スカウト代行 / スカウト運用

スカウトに年収を書くべきか|「書く・書かない」の前に、役割・市場との位置・相手の層・媒体の仕様・社内の整合の五つで決める

公開 2026-09-13

スカウトの文面に、年収を書くべきか。営業の責任者は「書けば興味を引ける」と言い、人事は「書くと条件で判断される」と言い、経営者は「社内の他の人に見られたら困る」と言う。意見が割れて、決まらない。結論を先に書くと、年収を書くかどうかは、「書く・書かない」の二択で決めるものではなく、「役割の性質」「自社の条件の市場との位置」「相手の層」「媒体の仕様」「社内の整合」の五つの軸で決めるものです。五つを見れば、「この役割のこの層には幅で書く」「この役割には書かず面談で」のように、役割と相手ごとに決まります。決めたら、書く位置と表現を型にします。幅の出し方と面談での決め方はスカウト段階で条件を出すかに、条件で負ける場合は給与で負ける場合にまとめています。求人の条件の記載に関する法令上の扱いは、専門家に確認します。

書くかどうかで割れる構造

年収を書くかどうかで社内が割れるのは、次の構造で起きます。

構造起きていること
二択で考えている「書く」か「書かない」か。「幅で書く」「役割によって変える」の中間を考えていない
立場で意見が違う営業は「引ける」、人事は「判断される」、経営者は「見られる」。それぞれ一理あるが、軸が違う
自社の条件の市場との位置を知らない市場より上なのか下なのかを知らずに、「書けば有利」「書けば不利」を印象で言っている
役割で分けていない全役割で同じ方針。条件で決める役割と、役割で決める役割が混ざっている
相手の層で分けていない動いている人と動いていない人、若手と幹部で、条件の重さが違う
媒体の仕様を確認していない媒体によって、条件の欄が別にある、文面に書ける範囲が決まっている、など。公式の案内で確認していない
社内の整合を考えていない書いた年収が、既存の社員の目に入る可能性と、その整合
法令上の扱いを確認していない求人の条件の記載に関する扱いと、スカウトの文面の位置づけ。専門家に確認していない

構造の大半は、「二択」と「立場」で議論していることです。五つの軸で整理します。

判断の五つの軸

年収を書くかどうかを、五つの軸で判断します。

見ること書く方向書かない方向
一、役割の性質条件で決める人が多い役割か、役割の中身で決める人が多い役割か条件で決める人が多い役割(定型の業務、市場に多い職種)役割の中身で決める人が多い役割(裁量が大きい、専門性が高い、幹部)
二、市場との位置自社の条件が、同じ職種の市場と比べて上か、同じか、下か上か同じ。書けば安心の材料になる下。書くと条件で離れる。役割と人で先に興味を持ってもらう
三、相手の層動いている人か、動いていない人か。若手か、経験者か、幹部か動いている人(条件を比べている)、若手(条件が判断の大きな要素)動いていない人(条件より「なぜ自分に」)、幹部(役割と経営者との関係)
四、媒体の仕様条件の欄が別にあるか、文面に書ける範囲、表示の仕組み条件の欄が無く、文面でしか伝えられない条件の欄が別にあり、そこで見られる
五、社内の整合書いた年収が既存の社員の目に入る可能性、既存の社員の水準との整合整合が取れている、または役割が明確に違う整合が取れず、社内に説明できない

五つの軸で、役割と相手ごとに判断します。「営業職で、市場と同じで、動いている若手に、条件の欄が無い媒体で、整合が取れている」なら、幅で書く。「幹部で、市場より下で、動いていない人に、条件の欄がある媒体で、整合が難しい」なら、書かない。

軸の要点は、「全役割で同じ方針にしない」ことです。役割と相手で、答えが変わります。

書く場合の書き方と位置

書くと決めた場合の、書き方と位置です。

幅で書く。 「〇〇〜△△」の幅。一点の額は、面談で決める。幅の出し方はスカウト段階で条件を出すか

位置は、四段落目。 一段落目(なぜあなたに)や二段落目(役割)に条件を入れると、「条件で釣っている」に見える。四段落目(次の一歩)で、「条件は〇〇〜△△の幅で、経験と役割で決めます」と一文。構成はスカウト本文の構成

