人事副業 / 案件獲得
得意領域の決め方|人事の副業で、「好き」や「長くやった」ではなく、数・変化・需要の三つで一つに絞る手順
人事の副業を始めるとき、「何を得意領域にするか」で止まる人は多い。採用も労務も制度も担当してきて、どれも一通りできるが、どれが得意かと聞かれると答えにくい。好きな業務を選ぶと需要が無く、長く担当した業務を選ぶと副業で切り出しにくい。結論を先に書くと、得意領域は「好き」や「長くやった」ではなく、「数をこなしたか」「型を変えて何かが変わったか」「依頼側に需要があるか」の三つで決めると、副業で受けられる一つに絞れます。三つがそろう業務が、依頼側から見た得意領域です。範囲の決め方は案件の範囲の決め方に、専門を絞るか広く受けるかの判断は専門特化と何でも屋のどちらがよいかにまとめています。
「得意」の意味が、本業と副業で違う
本業での得意と、副業での得意は、決め方が違います。ここを混同すると、選んだ領域が副業で機能しません。
| 観点 | 本業での得意 | 副業での得意 |
|---|---|---|
| 誰が決めるか | 自分と上司の評価 | 依頼側が「頼める」と判断するか |
| 何で測るか | 担当の広さ、社内での評価、年数 | 数、型の変化、依頼側の需要 |
| 好きかどうか | 続ける動機として重要 | 需要が無ければ案件にならない |
| 長くやったか | 経験の証明になる | 切り出せない業務(制度設計、組織全体の判断)だと副業にならない |
| 一つか複数か | 複数を担当するのが普通 | 一つに絞らないと、依頼側が判断できない |
違いの要点は、「副業での得意は、依頼側の側から決まる」ことです。自分がどう思っているかより、依頼側が「この人にこれを頼める」と判断できるかで決まります。判断できる材料は、数と型の変化です。
経験の棚卸しを数と変化で行う
得意領域を決める最初の作業は、経験の棚卸しです。担当の羅列ではなく、業務ごとに数と変化を書き出します。
| 業務 | 数(どのくらいこなしたか) | 型の変化(何を変えたか) | 変わったこと | 副業で切り出せるか |
|---|---|---|---|---|
| スカウトの運用 | 年間で数千通 | 冒頭を候補者ごとに変える型に | 返信率が上がった | 切り出せる。型がある |
| 求人票の作成 | 数十本 | 職種と一言の要約を冒頭に | 応募の質が変わった | 切り出せる。成果物が明確 |
| 書類選考 | 年間で数百件 | 基準を三段階に | 面接の通過率が上がった | 一次の絞り込みは切り出せる。合否は依頼側 |
| 面接の設計と実施 | 数百回 | 質問を構造化 | 評価のばらつきが減った | 設計は切り出せる。実施は依頼側 |
| 労務の手続き | 月次で継続 | — | — | 型はあるが、社内情報の扱いが重い |
| 制度設計 | 数回 | — | — | 切り出しにくい。組織全体の判断 |
| 採用計画・要件定義 | 年に数回 | — | — | 判断を含む。依頼側の領域 |
棚卸しの要点は、「数と変化が書ける業務が、いくつあるか」です。担当したことはあるが、数も変化も書けない業務は、副業の得意領域にはなりません。数と変化が書ける業務が三つ以上あれば、次の段階で絞ります。一つしか無ければ、それが得意領域です。実績の書き方は実績の示し方を参照してください。
エラベルの見解
登録の相談で多いのは、「好きなのは制度設計なので、それを副業にしたい」という声です。制度設計は、組織全体の判断を含み、社内の事情に深く関わるので、副業として外から受けるのは難しい業務です。依頼側も、制度設計を副業の人に頼むことは少ない。好きな業務と、依頼側が頼める業務は、別のものとして見る必要があります。
見ていて差がつくのは、「棚卸しを数と変化で書いたか」です。書いてみると、好きな業務には数も変化も無く、当たり前にやっていた業務に数と変化があることに気づく人が多い。スカウトの運用、求人票、一次対応、記録。こうした業務は、本業では評価されにくいが、依頼側の需要が最も多い。エラベルの登録でも、条件が合う案件の連絡が早いのは、こうした業務を得意領域にしている人です。
三つの観点で一つに絞る手順
棚卸しで候補が複数残ったら、三つの観点で一つに絞ります。番号付きで整理します。
- 数で絞る。 候補のうち、数が一番多い業務を上位に。数が多いほど、型が身についていて、依頼側の規模と照らしやすい。
- 変化で絞る。 型を変えて何かが変わった経験がある業務を上位に。変化があると、型を作れる人だと伝わる。
- 需要で絞る。 依頼側が副業の人に頼みやすい業務(型がある、成果物が明確、期間が区切れる、判断を含まない)を上位に。人事が一人か、いない会社が何に困っているかを想像する。
- 切り出しやすさで絞る。 社内情報の扱いが重い業務、組織全体の判断を含む業務は下位に。
- 本業との線で絞る。 本業の規定、競業、情報の切り分けで、受けられない業務を外す。判断がつかない点は専門家に。本業と利益相反になる案件を参照。
- 残ったものから一つを選ぶ。 三つの観点で上位に来る業務が、副業での得意領域。
- 含むことと含まないことを書く。 選んだ業務の範囲を、一行ずつ。
- 時間と単価を、その業務に合わせて決める。 稼働時間の決め方、最初の一件の価格の決め方を参照。
手順の要点は、「一と二で自分の側から、三で依頼側の側から見る」ことです。自分の側だけで決めると需要とずれ、依頼側の側だけで決めると経験が薄い業務を選ぶことになります。両方で上位に来る業務を選びます。
