採用代行 / 茨城県
茨城県の採用代行|地域の採用事情と依頼先の選び方
「県内の新規求人は15,375人」という数字は、そのままでは採用の判断に使えません。茨城労働局が公表している令和8年7月分の資料では、この15,375人がパートを除く常用9,145人、臨時・季節763人、パートタイム5,467人に分かれていて、しかも同じ内訳が産業別にも規模別にも出ています。この記事では、県の新規求人数から出発して、形態・産業・規模の順に絞り込み、自社と同じ枠を取り合う競合の量を見積もる手順を整理します。見積もった結果、正社員では応募は集まるのに埋まらないという、別の論点が見えてきます。以下は2026年9月24日時点で茨城労働局が公表している令和8年7月分の数値に基づきます。
15,375人のうち、正社員を採る企業の市場は9,145人の側
最初の絞り込みは雇用形態です。令和8年7月分の新規求人数(新規学卒者を除く)を形態別に分けると、次のようになります。前年同月比も並べると、合計の数字では見えない動きが出てきます。
| 区分 | 人数 | 構成比 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|
| 全数 | 15,375人 | 100.0% | 1.7%減 |
| パートを除く(小計) | 9,908人 | 64.4% | ほぼ横ばい |
| うち常用 | 9,145人 | 59.5% | 1.7%減 |
| うち臨時・季節 | 763人 | 5.0% | 25.1%増 |
| パートタイム | 5,467人 | 35.6% | 4.5%減 |
正社員やフルタイムでの採用を考える企業にとっての市場は、全数の15,375人ではなく、常用の9,145人の側です。そして臨時・季節が25.1%増える一方でパートタイムは4.5%減っていて、合計の1.7%減は逆向きの動きを打ち消し合った結果です。全数の増減だけを見ると、自社の形態の動きを取り違えます。
採用計画の資料や代行会社の提案に「県の新規求人は15,375人」とだけ書かれていたら、自社の募集形態の数字に置き換えてもらうところから始めます。臨時・季節の増加がどこから来ているかは、このあと産業と規模で分けると見えてきます。形態を決めることが、以降のすべての絞り込みの土台になります。
区分を決めないと、倍率は0.79倍から1.14倍まで動く
形態を決めずに倍率を語ると、同じ月の同じ県でも数字が大きく動きます。令和8年7月分の有効求人倍率は、全数の原数値が1.07倍、季節調整値が1.11倍、パートタイムを除く常用が1.14倍、正社員が0.96倍、常用的パートタイムが0.79倍でした。正社員と常用的パートタイムは、どちらも1倍を割っています。
自社の募集が正社員なら見るのは0.96倍、フルタイムの常用全般なら1.14倍、パートなら0.79倍で、市場全体の動きを見るときだけ季節調整値の1.11倍を使います。区分を決めずに倍率を語ると、0.35ポイントの幅のどこかを話していることになります。代行会社の提案が「茨城県は1.11倍です」で始まっていたら、その数字は市場全体の話で、自社の区分の話ではありません。
正社員の倍率には注記があります。正社員の月間有効求人数をパートタイムを除く常用の月間有効求職者数で除して算出しているため、その求職者数には派遣労働者や契約社員を希望する者も含まれ、厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値となるとされています。0.96倍という数字は、実際の正社員の需給より緩く見えている可能性がある、ということです。
産業ごとに、常用の割合がまったく違う
次の絞り込みは産業です。茨城労働局の資料では、産業別の新規求人数にも同じ形態の内訳が付いています。求人数の多さだけを比べると、正社員の競合の濃さを取り違えるので、常用の割合を並べて見ます。
| 産業 | 全数 | 常用 | パートタイム | 常用の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 建設業 | 1,370人 | 1,270人 | 92人 | 92.7% |
