人事副業 / ATS導入の支援

ATS導入の支援の副業案件|求められる経験と進め方

公開 2026-09-20

ATS(採用管理システム)導入の支援は、応募が増えて情報が散らばり始めた会社から出る副業案件です。応募がメールと表計算とチャットに散らばって状況が見えない、集計に時間がかかる、外部にスカウトや書類選考を渡したいが権限を切れない。その状態で「ATSを入れたい」と外に出されます。ただ、「製品を選んで設定する仕事」と思って受けると、設定は終わったのに誰も使わず、半年後に表計算に戻っている、という結果になります。結論を先に書くと、ATS導入の支援の副業案件は、「選定の材料だけ」「設定と移行」「手順書と面接官への展開と定着」「運用の引き継ぎ」の四つの型に分かれ、求められるのは、ATSで採用を回した経験、骨格(一覧・詳細・状態・記録・連絡・面接・共有・集計)で製品をまたいで考えられること、毎日使う画面を三つに絞って一枚の手順書にできること、面接官に一つの画面だけを使わせた経験の四つです。進め方は、何を集めたいかを会社が決める→選考の流れと権限と書き出しで比べる材料→段階の名前と項目と通知だけを設定→進行中の候補者を落とさず移す→三つの画面の手順書→面接官への一枚と同席→最初の一か月の定着→運用の引き継ぎ、の順で、製品の決定・契約・個人情報の方針・ユーザーの追加と削除は会社、製品を推さず、管理者権限を持ち続けず、料金と仕様を断定せず、個人情報を自分の端末に置かない線を先に引いておきます。ATSを扱う技能は採用管理システムの技能に、会社側の選び方はATSの選び方に、副業全体の始め方は人事の副業の始め方に書いています。ここでは、導入の支援の案件に絞ります。

ATS導入の支援の案件の四つの型

募集文は「ATS導入支援」「採用管理ツールの立ち上げ」「採用DX」と書かれていることが多いですが、任される範囲は四つに分かれます。受ける前に、どの型かを確かめます。

任される範囲依頼側が持つこと受ける側の稼働の性質
選定の材料だけ会社が集めたいものを聞き、選考の流れ・権限・媒体連携・連絡・集計・書き出しの観点で比べる表を作る製品の決定、契約、料金の確認短期。製品の営業との窓口を含むか決める
設定と移行段階の名前と項目と通知の設定、進行中の候補者とデータの移行、並行期間の管理設定の承認、個人情報の方針、移行の時期の決定移行の時期に集中する。落ち着いた時期を選ぶ
手順書と面接官への展開と定着毎日使う三つの画面の手順書、面接官への一枚、最初の数回の同席、併用の解消、最初の一か月の定着面接官への依頼、承認導入後の一か月が中心。日中の同席が要る
運用の引き継ぎ運用のルール(入力、状態の定義、更新の担当)を文書にし、社内の担当に引き継ぐ運用の担当の決定、ユーザーの管理期間が決まっている。終わったら権限を返す

止まりやすいのは、「設定と移行」で受けたのに、設定が終わっても誰も使わず、「使われるようにしてほしい」と定着まで持たされるときです。定着は設定とは別の工程で、面接官への展開と同席が要ります。受ける前に、どこまでを範囲にするかを決めます。

求められる経験を棚卸しする

依頼側が見ているのは、「その製品に詳しいか」ではなく、「導入したATSが半年後も使われている状態を作れるか」です。ATSに関わった経験を、四つに分けて棚卸しします。

経験依頼側にとっての意味棚卸しの書き方
ATSで採用を回した経験設定の画面ではなく、毎日の運用を知っている使った製品と、毎日どの画面で何をしていたか
骨格で製品をまたいで考えられる会社の製品が自分の経験と違っても、一覧・詳細・状態・記録・連絡・面接・共有・集計の骨格で対応できる製品が変わったときに、何が同じで何が違ったか
画面を絞って手順書にできる全部の機能を教えず、毎日使う三つの画面を一枚にできる作った手順書の形と、誰が使ったか
面接官に使わせた経験面接官が判定を書く一つの画面だけを渡し、書いてもらえた面接官への渡し方と、書いてもらえた工夫(同席、転記、項目を絞る)

いちばん差がつくのは四つ目です。ATSが使われなくなる最大の理由は、面接官が判定を書かず、人事が表計算に転記し始めることです。面接官に「一つの画面だけ」を渡して書いてもらった経験がある人は、定着の工程を設計できます。

エラベルの見解

担当する側から見ると、ATS導入の案件は、「会社が『何を一つの場所に集めたいか』を決めているか」で難易度が変わります。決めている会社では、製品の比較も設定も、その一点に沿って絞れます。決めていない会社では、「全部できる製品」を探し、全部の機能を設定し、誰も使わない状態になります。エラベルで担当者を選ぶ企業に、私たちがまず聞くのは「ATSに何を集めたいですか。応募者の状況ですか、面接官の判定ですか、集計ですか」です。答えが「全部」なら、一つに絞ってもらってから導入を始めます。受ける側がその場で使える判断としては、受ける前に「導入して、最初に無くしたい困りごとは何ですか」と聞くこと。「面接官の判定が集まらない」なら面接官への展開が中心、「状況が見えない」なら一覧と状態の設計が中心、と範囲の重心が決まります。

