採用単価を計算する|外部費用と内部費用を分け、経路ごとに出して依頼先の判断に使う手順

実務スキル採用・人事の実務 更新日 2026-10-16

採用の副業で依頼先に入ると、「うちは1人採るのにいくらかかっているのか」と聞かれることがあります。採用単価は、採用にかかった費用を採用した人数で割った数字です。式そのものは簡単ですが、何を費用に入れるか、どの期間で区切るか、どの単位で割るかによって、同じ会社でも数字が大きく変わります。この記事では、依頼先が次の打ち手を決めるために使える採用単価を出す手順を書きます。

職種ごとの採用単価の相場はこの記事では扱いません。会社の規模や職種、採用の経路で大きく変わり、一律の数字に意味がないためです。依頼先の数字を正しく出す方法に集中します。

この仕事の成果物は「経路別の採用単価表」

採用単価を計算する仕事の成果物は、会社全体の数字一つではありません。会社全体の採用単価だけでは、どこにお金を使いすぎているのか、どこを増やせばよいのかが分からないからです。成果物は、採用の経路ごと・職種ごとに分けた表と、その読み方を添えた短い資料にします。

成果物の要素中身何に使うか
全体の採用単価期間中の採用費用の合計 ÷ 採用人数前の期間と比べる、予算を立てる
経路別の採用単価求人広告・人材紹介・スカウト・紹介などの経路ごと経路の配分を見直す
職種別の採用単価職種ごとの費用と人数採りにくい職種に予算を寄せる
前提と注意書き期間、費用に入れたもの・入れなかったもの数字を誤って読まないようにする

この中で、依頼先がいちばん使うのは経路別の採用単価です。どの経路に、いくら払って、何人採れたのかが並ぶと、予算の配分を変える根拠になります。採用単価の考え方を企業側から整理した記事として採用単価の計算方法と目標値の置き方もあります。依頼先が読む記事の考え方を知っておくと、説明がかみ合いやすくなります。

手順1:費用を外部費用と内部費用に分けて集める

最初に、採用にかかった費用を集めます。費用は、社外に払ったお金(外部費用)と、社内の人が使った時間などのお金(内部費用)に分けて集めてください。

外部費用は請求書があるので集めやすい一方、内部費用は記録がないことが多く、集めるのに手間がかかります。最初の計算では外部費用だけで採用単価を出し、内部費用は「面接官の時間 × 時間あたりの人件費」のように、分かる範囲で別に見積もる形にすると進めやすくなります。どちらを入れた数字なのかを、注意書きに必ず書いてください。

人材紹介の手数料について知っておきたいのが、手数料の仕組みです。職業安定法第32条の3は、有料職業紹介事業者が受け取れる手数料を、厚生労働省令で定める種類・額の手数料か、あらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく手数料に限っています。紹介手数料が採用者の年収に一定の割合を掛ける形で決まることが多いのは、この手数料表の決め方によるものです。手数料の割合や返金の条件は事業者との契約で決まるため、依頼先の契約書で確かめてから計算に入れてください。

手順2:期間と人数の数え方をそろえる

次に、割る数である採用人数を数えます。ここで数え方がずれると、採用単価が実際より高くも低くも見えます。決めておくのは次の三つです。

  1. 期間:費用を払った時期と、採用が決まった時期がずれることがあります。半年や1年など、ある程度長い期間で区切ると、ずれの影響が小さくなります
  2. 人数の数え方:内定を出した人数か、入社した人数かを決めます。内定辞退が多い会社では、二つの数字が大きく違います
  3. 経路の割り当て:一人の採用者が複数の経路に触れていることがあります。応募のきっかけになった経路に割り当てるなど、ルールを決めて書いておきます

特に、掲載料のように採用人数と関係なくかかる費用と、成果報酬のように採用のたびにかかる費用では、期間の区切り方で数字の見え方が変わります。掲載料を払った月に採用がなく、翌月に採用が決まった場合、月ごとに計算すると、ある月は採用単価が出せず、ある月は極端に安く見えます。

