人事副業 / 案件獲得
人事コミュニティの活かし方|人事の副業で、同業のつながりを「案件が回ってくる関係」に育てる順番
人事の仕事をしていると、同業の集まりに誘われることがあります。人事担当者だけの勉強会、採用担当の情報交換の場、オンラインのグループ。副業を始めたい人にとって、ここは案件の入口に見えます。ただ、「副業の案件を探しています」と言って回ると、たいてい何も起きません。集まっているのは同じ人事担当者で、その人たち自身が案件を出す側ではないからです。結論を先に書くと、人事のコミュニティは、案件が直接出てくる場ではなく、困っている会社を知っている同業者とのつながりを作る場で、型を持ち寄り、困りごとに答え、何の人かを覚えてもらう順番で関係を育てると、あとから案件が回ってきます。探しに行く姿勢は、関係を作る前に相手を遠ざけます。案件の経路の全体像は副業案件の探し方に、回ってきた案件が紹介の形になったときは知人紹介で受けるときの注意にまとめています。
コミュニティの種類と、それぞれで起きること
人事のコミュニティと呼ばれるものは、性質がいくつかに分かれます。どこに参加するかで、起きることが違います。
| 種類 | 集まる人 | 起きること | 副業との関係 |
|---|---|---|---|
| 人事担当者の勉強会 | 各社の人事担当。企業規模はまちまち | 型や事例の共有。悩みの相談 | 案件は出ないが、困っている会社を知っている人が集まる |
| 採用担当の情報交換 | 採用に特化した担当者 | 媒体や手法の情報。採用市場の話 | 一つの業務の型を持ち寄ると、覚えられる |
| 経営者と人事の混在した場 | 経営者、人事、時に外部の支援者 | 経営者の採用の悩みが直接聞ける | 案件に近い。ただし営業の場ではない |
| オンラインのグループ | 広く人事に関心のある人 | 質問と回答。情報の流通 | 回答を続けると、何の人かが伝わる |
| 特定テーマの集まり | スカウト、新卒、労務など、テーマで集まる | 深い型の共有 | 受けたい業務と同じテーマなら、最も相性がよい |
| 副業者・フリーランスの集まり | すでに副業や独立をしている人事 | 案件の話、契約や単価の話 | 案件の回し合いが起きることがある |
種類の要点は、「受けたい業務と同じテーマの場が、最も相性がよい」ことです。人事全般の場で「何でもできます」と言うより、スカウトの場で「文面の型はこうしている」と言うほうが、覚えられます。参加する場を選ぶ基準は、人の多さではなく、受けたい業務との近さです。
案件が回ってくる構造
コミュニティから案件が来るのは、次の流れが成り立ったときです。案件を探しに行っても、この流れは作れません。
| 段階 | 起きること | 探しに行く姿勢だと |
|---|---|---|
| 顔を覚えられる | 何度か参加し、名前と顔が一致する | 一度だけ来て「案件ありませんか」と言う人は、覚えられない |
| 何の人か覚えられる | 一つの業務の型を、繰り返し出す | 「何でもできます」は、何の人か分からない |
| 役に立つ | 誰かの困りごとに、型で答える | 答える前に、自分の売り込みをする |
| 信頼される | 出さない線を守り、聞いた話を外に出さない | 場で聞いた話を、自分の発信に使う |
| 思い出される | 別の場で「〇〇で困っている会社がある」と聞いた人が、あなたを思い出す | 営業だと思われている人は、思い出されても紹介されない |
| 回ってくる | 「あの人に聞いてみたら」と、つながれる | — |
構造の要点は、「案件を出す人は、その場にいない」ことです。場にいるのは同業者で、その人たちが別の場で困っている会社と出会ったときに、あなたを思い出すかどうかで決まります。思い出されるには、何の人か覚えられていて、営業ではなく役に立つ人だと思われていることが要ります。
エラベルの見解
相談で多いのは、「コミュニティに何度も参加しているが、案件につながらない」という声です。話を聞くと、参加のたびに「副業を探している」と伝えていて、周りからは案件を探しに来ている人と見られています。同業者は、探しに来ている人に、自分の知っている会社を紹介しにくい。紹介した先で営業されると、自分の信用に関わるからです。探している姿勢が、回ってくる経路を閉じています。
