採用代行 / 福井県
福井県の採用代行|地域の採用事情と依頼先の選び方
採用がうまくいかない理由を社内の問題として扱う前に、市場の側の前提を確認しておく価値があります。令和8年7月の都道府県別有効求人倍率(受理地別・季節調整値)で、福井県は1.55倍、全国2位です。全国平均は1.18倍なので、0.37ポイント上回っています。この県で採用を組み立てるときに効くのは、人物像を先に決めてから市場を見るのではなく、市場を見てから人物像の幅を決めるという順番です。福井労働局は求職者を年齢層で分けた表と、年齢層別の採用時賃金を公表しているので、この順番を数字で踏めます。以下は2026年9月24日時点で公表されている令和8年7月分の数値と資料の構成に基づきます。
全国2位の県では、他県の成功例が前提ごと合わない
令和8年7月の都道府県別有効求人倍率(受理地別・季節調整値)の上位は、次のとおりです。倍率そのものより、福井県がどの県と並んでいるかを見てください。北陸3県が2位・4位・5位に入っていて、福井県はそのなかでも上位にいます。
| 順位 | 都道府県 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 1.69倍 |
| 2 | 福井県 | 1.55倍 |
| 3 | 山梨県 | 1.47倍 |
| 4 | 富山県 | 1.46倍 |
| 5 | 石川県・島根県 | 1.44倍 |
| — | 全国平均 | 1.18倍 |
倍率が高いということは、求人1件あたりの求職者が少ないということです。応募を待つ設計は成り立ちにくく、同じ環境にいる競合とは条件と速さで差がつきます。見落とされやすいのは、全国平均との差が大きいぶん、他県の事例がそのまま当てはまらないという点です。倍率が1倍を割る県で成果の出た進め方を持ち込んでも、前提が違います。
代行会社の提案を読むときも、この前提を置いて読みます。「媒体を増やして応募数を積み上げる」という提案は、求職者が一定数いる市場で効く打ち手です。求職者の絶対数が少ない県では、同じ費用をかけても伸びしろが小さいことがあります。その前に、誰を対象にするかの幅を見直す余地がないかを確かめます。
人物像の年齢幅を、求職者の表から決め直す
福井労働局の雇用失業情勢には、性別・年齢別有効求職者の状況という表が含まれています。常用(新規学卒を除きパートを含む)について、全年齢、24歳以下、25〜34歳、35〜44歳、45〜54歳、55〜64歳、65歳以上の7区分で、求職者数とその増減が分かります。採用の相談は「30代の経験者」のような人物像から始まることが多いのですが、この表を使うと、その層が県内にどれだけいて、増えているのか減っているのかを先に確認できます。
使い方は三段階です。まず自社が狙う年齢層の求職者数を見て、母集団の量を見積もります。次にその層が前年より増えているか減っているかを見て、計画の前提が動いていないかを確かめます。最後に隣の年齢層の状況を見ます。たとえば35〜44歳で足りないときに、25〜34歳と45〜54歳のどちらに広げるかを、感覚ではなく供給のある側から選べます。
倍率1.55倍の県では、この三つ目が効いてきます。特定の年齢層に絞ったまま募集を続けると、母集団が枯れます。幅を広げる方向を数字で決めておくと、募集が止まったときに打ち手を探し直さずに済みます。なお、年齢による募集の制限には法令上の考え方があります。この表で見るのはあくまで市場の構成であり、募集要件の扱いについては個別の判断を専門家にご確認ください。
エラベルの見解
