は多いです。結論から書くと、基本手当を受けている間に働くこと自体が一律に禁じられているわけではありません。ただし、働いた日や収入はすべて申告することが前提で、働き方によってはその日の手当が出なかったり、減額されたり、そもそも「失業の状態」ではなくなったと判断されたりします。

以下はハローワークの案内に沿った一般的な整理です。扱いは働き方の実態で判断されるため、受給中に仕事を受ける前に、住所を管轄するハローワークにご確認ください。

基本手当は「失業の状態」に対して支払われる

ハローワークの「基本手当について」では、基本手当は、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない「失業の状態」にある人に支給されると説明されています。

この「失業の状態」が、受給中の副業を考えるときの軸になります。副業として仕事を受けることで、就職したのと同じ状態になったり、自分で事業を始めたと判断されたりすると、失業の状態ではなくなります。一方、短い時間の手伝いであれば、失業の状態のまま手当を受けながら働ける場合があります。

1日4時間を境にした扱い

福岡労働局(ハローワーク)のよくある質問では、受給中のアルバイトなどについて、次のように案内されています。

働き方扱い(ハローワークの案内)
1日の就労時間が4時間以上就労した日について、基本手当は支払われない
1日の就労時間が4時間未満基本手当は支払われるが、収入額により減額される場合がある
内職・手伝いで収入がある収入額に応じて基本手当が減額となる場合がある
雇用保険の被保険者となる働き方(原則週20時間以上・31日以上の雇用見込み)就職状態とされ、就労していない日も含めて手当の対象外

人事の副業に当てはめると、面接の同席や候補者との面談で1日4時間以上働いた日は、その日の手当が出ません。スカウトの文面を1日2時間だけ作るといった働き方なら、手当は出ますが、受け取った報酬の額によっては減額されることがあります。副業先と雇用契約を結び、週20時間以上で継続して働く形になれば、就職したのと同じ扱いになります。

どの場合も、働いた日と時間、収入は失業認定の際に申告します。ハローワークの案内では、失業認定のときに認定対象期間の就労の有無などが確認されるとされています。

エラベルの見解

担当者として登録している人の中には、転職活動の合間に副業を受ける人もいます。そのときに毎回伝えているのは、報酬が入った日ではなく、働いた日で記録をつけることです。業務委託の報酬は月末にまとめて請求することが多いため、働いた日が曖昧になりがちです。

失業認定の申告で求められるのは、どの日に何時間働いたかです。月末の請求書だけでは、それが分かりません。受給中に副業を受けるなら、1日ごとに作業時間を記録し、4時間を超えた日がどれかを自分で把握しておいてください。記録があれば、ハローワークに聞かれたときにも正確に答えられます。人事の副業は時間が延びやすい仕事なので、この記録が自分を守ることになります。

業務委託や自営の準備を始めたとき

受給中の副業で気をつけたいのが、自分で事業を始めたと判断される場合です。福岡労働局のよくある質問では、自営業を開始した場合は、実際の事業活動を始めたときではなく、自営の準備に専念することとなった時点で失業の状態ではなくなったと判断されるとされています。また、事業を開始することが決まった場合は、原則として、事業(準備期間がある場合は準備)を開始する日の前日にハローワークで申告するよう案内されています。

人事の副業でいえば、知人の会社を一時的に手伝う程度なら内職・手伝いとして扱われることがあっても、フリーランスの人事として独立する準備を始めたり、複数の会社と継続的に業務委託契約を結んで事業として受け始めたりすれば、失業の状態ではなくなったと判断される可能性があります。どちらに当たるかは実態で判断されるため、業務委託の契約を結ぶ前に、ハローワークに相談してください。

なお、ハローワークの案内では、退職後に事業を開始した人などについて、受給期間の特例を申請できる場合があるとされています。独立を考えている場合は、特例の要件もあわせて確認してください。

申告しなかったときに起きること

受給中に働いたことを申告しないと、不正受給にあたるおそれがあります。ハローワークの「基本手当について」では、偽りその他不正の行為で基本手当などを受けたり受けようとした場合には、以後これらの基本手当などを受けられなくなるほか、その返還を命じられ、さらに原則として、不正に支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付を命じられることがあると案内されています。

「少しの手伝いだから」「報酬がまだ振り込まれていないから」と申告しないでいると、後でまとめて返還と納付を求められることになりかねません。働いた日と時間、収入は、金額の大小にかかわらず正確に申告してください。

エラベルの見解

受給中に副業を受けるかどうかを迷っている人には、転職活動の妨げにならない範囲で受けるという考え方をすすめています。基本手当は、次の仕事を見つけるまでの生活を支えるためのものです。副業に時間を取られて転職活動が進まなければ、本来の目的から外れてしまいます。

一方で、副業で他社の採用を見ることは、転職活動にも役立つことがあります。今の採用市場で何が起きているか、どんな人材が求められているかを、現場で知ることができるからです。受けるなら、週に数時間程度の、時間を区切りやすい仕事を選び、申告を前提に記録をつけながら進めてください。手当の額と副業の報酬を比べて、どちらが得かだけで判断しないことも大切です。

まとめ

よくある質問

業務委託で月に数回だけ手伝う場合も申告が必要ですか

必要です。働いた日と時間、収入は、失業認定の際に申告します。1日の就労時間や収入額によって、その日の手当が支払われない、または減額される場合があります。どう扱われるかは、住所を管轄するハローワークにご確認ください。

報酬が振り込まれるのが翌月の場合、いつの分として申告しますか

申告で問われるのは、働いた日と時間です。報酬の振込日がずれる場合の書き方は、ハローワークで確認してください。働いた日ごとに作業時間を記録しておくと、申告のときに迷わずに済みます。

受給中にフリーランスとして独立の準備を始めてもよいですか

自営の準備に専念することになった時点で、失業の状態ではなくなったと判断されるとされています。準備を始める前に、ハローワークに申告してください。事業を開始した人向けの受給期間の特例もあるため、要件をあわせて確認すると安心です。

出典

本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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