| 情報通信業 | 146人 | 123人 | 9人 | 84.2% |
| 運輸業、郵便業 | 988人 | 779人 | 193人 | 78.8% |
| 製造業 | 2,301人 | 1,675人 | 550人 | 72.8% |
| 医療、福祉 | 4,404人 | 2,286人 | 2,104人 | 51.9% |
| 教育、学習支援業 | 183人 | 61人 | 122人 | 33.3% |
医療・福祉は4,404人と県内で最も求人が多い産業ですが、そのうち2,104人、47.8%がパートタイムです。正社員の競合という意味では2,286人分になります。一方で建設業は1,370人のうち1,270人が常用なので、求人数は少なくても正社員の取り合いは濃いと言えます。
もう一つ、臨時・季節の763人のうち479人、62.8%がサービス業(他に分類されないもの)に集中しています。この産業では全数2,158人、パートを除く1,409人のうち、常用930人、臨時・季節479人で、パートを除いた数字の3分の1が臨時・季節です。前年同月比では、学術研究・専門・技術サービス業が18.6%増、運輸業・郵便業が15.2%増と伸びた一方、教育・学習支援業は20.8%減、情報通信業は18.4%減、宿泊業・飲食サービス業は18.1%減と、産業によって向きも分かれています。
エラベルの見解
相談で多い思い込みは、「求人が多い産業ほど、正社員の採用も厳しい」というものです。茨城県の資料で求人を三つに割ると、この前提が崩れます。医療・福祉は県内で最も求人が多い産業ですが、正社員の競合という意味では2,286人分で、建設業は求人数が少なくても常用の割合が92.7%と、正社員の取り合いが濃い。代行会社から「この産業は求人が多いので競合が強い」と言われたら、その求人が常用なのかパートなのかを聞いてください。担当者によって、この一段の確認をするかどうかが分かれます。同じ料金でも、全数で話す担当者と常用で話す担当者では、提案する条件の水準も、狙う母集団の広さも変わってきます。採用の工程を数字で追う考え方は採用の可視化でも扱いました。
規模を掛け合わせて、自社に近い競合を出す
三つ目の絞り込みは事業所規模です。規模別の内訳も、同じ形態の区分で出ています。採用で実際に競うのは同じ規模帯の企業なので、自社の従業員数がどの階層に入るかを先に確認してください。
| 事業所規模 | 全数 | 常用 | 臨時・季節 | パートタイム |
|---|---|---|---|---|
| 29人以下 | 9,112人 | 5,225人 | 554人 | 3,333人 |
| 30〜99人 | 3,688人 | 2,286人 | 70人 | 1,332人 |
| 100〜299人 | 1,423人 | 917人 | 63人 | 443人 |
| 300〜499人 | 560人 | 329人 | 50人 | 181人 |
| 500〜999人 | 295人 | 197人 | 10人 | 88人 |
| 1,000人以上 | 297人 | 191人 | 16人 | 90人 |
臨時・季節763人のうち554人、72.6%が29人以下の事業所から出ています。サービス業への集中と合わせると、臨時・季節の増加は小規模の事業所の動きに寄っていると読めます。自社が100人規模の製造業で常用を募集するなら、見るべきは県の15,375人ではなく、製造業の常用と、同じ規模帯の常用の数字です。
絞り込みの手順は、自社の産業を特定し、自社の規模帯を特定し、募集する形態を決めて、その組み合わせで競合の量を見積もる、の四段階です。産業別の常用の割合と規模別の常用の割合を順に当てて見当を付け、資料の第3表(主要産業別、規模別一般新規求人状況)で産業と規模の組み合わせを確かめます。四段階で絞ると、県の15,375人とはまったく違う数字になり、その数字を持って相談に行くと、提案の前提を自社に合わせてもらいやすくなります。
正社員0.96倍、充足率8.8%――応募は集まるのに埋まらない
競合の量を見積もったら、最後に正社員の決まり方を見ます。茨城労働局の資料には、正社員求人・求職の状況が月次で出ています。前月と前年同月の数字が並んでいるので、今月の数字が振れなのか傾向なのかも判断できます。
