スカウト代行 / スカウト代行
スカウトを内製で始める準備|「誰が返信に当日対応するか」が決まるまで送らない
代行に頼まず、社内でスカウトを始めたい。費用を抑えたい、ノウハウを社内に溜めたい、まず小さく試したい。理由はさまざまですが、「媒体と契約して、採用担当が空いた時間に送る」形で始めると、送信は不定期になり、返信は放置され、三か月で止まります。結論を先に書くと、内製で始める準備は、媒体の契約ではなく、「誰が、週に何時間、どの工程を担うか」を決めることです。特に、返信に当日対応する人が決まるまでは、送り始めないでください。全体像はダイレクトリクルーティングの全体像に、代行から内製への移行は代行から内製に戻すにまとめています。
内製で始める前に決める六つ
送り始める前に、次の六つを決めます。
一.担当者。 対象の抽出、文面の執筆、送信、返信対応を、誰が担うか。採用担当が兼務するなら、他の業務との優先順位。一人で全部を担うか、分けるか。
二.稼働。 週に何時間を、スカウトに使うか。抽出と文面に何時間、返信対応に何時間。稼働が決まれば、送れる数と、返信対応の速さが決まります。「空いた時間で」は、稼働ゼロと同じです。
三.役割の定義。 求人の役割を、四つの軸(何を決めるか・誰と決めるか・どこまで担うか・数字を持つか)で書く。一緒に働く側の人と決める。
四.対象の基準。 必須の経験、対象外の線、経歴の手がかり。スカウトのターゲットペルソナの作り方にまとめています。社内で活躍している人の経歴から逆算すると速い。
五.文面のルール。 言葉づかい、段落の構成、使わない言葉。採用サイトと求人票から抜き出す。一段落目は役割と「なぜあなたに」。
六.返信対応の体制。 返信に当日中に一次対応する人。担当者が休みの日の代理。候補日を出すための面談枠。
六つのうち、最も欠けやすいのが六です。送ることは誰でもできますが、返信に当日対応することは、稼働と体制が無いとできません。返信を放置すれば、送った意味は消えます。
最初の一か月の進め方
六つが決まったら、一か月で立ち上げます。
一週目:整える。 役割の定義を書き、対象の基準を作り、文面のルールを決める。媒体の契約と、アカウントの設定。面談枠を週に一つ以上、面談者に空けてもらう。
二週目:少量を送る。 対象の基準に沿って、少量(数通から十数通)を抽出し、一通ごとに書き分けて送る。返信対応の体制を実際に動かす。
三週目:反応を見て直す。 返信の有無と内容を見て、対象の基準と一段落目を直す。返信が来た候補者の一次対応が当日中にできているかを確認する。
四週目:送信を安定させる。 直した対象と文面で、週の稼働で送れる数を送る。段階ごとの数字(送信・返信・面談設定)を記録し始める。
一か月で、「送れる数」「返信率の目安」「返信対応が回るか」が見えます。ここで回っていなければ、二か月目に入る前に、稼働と体制を見直します。
内製で詰まりやすい点
内製の運用で、詰まりやすい点があります。
送信が不定期になる。 採用担当の他の業務が忙しい週は、送信が止まる。止まると、面談の流れが途切れます。対処は、週の決まった時間をスカウトに固定すること。「今週は忙しいので来週」を繰り返すと、運用は消えます。
返信対応が遅れる。 返信を翌日、翌々日に回す。候補者は他社に流れます。対処は、返信の一次対応を「当日中」と決め、それだけは他の業務より優先すること。一次対応は短い定型で構いません。
文面が型になる。 一通ごとに書き分けるのは時間がかかり、忙しいと型の文面になる。返信率が下がります。対処は、送信数を減らしてでも個別化を保つこと。数より質です。
対象が広がる。 「送る人がいない」と感じて、条件を緩める。合わない人に届き、面談で「違う」が増えます。対処は、対象の基準を書面にして、変えるときは意図して変えること。
数字を見ない。 送って、返信があって、面談して、で終わり。段階ごとの数字を記録していないので、何が効いて何が効いていないか分からない。対処は、月に一度、送信・返信・面談設定・面談実施を数えること。
改善が回らない。 数字を見ても、何を変えるかを決める場が無い。対処は、月に一度、決める人と担当者が三十分話す場を作ること。定例会の進め方の型が、内製でも使えます。
これらは、内製に限らず起きますが、内製では「担当者が兼務」であることが多く、起きやすい。稼働を固定し、返信対応を最優先にすることで、多くは防げます。
小さく始めて広げる
内製は、小さく始めて、回ることを確かめてから広げます。
一職種から。 複数の職種を同時に始めない。最も母数があり、役割の定義が明確な一職種で始める。一職種だけ頼めるかで書いた考え方は、内製でも同じです。
一媒体から。 複数の媒体を並べない。担当者が扱いやすく、その職種の母数がある媒体を一つ。
少量から。 週に数通から十数通。稼働で回る数で始め、返信対応が追いつくことを確かめてから増やす。
一人から。 担当者は一人で、全工程を担う。分けるのは、量が増えてから。
三か月で判断する。 三か月の段階ごとの数字で、内製で回るか、稼働を増やすか、代行に出すかを判断する。
小さく始めれば、失敗も小さく、直しやすい。大きく始めて全部が中途半端になるより、一つが回ることを確かめるほうが、結果として速く広がります。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「媒体と契約して、採用担当に『空いた時間で送って』と頼んだ」というものです。最初の月は送るが、二か月目は他の業務で止まり、返信は放置され、三か月目に「内製は無理だった」となる。無理だったのではなく、稼働と体制を決めていなかっただけです。
