人事副業 / 採用・人事の実務
要員計画とつなげる|「何人要るか」を採用計画の同じ行に置き、「採る以外の選択肢」も並べる型
採用計画を作ると、「この役割は本当に採る必要があるのか」「なぜ三人なのか」と、依頼側の中で意見が割れることがあります。採用計画は「何人採るか」を書くものですが、その前に「何人要るか」(要員計画)が無いと、採る数の根拠がなく、優先順位も付きません。要員計画とつなげる仕事は、要員計画そのものを作ることではなく、採用計画の各行に「なぜ要るか」の根拠を置き、採る以外の選択肢も並べることです。結論を先に書くと、要員計画とのつなぎは、役割ごとに「いまの人数・辞める見込み・事業に要る人数」を採用計画と同じ行に置き、差分を「要る数」として出し、採る以外の選択肢(異動・育成・外部委託・仕事の見直し)を同じ行に並べ、辞める見込みは過去の記録から置き、要員の判断は経営に残し、月次で変化を採用計画に戻す形で行います。採用計画の一枚は採用計画を作るに、会社側から見た構造は要員計画と採用計画がつながっていないに書いています。ここでは、つなぎの型に絞ります。
採用計画だけを作ると起きること
| 状態 | 何が起きるか |
|---|---|
| 「なぜ要るか」が無い | 役割の優先順位が付かない。全部を同時に始めて止まる |
| 採る数の根拠が無い | 途中で「本当に三人か」と揺れ、募集が止まる |
| 辞める見込みが入っていない | 採った月に別の人が辞めて、人数が戻らない |
| 採る以外の選択肢が無い | 異動や育成で足りる役割を、外から採ろうとする |
| 事業の予定とずれる | 事業が遅れて、採った人の仕事が無い |
採用計画の「要る理由」の列は、要員計画から来ます。要員計画が無いと、その列が「欠員」「増員」の一語で終わり、根拠になりません。
役割ごとに三つを同じ行に置く
| 列 | 中身 | 出どころ |
|---|---|---|
| いまの人数 | その役割を担っている人の数 | 依頼側の組織の記録 |
| 辞める見込み | 期の中で抜ける見込みの数。退職の予定、異動、休職の見込み | 過去の記録(去年の同じ役割で何人抜けたか)と、把握している予定 |
| 事業に要る人数 | 期の終わりに、その役割に何人要るか | 依頼側の事業の予定 |
| 要る数(差分) | 事業に要る人数 −(いまの人数 − 辞める見込み) | 計算 |
| 採る以外の選択肢 | 下の表 | 依頼側と一緒に |
| 採る数 | 差分から、採る以外で埋める分を引いた数 | 依頼側が決める |
「採る数」は最後に出ます。最初から「今期三人」と置くと、この列が逆算になり、根拠を後から作ることになります。
エラベルの見解
担当する側から見ると、要員計画とのつなぎで最も差がつくのは、「辞める見込み」の列を空欄にしないことです。受ける側は、事業に要る人数からいまの人数を引いて、差分を採る数にします。ただ、期の中で人は辞めます。去年の同じ役割で二人抜けているなら、今年も抜ける見込みを置かなければ、採った先から減ります。辞める見込みは、推測で断定せず、「去年の記録では〇人。把握している予定は〇人。仮に〇人と置く」と、根拠と仮を明記して置きます。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「採用計画に、期の中で辞める見込みは入っていますか」を、私たちから先に聞いています。受ける側がその場で使える判断としては、辞める見込みの列を、「去年の実績」「把握している予定」「仮の数」の三つに分けて書くこと。個人の名前や事情は書かず、数だけです。
採る以外の選択肢を同じ行に
| 選択肢 | 向く場合 | 採用計画への影響 |
|---|---|---|
| 異動 | 他の役割に、要件を満たす人がいる。その役割の要員に余裕がある | 採る数が減る。異動元の役割の要員が減るので、そちらの行を見直す |
