人事副業 / 案件獲得

企業から直接受けるには|仲介を通さない副業案件の入口・契約・請求で自分が担うことの整理

公開 2026-09-15

人事の副業を続けていると、仲介を通さずに企業から直接声がかかることがあります。元同僚が転職した先、前職で接点のあった会社、勉強会で知り合った経営者。仲介を通さないので手数料が引かれず、条件も相手と直接決められます。一方で、仲介が担っていた契約書面・請求・未払いへの対応・範囲の線引きが、すべて自分の仕事になります。結論を先に書くと、直接受けることは「取り分が増える」より「仲介の仕事を自分が引き受ける」と捉えるのが正確で、契約・範囲・請求の三つを自分で回せる状態になってから受けるのが、続けられる形です。回せる状態になる前に受けると、条件の曖昧さがそのまま自分の負担になります。案件の探し方全体は副業案件の探し方に、本業との関係で受けられない案件は本業と利益相反になる案件にまとめています。

直接の案件はどこから生まれるか

直接の案件は、自分から営業して取るというより、接点のある人から「困っている」と聞こえてくる形で生まれることが多いです。入口を知っておくと、声がかかったときに準備ができます。

入口起き方向く範囲
元同僚・前職の上司転職先で採用を任され、手が回らずに声をかけてくる相手が自分の仕事ぶりを知っているので、範囲の説明が短くて済む
過去に受けた案件の依頼側契約が終わったあと、別の業務や再開の相談が来る前回の型が残っているので、立ち上がりが早い
知人の紹介「人事で困っている会社がある」と紹介される。知人紹介で受けるときの注意紹介者の関係が絡むので、条件を書面で決める
勉強会・コミュニティ経営者や人事と知り合い、後日相談が来る相手が自分の経験を断片的にしか知らないので、範囲を丁寧に
本業の接点(規定の範囲で)取引先や媒体の担当者から声がかかる本業の規定と利益相反の確認が先。判断は専門家に
発信書いたものや登壇を見た会社から連絡が来る発信の内容と受ける範囲を合わせておく

入口の要点は、「相手が自分の何を知っているか」で準備が変わることです。元同僚は仕事ぶりを知っているので範囲の説明は短くて済みますが、逆に「あの頃のように何でも」と広い範囲を期待されやすい。勉強会で知り合った相手は経験を断片的にしか知らないので、範囲を一から説明することになります。どちらの場合も、受ける範囲を自分の言葉で書いておくことが出発点です。

受ける前に確認する五つのこと

直接の案件は、仲介の審査や定型の契約が無いぶん、自分で確認する項目が増えます。声がかかった時点で、次の五つを見ます。

確認すること見るポイント曖昧なとき
本業の規定副業の可否、届け出、競業の禁止、情報の線受ける前に確認する。解釈は専門家に
相手の状況人事の担当がいるか、経営が採用に関わっているか、判断する人が誰か相談相手がいない案件は、判断まで求められやすい
範囲一つの業務で、含むことと含まないことが言えるか面談で線を引く。案件の範囲の決め方
業務の性質採用活動の補助にとどまるか、候補者と企業の間に立つ形になっていないか職業紹介にあたるかは一般に線引きが難しいとされる。判断は専門家に
支払いの仕組み誰が、いつ、どの形で払うか。締め日と支払日決まっていない相手とは、決めてから受ける

確認の要点は、「業務の性質」を見落とさないことです。人事の副業は採用活動の補助として受けることが多いですが、候補者を探して企業に引き合わせる形に近づくと、職業安定法の職業紹介に該当する可能性が出てきます。仲介を通す場合は仲介側が線を引いていることが多いのに対し、直接の場合は自分で線を見ることになります。範囲が候補者との接点に及ぶときは、専門家に確認してから受けてください。

