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ジョブディスクリプションを書く|「仕事の中身」で読める求人票にする型

公開 2026-09-22

依頼側から「求人票を直してほしい」と言われて開くと、「幅広い業務」「成長できる環境」「主体性のある方」が並んでいます。読んだ人は、自分に関係があるか分からず、閉じます。ジョブディスクリプションを書く仕事は、言葉を整えることではなく、「この役割は何をする仕事で、誰に向いていて、入ると何が起きるか」を、読む人が自分の経歴と照らせる言葉にすることです。結論を先に書くと、ジョブディスクリプションは、要件の一枚とターゲット像の一枚といまうまくやっている人の一日を材料にそろえ、「この役割がある理由・任せる仕事・最初の三か月・一緒に働く人・求める経験・この会社で得られるもの」の六つを、仕事の中身の言葉で書きます。材料の作り方は採用要件を引き出すヒアリングの型ターゲット像を1枚にまとめるに、案件として受ける形は求人票・JD作成の副業案件に書いています。ここでは、書く型に絞ります。

応募が来ない求人票に共通する形

読む人に起きること
「幅広い業務をお任せします」何をするか分からず、自分の経歴と照らせない
「成長できる環境」「風通しの良い職場」どの会社にも書いてあり、差が分からない
必須条件が十行一つでも欠けると閉じる。合う人ほど慎重で、閉じやすい
会社の説明が先で、仕事が後仕事にたどり着く前に閉じる
「主体性」「コミュニケーション能力」自分にあるかどうか判断できず、読み飛ばす

読む人は、「自分の経歴で務まるか」「入ると何が起きるか」「いまの環境より何が良いか」の三つを、順に確かめています。この順に答える求人票が、読まれます。

書く前にそろえる三つの材料

材料が無いまま書くと、言葉だけを整えることになります。

材料中身無いときの代わり
要件の一枚必須(経歴で読める言葉)・歓迎・面接で確かめる項目現場の責任者に「入ってすぐ任せること」と「最初に困ること」を聞く
ターゲット像の一枚動く理由・迷う理由・比べる相手・見ているものいまうまくやっている人に「なぜこの会社を選び、何で迷ったか」を聞く
いまうまくやっている人の一日朝から夕方まで、何に時間を使っているか週の予定表を見せてもらい、会議と作業の比率を聞く

三つ目の「一日」は、求人票の「任せる仕事」の欄を具体にする材料です。「顧客対応と社内調整」ではなく、「午前は顧客からの問い合わせに答え、午後は営業と開発の間で仕様の調整をする」と書けます。

エラベルの見解

担当する側から見ると、ジョブディスクリプションで最も差がつくのは「最初の三か月」の欄です。多くの求人票は、任せる仕事を「理想の状態」で書きます。読む人は「入った日に、それを全部できないといけないのか」と読み、閉じます。「最初の三か月は、〇〇さんと一緒に〇〇の案件を引き継ぎ、〇〇を一人で回せる状態を目指す」と書くと、読む人は入社後の自分を想像でき、「これなら務まる」と判断できます。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「入社した人が、最初の三か月で何をするか」を、私たちから先に聞いています。受ける側がその場で使える判断としては、いまうまくやっている人に「入った頃、最初の三か月で何をしましたか」を聞き、その答えをほぼそのまま欄に置くこと。理想ではなく実績なので、依頼側も直しにくく、読む人にも届きます。

六つの要素

要素書くこと材料
この役割がある理由なぜいま採るか。欠員・増員・新しい仕事。会社の状況を一文で要件の一枚「なぜ採るか」
任せる仕事何を、誰と、どの範囲で。三つから五つに絞るいまうまくやっている人の一日
最初の三か月誰と何を引き継ぎ、どの状態を目指すかいまうまくやっている人の入社時の経緯
一緒に働く人チームの人数と役割、上長は誰か、隣の部門は誰か現場の責任者
求める経験必須は経歴で読める言葉で三〜五つ。歓迎は別枠要件の一枚
この会社で得られるものターゲット像の「動く理由」に対応するもの。裁量・仕事の幅・扱う規模などターゲット像の一枚

順番は、この表の順です。読む人は仕事から確かめるので、会社の紹介は後ろに置くか、一文にします。「得られるもの」は、比べる相手(同業の大手、同規模の他社)との差が出る点だけを書きます。全部書くと、差が埋もれます。

抽象語を仕事の言葉に直す

抽象語仕事の言葉
幅広い業務「顧客からの問い合わせ対応、営業と開発の間の仕様調整、月次の報告資料の作成」
主体性のある方「決まりの無いことを、自分で仮の決まりを作って進めた経験がある方」
コミュニケーション能力「他部門と意見が分かれた件を、合意まで持っていった経験がある方」
即戦力「〇〇の案件を、一人で担当した経験がある方」
成長できる環境「入社二年目から、案件の予算と人の配置を任せています」(実績として書けるときだけ)
風通しの良い職場書かない。代わりに「一緒に働く人」の欄で、上長と隣の部門を具体に書く