決め方を添える。 「経験と役割で決めます」「面談でお話しします」。幅だけでは、「どこに入るか」が分からず、上限を期待される。

内訳は、書かない。 基本給、賞与、手当の内訳は、面談か求人票で。文面が長くなる。

件名には、書かない。 件名に条件を入れると、開いた後に条件で去る。件名でやりがちな失敗

制度のとおりに、正確に。 幅を良く見せて、面談で下回ると、辞退と不信。社内の制度の幅で。

「応相談」「経験による」だけにしない。 幅が無い「応相談」は、書かないのと同じで、書かない場合の代替(次の章)も無い。

書く場合の要点は、「四段落目に、幅で、決め方を添えて、一文」です。

書かない場合の代替

書かないと決めた場合、「条件が分からない」で返信が減らないための代替です。

「条件は面談でお話しします」と、一文で明記する。 書かないことを、隠すのではなく、伝える。「条件は、面談でご希望と合わせてお話しします」。

役割と人で、興味を持ってもらう。 一〜三段落目(なぜあなたに、役割、会社)を厚く。条件を書かない分、役割の中身と一緒に働く人と裁量で。

媒体の条件の欄で、見られる状態にする。 媒体に条件の欄があれば、そこに幅を入れておく。文面に書かなくても、候補者は欄を見る。仕様は公式の案内で確認。

返信の後、早い段階で幅を伝える。 返信が来たら、二通目か面談の前に、「条件の幅はこうです」と伝える。面談の場で初めて額を出すと、開きが出て辞退される。年収交渉で毎回折り合わない

「条件が気になる方へ」の一文を、断りやすさと一緒に。 「条件を先に知りたい場合は、返信でお聞かせください。すぐにお伝えします」。書かないが、聞けば答える形。

求人票へのリンクで、条件を見られるようにする。 文面には書かず、リンク先の求人票に幅がある形。ただし、リンクは一つまで。

代替の要点は、「書かないが、隠さない」ことです。「面談で」と明記し、聞かれれば答え、返信の後は早く伝える。隠すと、「条件を言えない会社」と見られます。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「営業の責任者の意見で、全役割の文面の一段落目に『年収〇〇万円以上』と書き、返信は増えたが、面談で条件の話ばかりになり、役割に興味の無い候補者が集まって、内定後に他社の条件で辞退が続いた」というものです。役割で分けず、位置が一段落目で、幅ではなく額でした。役割ごとに五つの軸で見直し、裁量の大きい役割は書かずに「面談で」と明記し、定型の役割は四段落目に幅で、に変えたら、面談の質が変わりました。「書くか書かないか」ではなく、「どの役割に、どこに、どう」でした。

見ていて差がつくのは、担当者が「役割ごとに分ける」提案をするかどうかです。「全役割で書きましょう」「全役割で書かないほうがよいです」と一律に言う担当者と、「役割と相手の層で分けましょう。この役割は幅で四段落目に、この役割は書かずに面談で」と、五つの軸で分ける担当者がいます。後者は、社内の意見の割れを、役割ごとの判断に変えます。

発注側にできるのは、「書くか書かないか」の社内の議論を、「役割ごとに五つの軸で」に置き換えることです。

幅で書く形

「書く」の多くは、「幅で書く」になります。幅の形です。

項目
幅の広さ制度の幅の中で。広すぎると意味が無く、狭すぎると候補者が入らない。役割の段階に応じた幅
下限の置き方下限を低くしすぎると、応募の入口で離れる。役割の最低の水準で
上限の置き方上限を高く見せすぎると、面談で下回ったときに辞退。制度で出せる上限で
決め方の一文「経験と役割で決めます」「面談でご希望と合わせて」。幅のどこに入るかの目安を
内訳の扱い文面には書かない。面談か求人票で
既存の社員との整合幅が、既存の同じ役割の社員の水準と整合しているか。役割が違えば別の幅
制度との一致幅は、社内の給与の制度に沿って。専門家に確認
位置四段落目に一文。一段落目と二段落目には入れない

幅の要点は、「制度の幅の中で、決め方を添えて、四段落目に」です。幅の設計そのものは、スカウト段階で条件を出すかに書いています。

相手の層と段階で変える

同じ役割でも、相手の層と段階で、書くかどうかを変えます。

相手・段階書くかどうか理由
動いている若手への最初の一通幅で書く条件を比べている。書かないと候補から外れる
動いていない経験者への最初の一通書かない。「面談で」と明記条件より「なぜ自分に」。条件で興味を引く層ではない
幹部・経営幹部書かない。経営者の言葉で課題と役割条件は、関係ができてから。幹部・役員クラスへのアプローチ
返信が来た後の二通目幅を伝える返信が来た=興味がある。早い段階で開きを確認
面談の前幅と決め方を伝える面談で初めて出さない
再送一通目で書かなかったなら、書かない。書いたなら、繰り返さない再送は短く
過去の応募者・退職者前回の条件との関係に触れるか、「見直した」場合のみ前回と同じなら書かない。過去の応募者への再アプローチ