見ていて差がつくのは、「困りごとに、型で答えているか」です。誰かが「スカウトの返信率が低い」と言ったときに、「文面を四つに分けて、冒頭だけ変えると変わることが多い。件名は職種と一言だけにする」と、型で答える。それを何度か続けると、「スカウトならあの人」と覚えられ、別の場で困っている会社の話を聞いた人が思い出します。エラベルの登録でも、範囲が一つに絞れている人ほど声がかかりますが、コミュニティでも同じで、一つの業務の型で答え続けている人に、案件は回ってきます。
参加の手順
案件が回ってくる関係を育てる手順を、番号付きで整理します。時間はかかりますが、順番を守れば、遠回りはしません。
- 受けたい業務を一つ決め、同じテーマの場を選ぶ。 人事全般の場より、受けたい業務に近い場。案件の範囲の決め方で決めた範囲と合わせます。
- 本業の規定と、出さない線を確認する。 副業の可否、社名の扱い。場で話してよい範囲(型は話せるが、本業の採用計画や候補者の話は出さない)。判断がつかない点は専門家に。
- 最初の数回は、聞く側に回る。 誰が何に困っているか、どんな型が共有されているかを見る。自分のことは、聞かれたら一つの業務を一言で。
- 困りごとに、型で答える。 自分が実際に使っている型を、自分の言葉で。売り込みはしない。答えたあとに「副業で受けています」とは言わない。
- 何度か続けて、何の人か覚えられる。 同じ業務の型を、場面を変えて出す。「スカウトならあの人」の状態を作る。
- 聞いた話を外に出さない。 場で聞いた各社の状況を、発信や別の場で使わない。信頼は、これで決まる。
- 副業で受けていることは、聞かれたときと、関係ができてから伝える。 「実は副業でも受けていて、範囲はここまで」と、一言で。
- 回ってきた案件は、紹介の案件として受ける。 紹介者の顔を立てながら、依頼側と書面で条件を決める。知人紹介で受けるときの注意を参照。
手順の要点は、「七が最後に来る」ことです。副業で受けていることを最初に伝えると、探しに来た人だと見られます。役に立つ人だと思われてから伝えれば、「そうなら、あの会社を紹介したい」につながります。
営業に見える失敗
コミュニティで起きる失敗の多くは、「営業に見える」ことに集約されます。本人に営業のつもりがなくても、そう見える行動があります。
| 失敗 | なぜ営業に見えるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 最初から「副業を探している」と言う | 場を案件の入口として使っていると伝わる | 聞かれるまで言わない。役に立ってから |
| 自己紹介で経歴を長く話す | 売り込みに聞こえる | 一つの業務を一言で |
| 困りごとに答えたあと、自分の案内をする | 答えが営業の前置きに見える | 答えて終わる |
| 名刺やリンクを配って回る | 集客に見える | 聞かれたら渡す |
| 場で聞いた話を発信に使う | 情報を取りに来ている人に見える | 場の話は場の中に |
| 経営者の参加者だけに近づく | 案件目当てだと分かる | 誰に対しても同じ態度で |
| 一度だけ参加して終わる | 覚えられない。探しに来た人の印象だけ残る | 同じ場に何度か通う |
| 人事全般を語る | 何の人か分からず、思い出されない | 一つの業務の型で答え続ける |
| 他社の人事のやり方を批判する | 場の信頼を失う | 自分の型だけを出す |
失敗の要点は、「探しに来た姿勢は、隠しても伝わる」ことです。案件を目的に参加すると、行動のどこかに出て、周りは気づきます。案件のことをいったん脇に置き、役に立つことだけを続けるほうが、結果的に案件が回ってきます。
回ってきた案件の受け方
コミュニティから回ってくる案件は、同業者の紹介の形を取ります。紹介者の信用が乗っているので、受け方に注意が要ります。
| 注意 | 内容 |
|---|---|
| 紹介者の顔を立てる | 感謝を伝え、始まったことだけ報告する。依頼側の内情は紹介者に流さない |