直した言葉は、依頼側に「これは実態と合っていますか」と確認します。実態より良く書いた求人票は、入社後に離職の理由になります。

必須と歓迎の書き分け

書き方書かないこと
必須経歴で読める言葉。「〇〇を一人で担当した経験」。三〜五つ性質の言葉、年数だけの条件、資格(法令上要るものを除く)
歓迎製品名、業界、資格、年数。「あれば助かる」必須と同じ重さに見える書き方
面接で確かめる項目求人票には書かない。面接の設計に回す「主体性」「協調性」を必須に書くこと

必須の切り分けは、要件の一枚で終わっています。求人票で増やしません。依頼側が求人票の段階で必須を足したがるときは、「それが無いと、最初に何が困りますか」を挟み、答えがあれば必須に、無ければ歓迎に置きます。切り分けの型は採用要件の整理の副業の実務に書いています。

エラベルの見解

相談で最も多い思い込みは、受ける側の「求人票は魅力的に書くほど良い」というものです。実際には、魅力を盛った求人票は、応募の数は増えても、合う人の割合が下がり、面接と入社後にずれます。合う人は、求人票の「任せる仕事」と「最初の三か月」を自分の経歴と照らして、務まると判断して応募します。盛った表現は、その照合を邪魔します。「この求人票は、応募を増やすためではなく、合う人が自分で判断できるように書いています」と、依頼側に最初に伝えると、修正の方向がぶれません。受ける側がその場で使える判断としては、書き終えた求人票を、いまうまくやっている人に読んでもらい、「自分が転職前にこれを読んだら応募したか」「実態と違うところはどこか」の二つを聞くこと。依頼側の承認より先に、この確認を入れます。

書いてはいけない表現

性別、年齢、国籍、家族の状況などを条件にする表現や、それらを示唆する言い回しは、募集や採用で法令上の決まりがあると一般に整理されています。「若手歓迎」「〇〇な女性が活躍中」のような言い方も、依頼側の決まりと専門家の確認に従って扱います。また、収入や昇進を保証する表現、実態と異なる待遇の記載は、入社後の信頼を損ねます。求人票の記載事項や表現の可否は、媒体の規約と法令に関わるため、個別の判断は専門家にご確認ください。線の詳細は副業で法令違反をしないためにに書いています。

依頼側が「この表現を入れたい」と言ったときは、「その表現が求める人の経歴の言葉に置き換えられるか」を一緒に探します。置き換えられれば、その言葉を書きます。置き換えられないなら、要件に入っていない条件です。

依頼側に確認してもらう順番

確認する人確認すること
いまうまくやっている人実態と違うところ。自分なら応募したか
現場の責任者任せる仕事と最初の三か月が合っているか。必須が足りているか
経営者この役割がある理由と、得られるものが会社の方針と合っているか
依頼側の決まりに従った確認表現の可否。専門家の確認が要るか

順番を逆にすると、経営者が直した理想を現場が直せなくなります。現場から上に向かって確認します。修正の履歴は残し、誰の指摘でどこを直したかを一枚に書いておくと、後で「なぜこの表現になったか」を説明できます。

よく起きる詰まりと直し方

詰まり直し方
依頼側が「うちの魅力」を長く書きたがる「得られるもの」の欄に、比べる相手との差が出る点だけを残す。残りは会社紹介ページへの導線にする
任せる仕事が十個以上並ぶいまうまくやっている人の一日で、時間の比率が大きい順に三〜五つ。残りは「その他」でまとめない。削る
最初の三か月が書けない「入った頃、最初に何をしましたか」を、いまうまくやっている人に聞く。答えをそのまま置く
必須が求人票の段階で増える「それが無いと最初に何が困りますか」を挟む。答えが無ければ歓迎に
媒体の文字数や項目の制約に合わない六つの要素の順番は守り、各要素を短くする。任せる仕事と最初の三か月は削らない
既存の求人票を直す依頼で、全部書き直したくなる六つの要素のうち、無いものと抽象語の欄だけを直す。依頼側が慣れた構成を大きく変えると承認が遅れる

まとめ

よくある質問

媒体ごとに項目が決まっていて、六つの要素の順番にできません

媒体の項目の中で、「仕事内容」の欄に「この役割がある理由(一文)→任せる仕事→最初の三か月→一緒に働く人」を、この順で入れます。「応募資格」の欄に必須と歓迎を分けて書き、「この会社で得られるもの」は「仕事内容」の末尾か、媒体に「魅力」の欄があればそこに置きます。項目の名前は媒体に従い、中身の順番だけ守ります。媒体の規約で書けない表現があるときは、媒体の規約を優先します。

依頼側が「他社の求人票をそのまま使いたい」と言います

他社の文章を写すことは避け、構成だけを参考にします。他社の求人票の「任せる仕事」は他社の実態なので、依頼側の実態と合いません。「構成はこの順で作ります。中身は、いまうまくやっている方の一日から書きます」と伝え、材料の聞き取りに戻します。文章の権利の扱いは、依頼側の決まりに従います。

一つの求人票で複数の職種を募集したいと言われました

「任せる仕事」と「求める経験」が違うなら、別の求人票にします。一つにまとめると、どちらの職種の人も「自分向けではない」と読みます。同じ職種で経験の段階が違う(一人で回せる人と、これから覚える人)なら、「最初の三か月」と「必須」を段階ごとに分けて書くか、こちらも別にします。枚数が増える負担より、合う人が自分で判断できないほうが損失が大きい、と依頼側に説明します。