決めきれないときの見方
三つの観点で見ても、決めきれないことがあります。よくある状態と、見方を整理します。
| 状態 | 起きていること | 見方 |
|---|---|---|
| 数が多い業務が二つある | どちらも型が身についている | 需要で決める。依頼側が頼みやすいほう |
| 数は多いが変化が無い | 型に沿ってやってきたが、型を変えていない | 型に沿う業務として受ける。変化は副業の中で作る |
| 変化はあるが数が少ない | 一度の改善が印象に残っている | 数が多い業務を先に。変化のある業務は二つ目に |
| 需要のある業務に経験が薄い | 依頼側が求める業務を、本業であまりやっていない | 経験のある業務で一件目。需要のある業務は本業で数を積む |
| 好きな業務が候補に残らない | 好きと得意が別 | 好きな業務は続ける動機として持ち、得意領域は別に決める |
| 全部に数も変化も無い | 棚卸しの粒度が粗い | 業務をさらに細かく分ける。「採用」ではなく「スカウトの文面」「日程調整」「記録」に |
見方の要点は、「一つに決めるのは、一件目のため」ということです。一件目が終われば、二つ目を足せます。最初から正解を選ぶ必要はなく、一件目を受けられる一つを選べば足ります。
決めたあとの動かし方
得意領域を一つ決めたら、それを軸に、登録・発信・面談を組み立てます。決めたあとに変えるタイミングも整理します。
| 場面 | 得意領域の使い方 |
|---|---|
| 登録先のプロフィール | 肩書に一つの業務。範囲に含むことと含まないこと。プロフィールの書き方 |
| 職務経歴書 | 得意領域に関わる経験を前に出し、数と変化で。副業用の職務経歴書 |
| 発信 | 得意領域の型を、角度を変えて出す。SNS発信から案件につなげる |
| 面談 | 得意領域の範囲で受けられるかを確認する。範囲外は含まないと伝える |
| 一件目の受け方 | 得意領域の中でも、型のある狭い範囲から。経験が浅くても受けられる案件 |
| 二つ目を足すとき | 一件目が終わり、稼働に余裕があるとき。棚卸しの二番目を足す |
| 変えるとき | 一件目で需要とずれていたと分かったとき。棚卸しに戻り、需要の観点を重くして選び直す |
動かし方の要点は、「得意領域は固定ではなく、一件目の結果で見直す」ことです。決めた領域で一件目を受け、依頼側の反応を見て、合っていれば深め、ずれていれば選び直す。棚卸しの表を残しておけば、選び直しは短時間で済みます。
エラベルの見解
担当する側として登録した人の話を聞くと、得意領域を決めるのに時間がかかる人は、「本業で評価された業務」を得意だと思っています。本業で評価される業務は、組織全体に関わる判断や、社内の事情を踏まえた調整であることが多く、副業で外から受けるのは難しい。副業で需要があるのは、本業では当たり前で評価されにくい、型のある業務です。この逆転に気づくと、決めるのが早くなります。
エラベルは、範囲と時間を書いた登録に、条件が合う案件のときだけご連絡する窓口です。登録の時点で得意領域が一つに絞れていれば、依頼側の困りごとと照らしやすく、連絡が早くなります。絞れていなければ、ご連絡の前に、どの業務で受けるかの確認が要ります。棚卸しの表を作って、数と変化が書ける業務から一つ選ぶ、という作業を、登録の前にしていただくことをお勧めしています。
まとめ
- 得意領域は「好き」「長くやった」ではなく、数・型の変化・依頼側の需要の三つで決める
- 本業での得意は自分と上司が決め、副業での得意は依頼側が「頼める」と判断できるかで決まる
- 棚卸しは業務ごとに数・型の変化・変わったこと・切り出せるかを書く。数と変化が書ける業務だけが候補
- 絞る手順は数→変化→需要→切り出しやすさ→本業との線→一つ→含む・含まない→時間と単価
- 決めきれないときは需要で決める。一つに決めるのは一件目のため。二つ目はあとから足せる
- 決めたあとは登録・職務経歴書・発信・面談を一つの軸で組み立て、一件目の結果で見直す
よくある質問
好きな業務を得意領域にしないと、続かない気がします
続ける動機と、案件が来る領域は、分けて考えます。得意領域は依頼側の需要で決め、好きな業務は本業で続けるか、副業の二つ目として、一件目のあとに足す形にします。副業で最初に受ける業務が好きでなくても、型があって短期間で終わるものなら、負担は大きくありません。一件目を受けて、依頼側との関係ができてから、好きな業務に近い案件を相談する道もあります。
経験の全部に数と変化が書けません。得意領域が無いということですか
棚卸しの粒度が粗いことが多いです。「採用」で一つの行にすると数も変化も書けませんが、「スカウトの文面」「日程調整」「面接の記録」「応募者への連絡」に分けると、どれかには数があります。変化が無くても、「型に沿って運用してきた」ことは、型のある業務を受ける材料になります。細かく分けて、数が書ける業務を一つ選び、そこから始めてください。何から手を付けるかに、最初の一歩の考え方があります。
得意領域を一つに絞ると、案件の幅が狭くなりませんか
狭くなりますが、それが目的です。広く受けられると書くと、依頼側はどれを頼めばよいか分からず、運営はどの案件に当てればよいか分かりません。一つに絞ると、その業務で困っている依頼側に届き、案件になります。一件目が終わったら二つ目を足せるので、幅は段階的に広がります。最初から広くするより、狭く始めて広げるほうが、結果的に受けられる案件は増えます。