採用代行 / 岐阜県

岐阜県の採用代行|地域の採用事情と依頼先の選び方

公開 2026-09-24

「岐阜県の有効求人倍率は1.4倍くらいです」と言われたとき、その数字が正しいかどうかはすぐには判断できません。岐阜労働局が公表している令和8年7月分の資料には、有効求人倍率が1.38倍(原数値)と1.43倍(季節調整値)の二つ並び、就職率も5.2%と27.6%の二つが載っています。どれも間違いではなく、系列と分母が違うだけです。この記事では、代行会社から届く提案書や月次報告の数字を、出どころまでたどって読む手順と、その手順を契約の段階で報告の仕様として決めておく方法を整理します。以下は2026年9月24日時点で岐阜労働局が公表している令和8年7月分の数値に基づきます。

その倍率は、原数値か季節調整値か

報告の数字を読むとき、最初に確かめるのは系列です。岐阜労働局の資料では、同じ月の同じ指標が原数値と季節調整値の両方で並んでいます。下の表は、倍率とその元になる求人・求職の数を、前月と前年同月を含めて並べたものです。

項目令和8年7月令和8年6月令和7年7月
月間有効求職者数(原数値)28,972人29,858人28,931人
月間有効求人数(原数値)40,085人40,624人40,695人
有効求人倍率(原数値)1.38倍1.36倍1.41倍
有効求人倍率(季節調整値)1.43倍1.46倍1.45倍
新規求職者数(原数値)5,447人5,417人5,451人
新規求人数(原数値)13,856人13,497人14,583人
新規求人倍率(原数値)2.54倍2.49倍2.68倍
新規求人倍率(季節調整値)2.40倍2.53倍2.50倍

有効求人倍率は原数値と季節調整値で0.05ポイント違い、向きも逆に見えます。原数値は前月の1.36倍から上がり、季節調整値は前月の1.46倍から下がりました。新規求人倍率も、原数値では前月より上がり、季節調整値では0.13ポイント下がっています。同じ月の同じ指標で、上がったとも下がったとも言える月です。

資料の前提は、季節調整値は前月との比較に、原数値は前年同月との比較に使う、というものです。前月と比べるなら季節調整値、前年と比べるなら原数値という一行を押さえておくと、報告の数字を読み分けられます。なお季節調整値は、令和7年12月以前の数値が令和8年1月分公表時に改定されている旨の注記があり、過去の値が後から変わることがあります。

就職率の分母を決めると、動く母集団が見える

次に確かめるのは分母です。岐阜労働局の資料には就職率が二種類あり、対有効求職の就職率は月間有効求職者数が分母、対新規求職の就職率は新規求職者数が分母です。同じ就職件数でも、分母によって受け取る印象がまったく違います。

指標令和8年7月令和8年6月令和7年7月採用で使う場面
就職件数1,501件1,570件1,550件月に実際に決まる量
就職率(対有効求職)5.2%5.3%5.4%母集団の見積もり
就職率(対新規求職)27.6%29.0%28.4%反応の速さの目安

母集団を見積もるときに効くのは対有効求職の5.2%です。県内の有効求職者が28,972人いても、その月に決まるのは1,501件で、数字の大きさに引きずられずに実際に動く量で計画を立てることになります。採用の速さを考えるときに効くのは対新規求職の27.6%で、新しく求職に出た人のうち一定の割合がその月のうちに決まるので、動き出した相手への反応が遅いと選択肢から外れます。どちらも前年同月より下がっており、対有効求職は0.2ポイント、対新規求職は0.8ポイントの低下です。決まりにくくなっている方向と読めます。

エラベルの見解

この県の資料で有用なのは、主要な項目が原数値と季節調整値の両方で並んでいることです。ふつうは片方だけが引用され、引用する側は都合のよいほうを選べます。倍率が上がったと言いたければ原数値、下がったと言いたければ季節調整値で、令和8年7月分の岐阜県はその両方が成立してしまう月です。だから商談では「その数字は原数値ですか、季節調整値ですか」と聞いてみてください。同じ代行会社でも、すぐに答えられる担当者と、資料ではなく要約を読んでいる担当者がいます。答えられる担当者とは、そのあとの成果の議論が噛み合います。費用の確認項目は採用代行の費用で聞くことにもまとめています。

前年同月比では、求人だけが減り、就職も減っている

原数値で前年同月と比べると、月間有効求職者数は0.1%増、新規求職者数は0.1%減で、求職の側はほとんど動いていません。一方で月間有効求人数は1.5%減、新規求人数は5.0%減で、新規求人の減少が最も大きな変化です。競合の出稿が減る局面で、母集団の量は変わらないので、本来は相対的に目立ちやすいはずの環境です。

