採用代行 / 岩手県

岩手県の採用代行|地域の採用事情と依頼先の選び方

公開 2026-09-24

採用の計画を立てるとき、母集団は景気で増えたり減ったりするものだと考えがちです。岩手県の数字を14か月分並べると、その前提が当てはまりません。有効求職者数は最も少ない月で21,123人、最も多い月で21,646人で、差は523人、2.5%しかない一方、有効求人数は1,845人の幅で動いています。この記事では、母数がほぼ固定された市場で、競合の求人の増減を毎月追い、その月の動き方を決めるという運用の組み方と、そこから代行に頼む範囲を整理します。以下は2026年9月24日時点で岩手労働局が公表している令和8年7月分の数値に基づきます。

14か月、求職者は523人しか動いていない

岩手労働局の資料から、令和7年6月から令和8年7月までの月次の数値(原数値)を拾って並べます。資料で確認できた月だけを載せているので、空欄の月があります。求職者の列と求人の列で、動きの幅がどれだけ違うかを見てください。

月有効求職者数有効求人数有効求人倍率
令和7年6月21,123人(最少)24,610人1.17倍
令和7年7月21,232人—1.14倍
令和7年9月——1.10倍
令和7年11月21,447人23,114人(最少)1.08倍
令和7年12月——1.08倍
令和8年2月—24,206人1.12倍
令和8年3月21,646人(最多)——
令和8年5月——1.11倍
令和8年6月21,421人23,993人1.12倍
令和8年7月21,435人24,959人(最多)1.16倍

有効求職者数の振れ幅は14か月で523人、2.5%です。有効求人数の振れ幅は1,845人、8.0%で、求職者の3倍以上動いています。倍率が動いた理由は、ほぼすべて求人の側にあるということです。県内の求人が増えても、応募してくれる人の総数は変わらず、求人が増えた分だけ1件あたりの応募は薄くなります。

倍率の回復は、競合が増えたという知らせ

有効求人倍率(原数値)は令和7年11月と12月の1.08倍が底で、令和8年7月は1.16倍まで0.08ポイント戻しました。前月の1.12倍からは0.04ポイント、前年同月の1.14倍からは0.02ポイントの上昇です。令和7年11月と令和8年7月を比べると、有効求人数は23,114人から24,959人へ1,845人(8.0%)増え、有効求職者数は21,447人から21,435人へ12人減で、ほぼ同じでした。

つまり倍率の回復は、求人が増えたことだけで起きています。求職者1人あたりの選択肢が増えたということなので、採用側にとっては好材料ではありません。倍率が上がったと聞いたら、「競合が増えた月」と読み替えるのが、この県での読み方です。

広域の位置も確認しておきます。岩手労働局の資料には、全国と東北6県の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)が同じ表で並んでいます。令和8年7月分は全国平均が1.18倍で前月と同水準、東北平均も1.18倍で前月の1.17倍を0.01ポイント上回り、両者が同じ値で並びました。岩手県の原数値1.16倍は、水準としてはやや下、方向としては上向きという位置です。

エラベルの見解

「最近は人が採りづらくて」という話から相談が始まると、市場が悪化している前提で議論が進みがちです。ところが岩手県では、求職者の数は1年以上ほとんど同じで、変わったのは求人の側だけです。採りづらくなったとすれば、競合が増えたからか、自社の求人が選ばれなくなったからのどちらかで、この切り分けができると打ち手が絞れます。競合が増えたなら速さ、選ばれていないなら求人の内容です。代行会社から「母集団を広げましょう」と提案されたら、14か月で2.5%しか動かない求職者をどこから広げるのかを具体的に聞いてみてください。地方企業の採用の考え方は地方企業の採用にもまとめています。

年度平均で見ても、動いているのは求人の側

月次の動きが一時的なものかどうかは、年度平均で確かめます。下の表は、令和3年度から令和7年度までの年度計(受理地別・原数値)です。

年度有効求人数有効求職者数有効求人倍率
令和3年度25,967人20,666人1.26倍
令和4年度27,995人21,174人1.32倍
令和5年度26,070人21,391人1.22倍
令和6年度24,945人21,024人1.19倍
令和7年度23,852人21,327人1.12倍

令和4年度から令和7年度にかけて、求人は4,143人(14.8%)減り、求職者は153人(0.7%)増えました。中期で見ても、動いているのは求人の側です。直近の月次では求人が戻り始めていますが、年度の流れは減少で、競合の数は年単位でも月単位でも揺れると考えておくのが実態に近いでしょう。なお季節調整値は、毎年1月に過去5年分を遡って新季節指数により改定されるとされているので、過去の季節調整値と比べるときは公表時期をそろえます。

