スカウト代行 / スカウト運用
人力運用の限界はどこか|「担当者の頑張り」で伸ばそうとせず、「通数」「返信の対応」「記録」「複数の役割と媒体」の四つで限界が出る順番を知り、限界の手前で型・分担・道具・外注のどれかに切り替える
スカウトを、人事の一人か二人で回している。検索して、選んで、書いて、送って、返信に対応して、日程を調整して、記録する。どこまで回せるのか、どこから先が無理なのかが分からない。担当者の頑張りで持たせているうちに、返信の対応が遅れ、記録が抜け、送信が止まり、担当者が疲弊する。結論を先に書くと、人力の限界は、「通数」「返信の対応」「記録」「複数の役割と媒体」の四つの箇所で、この順番で出ます。限界は「担当者の頑張り」で伸びるものではなく、限界の兆候が出た時点で、「型」「分担」「道具」「外注」のどれかに切り替えます。切り替えの判断は、担当者が疲弊してからではなく、兆候が出た時点で行います。内製で始める準備はスカウトを内製で始める準備に、半分だけ外に出す設計は半分だけ内製にする設計にまとめています。
限界が見えない構造
人力運用の限界が見えないまま、担当者が疲弊するのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 頑張りで持たせている | 限界の手前で「もう少し」を繰り返し、限界を超えてから止まる |
| 稼働を測っていない | 一通に何分、返信の対応に週何時間、記録に何分、が分かっていない |
| 限界が出る順番を知らない | 最初に崩れるのは送信ではなく、返信の対応と記録。気づいたときには候補者を失っている |
| 兼務で回している | 採用以外の業務があり、スカウトの稼働が週によって変わる |
| 「まだ回っている」と見える | 送信は続いているので、回っているように見える。裏で返信の対応と記録が止まっている |
| 切り替えの手を知らない | 「人を増やす」か「やめる」しか無いと思っている |
| 担当者が言い出せない | 「回っていない」を言うと、自分の能力の問題に見えるので、言わない |
構造の大半は、「限界が出る順番」と「切り替えの手」を知らないことです。知っていれば、兆候の時点で手を打てます。
限界が出る四つの箇所と順番
人力運用の限界は、次の順番で出ます。手前ほど早く、目立たずに崩れます。
| 順 | 箇所 | 崩れ方 | 目立つか |
|---|---|---|---|
| 一 | 返信の対応 | 返信の確認が週に一度になる。返答が数日遅れる。日程の提示が「別途」になる | 目立たない。送信は続いているので、外からは回って見える |
| 二 | 記録 | 送信ログが週末まとめ書きになり、抜ける。返信の内容が記録されない。追客の予定が消える | 目立たない。記録が無いことは、後で困るまで分からない |
| 三 | 通数 | 一通の時間が延びる。または、雑になって短くなる。週の通数が計画に届かない | 目立つ。通数は数えられるので、ここで初めて「回っていない」と気づく |
| 四 | 複数の役割と媒体 | 役割が増え、媒体が増えると、検索の条件も型も記録も倍になる。一つずつなら回るものが、掛け算で回らなくなる | 目立つ。役割を足した時点で、送信が止まる |
順番の要点は、「最初に崩れるのは返信の対応」ということです。送信は「今日はやらない」ができますが、返信は候補者が待っています。担当者は送信を優先し(数えられるので)、返信の対応と記録を後回しにします。候補者を失うのは、ここです。速さが効く箇所はスカウトはスピードでどれだけ変わるかに書いています。
限界の兆候
限界を、担当者の疲弊ではなく、記録で見つける兆候です。
| 箇所 | 兆候 |
|---|---|
| 返信の対応 | 返信から返答までの日数が伸びている。「話を聞きたい」への返答が翌営業日を超える候補者が出ている |
| 記録 | 送信ログの送信日と、実際の送信の日がずれている。返信の内容の区分が空欄。追客の予定が記録されていない |
| 通数 | 週の通数が二週続けて計画を下回る。または、一通の時間が明らかに短くなり、一段落目が定型になっている |
| 複数の役割と媒体 | 役割ごとの型が一つしか無い。媒体ごとの検索の条件が保存されていない。役割を足してから送信が止まった |
| 担当者 | 「今週は送れませんでした」が続く。返信の対応を「後で」と言う。記録を「まとめて」と言う |
| 候補者 | 「返信したが返事が無い」の問い合わせ。面談の日程が決まるまでが長い。辞退の理由に「他社が先に決まった」 |
兆候の要点は、「返信から返答までの日数」を最初に見ることです。これが伸びていれば、送信が続いていても、限界は来ています。指標の見方はスカウト運用で見るべき指標に書いています。
限界の手前で切り替える四つの手
兆候が出たとき、切り替える手は四つです。「人を増やす」の前に、三つあります。
| 手 | 内容 | 効く箇所 | 限界 |