ところが就職件数も3.2%減っています。求人が減って求職が横ばいなのに決まる数も減っているということは、量では説明できない部分があるということです。考えられるのは、職種や条件のずれで求人と求職の内容が合っていないこと、決定までの工程に時間がかかっていること、条件の水準が求職者の希望に届いていないことです。依頼を考えるなら、応募数を増やす工程より先に、決まらない原因の切り分けを置きます。工程を数字で追う考え方は採用の可視化でも扱いました。

ハローワーク別の数字が、自社の周辺を表していないとき

最後に確かめるのは集計の範囲です。岐阜労働局の資料には、県全体のほかに就業地別有効求人倍率(季節調整値)と、ハローワーク別有効求人倍率(各ハローワークは原数値、局計は季節調整値)の二つの切り口があります。ハローワーク別は原数値なので、県全体の季節調整値と並べると系列の違うものを比べることになります。

さらに注記として、大垣は揖斐出張所を含み、関は岐阜八幡出張所を含むと書かれています。出張所の区域が親のハローワークに合算されるので、揖斐郡や郡上市に拠点がある企業が「大垣」「関」の数字を見ると、自社の周辺より広い範囲の平均を見ていることになります。自社の状況によって、見るべき数字は次のように変わります。

自社の状況見るべき数字系列注意すること
単一拠点その拠点のハローワーク原数値県全体の季節調整値と直接比べない
複数拠点で本社が求人を出す就業地別季節調整値受理した窓口の数字とは一致しない
出張所の区域に拠点がある親のハローワーク(大垣、関)原数値自社の周辺より広い範囲の平均になる

就業地別は、求人を受け付けた窓口ではなく、実際に働く場所での集計です。本社でまとめて求人を出す企業では、受理した窓口の数字と就業地の数字が違ってくるので、どちらで見るかを報告の仕様に入れておきます。

月次報告の仕様を、契約の段階で書いておく

ここまでの三つの確認(系列、分母、集計範囲)を、代行会社との契約で報告の仕様として決めておきます。見積もりを比べる前にこの仕様を渡しておくと、どの会社の報告も同じ物差しで読めます。

報告の仕様自社で決めること代行会社に聞くこと
数値の系列前月比は季節調整値、前年同月比は原数値で見る報告のどの数字がどちらの系列かを明記するか
就職率の分母母集団の見積もりに対有効求職、速さに対新規求職を使う自社の応募数と県の数字をどう並べて報告するか
集計の範囲拠点のハローワークか就業地別か出張所の合算を踏まえた見方ができるか
工程の順番応募数を増やすか、決まらない原因の切り分けを先にするか応募から決定までの日数と辞退理由を記録するか

費用は、報告の作成にかかる時間と、工程の計測・改善にかかる時間を分けて見積もってもらうと比べやすくなります。後者は「月の応募数 × 一件あたりの対応時間」で作業量を出せるので、月額固定と時間単価の見積もりを同じ物差しに直せます。なお、労働関係の法令や助成金の適用については個別の判断が伴いますので、専門家にご確認ください。

エラベルの見解

東海の各県を見てきて、岐阜県は数字の取り扱いを試される県だと感じています。有効求人倍率は原数値で前月より上がり、季節調整値で前月より下がっています。就職率は5.2%とも27.6%とも言えます。ここで「岐阜県は回復しています」と一言でまとめる提案が来たら、その根拠はたどれません。代行の成果は毎月の数字で説明されるので、系列と分母を分けて書く習慣は、担当者の仕事の丁寧さがそのまま表れる部分です。契約前の面談で過去の報告書の見本を見せてもらい、系列の表記があるかを確かめるのが、手早い見分け方です。近隣県の状況は愛知県の採用代行、三重県の採用代行、静岡県の採用代行にもまとめました。

まとめ

よくある質問

Q. 原数値と季節調整値はどちらを見ればよいですか

前月と比べるときは季節調整値、前年同月と比べるときは原数値を使うのが、岐阜労働局の資料の前提です。季節調整値は過去分が後から改定されることがあるため、比べる資料の公表時期もそろえてください。

Q. 就職率が5.2%と27.6%で違うのはなぜですか

分母が違うためです。5.2%は月間有効求職者数、27.6%は新規求職者数を分母にしています。母集団の見積もりには前者、動き出した求職者への反応の速さを考えるときは後者が参考になります。

Q. 揖斐郡に拠点がある場合、どの数字を見ればよいですか

揖斐出張所の区域は大垣のハローワークに合算されています。大垣の数字は自社の周辺より広い範囲の平均になるため、就業地別の数字や自社の応募実績とあわせて判断してください。

出典