層と段階の要点は、「最初の一通で書かなくても、返信の後に早く伝える」ことです。書かない方針は、「面談まで隠す」ではありません。

法令上の扱いの確認

スカウトの文面に条件を書く場合、法令上の扱いがあります。専門家(社労士、弁護士)に確認します。

求人の条件の記載に関する扱い。 求人を出す際の労働条件の明示に関する法令上の定めがあります。スカウトの文面が、法令上どう位置づけられるかは、専門家に確認します。

書く場合の正確さ。 書いた条件が、実際の条件と違う場合の扱い。制度のとおりに、正確に。

幅の表現。 幅で書く場合の、表現の扱い。専門家に確認します。

媒体の規約。 媒体ごとに、条件の記載に関する規約や仕様があります。公式の案内で確認します。

求人票との整合。 スカウトの文面と、求人票の条件が、整合しているか。違えば、候補者の不信と、法令上の扱いの両方で問題。

変更の記録。 条件を変えたら、文面と求人票の両方を、同じ日に直す。

法令上の扱いの要点は、「自社で判断せず、専門家に確認する」ことです。「書く」「書かない」の方針は、法令上の扱いを確認したうえで決めます。

外注する場合の範囲

年収を書くかどうかの問題を、スカウト代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 五つの軸での整理(役割の性質の分類、市場との位置の確認は紹介会社と媒体の担当者への聞き取り、相手の層の分類、媒体の仕様の確認、社内の整合の論点の整理)、役割ごとの方針の案、書く場合の位置と表現の型、書かない場合の代替の文面、幅で書く形の案(社内の制度の幅を元に)、相手の層と段階ごとの使い分けの型、法令上の扱いの確認の専門家への橋渡し、求人票との整合の点検、方針の記録と見直し。

社内に残す判断。 役割ごとに書くかどうかの決定、幅の決定(制度と整合)、既存の社員との整合の判断、法令上の扱いの確認(専門家との連携)、方針の承認。

外注の効きどころ。 年収を書くかどうかは、社内では「立場で意見が割れる」議論になりやすく、決まりません。担当者が五つの軸で整理し、役割ごとの案を出せば、議論は判断に変わります。担当者は複数の会社のスカウトを見ているので、「この役割のこの層には、幅で書くと返信が来る」「この層には書かないほうが面談の質が上がる」の見立てを持ち込めます。ただし、幅の決定と法令上の扱いは社内と専門家です。

外注しても動かない場合。 社内が「全役割で書く」「全役割で書かない」の一律を譲らない、市場との位置を確認しない、法令上の扱いを専門家に確認しない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

年収を書くかどうかは、五つの軸で役割ごとに決まります。外注は、軸で整理し、型を作る手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、年収の記載の相談で最も多いのは、「書かない方針なのに、返信の後も面談まで条件を隠す」ことです。最初の一通で書かないのは、役割と人で興味を持ってもらうためで、合理的です。ただ、返信が来た後も「面談で」と引っ張り、面談の場で初めて額を出すと、開きが出て辞退されます。

書かない方針は、「最初の一通で書かない」であって、「面談まで隠す」ではありません。返信が来たら、二通目か面談の前に、幅と決め方を伝える。それで、面談は「条件の確認」ではなく「役割と人の話」になります。

発注側にできるのは、「書かない」と決めた役割でも、「返信の後、いつ幅を伝えるか」を決めておくことです。

まとめ

よくある質問

年収を書かないと、返信が来ないのではないですか

役割と相手の層によります。動いている若手で、条件を比べている層には、書かないと候補から外れることがあります。動いていない経験者や幹部には、条件より「なぜ自分に」「何をする役割か」で興味を持ってもらう層なので、書かないほうが面談の質が上がることがあります。書かない場合も、「条件は面談でお話しします」と明記し、媒体の条件の欄には幅を入れ、返信が来たら早く幅を伝えます。「書かない=隠す」にしなければ、返信は減りにくいです。

書いた年収が、社内の他の社員に見られるのが心配です

社内の整合の軸です。書く年収が、既存の同じ役割の社員の水準と整合していれば、見られても説明できます。整合していない(新しく採る人のほうが高い)なら、役割が明確に違う形にするか、書かない方針にするか、既存の社員の見直しを並べて判断するか、です。整合の考え方は提示年収が市場と合っていないに書いています。「見られるから書かない」だけで決めると、返信が減る役割もあるので、整合を先に整えます。

営業は「書けば引ける」、人事は「書けば判断される」で、決まりません

両方とも一理あり、軸が違うだけです。「書けば引ける」は、条件で決める層と役割に当てはまり、「書けば判断される」は、役割で決める層と役割に当てはまります。役割ごとに、五つの軸(役割の性質、市場との位置、相手の層、媒体の仕様、社内の整合)で見て、「この役割は幅で書く」「この役割は書かずに面談で」と分けます。一律の方針ではなく、役割ごとの方針にすれば、営業の意見も人事の意見も、それぞれの役割で活きます。