見ていて差がつくのは、内製を始める会社が「返信に当日対応する人」を最初に決めているかどうかです。送る人は決めても、返信に対応する人と時間を決めていない会社が多い。送った後の返信が放置されれば、送る前の準備は全部無駄になります。
発注側にできるのは、内製で始めるなら、「送る」より「返す」の体制を先に決めることです。返信対応を当日中にできる稼働が確保できないなら、内製は回りません。その場合は、返信対応だけを代行に出す形もあります。
代行に切り替える判断
内製で始めて、途中で代行に切り替える判断があります。
切り替えを考える状況。 稼働が確保できず送信が止まる、返信対応が遅れて面談が組めない、文面が型になって返信率が落ちる、対象の基準を作れない、改善が回らない。三か月の数字で、これらが見えたとき。
全部を出すか、一部を出すか。 全工程を代行に出す形と、作業(抽出・文面・送信・返信対応)を出して判断を残す形。内製で作った役割の定義・対象の基準・文面のルールは、代行に渡せる資産です。どこまで任せ、どこを持つかにまとめています。
内製の資産を渡す。 三か月の運用で得た数字、対象の基準、文面のルール、返信をくれた候補者。代行の担当者に渡せば、立ち上げは短くなります。
内製で分かったことを、代行の選定に使う。 「返信対応が回らなかった」なら、返信対応の体制を確認する。「文面が型になった」なら、個別化の運用を確認する。内製の詰まりが、代行に求めることを明確にします。
内製に戻す道を残す。 代行に出しても、資産は社内に残す。代行なしで回らなくなるで書いた四つの資産を、契約で帰属を明確にする。
内製と代行は、どちらかを選ぶものではなく、状況で行き来するものです。内製で始めたことは、代行に出すときにも、戻すときにも、資産になります。
内製で残すもの
内製で運用するなら、次を書面で残します。担当者が替わっても運用が続き、代行に出すときにも渡せます。
- 役割の定義(四つの軸)
- 対象の基準(必須の経験、対象外の線、経歴の手がかり、合った人・合わなかった人の例)
- 文面のルール(言葉づかい、段落の構成、使わない言葉、直した理由)
- 送信の記録(誰に、いつ、どの文面を)
- 段階ごとの数字(月ごと)
- 返信をくれた候補者、面談に至った候補者の一覧と経緯
- 変えたことと、その結果
- 辞退理由
これらは、運用の中で一行ずつ足していけば、改めて作る必要はありません。残していないと、担当者が替わった瞬間にゼロに戻ります。
エラベルの見解
担当する側から見ると、内製から代行に切り替える相談で最も助かるのは「内製の三か月の数字と、詰まった工程が明確」なことです。「返信率はこのくらい、面談設定はこのくらい、返信対応が回らなかった」。それが分かれば、担当者は何を担えばよいかが分かり、内製の資産をそのまま使って、立ち上げを一か月以内に縮められます。
逆に困るのは、「内製でやってみたが、何がどう駄目だったか分からない」という相談です。数字も記録も無く、対象の基準も文面のルールも残っていない。代行に出しても、ゼロから始めることになります。
内製で始めるなら、うまくいってもいかなくても、記録を残してください。記録があれば、内製の三か月は、代行に出すときの資産になります。無ければ、三か月が消えます。
まとめ
- 内製の準備は媒体の契約ではなく担当者・稼働・役割の定義・対象の基準・文面のルール・返信対応の体制の六つ
- 返信に当日対応する人が決まるまで送らない。「空いた時間で」は稼働ゼロ
- 最初の一か月は整える→少量を送る→反応を見て直す→安定させる
- 詰まりやすいのは送信の不定期・返信の遅れ・文面の型化・対象の拡大・数字を見ない・改善が回らない。稼働の固定と返信対応の最優先で防ぐ
- 一職種・一媒体・少量・一人から始め、三か月で判断する
- 代行に切り替えるなら、内製の資産と詰まった工程を渡す。作業だけ出して判断は残す形も
- 役割の定義・対象の基準・文面のルール・送信記録・数字・候補者・変えたこと・辞退理由を書面で残す
よくある質問
採用担当が一人しかいません。内製できますか
できますが、稼働を固定することが条件です。週の決まった時間(たとえば週に数時間)をスカウトに固定し、返信の一次対応だけは他の業務より優先する。それができれば、一職種・一媒体・少量で回ります。できないなら、返信対応だけを代行に出す形か、全体を代行に出す形を検討してください。
媒体の選び方が分かりません
内製で始めるなら、その職種の母数があり、担当者が扱いやすい媒体を一つ選んでください。複数を並べると、担当者の稼働が分かれます。媒体の仕様(送信上限、検索の機能、料金)は変わるので、公式の案内で確認します。迷うなら、同じ職種を採っている他社や、代行会社に「この職種ならどの媒体か」を聞くのも一つの方法です。
内製で三か月やって、面談が組めませんでした
段階ごとの数字で、どこで落ちているかを見てください。返信が来ないなら対象と文面、返信は来るが面談に進まないなら返信対応の速さと日程、送る相手がいないなら母数。落ちている工程が、稼働や体制の問題なら、その工程だけを代行に出す形があります。内製で作った役割の定義・対象の基準・文面のルール・数字は、代行に渡せる資産です。