進め方の順番

やることここで決めておくこと
何を集めたいかを会社が決める(応募者の状況、面接官の判定、集計、外部への権限の切り出し、のうち最初の一つ)決める人。最初に無くしたい困りごと
比べる材料(選考の流れを変えられるか、権限を閲覧と編集と項目で分けられるか、媒体連携、連絡のテンプレート、集計、書き出し)製品の決定と契約は会社。料金は会社が公式で確認
設定(段階の名前と項目と通知だけ。既定のまま使わない。分析と自動化は後)設定の承認者。個人情報の方針
移行(進行中の候補者を落とさない。データの範囲。並行期間の長さ。落ち着いた時期に)移行の時期。並行期間の終わりの日
三つの画面の手順書(応募者の一覧・候補者の詳細・連絡の送信。一枚に)手順書を使う人
面接官への一枚と同席(判定を書く一つの画面だけ。リンクと書く内容を一枚に。最初の数回は同席)面接官への依頼は会社から
最初の一か月の定着(併用の解消、書かない面接官への対応、集計の初回)併用をやめる日
運用の引き継ぎ(入力のルール、状態の定義、更新の担当、ユーザーの管理。権限を返す)運用の担当。自分の権限の削除

止まりやすいのは、一を飛ばして製品の比較から入るときです。集めたいものが決まっていないと、比べる観点が「機能の多さ」になり、使われない製品を選びます。使いこなせない構造はATSを使いこなせない会社に書いています。

外部の立場で踏み込まない線

ATSの導入は、契約と個人情報と権限に触れる仕事です。線を先に引いておきます。

線の詳細は候補者の個人情報の扱いアカウントの管理本業と利益相反になる案件に書いています。

エラベルの見解

相談で最も多い思い込みは、依頼側の「良い製品を入れれば採用が整う」と、受ける側の「製品に詳しいほど頼まれる」の両方です。実際には、ATSが半年後も使われているかは、製品ではなく「面接官が判定を書くか」「表計算との併用をやめられたか」の二つで決まります。同じ料金で同じ製品を任されても、結果が分かれるのは、担当者が定着の工程を設計するかどうかです。設定を終えて手順書を渡した担当者は、納品の場では感謝され、三か月後、面接官は判定を書かず、人事は表計算に転記し、ATSは応募者の一覧だけに使われています。面接官に一つの画面だけを渡し、最初の三回同席し、書かなかった判定を転記して見せ、表計算を止める日を決めた担当者は、三か月後もATSが使われています。受ける側がその場で使える判断としては、範囲を決めるとき、「設定が終わった日」ではなく「表計算を止めた日」を終わりにすること。止めた日まで見る提案は、依頼側に「この人は使われる状態まで見てくれる」と伝わります。

向く人と向かない人

向く向かない
製品の機能より、毎日の運用(誰がいつどの画面を見るか)で考える機能の多さで製品を評価する
三つの画面に絞って、残りを「後で」と言える全部の機能を設定して教えたい
面接官が書かないとき、責めずに転記と同席で埋められる「使ってください」で終わる
管理者権限を返すことに抵抗が無い権限を持ち続けたほうが便利だと思う
特定の製品を推さず、比べる材料に留められる好きな製品を勧めたい

「好きな製品を勧めたい」人は、製品の販売側との関係を疑われ、依頼側との信頼が作れません。比べる材料に留めます。

まとめ

よくある質問

使ったことの無い製品の導入を頼まれました。受けられますか

骨格(一覧・詳細・状態・記録・連絡・面接・共有・集計)で考えられれば、受けられます。製品が違っても、毎日使う三つの画面と、面接官が判定を書く一つの画面は、どの製品にもあります。受けるなら、会社の製品の試用や説明の場に出て、骨格のどこが何の画面に当たるかを最初に確かめます。分からない設定は、製品の提供側の窓口に確認し、自分の推測で設定しません。製品の操作より、運用の設計と定着で選ばれる仕事です。技能の考え方は採用管理システムの技能に書いています。

製品の販売側から「紹介料を出す」と言われました

依頼側との利益相反になるので、基本は受けません。受けるなら、依頼側に金額と条件を開示し、同意を得て、比べる材料が偏っていないことを依頼側が確かめられる形にします。開示せずに受け取ると、比べる材料の信頼が無くなり、依頼側との関係が壊れます。比べる表は、選考の流れ・権限・媒体連携・連絡・集計・書き出しの観点で、確認した日付を入れて作り、料金は依頼側が公式で確認する形にします。

導入が終わったあとも、運用の相談が続きます

範囲を分けて提案します。導入の支援(設定、移行、手順書、定着)と、運用の代行(毎日の更新、面接官への催促、集計と報告)は別の仕事です。運用が続くなら、ATSの運用代行の形で、範囲と稼働を決め直します。導入の範囲のまま運用の相談を受け続けると、稼働が読めず、権限を返す時期も来ません。導入の終わりに、運用を社内で回すか、別の範囲として続けるかを、会社に決めてもらいます。