| 育成 | いまの人が、一定の期間で要件に届く。要る時期に余裕がある | 採る数が減るか、採る時期が後ろにずれる |
| 外部委託・副業の担当者 | 一時的な仕事、専門性が高く社内で持たなくてよい仕事 | 採る数が減る。予算の費目が変わる |
| 仕事の見直し | 要る人数の前提になっている仕事を、減らす・自動にする・やめる | 事業に要る人数そのものが変わる |
| 採用 | 上の選択肢で埋まらない分 | 採用計画の行に |
選択肢を並べるのは、採用を減らすためではなく、依頼側が「採る」を選ぶ根拠を持つためです。並べた上で「採る」と決まれば、採用計画の行は揺れなくなります。決めるのは依頼側です。
辞める見込みと事業に要る人数は断定しない
| 断定する書き方 | 置き換え |
|---|---|
| 「離職率〇%だから〇人辞める」 | 「去年、この役割で〇人抜けた。今年も同程度と仮に置く。個人の予定は依頼側の把握の範囲で」 |
| 「事業の計画から〇人要る」 | 「事業の予定を依頼側に確認し、要る人数は依頼側が置く。担当者は列を作るまで」 |
| 「業界では一人あたり〇件が標準」 | 外部の数値を持ち込まない。依頼側の過去の一人あたりの担当の数から |
要員の数は、経営の判断です。担当者は、根拠の出どころを明記した仮の数を置き、依頼側が確認して確定する形にします。数字の扱いは数字で語るに書いています。
要員計画は経営の判断、担当者は聞き取りと構造まで
| 担当者がやること | 依頼側(経営)が決めること |
|---|---|
| 役割ごとに三つの列を聞き取り、一枚にする | 事業に要る人数 |
| 辞める見込みを過去の記録から仮に置く | 辞める見込みの確定(個人の予定を含む) |
| 採る以外の選択肢を並べる | どの選択肢を選ぶか |
| 差分と採る数の計算 | 採る数の確定と優先順位 |
| 採用計画の行につなぐ | 予算の承認 |
要員計画には、個人の退職の予定、異動の予定、評価に関わる情報が含まれます。担当者が扱うのは「数」だけで、個人の名前や事情は依頼側の中に留めます。個人情報や人事評価に関わる情報の扱いは、依頼側の決まりに従います。個別の判断は専門家にご確認ください。扱いは個人情報の扱いに書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、受ける側の「要員計画は経営の仕事だから、採用の担当者は触れない」というものです。実際には、触れないまま採用計画だけを作ると、「なぜ要るか」の無い計画になり、期の途中で揺れます。担当者は要員計画を「作る」のではなく、「採用計画の行に、要る理由の根拠を置くために、三つの列を聞き取る」だけです。聞き取りの過程で、「この役割は異動で足りるのでは」「この役割の仕事は減らせるのでは」という問いが自然に出て、依頼側の経営の判断の材料になります。受ける側がその場で使える判断としては、採用計画の一枚の左端に「いまの人数・辞める見込み・事業に要る人数」の三列を足すこと。三列が埋まらない行は、「要る理由」が固まっていない行で、募集を始める前に依頼側に確認します。
月次で要員の変化を採用計画に戻す
| 変化 | 採用計画への戻し方 |
|---|---|
| 辞める人が出た(見込みより多い) | 差分が増える。採る数を増やすか、採る以外の選択肢を見直すか、依頼側が決める |
| 辞める人が出なかった(見込みより少ない) | 差分が減る。募集を止めるか、続けるか、依頼側が決める |
| 事業の予定が変わった | 事業に要る人数が変わる。要る時期も変わる |
| 異動や育成で埋まった | 採る数が減る。募集中なら止める判断 |
| 採用が決まった | いまの人数に足す。差分を更新 |