エラベルの見解

相談で多いのは、「元同僚から直接頼まれ、口約束で始めたが、範囲が広がり続けて断れない」という状態です。直接の案件は相手との関係があるぶん、「これもお願いできる?」に断りにくく、範囲の線が最初に無いと、際限なく広がります。仲介を通す案件では仲介が範囲の書面を用意しますが、直接の案件では、その書面を自分で用意しないと誰も用意しません。

見ていて差がつくのは、「関係が近い相手ほど、書面を先に出せるか」です。書面は相手を疑う道具ではなく、お互いが後で困らないための道具だと最初に伝えれば、元同僚でも受け入れられます。「含むこと・含まないこと・時間・期間・締め日と支払日」の五行を、A4一枚で出す。それができる人は、直接の案件でも範囲が守られます。できない人は、仲介を通したほうが結果的に負担が軽くなります。

契約から請求までの手順

確認が済んで受けると決めたら、仲介が担っていた工程を自分で回します。番号付きで整理します。

  1. 範囲と条件を書面にする。 含むこと、含まないこと、週の時間、期間、報酬の形(月額か時給か)、締め日と支払日、秘密保持の扱いを一枚に書きます。相手が用意する契約書があればそれを読み、無ければ自分の書面を土台にします。契約の条項で迷う点は専門家に確認してください。契約期間の決め方に、期間の区切り方があります。
  2. 見積もりを出す。 時間×時給の土台と、月額の内訳を示します。直接の案件は相手が相場を知らないことが多いので、根拠を添えると話が早くなります。見積もりの出し方を参照してください。
  3. 開始前に、情報の受け渡し方を決める。 候補者情報や社内情報をどのツールで、誰が、どこまで渡すか。個人情報の扱いは相手の規程に従い、自分の端末に残さない形を基本にします。
  4. 稼働の記録を残す。 日付、時間、やったことを、相手にも見える形で残します。直接の案件は仲介の稼働管理が無いので、自分の記録が唯一の根拠になります。稼働管理の方法が参考になります。
  5. 締め日に請求書を出す。 書面で決めた締め日に、稼働の記録を添えて出します。請求書の書き方に型があります。
  6. 支払日に入金を確認する。 遅れたら、翌営業日に確認の連絡を入れます。放置すると、遅れが常態になります。未払いのときの対応に手順があります。
  7. 期間の終わりに、続けるかを話す。 区切りごとに範囲と条件を見直し、続けるなら書面を更新します。契約更新のタイミングを参照してください。

手順の要点は、「一と四を省かない」ことです。書面と稼働の記録があれば、範囲が広がったときも、支払いが遅れたときも、話し合いの土台があります。無いと、関係の近さに頼るしかなく、関係が悪くなるか、自分が我慢するかのどちらかになります。

直接ならではの失敗

仲介を通す案件と比べて、直接の案件で起きやすい失敗です。仲介が担っていた工程が抜けたところで起きます。

失敗起きる構造防ぎ方
口約束で始める関係が近く、書面を出すのが気まずい書面はお互いのためだと伝え、五行のA4一枚から始める
範囲が広がる「これも」に断りにくい。線が無い含まないことを書面に書く。スコープクリープへの対応
判断まで求められる相談相手がいない会社で、合否や条件の判断を頼まれる判断は依頼側と最初に線を引く。線を越える相談は記録に残す
支払いが遅れる締め日と支払日が決まっていない。相手に支払いの担当がいない開始前に決める。遅れたら翌営業日に確認
単価が下がる関係の近さから、相場より低く受ける一件目は控えめでも、根拠は示す。安請け合いの防ぎ方
情報が自分の端末に残る受け渡しの方法を決めずに始める開始前にツールと保管の場所を決める
職業紹介に近づく範囲が「候補者を連れてくる」に広がる採用活動の補助にとどめる。線が不安なら専門家に
本業との衝突規定を確認せずに受ける受ける前に規定と利益相反を確認

