人事副業 / 採用・人事の実務
プロフィールの見極め方|「担った仕事の中身」で読み、印象と定型文で判断しない型
検索結果を一人ずつ開いて、送るか送らないかを決める。この見極めは、スカウトの中で最も時間がかかり、最も基準がぶれる工程です。「なんとなく良さそう」で送ると返信は来ず、「なんとなく違う」で飛ばすと合う人を落とします。見極めの仕事は、目利きではなく、「要件の必須と、プロフィールの中の担った仕事の中身を照らす」ことです。結論を先に書くと、プロフィールは、職歴の並び→各職歴で担った仕事の中身→自己PR→希望条件の順で読み、要件の必須と照らして○△×を付け、媒体の定型文や肩書だけを根拠にせず、経歴で裏付けが読めないものは面接に回し、一人にかける時間の上限を決めて回します。要件の一枚の作り方は採用要件を引き出すヒアリングの型に、照合の結果を載せるリストの型は候補者リストの作り方に書いています。ここでは、一人のプロフィールを読む手順に絞ります。
見極めが「印象」に流れる理由
| 流れる原因 | 何が起きるか |
|---|---|
| 要件が「良い人」のまま | 照らす基準が無いので、印象で決めるしかない |
| 自己PRから読む | 書き手の言葉に引っ張られ、経歴を確かめずに判断する |
| 肩書と会社名で決める | 「マネージャー」「大手」で○にする。担った仕事の中身を見ていない |
| 一人に時間をかけすぎる | 疲れて、後半は流し見になる |
| 送らない理由を書かない | 基準が残らず、次回も同じところで悩む |
印象で決めた見極めは、返信の結果と結びつきません。「上」と付けた人から返信が来ず、「中」から来る。それが続くなら、見極めの基準が印象に流れています。
読む順番
| 順 | 見るところ | 読み取ること |
|---|---|---|
| 一 | 職歴の並び | 会社の型(規模・業態)の変遷、在籍の長さ、直近の動き。ターゲット像の「いまどこで何をしているか」と照らす |
| 二 | 各職歴で担った仕事の中身 | 何を、どの範囲で、一人でか。必須と照らすのはここ |
| 三 | 自己PR | 本人が強みと思っていること。「動く理由」の手がかり。根拠にはしない |
| 四 | 希望条件 | 職種・働き方・転職の時期。依頼側の条件と大きく外れていないか |
自己PRから読み始めないのは、書き手の言葉に引っ張られるからです。職歴の並びと仕事の中身を先に読み、自分で照合の結果を出してから、自己PRを「本人はどう思っているか」として読みます。順番を守るだけで、見極めのぶれが減ります。
エラベルの見解
担当する側から見ると、見極めで最も差がつくのは、「肩書と会社名」ではなく「担った仕事の中身」で読めるかどうかです。「営業マネージャー・大手」と書いてあると、受ける側は○を付けたくなります。ただ、必須が「新規開拓を一人で回した経験」なら、大手のマネージャーは部下の管理が中心で、自分では新規を回していないことが多い。逆に、肩書の無い中堅の営業が、新規から納品まで一人で持っていることがあります。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「必須は、肩書ではなく、担った仕事の中身で書かれていますか」を、私たちから先に聞いています。受ける側がその場で使える判断としては、○を付けるとき、「どの職歴の、どの記述を根拠に○か」を一言添えること。根拠が肩書か会社名しか無ければ、△に下げます。
要件の必須と照らして○△×を付ける
| 印 | 基準 | 例 |
|---|---|---|
| ○ | 担った仕事の中身の記述に、必須と一致するものがある | 「新規開拓を担当し、提案から契約まで一人で対応」 |
| △ | 近い記述はあるが、範囲や役割が読めない | 「営業として法人向けに活動」(新規か既存か、一人でかが読めない) |
| × | 記述が無い、または明らかに違う | 職歴が全部既存顧客の担当で、新規の記述が無い |
必須の三〜五つそれぞれに印を付けます。全部○なら優先度「上」、△があれば「中」、×があれば「下」です。印は「読めるか」で付け、「ありそう」で付けません。読めなければ△です。
△が多い人は、面接で確かめる項目が多い人です。送るなら、文面で「〇〇の経験について伺いたい」と、読めなかった部分を聞く形にします。文面の書き方はスカウト文面を書くに書いています。
定型文と肩書だけを根拠にしない
| 根拠にしないもの | 理由 | 代わりに見るもの |
|---|---|---|
| 媒体の自動生成の文章・職種の定型の説明 | 本人が書いたものではない。誰にでも付く | 本人が書いた職歴の記述 |
| 肩書(マネージャー、リーダー) | 会社によって意味が違う。担った仕事は読めない | その肩書で何をしたかの記述 |
| 会社名の知名度 | 会社の型は分かるが、本人の仕事は分からない | 会社の型は職歴の並びで使い、仕事の中身は記述で |
| 「〇〇力があります」の自己申告 | 裏付けが無い | 職歴の記述に、その力を使った場面があるか |
| 資格の一覧 | 法令上要る資格以外は歓迎に落ちていることが多い | 必須に資格があるときだけ見る |
媒体によっては、職種を選ぶと定型の説明文が自動で付きます。それを「本人の経験」と読むと、誰もが○になります。本人が書いた記述と、媒体の定型文を見分けて読みます。
「申告だけ」と「裏付けがある」を分ける
| 申告だけ | 裏付けがある |
|---|---|
| 自己PRに「新規開拓が得意」 | 職歴に「〇〇向けの新規開拓を担当。提案から契約まで」 |