年齢層別の求職者数を毎月見ている企業は、多くないと感じています。相談の場では人物像から話が始まり、その層の県内の数や増減は確認されないまま、「どうすれば応募が来るか」に進みます。福井県のように倍率が全国2位の県では、この確認を飛ばすと計画がそもそも成り立ちません。担当する側から見ても、対象の年齢幅が最初から固定されている案件は、打てる手が媒体の追加と文面の手直しに限られます。逆に「この年齢層まで広げてよい」という合意が入口にあると、同じ工数で届く相手が増えます。人物像を決めてから市場を見るのではなく、市場を見てから幅を決める。順序が逆になるだけで、母集団の見積もりの精度が変わります。地方企業の採用の考え方は地方企業の採用にもまとめています。
年齢層の表を検算するときに迷わないための注記
年齢層別の表を自社の資料に引くと、足し上げて検算したときに数字が合わないことがあります。これは資料の誤りではなく、注記に理由が書かれています。社内で説明するときに困らないよう、先に押さえておきます。
一つ目は性別の欄です。同じ表には年齢層ごとに合計・うち男・うち女の欄がありますが、求職申込時に「性別」の回答は必須ではないため、「うち男」と「うち女」の合計が合計欄と一致しない場合があると記載されています。「県内の求職者の何割が女性」といった引用を作るなら、この前提を添えないと分母の扱いで数字が変わります。二つ目は年度平均です。年度平均は4月から3月までの合計値を12で除して1か月あたりの平均値を算出したもので、年度平均においては年齢層の総計が合計欄の数値と一致しない場合があるとされています。
もう一点、資料の数値は有効求人倍率(季節調整値)を除いてすべて原数値で、有効求人倍率・正社員有効求人倍率・有効求人数は受理地別とされています。県内の資料には就業地別の推移表も別に載っています。月次どうしはそのまま比べられますが、年度平均と月次、受理地別と就業地別を混ぜると、同じ指標でも値がずれます。代行会社から届く月次報告に、どの系列を使うかを最初に一行で決めておくと、報告の数字をめぐる行き違いが減ります。
提示額を動かすか、対象の年齢を動かすか
年齢の幅を決めたら、次は条件です。福井労働局は中途採用時賃金情報を四半期ごとに公表しており、令和8年4月から6月分が最新です。雇用保険被保険者資格取得データを出所に、産業別と職業別に、年齢計・24歳以下・25〜34歳・35〜44歳・45〜54歳・55歳以上の区分で、千円単位の賃金が載っています。求職者の年齢層別の数と、同じ区切りで並ぶ採用時賃金。この二つを重ねられるのが、この県の資料の使い勝手です。条件に関わる資料はほかにもあるので、役割を分けて使います。
| 資料 | 分かること | 更新 | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| 職種別求人求職賃金情報 | 求人側の上限・下限と求職者の希望賃金 | 毎月 | その月に県内のハローワークで受け付けた求人・求職の賃金情報で、サンプル数には多寡がある |
| 中途採用時賃金情報 | 実際に採用が成立した額 | 四半期 | 産業・職業・年齢層で区切られる |
| 職種別求人・求職バランスシート | 職種ごとの過不足 | 毎月 | 賃金ではなく需給を見る |
手順としては、狙う年齢層を決め、その層の求職者数と増減を確認し、同じ層・同じ産業・同じ職業の採用時賃金を確認して、自社の提示額と比べます。差があるときに決めるのは、提示額を動かすか、対象の年齢層を動かすかのどちらかです。倍率1.55倍の県では、提示額を据え置いたまま対象を狭く保つ選択は取りにくくなります。職種別求人求職賃金情報のほうは注記どおりサンプル数に多寡があるので、職種によっては数件の平均ということもあります。数字をそのまま相場として扱わず、件数の感覚も添えて読みます。
代行会社に渡す前に、社内で決めておく幅
ここまでの材料がそろうと、代行会社に何を頼み、何を社内に残すかがはっきりします。応募を集める工程は外に出せますが、対象の年齢幅と提示額の上限は、社内でしか決められません。この二つが決まらないまま依頼すると、代行会社は狭い条件のまま母集団を探し続けることになります。契約前に決めておく項目と、その見積もり方を一枚にまとめると次のようになります。金額や人数そのものは自社の数字で入れてください。