|---|---|---|---|
| 型 | 文面の型、返答の型、面談後の連絡の型、検索の条件の保存。毎回考える時間を無くす | 通数、返信の対応 | 型を作る時間が要る。型があっても、返信の確認と記録の時間は減らない |
| 分担 | 返信の対応と日程の調整を別の人に。面談後の連絡を面談の担当者に。記録を送信した人が当日に | 返信の対応、記録 | 分担する相手の稼働が要る。分担の境目で情報が落ちる |
| 道具 | 予約リンク、送信ログの表、通知の設定、テンプレートの管理。手作業を減らす | 記録、返信の対応(日程) | 道具の設定と習熟に時間が要る。道具は判断をしない |
| 外注 | 送信、返信の一次対応、記録、検索、型の作成を代行に。社内は判断と面談 | 全部 | 費用が要る。社内に残す判断(要件、承認、面談)は残る。半分だけ内製にする設計 |
四つの要点は、「型と道具は早く、分担と外注は兆候で」です。型と道具は、限界が来る前に入れておくもので、入れておけば限界は遠のきます。分担と外注は、兆候が出た時点で判断します。全部を一度に変える必要はなく、崩れている箇所に効く手を選びます。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「人事の一人がスカウトを兼務で回し、月の送信数は計画どおりだったので順調だと思っていたら、返信への返答が平均で五日、面談に至った候補者の半数が『他社に決まった』と辞退していた」というものです。送信は数えられるので回って見え、返信の対応は数えていなかったので、崩れていることに誰も気づきませんでした。返信の対応と日程の調整を別の人に分担し、返答の型と予約リンクを入れたら、返答は翌営業日になり、辞退が減りました。限界は、送信ではなく返信の対応で来ていました。
見ていて差がつくのは、発注側が「送信数」以外を見ているかです。月次の報告で送信数と返信率だけを見る会社と、「返信から返答まで何日か」「記録は当日に書かれているか」を見る会社があります。後者は、限界の兆候を一か月早く見つけます。
発注側にできるのは、担当者に「今、返信の対応と記録は、当日にできていますか」と、送信数より先に聞くことです。
切り替えの判断
四つの手のどれに切り替えるかの、判断の目安です。
| 状態 | 手 |
|---|---|
| 一通の時間が長く、通数が出ない。返信の対応と記録は当日にできている | 型。文面の型と検索の保存で、一通の時間を減らす |
| 通数は出ているが、返信の対応が遅れている | 分担。返信の対応と日程の調整を別の人に。道具(予約リンク)も |
| 記録が抜けている | 道具と分担。送信ログの表を整え、送信した人が当日に書く決まりに |
| 役割か媒体を足したら、全体が止まった | 型と分担、または外注。役割ごとの型と検索の保存を作り、それでも回らなければ送信を外に |
| 担当者が兼務で、スカウトの稼働が週によって変わる | 外注(送信と一次対応)。社内は判断と面談だけに |
| 型も分担も道具も入れたが、通数と返信の対応の両方が限界 | 外注か、担当者の追加。稼働の上限に達している |
| 採用の予定が一時的に増えた | 期間を区切って外注。恒常的でないなら担当者を増やさない |
判断の要点は、「崩れている箇所に効く手を選ぶ」ことです。返信の対応が崩れているのに、文面の型を作っても効きません。通数が出ないのに、分担しても効きません。兆候の箇所と、手の効く箇所を対応させます。
人力で残すべき部分
外注や道具に切り替えても、人力(社内の人)で残すべき部分があります。ここを外に出すと、運用は回っても成果が出ません。
| 残す部分 | 理由 |
|---|---|
| 役割の要件の定義 | 何を求めるかは、社内でしか決められない。要件が無いと、型も対象も作れない |
| 対象の絞りの承認 | 「外せない一つ」と「経歴の特徴」は、社内の人の経歴と判断から出る |
| 面談 | 候補者が会うのは社内の人。代行が面談しても、候補者は会社を判断できない |
| 面談後の判断 | 進めるか、条件をどうするか |
| 責任者の名義での送信 | 上位の候補者への送信は、責任者の名義と、責任者自身の返答が効く |
| 型の承認 | 文面の型と返答の型は、社内が読んで承認する。会社の言葉として出るもの |
| 社内の変化の共有 | 役割の変化、体制の変化、制度の変化を、担当者に伝える |
残す部分の要点は、「判断と面談」です。作業(検索、送信、一次対応、記録)は外に出せますが、判断(要件、承認、面談後)と面談は残ります。ここが社内で回らないなら、外注しても成果は出ません。内製に戻す場合の手順は内製へ戻すときの手順に書いています。
外注する場合の範囲
人力運用の限界を、スカウト代行で補う場合の範囲です。