失敗の要点は、「関係の近さが、線を引く邪魔をする」構造です。直接の案件は、相手が知人であることが多く、その近さが最初の書面を省かせます。近い相手ほど、後で揉めたときに失うものが大きい。だからこそ、最初に書面を出すことが、関係を守ることになります。

仲介と直接の使い分け

直接と仲介は、どちらかを選ぶものではなく、案件の性質で使い分けるものです。判断の観点を並べます。

観点直接が向く仲介が向く
相手との関係仕事ぶりを知っている相手で、書面も出せる初対面で、範囲の説明から始まる
範囲一つの業務で、線が引ける範囲が広く、線引きに第三者が要る
契約と請求自分で回せる。記録を残す習慣がある定型の契約と稼働管理に任せたい
支払いの安定相手に支払いの担当がいる相手の支払い能力が読めない
業務の性質採用活動の補助にとどまる候補者との接点に及び、線引きを仲介側に持ってほしい
自分の時間契約と請求に使う時間がある稼働の時間だけに集中したい

使い分けの要点は、「自分の時間をどこに使うか」です。直接の案件は手数料が無い代わりに、契約と請求に時間を使います。仲介の案件は手数料がある代わりに、稼働に集中できます。どちらが得かは、自分の時間の単価と、契約と請求にかかる時間で決まります。一件目は仲介で型を学び、二件目以降で直接を足す順番が、無理のない形です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、直接の案件と仲介の案件の一番の違いは、「揉めたときに誰が間に入るか」です。直接の案件は、範囲の広がりも支払いの遅れも、自分と相手の二人で解決することになります。関係が近いほど、言い出すのが遅れ、我慢が続きます。仲介の案件は、間に入る人がいるので、言い出しやすい。この差は、案件が順調なときには見えず、崩れたときに初めて見えます。

エラベルは、企業と担当者の間に立つ窓口なので、範囲の書面・稼働の記録・支払いの仕組みを、最初から整えた形で案件を出しています。直接の案件で契約と請求を自分で回せる方は、エラベルを使わなくても続けられます。回すのが負担だと感じる方には、条件の整った案件を受けながら、直接の案件は関係の深い相手に絞る形をお勧めしています。両方を持つと、どちらかが途切れても稼働が止まりません。

まとめ

よくある質問

元同僚に書面を出すのは気まずいです。口約束で始めてもよいですか

口約束で始めた案件は、範囲が広がったときと支払いが遅れたときに、話し合いの土台がありません。近い相手ほど、揉めたときに失うものが大きくなります。書面は相手を疑う道具ではなく、お互いが後で困らないための道具だと伝えれば、元同僚でも受け入れられることが多いです。「含むこと・含まないこと・時間・期間・締め日と支払日」の五行をA4一枚で出すところから始めてください。相手が用意する契約書がある場合は、その内容を読んで、範囲の行が無ければ足してもらいます。

直接受けるとき、個人で契約書を用意する必要がありますか

相手が業務委託の契約書を持っていることも、持っていないこともあります。持っていれば、それを読んで範囲・期間・報酬・締め日と支払日・秘密保持の行を確認します。無ければ、自分の書面(範囲と条件の一枚)を土台に、相手と合意した内容を書面に残します。契約書の形式や条項の妥当性、印紙や税務の扱いは、案件の規模や内容で変わるので、迷う点は専門家に確認してください。書面が無いまま始めることだけは避けてください。

直接受ける案件で、候補者を探して紹介してほしいと言われました

採用活動の補助(スカウトの文面作成、求人票の作成、応募者の一次対応など)にとどまる範囲と、候補者を探して企業に引き合わせる範囲では、法的な整理が変わる可能性があります。後者は職業安定法の職業紹介に該当するかどうかの線引きが絡み、一般に個人が許可なく行うことには制約があるとされています。仲介を通す案件では仲介側が線を引いていることが多いですが、直接の案件では自分で線を見ることになります。範囲が候補者との接点に及ぶときは、受ける前に専門家に確認してください。