| 決めること | 使う資料 | 自社の数字での見積もり方 |
|---|---|---|
| 狙う年齢層と、広げてよい隣の層 | 性別・年齢別有効求職者の状況 | 狙う層の求職者数と増減を見て、足りなければ隣の層の数を足して母集団を出す |
| 提示額の上限 | 中途採用時賃金情報 | 同じ産業・職業・年齢層の採用時賃金と自社の提示額の差を出し、上限をどこまで寄せられるかを決める |
| 月の応募目標 | 自社の過去実績 | 面接できる枠 ÷ 応募から面接への移行率で、必要な応募数を逆算する |
| 報告に使う系列 | 雇用失業情勢の注記 | 原数値か季節調整値か、受理地別か就業地別かを先に固定する |
提案を受けるときは、全国2位という位置に触れるか、年齢層別の求職者数を材料にできるか、対象を広げる案を数字で出せるかを見てください。他県と同じ進め方を提案してくる相手は、1.55倍という前提を計算に入れていない可能性があります。募集や採用における取扱い、労働関係の法令の適用には個別の判断が伴うため、年齢や性別を要件として扱わないための確認先も、あわせて社内で決めておきます。
エラベルの見解
北陸3県を並べると、有効求人倍率は福井1.55倍・富山1.46倍・石川1.44倍で、3県とも全国平均1.18倍を上回っています。同じ地方のなかでも、福井県が最も求人側に厳しい環境です。この状況で代行会社を選ぶなら、応募を集める工程だけを請け負う提案は合いにくいと考えています。同じ料金でも、対象の年齢層をどこまで広げられるか、条件をどこまで動かせるかという社内の決めごとを一緒に整理できる担当者が付くかどうかで、結果が分かれます。福井県には、その議論を数字でできる資料がそろっています。担当者を選ぶときは、面談でこの二つの資料の話が出るかを確かめてください。近隣県の状況は石川県の採用代行、富山県の採用代行にもまとめました。
まとめ
- 福井県の有効求人倍率は令和8年7月に1.55倍で全国2位。全国平均1.18倍を前提にした他県の進め方は、そのまま当てはまらない
- 人物像は、年齢層別の求職者数と増減を見てから幅を決める。足りないときに広げる隣の層も先に決めておく
- 年齢層の表は、性別欄や年度平均の注記により合計と一致しないことがある。報告に使う系列は最初に固定する
- 条件は中途採用時賃金情報で成立額と比べ、提示額を動かすか対象の年齢を動かすかを決める
- 年齢の幅と提示額の上限は社内でしか決められない。代行に渡す前に決めておく
よくある質問
Q. 福井県で採用が難しいのは、自社の問題ですか
市場の側の要因が大きい可能性があります。令和8年7月の有効求人倍率は1.55倍で全国2位なので、求人1件あたりの求職者が全国平均より少ない県です。まず狙う年齢層の求職者数を確認し、そのうえで自社の条件や選考の進め方を見直す順番をおすすめします。
Q. 年齢層を広げるとき、年齢を募集要件に書いてよいですか
年齢による募集の制限には法令上の考え方があり、例外の扱いも含めて個別の判断が伴います。年齢層別の求職者数は市場の構成を把握するための材料として使い、募集要件の書き方については個別の判断を専門家にご確認ください。
Q. 中途採用時賃金情報は、提示額の相場として使えますか
雇用保険被保険者資格取得データをもとにした、実際に採用が成立したときの賃金なので、提示額を検証する材料になります。ただし産業・職業・年齢層で区切ると件数が少なくなる区分もあるため、職種別求人求職賃金情報など他の資料と並べて読むのが安全です。
※雇用情勢の数値は毎月更新されます。掲載した内容は2026年9月24日時点で公表されている令和8年7月分の数値と資料の構成に基づくものであり、最新の数値は福井労働局の統計情報をご確認ください。