月次の見直しは、採用計画の見直しと同じ日に行います。三列が動いた行だけを直します。全部を作り直すと、続きません。
踏み込まない線
| 線 | 理由 |
|---|---|
| 事業に要る人数を担当者が決めない | 経営の判断 |
| 個人の退職や異動の予定を担当者が聞き出さない | 依頼側の中の情報。担当者は数だけ |
| 「この人を異動させれば」と個人を指さない | 人事の判断。担当者は選択肢の型を並べるまで |
| 離職の予測を外部の数値で置かない | 依頼側の過去の記録から仮に置く |
| 組織の再編に踏み込まない | 経営の領域。「仕事の見直し」の選択肢を並べるまで |
範囲は契約に書きます。範囲の決め方は業務範囲を書面で固めるに書いています。採用戦略の壁打ちとして受ける場合の形は採用戦略の壁打ちの副業の実務に書いています。
よく起きる詰まりと直し方
| 詰まり | 直し方 |
|---|---|
| 依頼側が「事業に要る人数」を出せない | 「期の終わりに、この役割の仕事を何人で回している想定ですか」と、仕事の量から聞く |
| 辞める見込みを「ゼロ」と置きたがる | 去年の実績を並べる。ゼロなら「仮にゼロ。実績は〇人」と明記して、月次で直す |
| 採る以外の選択肢を出すと「採用を減らしたいのか」と言われる | 「採ると決める根拠を持つためです」と目的を伝える |
| 個人の退職の予定を担当者が知ってしまう | 数だけを一枚に。名前と事情は書かず、手元に残さない |
| 三列が埋まらない行がある | 「要る理由が固まっていない」と明記し、募集を始める前に確認 |
| 月次で見直されない | 採用計画の見直しの日と同じ日に。動いた行だけ |
まとめ
- 採用計画だけを作ると「なぜ要るか」が無く、優先順位が付かず、途中で揺れる
- 役割ごとにいまの人数・辞める見込み・事業に要る人数を採用計画と同じ行に。採る数は最後に出す
- 辞める見込みを空欄にしない。去年の実績・把握している予定・仮の数の三つで
- 採る以外の選択肢(異動・育成・外部委託・仕事の見直し)を同じ行に並べ、依頼側が選ぶ
- 数は断定せず、根拠の出どころを明記した仮。外部の数値を使わない
- 要員の判断は経営。担当者は聞き取りと一枚の構造まで。個人の名前と事情は扱わない
- 月次で動いた行だけを採用計画に戻す
よくある質問
依頼側に組織図や人員の一覧が無く、「いまの人数」から分かりません
役割ごとに「いま、その仕事を誰が何人でやっていますか」を、現場の責任者に聞きます。組織図が無くても、仕事の単位で数えれば、いまの人数は出ます。組織図を作るのは依頼側の仕事で、担当者は採用計画の行に要る数だけを聞き取ります。聞き取りの過程で、「同じ仕事を二つの部門で別々にやっている」のような発見があれば、「仕事の見直し」の選択肢として並べます。
依頼側が「辞める見込みを計画に入れると、社員に見られたときに問題になる」と言います
数だけを置き、個人を特定できる情報を入れない形にします。「去年の実績〇人、仮に〇人」の形なら、誰かを指す記述にはなりません。それでも懸念があるなら、要員計画の一枚は経営と人事だけが見る場所に置き、採用計画の一枚には「要る数」の結果だけを写す形に分けます。共有の範囲は依頼側の決まりに従います。
採る以外の選択肢で「育成」を選んだ場合、担当者は何をしますか
採用計画の行から、その役割の採る数を減らすか、採る時期を後ろにずらします。育成そのものの設計(誰を、どう、いつまでに)は、依頼側の人事と現場の領域で、契約の範囲に入っていなければ担当者は関わりません。育成で要る時期に届かなかった場合に備えて、「〇月に育成の進み具合を見て、届いていなければ募集を始める」と、採用計画に見直しの日を置きます。育成の設計を案件として受ける形は後継者育成・タレントマネジメントの副業案件に書いています。