| 「マネジメント経験あり」 | 職歴に「〇人のチームで、採用と評価を担当」(人数は本人の記述の範囲で) |
| 「立ち上げに関わった」 | 職歴に「〇〇の立ち上げで、〇〇の設計と運用を担当」 |
| スキルの欄にツール名だけ | 職歴に、そのツールで何をしたかの記述 |
申告だけの項目は、△です。裏付けが読めれば○です。「申告だけで○にしない」を徹底すると、上の人から返信が来て面接で違った、ということが減ります。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、受ける側の「時間をかけて丁寧に読むほど、見極めの精度が上がる」というものです。実際には、一人に時間をかけすぎると、後半が流し見になり、全体の精度は下がります。読む順番と○△×の基準が決まっていれば、一人にかける時間は短くて済み、その分、多くの人を同じ基準で見られます。「読めない」と分かった時点で△を付けて次に進む、が精度を保つ形です。受ける側がその場で使える判断としては、一人にかける時間の上限を決め、上限を過ぎたら残りの必須は△にして次へ進むこと。上限を過ぎるプロフィールが多いなら、必須が多すぎるか、必須の言葉が「読める言葉」になっていないので、要件の一枚に戻ります。
読めないものは面接に回す
プロフィールで読めるのは、担った仕事の中身と、会社の型と、希望条件までです。動き方や性質は読めません。
| 読めないもの | 扱い |
|---|---|
| 主体性、調整力などの性質 | 面接で確かめる項目に。プロフィールで判断しない |
| 転職の理由の本音 | 自己PRの記述は手がかりだけ。文面で聞き、面接で確かめる |
| 仕事の質 | 記述の範囲と役割は読めるが、質は読めない。面接で |
| 依頼側との相性 | 読めない。面接で |
読めないものを読もうとすると、印象に戻ります。「読めない」と認めて、面接に回すのが、見極めの精度を保つ線です。
基準にしてはいけない項目
性別、年齢、国籍、家族の状況、出身地などを見極めの基準にすることには、募集や採用で法令上の決まりがあると一般に整理されています。プロフィールにそれらの情報が見えても、○△×の根拠に使わず、リストにも書きません。依頼側からそれらを基準にするよう求められた場合は、「その項目は基準にできません。専門家にご確認ください」と伝えます。個別の判断は専門家にご確認ください。線の詳細は副業で法令違反をしないためにに書いています。
また、プロフィールを読んで知った情報は、見極めとリストの照合結果に使う範囲に留め、それ以外の目的で手元に残しません。扱いはスカウトで得た個人情報の扱いに書いています。
よく起きる詰まりと直し方
| 詰まり | 直し方 |
|---|---|
| ○△×が付けられない | 必須が「読める言葉」になっていない。要件の一枚に戻り、「担った仕事の中身」の言葉に直す |
| 全員が△になる | プロフィールの記述が薄い媒体か、必須が細かすぎる。△が多い人には文面で聞く形にし、必須の数を見直す |
| 自己PRに引っ張られる | 読む順番を守る。自己PRは最後 |
| 肩書と会社名で○にしてしまう | ○の根拠を一言書く癖を付ける。根拠が肩書だけなら△ |
| 一人に時間がかかりすぎる | 上限を決める。過ぎたら残りは△にして次へ |
| 上の人から返信が来ない | 見極めの基準が印象に流れているか、文面の問題。返信が来た人の照合結果と比べる |
まとめ
- 見極めは目利きではなく、要件の必須と「担った仕事の中身」を照らすこと
- 読む順番は職歴の並び→仕事の中身→自己PR→希望条件。自己PRから読まない
- 必須ごとに○△×。読めれば○、読めなければ△、違えば×。「ありそう」で○にしない
- 定型文・肩書・会社名・自己申告・資格の一覧だけを根拠にしない。本人が書いた記述で
- 申告だけは△、裏付けがあれば○
- 性質・本音・質・相性は読めない。面接に回す
- 一人にかける時間の上限を決める。上限を過ぎるなら要件の一枚に戻る
- 基準にしてはいけない項目は根拠に使わず、書かない。個別の判断は専門家にご確認ください
よくある質問
プロフィールの記述が極端に短い人は、どう扱いますか
読めないので、必須は全部△です。送るかどうかは、職歴の並び(会社の型と在籍の長さ)がターゲット像に近いかで決めます。近ければ、文面で「〇〇のご経験について伺いたい」と、読めなかった必須を聞く形で送ります。短いプロフィールの人は、媒体に登録したばかりか、あまり使っていないことが多く、返信の見込みは読めません。稼働に余裕があるときだけ送り、余裕が無ければ「記述が短く読めない」を理由にして次回に回します。
依頼側の面接官が「この人は明らかに違う」と言い、自分の照合と食い違います
照合の結果と根拠を並べて、どこで食い違っているかを確かめます。面接官が見ているのは、プロフィールで読めない性質や相性のことが多く、それは面接で確かめる項目です。「プロフィールで読める範囲では必須を満たしているので、面接で〇〇を確かめる形にしませんか」と提案し、判断は依頼側に渡します。面接官の判断が「基準にしてはいけない項目」に基づいている場合は、その旨を伝え、専門家の確認を勧めます。
見極めの精度を上げるには、何を振り返ればよいですか
返信が来た人と、面接で合った人の、○△×の結果を見返します。○を付けた根拠が、実際に面接で確かめられたか。△だった項目が、面接でどうだったか。「上」から返信が来ず「中」から来た理由は何か。この振り返りを、案件の途中で一度、終わりに一度行うと、○△×の基準が自分の中で定まります。振り返りの形はヒアリング力の磨き方の「振り返る形」と同じです。