| 項目 | 令和8年7月 | 前月 | 前年同月 |
|---|---|---|---|
| 月間有効求人数 | 21,711人 | 21,211人 | 22,204人 |
| 新規求人数 | 7,806人 | 7,527人 | 7,801人 |
| 就職件数 | 742件 | 723件 | 754件 |
| 有効求人倍率 | 0.96倍 | 0.93倍 | 0.99倍 |
| 充足率 | 8.8% | 9.0% | 8.9% |
正社員の有効求人倍率は0.96倍で、求職者のほうが多い状態です。新規求人は前年同月とほぼ同水準で、月間有効求人が2.2%減っているので、新しく出る求人は変わらず、繰り越される求人が減っているという構図になります。それでも充足率は8.8%で、出した求人の1割弱しか埋まっていません。応募が集まり得る環境でも埋まっていないので、論点は量ではなく、選別と決定の工程です。
代行に頼む範囲も、ここから決めます。応募を増やす工程より、応募から面接、面接から内定、内定から入社の各段で、どこで落ちているかを数える工程を先に置きます。契約前には、募集する形態、産業と規模の階層、参照する倍率(全数か常用か正社員か)を決め、必要な応募数を「採用したい人数 ÷ 自社の応募から採用までの割合」で逆算します。資料は16ページの構成で、第8表の公共職業安定所別求職・求人・就職・充足状況で安定所ごとの充足まで追え、別途資料の都道府県別有効求人倍率で全国のなかの位置も確認できます。労働関係の法令や助成金の適用については個別の判断が伴うため、個別の判断は専門家にご確認ください。
エラベルの見解
北関東の三県を並べると、資料の作りがそれぞれ違います。栃木県は安定所ごとの倍率、群馬県は雇用保険の動き、茨城県は雇用形態の分け方です。茨城県の正社員の数字は、0.96倍と求職者のほうが多いのに、充足率は8.8%にとどまっています。この状況で代行に出してよいのは、応募者への連絡や日程調整、選考の各段の数を記録する工程までだと考えています。どの応募者を次に進めるかという見極めの基準は社内に残し、代行会社には基準に沿って記録してもらう形が合います。見極めまで渡すと、担当者ごとに基準がぶれ、どの段で落ちているのかが報告から読めなくなります。近隣県の状況は栃木県の採用代行、千葉県の採用代行にもまとめました。
まとめ
- 茨城県の新規求人15,375人は、常用9,145人・臨時季節763人・パートタイム5,467人に分かれる。正社員を採るなら9,145人の側を見る
- 同じ月でも区分によって倍率は0.79倍から1.14倍まで動く。正社員なら0.96倍
- 医療・福祉は求人の47.8%がパートタイム、建設業は常用の割合が92.7%。求人数だけで競合の濃さは測れない
- 産業・規模・形態を順に当てると、自社と同じ枠を取り合う競合の量が見積もれる
- 正社員は充足率8.8%。応募を増やすより、選別と決定の工程を先に点検する
よくある質問
Q. 茨城県で正社員を採るとき、どの倍率を見ればよいですか
正社員の有効求人倍率で、令和8年7月分は0.96倍です。ただし算出に使う求職者数には派遣労働者や契約社員を希望する者も含まれるため、厳密な意味での正社員の倍率より低い値になると注記されています。実際の需給はこれより締まっている可能性があります。
Q. 医療・福祉の求人が多いのは、正社員の競合が多いということですか
そうとは限りません。令和8年7月分では、医療・福祉の新規求人4,404人のうち2,104人、47.8%がパートタイムで、常用は2,286人です。正社員の競合を見るなら、常用の数字で比べてください。
Q. 正社員の応募は来るのに決まらないのはなぜですか
茨城県では正社員の充足率が8.8%で、出した求人の1割弱しか埋まっていません。応募の量より、選別と決定の工程に原因があることが多い局面です。応募から入社までの各段で、どこで落ちているかを数えるところから始めます。
※雇用情勢の数値は毎月更新されます。掲載した内容は2026年9月24日時点で茨城労働局が公表している令和8年7月分の数値であり、最新の数値は同局の統計情報をご確認ください。