| 範囲は自分の言葉で | 紹介者が「何でもできる」と伝えていることがある。最初の面談で、含むことと含まないことを言う |
| 書面で条件を決める | 紹介だからこそ書面。範囲・時間・期間・報酬・締め日と支払日・秘密保持 |
| 四つの条件で見る | 型があるか、成果物が明確か、期間が区切れるか、判断を含まないか。面談で聞かれること |
| 断るときは範囲か時間の違いで | 相手の良し悪しにしない。紹介者の顔が潰れない |
| 本業との関係を確認 | 依頼側が本業の取引先や競合でないか。本業と利益相反になる案件 |
| 場との関係を保つ | 案件が始まっても、場では同じ態度で。案件の話を場に持ち込まない |
受け方の要点は、「案件が始まったあとも、場との関係は変えない」ことです。案件が来たら場に来なくなる、案件の話を場でする、といった変化は、周りに見えます。場は案件の入口ではなく、つながりの場として続けると、次の案件も回ってきます。
エラベルの見解
担当する側として登録した人の話を聞くと、コミュニティから案件が回ってきている人は、コミュニティを案件の経路だと思っていません。同業者との情報交換の場として何年も通い、型を持ち寄り、困りごとに答えているうちに、「あの人に聞いてみたら」と言われるようになった。案件はその結果であって、目的ではなかった、という順番です。案件を目的にすると、この順番が崩れます。
コミュニティからの案件は、動き出すまでに年単位の時間がかかることがあります。その間、案件が無い状態が続くと、場での態度が探しに来た人に寄っていきます。エラベルは、範囲と時間を書いた登録に、条件が合う案件のときだけご連絡する窓口なので、案件の経路は登録先で持ち、コミュニティは役に立つ場として続ける、と分けると、両方が機能します。コミュニティで覚えてもらう範囲と、登録に書く範囲を同じにしておけば、どちらから来ても同じ自分で受けられます。
まとめ
- 人事のコミュニティは案件が直接出る場ではなく、困っている会社を知っている同業者とのつながりを作る場
- 種類は担当者の勉強会・採用担当の情報交換・経営者との混在・オンライン・特定テーマ・副業者の集まり。受けたい業務と同じテーマの場が最も相性がよい
- 構造は顔→何の人か→役に立つ→信頼→思い出される→回ってくる。案件を出す人は場にいない
- 手順は一つの業務と同じテーマの場→規定と線→聞く側→型で答える→覚えられる→聞いた話を外に出さない→関係ができてから副業と伝える→紹介として受ける
- 失敗は営業に見える行動。探しに来た姿勢は隠しても伝わる
- 回ってきた案件は紹介の案件として、紹介者の顔を立てながら書面で。場との関係は変えない
よくある質問
コミュニティで副業をしていることは、言わないほうがよいですか
隠す必要はありませんが、最初に言わないほうが関係は育ちます。役に立つ人だと思われる前に副業の話をすると、探しに来た人と見られます。何度か参加し、型で答え、何の人か覚えられてから、聞かれたときや自然な流れで「副業でも受けていて、範囲はここまで」と一言で伝えれば足ります。本業の規定で副業の公言に制限がある場合は、その範囲に従ってください。
経営者が参加する場のほうが、案件に近いですか
経営者の採用の悩みを直接聞けるので、案件には近い場です。ただし、営業の場ではないので、探しに行く姿勢はより強く伝わります。経営者だけに近づく、困りごとに答えたあとに自分の案内をする、といった行動は、周りにも本人にも分かります。経営者の場でも、人事担当者の場でも、やることは同じで、型で答え、聞いた話を外に出さず、何の人か覚えられることです。案件に近い場ほど、姿勢を脇に置く必要があります。
参加する時間が取れません。オンラインのグループだけでも意味がありますか
オンラインのグループでも、質問に型で答え続ければ、何の人かは伝わります。対面の場より顔は覚えられにくいですが、回答が残るので、あとから読んだ人にも伝わります。時間が取れないなら、受けたい業務と同じテーマのグループを一つ選び、週に数回、困りごとに答えるだけでも積み重なります。対面の場に出るなら、多くの場に一度ずつより、一つの場に何度か通うほうが、覚えられます。