エラベルの見解

採用単価の計算でよくある失敗は、全体の数字を一つ出して、高いか安いかだけを話すことです。全体の採用単価が前の年より上がったとしても、それが採りにくい職種の採用を増やしたからなのか、効果の薄い経路にお金を使い続けているからなのかで、打ち手はまったく違います。一つの数字では、依頼先は「下げてください」としか言えません。

担当する側から見ると、価値があるのは経路別・職種別に分けて、数字の差の理由を書けることです。「この職種は人材紹介に頼っているので単価が高いが、スカウトで採れた例もあるので、配分を変える余地がある」と書ければ、依頼先は次の予算を決められます。分けて計算するのは手間ですが、ここに時間をとれる担当者ほど、計算の後の改善の相談まで任されるようになります。

品質の基準:数字の意味を取り違えない形で渡す

採用単価の表は、渡し方を誤ると、依頼先が数字の意味を取り違えます。次の点を確かめてから渡してください。

確認すること合格の目安
費用の範囲が書いてあるか外部費用だけか、内部費用も入れたかが分かる
期間と人数の数え方が書いてあるか内定か入社か、経路の割り当てのルールが分かる
件数の少なさに触れているか採用が1〜2人の経路は、単価がぶれやすいと書いてある
次の判断につながるか単価の差の理由と、見直す候補が書いてある

採用人数が少ない経路の単価は、一人採れるかどうかで大きく動きます。こうした経路の数字だけを見て「この経路は高いからやめる」と決めると、たまたま採れなかった期間の数字で判断することになります。件数が少ない数字には、その旨を必ず添えてください。

よくある差:単価が安い経路が、よい経路とは限らない

計算が終わると、経路ごとの採用単価に差が出ます。このとき、単価が安い経路に予算を寄せれば済むとは限りません。よくある見落としは次のとおりです。

エラベルの見解

もう一つ見てほしいのは、採用単価は「下げる数字」ではなく「配分を決める数字」だということです。依頼先からは、採用単価を下げてほしいと言われることが多くあります。けれども、採りにくい職種を採るためにお金をかけるのは、事業にとって必要な判断であることもあります。単価だけを下げようとすると、採るべき人を採れなくなります。

採用の実務を回してきた人は、単価と一緒に、採れた人の定着や活躍の状況も並べて示せます。「この経路は単価が高いが、入社後に長く働いている人が多い」という形で、単価以外の物差しと組み合わせて示すと、依頼先は予算の配分を落ち着いて決められます。数字の扱い方を一緒に考えられることが、この仕事を単なる集計で終わらせない理由になります。

まとめ

よくある質問

内部費用はどこまで入れればよいですか

最初は外部費用だけで計算し、内部費用は分かる範囲で別に見積もる形をおすすめします。面接官の時間や採用担当者の時間を入れると、経路ごとの差がより正確に見えますが、記録がないと見積もりに時間がかかります。どちらを入れた数字かを注意書きに書いておけば、後から内部費用を足すこともできます。

採用代行への支払いはどの経路に割り当てればよいですか

採用代行がスカウト送信や応募者対応など特定の経路の運用を担っている場合は、その経路の費用に入れると、経路ごとの比較がしやすくなります。複数の経路をまとめて担っている場合は、担当した作業の時間の割合などで分けるか、「採用代行」として独立した行にしてください。どちらにしたかを注意書きに書いておきます。

依頼先に過去の費用の記録がない場合はどうすればよいですか

請求書や支払いの記録から、分かる範囲で外部費用を集めてください。それでも集めきれない場合は、これから先の期間について費用と採用の記録をとる仕組みを先につくり、一定の期間がたってから計算する形を提案します。記録の仕組みをつくること自体も、この仕事の成果物になります。

出典

本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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