競合の増減に合わせた、月次の運用ルール

母数が固定されている市場では、競合の求人数の増減がそのまま自社の応募数に効きます。そこで、毎月の数字を見たあとにどう動くかを、あらかじめルールにしておきます。ルールがあれば、代行会社への指示も月ごとに迷わずに出せます。

その月の状態最初に見る数字自社の動き方代行に頼むこと
求人が増えた(倍率上昇)有効求人数の前月差接触の量を増やし、連絡と面談の日程を早める応募者への初回連絡と日程調整の前倒し
求人が減った(倍率低下)有効求人数と自社の応募数求人の内容と条件の見直しに時間を使う求人票の改訂と、県内の同職種との比較
求人も求職者も横ばい自社の応募から決定までの日数辞退の段階を確認する辞退理由の記録と分類

倍率だけを見る運用をやめ、求人数と求職者数を別々に追うことが、このルールの前提です。代行会社の月次報告にも、倍率に加えて有効求人数と有効求職者数を入れてもらい、どちらが動いたかを毎月一行で書いてもらうと、社内の判断が速くなります。

賃金を比べる前に、職業の区分を内訳で確定する

条件を見直すときに使うのが、岩手労働局が月次で公表している「岩手県の職業別新規求人・求職平均賃金情報」です。この資料には「掲載されている職業の内訳」という別のPDFが添えられていて、各職業区分に何が含まれるかが一覧になっています。事務従事者だけでも、一般事務、会計事務、生産関連事務、営業・販売事務、外勤事務、運輸・郵便事務、事務用機器操作に分かれるので、似た名前の区分を取り違えると、賃金の比較は意味を持ちません。

見積もりを頼む前に、自社の募集をこの区分で確定し、次の材料をそろえておきます。

見積もりの材料自社で出すもの代行会社に聞くこと
職業の区分内訳の資料で確定した区分名同じ区分名で求人票と報告を作るか
条件の位置自社の提示賃金職業別の求人賃金・希望賃金とどう比べて示すか
月次の運用上の運用ルールのどれを使うか求人が増えた月に何日以内で初回連絡できるか
報告の中身追う数字(求人数、求職者数、自社の応募数)一般職業紹介状況、労働市場、バランスシートのどれを使うか

費用は「月の応募数 × 一件あたりの連絡と日程調整の時間」で作業量を出し、求人が増えた月の前倒し対応を上乗せ分として別に見積もってもらうと、月額固定と時間単価の見積もりを同じ物差しで比べられます。なお、労働関係の法令や助成金の適用については個別の判断が伴いますので、専門家にご確認ください。

エラベルの見解

東北の各県を並べると、求職者数が動かないという特徴は岩手県でいちばんはっきり出ています。市場の変動がほぼ企業側で起きている県では、代行の担当者に求められるのは応募を集める力より、毎月の競合の動きに合わせて段取りを組み替える力です。同じ料金でも、月次の数字を見て「今月は求人が増えたので初回連絡を早めます」と自分から言ってくる担当者と、毎月同じ作業を繰り返す担当者では、応募の取りこぼしが変わります。契約前に、過去の月次報告の見本で「どちらが動いたか」を書いているかを確かめてください。近隣県の状況は宮城県の採用代行、青森県の採用代行にもまとめました。

まとめ

よくある質問

Q. 岩手県の倍率が上がっているのは、採用に追い風ですか

令和8年7月の1.16倍への上昇は、求人が増えたことによるもので、求職者の数はほとんど変わっていません。求職者1人あたりの選択肢が増えたので、採用側にとっては競合が増えた状態と読めます。

Q. 母集団を増やすことはできないのですか

県内の有効求職者数は14か月で2.5%しか動いていないため、県内だけで母集団を大きく増やすのは難しいと考えられます。競合が増えた月に早く動くことや、求人の内容を見直して選ばれる割合を上げることが、現実的な打ち手になります。

Q. 賃金の比較には何を使えばよいですか

岩手労働局の「職業別新規求人・求職平均賃金情報」で、職業ごとの求人賃金と求職者の希望賃金を確認できます。比べる前に、添付の「掲載されている職業の内訳」で自社の募集がどの区分に入るかを確かめてください。

出典