出せる工程。 稼働の測定(一通の時間、返信の対応の時間、記録の時間)、限界の兆候の確認(返答までの日数、記録の抜け)、型の作成(文面、返答、面談後の連絡、検索の保存)、道具の設定(予約リンク、送信ログの表、通知)、送信、返信の一次対応、日程の調整、記録、複数の役割と媒体の管理、崩れている箇所と効く手の提案、期間を区切った稼働の追加。
社内に残す判断。 役割の要件の定義、対象の絞りの承認、型の承認、面談と面談後の判断、責任者の名義での送信と返答、社内の変化の共有、切り替えの決定(分担する相手、外注の範囲、担当者の追加)。
外注の効きどころ。 人力の限界は、「返信の対応と記録から崩れ、送信が続いているので気づかない」工程で、社内では「頑張りで持たせて、超えてから止まる」になりやすいところです。担当者が稼働を測り、兆候を見て、崩れている箇所に効く手を提案し、作業を引き受ければ、社内は判断と面談に稼働を集められます。担当者は複数の会社で限界の出方を見ているので、「この稼働ならここで崩れる」「この役割の数なら型が先」を最初に言えます。ただし、判断と面談は社内に残り、ここが回らなければ外注しても成果は出ません。
外注しても動かない場合。 要件を定義しない、型を承認しない、面談の枠を空けない、面談後の判断が遅い、社内の変化を伝えない、「外注したから全部任せた」と判断まで手放す。社内の判断で、代行を替えても直りません。
人力の限界は、四つの箇所で順に出て、兆候で見つけ、限界の手前で型・分担・道具・外注に切り替えれば、担当者が疲弊する前に回り続けます。外注は、作業を引き受けて、社内を判断と面談に集める手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、人力の限界の相談で最も多いのは、「限界を超えてから来る」ことです。担当者が疲弊し、返信の対応が止まり、候補者から問い合わせが来て、記録が無い状態で、「立て直してほしい」と相談が来ます。立て直しは、記録が無い分、ゼロから始めるより時間がかかります。
兆候の時点で来てもらえれば、「返信の対応だけ分担する」「型だけ作る」で済むことが多い。限界は、超える前に、返信から返答までの日数で見えています。
発注側にできるのは、担当者が「まだ回っています」と言っているうちに、返信から返答までの日数を自分で見ることです。担当者は、言い出せません。
まとめ
- 見えないのは頑張りで持たせる・稼働を測らない・順番を知らない・兼務・回って見える・手を知らない・言い出せない構造
- 限界は返信の対応→記録→通数→複数の役割と媒体の順に出る。最初に崩れるのは返信の対応で、目立たない
- 兆候は返答までの日数が伸びる・記録の日付のずれと空欄・通数の未達か一段落目の定型化・役割を足して止まる・担当者の「後で」「まとめて」・候補者の問い合わせと辞退の理由
- 手は型(通数・返信の対応)・分担(返信の対応・記録)・道具(記録・日程)・外注(全部)。型と道具は早く、分担と外注は兆候で
- 判断は崩れている箇所に効く手を選ぶ。一通が長い→型、返答が遅い→分担と道具、記録が抜ける→道具と分担、役割を足して止まった→型と分担か外注、兼務→外注、全部限界→外注か追加、一時的→期間を区切って外注
- 残すのは要件の定義・絞りの承認・面談・面談後の判断・責任者の名義・型の承認・社内の変化の共有。判断と面談は外に出さない
- 外注できるのは稼働の測定・兆候の確認・型・道具・送信・一次対応・調整・記録・複数の管理・手の提案・期間の追加。社内に残るのは要件・絞り・型の承認・面談と判断・名義・変化の共有・切り替えの決定
よくある質問
担当者一人で、何通まで回せますか
役割の数、媒体の数、個別化の範囲、返信の対応と記録を含めるか、兼務か専任か、で大きく変わるので、一般の数字は当てはまりません。自社で測ります。一通にかかる時間(検索と選定を含む)、返信一件の対応の時間、記録の時間を一週間測り、担当者がスカウトに使える週の時間で割ります。出た数が、その担当者の上限です。上限の八割を超えたら、兆候が出る前に手を打ちます。体制の考え方は何名体制で回すかに書いています。
担当者を増やせば解決しますか
崩れている箇所によります。返信の対応と記録が崩れているなら、型と道具と分担で、増やさずに直ることが多い。通数が上限で、型も道具も入れてあるなら、増やすか外注です。増やす場合、二人になると、重複送信と記録の統一の問題が出るので、一つの表と照合の手順が先に要ります。増やす前に、型・道具・分担を入れたかを確認します。重複の防止は重複送信を防ぐ仕組みに書いています。
外注すると、社内にノウハウが残らないのではないですか
残す部分(要件の定義、絞りの承認、型の承認、面談と判断)を社内で持ち、作業の記録(送信ログ、検索の保存、型の一覧)を自社の管理下に置けば、ノウハウは残ります。残らないのは、判断まで手放し、記録を代行の手元に置いた場合です。外注の範囲を「作業」に限り、記録の所在を自社にすれば、内製に戻すこともできます。記録の所在は送信ログの残し方と検索条件の保存と使い回しに書いています。